JPS645102B2 - - Google Patents
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- JPS645102B2 JPS645102B2 JP6984184A JP6984184A JPS645102B2 JP S645102 B2 JPS645102 B2 JP S645102B2 JP 6984184 A JP6984184 A JP 6984184A JP 6984184 A JP6984184 A JP 6984184A JP S645102 B2 JPS645102 B2 JP S645102B2
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Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
本発明は耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼に
関し、詳しくは、例えば、Alダイキヤスト金型
及びAlダイキヤスト金型補修用溶接棒として好
適に用いることができる超高張力鋼に関する。 Alダイキヤスト金型は、従来、主としてSKD6
鋼やSKD61鋼のような熱間工具鋼、或いは18%
Niマルエージング鋼から製作されている。前者
の熱間工具鋼を用いる場合は、素材鋼を焼鈍し、
荒彫りし、焼入れし、焼戻しした後、仕上彫りし
て製作されているが、熱間工具鋼はC含有量が高
く、質量効果が大きいために製作過程における熱
処理変形や寸法変化が著しく、従つて、熱処理及
び型彫りが容易ではないので、製作工程が複雑で
ある。そのうえ、このようにして得られるAlダ
イキヤスト金型は、特に、溶融Al中での溶損が
著しく、また、耐熱疲労特性に劣る。更に、超高
強度レベルでの靭性、高温での強度及び靭性のほ
か、溶接性が十分ではない。 一方、超高強度レベルでの靭性にすぐれた鋼と
して、18%Niマルエージング鋼が知られており、
この鋼を用いる場合は、溶体化処理し、型彫りし
た後、時効処理をして、Alダイキヤスト金型が
製作される。従つて、18%Niマルエージング鋼
による場合は、荒彫り及び仕上彫りの2回の型彫
りが不必要であり、また、時効処理を行なうとこ
ろから、焼戻し操作が1回分省略できるので、製
作工程が比較的簡単である。しかし、このように
して得られるAlダイキヤスト金型も、前記と同
様に尚、耐Al溶損性に劣ると共に、高温強度が
低く、特に、400℃以上では急激に低くなるほか、
過時効時の軟化抵抗が小さい。 また、Alダイキヤスト金型の補修は、従来、
通常は、金型に生じたクラツクを削り、18%Ni
マルエージング鋼にて溶接することにより行われ
ているが、18%Niマルエージング鋼は前記した
ように耐Al溶損性及び高温強度に劣る。 本発明は上記に鑑みてなされたものであつて、
超高強度レベルでの靭性と高温強度にすぐれるの
みならず、特に、耐Al溶損性及び耐熱疲労特性
にすぐれ、従つて、Alダイキヤスト金型及びそ
の補修用溶接棒として好適に用いることができる
超高張力鋼を提供することを目的とする。 本発明による耐Al溶損性のすぐれた超高張力
鋼は、重量%で C 0.05%以下に規制し、 Al 0.1〜1.0%、 Ni 10〜20%、 Cr 1〜5%、 Mo 3〜7%、 Ti 0.5〜3%、 残部鉄及び不可避的不純物からなることを特徴
とする。 即ち、本発明鋼によれば、先ず、C含有量を極
力低減せしめると共に、Ni及びCrの含有量を所
定範囲として、溶体化処理後の冷却によつて常温
で高強度高靭性のマルテンサイト母相の単一組織
を形成させ、一方、Niと共にMo、Ti及びAlを
所定量含有させて、時効処理後に母相マルテンサ
イト相中に金属間化合物を析出させることによつ
てその強度及び靭性を高め、かくして、前記18%
Niマルエージング鋼と同様のすぐれた型彫り性、
熱処理性及び高強度高靭性を付与する。更に、本
発明鋼においては、上記合金元素及び好ましくは
Coの所定量の添加によつて、As点を上昇させ、
時効硬化の最大条件を高温側にずらせることによ
つて、耐熱疲労特性、即ち、高温での強度、靭性
及び耐軟化抵抗を改善し、更に、Crの添加によ
つてその耐Al溶損性を著しく向上させることに
成功したものである。 次に、本発明による高張力鋼における化学成分
の限定理由について詳細に説明する。 Cは、一般に鋼の強度を高める作用を有するこ
とはよく知られているが、反面、C含有量が多い
ときは、前記した熱間工具鋼にみられる欠点を有
するようになるので、本発明においては、Cを不
純物元素としてみなし、0.05%以下とする。 Si、Mn、P及びSも不純物元素であるので、
できる限り少ない方がよく、本発明においては、
Siは1.0%以下、Mnは0.1%以下、Pは0.01%以
下、Sは0.01%以下とする。また、OやNは非金
属介在物を形成し、加工時に割れの起点となるの
で、その含有量は50ppm以下に抑えることが好ま
しい。 Niは、本発明鋼においては、Crと共に、マル
テンサイト母相を形成させるために必須の元素で
あり、靭性のすぐれた高強度ラスマルテンサイト
相を生成させるために10%以上のNiを添加する
ことが必要である。しかし、20%を越えて多量に
添加するときは、残留オーステナイト相が安定化
し、室温に冷却したときに、マルテンサイト単一
相を形成しない。従つて、本発明鋼においては、
Niの添加量は10〜20%の範囲とする。また、Ni
は、時効処理によつてNi3Mo、Ni3Ti、Ni3Alの
ような金属間化合物を析出し、強度を上昇させ
る。 Moは、PやSによる粒界偏析を防止し、ま
た、時効温度を高温側にずらして、過時効を防止
するために3%以上を添加することが必要であ
る。Moはまた、時効処理によつてNi3Moや
Fe2Moとして析出し、鋼の強化に寄与するが、
過多に添加しても、経済性に劣るようになるの
で、上限を7%とする。 Tiは、本発明鋼の強度を支配する重要な元素
であり、時効処理によつてNi3Tiを析出して鋼を
強化すると共に、As点を上昇させ、最大時効条
件を高温長時間側に移行させ、軟化抵抗を大きく
する。このような効果を有効に発現させるために
は、少なくとも0.1%の添加が必要であるが、過
多に添加するときは、鋼の脆化を引き起こすた
め、上限を3%とする。 Alは、Tiと同様に鋼を強化する元素であり、
時効処理によつてNi3Alを析出して強化に寄与
し、また、高温耐酸化性をも向上させるが、多量
に添加すると、鋼の脆化を引き起こすので、添加
量は0.1〜1.0%の範囲とする。 Crは、Niと共に、靭性のすぐれたマルテンサ
イト相を形成させると共に、特に、鋼の耐Al溶
損性及び高温耐酸化性を確保するために、本発明
鋼において必須の元素であり、かかる効果を有効
に発現させるために、本発明鋼においては少なく
とも1.0%の添加を必要する。しかし、過多に添
加するときは、残留オーステナイト相を安定化さ
せるので、その添加量を1〜7%の範囲とする。 本発明鋼においては、溶体化処理後、空冷によ
つて常温における鋼の組織をマルテンサイトの単
一相とするために、Ni+Crを19%以下とするこ
とが好ましい。鋼組織が残留オーステナイトを含
む二相組織となるときは、強度が不足するように
なるからである。 本発明鋼においては、その耐熱疲労特性を一層
高めるために、Coを3%以上含有させるのが好
ましい。即ち、Coは、Moの固溶度を低下させ、
Ni3Mo等の析出を促進し、また、時効温度を高
温側にずらして高温強度を高め、かくして、耐熱
疲労特性を著しく向上させるのである。しかし、
添加量を過多とすることは、経済性の観点から好
ましくないので、上限を30%とする。 本発明鋼によれば、例えば、Alダイキヤスト
金型は、所定の化学成分を有する鋼を真空溶解
し、インゴツトとした後、ソーキング処理し、次
いで、溶体化処理した後、型彫りし、時効処理す
ることによつて製造される。また、溶接棒(フイ
ラー・ワイヤー)の場合は、ソーキング処理後、
熱間圧延により径10〜15mmの線材とし、溶体化処
理を施し、次いで、冷間伸線によつて適宜径の線
材とし、これを再び溶体化処理することによつて
溶接棒(フイラー・ワイヤー)を得ることができ
る。 以上のように、本発明鋼は、C量を0.05%以下
に抑え、前記した合金元素の添加によつて、高強
度高靭性のマルテンサイトからなる単一母相を形
成させ、ここに時効処理によつて金属間化合物を
析出させることによつてその強度を高めると共
に、時効硬化の最大条件を高温側にずらせること
によつて、高温での強度、靭性及び耐軟化抵抗を
改善して耐熱疲労特性を高め、更に、Crの添加
によつてその耐Al溶損性を著しく向上させたも
のであり、Alダイキヤスト金型用超高張力鋼と
して有用である。勿論、他の金型、例えば、プラ
スチツクやゴム成形のための金型にも好適に使用
することができる。更に、本発明鋼によれば、補
修後の熱処理を要しないAlダイキヤスト金型の
補修用溶接棒としても有用である。 以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこ
れら実施例に限定されるものではない。 実施例 真空溶解法によつて第1表鋼番号1〜4に示す
化学組成の鋼を調製してインゴツトとし、ソーキ
ング処理後、インゴツトを皮削りした。1150〜
1200℃での素鍛造を経て、径20mm鋼に仕上鍛造
し、850℃で1時間加熱して溶体化処理し、空冷
後、試験片加工し、550℃で3時間加熱、冷却し
て時効処理を施した。 第2表に鍛造品の室温強度、600℃での機械的
性質、及び600℃で3時間の時効処理を施したと
きのHRCを示す。また、第3表には変態温度、
耐熱疲労特性及びAl溶損試験の結果を示す。
関し、詳しくは、例えば、Alダイキヤスト金型
及びAlダイキヤスト金型補修用溶接棒として好
適に用いることができる超高張力鋼に関する。 Alダイキヤスト金型は、従来、主としてSKD6
鋼やSKD61鋼のような熱間工具鋼、或いは18%
Niマルエージング鋼から製作されている。前者
の熱間工具鋼を用いる場合は、素材鋼を焼鈍し、
荒彫りし、焼入れし、焼戻しした後、仕上彫りし
て製作されているが、熱間工具鋼はC含有量が高
く、質量効果が大きいために製作過程における熱
処理変形や寸法変化が著しく、従つて、熱処理及
び型彫りが容易ではないので、製作工程が複雑で
ある。そのうえ、このようにして得られるAlダ
イキヤスト金型は、特に、溶融Al中での溶損が
著しく、また、耐熱疲労特性に劣る。更に、超高
強度レベルでの靭性、高温での強度及び靭性のほ
か、溶接性が十分ではない。 一方、超高強度レベルでの靭性にすぐれた鋼と
して、18%Niマルエージング鋼が知られており、
この鋼を用いる場合は、溶体化処理し、型彫りし
た後、時効処理をして、Alダイキヤスト金型が
製作される。従つて、18%Niマルエージング鋼
による場合は、荒彫り及び仕上彫りの2回の型彫
りが不必要であり、また、時効処理を行なうとこ
ろから、焼戻し操作が1回分省略できるので、製
作工程が比較的簡単である。しかし、このように
して得られるAlダイキヤスト金型も、前記と同
様に尚、耐Al溶損性に劣ると共に、高温強度が
低く、特に、400℃以上では急激に低くなるほか、
過時効時の軟化抵抗が小さい。 また、Alダイキヤスト金型の補修は、従来、
通常は、金型に生じたクラツクを削り、18%Ni
マルエージング鋼にて溶接することにより行われ
ているが、18%Niマルエージング鋼は前記した
ように耐Al溶損性及び高温強度に劣る。 本発明は上記に鑑みてなされたものであつて、
超高強度レベルでの靭性と高温強度にすぐれるの
みならず、特に、耐Al溶損性及び耐熱疲労特性
にすぐれ、従つて、Alダイキヤスト金型及びそ
の補修用溶接棒として好適に用いることができる
超高張力鋼を提供することを目的とする。 本発明による耐Al溶損性のすぐれた超高張力
鋼は、重量%で C 0.05%以下に規制し、 Al 0.1〜1.0%、 Ni 10〜20%、 Cr 1〜5%、 Mo 3〜7%、 Ti 0.5〜3%、 残部鉄及び不可避的不純物からなることを特徴
とする。 即ち、本発明鋼によれば、先ず、C含有量を極
力低減せしめると共に、Ni及びCrの含有量を所
定範囲として、溶体化処理後の冷却によつて常温
で高強度高靭性のマルテンサイト母相の単一組織
を形成させ、一方、Niと共にMo、Ti及びAlを
所定量含有させて、時効処理後に母相マルテンサ
イト相中に金属間化合物を析出させることによつ
てその強度及び靭性を高め、かくして、前記18%
Niマルエージング鋼と同様のすぐれた型彫り性、
熱処理性及び高強度高靭性を付与する。更に、本
発明鋼においては、上記合金元素及び好ましくは
Coの所定量の添加によつて、As点を上昇させ、
時効硬化の最大条件を高温側にずらせることによ
つて、耐熱疲労特性、即ち、高温での強度、靭性
及び耐軟化抵抗を改善し、更に、Crの添加によ
つてその耐Al溶損性を著しく向上させることに
成功したものである。 次に、本発明による高張力鋼における化学成分
の限定理由について詳細に説明する。 Cは、一般に鋼の強度を高める作用を有するこ
とはよく知られているが、反面、C含有量が多い
ときは、前記した熱間工具鋼にみられる欠点を有
するようになるので、本発明においては、Cを不
純物元素としてみなし、0.05%以下とする。 Si、Mn、P及びSも不純物元素であるので、
できる限り少ない方がよく、本発明においては、
Siは1.0%以下、Mnは0.1%以下、Pは0.01%以
下、Sは0.01%以下とする。また、OやNは非金
属介在物を形成し、加工時に割れの起点となるの
で、その含有量は50ppm以下に抑えることが好ま
しい。 Niは、本発明鋼においては、Crと共に、マル
テンサイト母相を形成させるために必須の元素で
あり、靭性のすぐれた高強度ラスマルテンサイト
相を生成させるために10%以上のNiを添加する
ことが必要である。しかし、20%を越えて多量に
添加するときは、残留オーステナイト相が安定化
し、室温に冷却したときに、マルテンサイト単一
相を形成しない。従つて、本発明鋼においては、
Niの添加量は10〜20%の範囲とする。また、Ni
は、時効処理によつてNi3Mo、Ni3Ti、Ni3Alの
ような金属間化合物を析出し、強度を上昇させ
る。 Moは、PやSによる粒界偏析を防止し、ま
た、時効温度を高温側にずらして、過時効を防止
するために3%以上を添加することが必要であ
る。Moはまた、時効処理によつてNi3Moや
Fe2Moとして析出し、鋼の強化に寄与するが、
過多に添加しても、経済性に劣るようになるの
で、上限を7%とする。 Tiは、本発明鋼の強度を支配する重要な元素
であり、時効処理によつてNi3Tiを析出して鋼を
強化すると共に、As点を上昇させ、最大時効条
件を高温長時間側に移行させ、軟化抵抗を大きく
する。このような効果を有効に発現させるために
は、少なくとも0.1%の添加が必要であるが、過
多に添加するときは、鋼の脆化を引き起こすた
め、上限を3%とする。 Alは、Tiと同様に鋼を強化する元素であり、
時効処理によつてNi3Alを析出して強化に寄与
し、また、高温耐酸化性をも向上させるが、多量
に添加すると、鋼の脆化を引き起こすので、添加
量は0.1〜1.0%の範囲とする。 Crは、Niと共に、靭性のすぐれたマルテンサ
イト相を形成させると共に、特に、鋼の耐Al溶
損性及び高温耐酸化性を確保するために、本発明
鋼において必須の元素であり、かかる効果を有効
に発現させるために、本発明鋼においては少なく
とも1.0%の添加を必要する。しかし、過多に添
加するときは、残留オーステナイト相を安定化さ
せるので、その添加量を1〜7%の範囲とする。 本発明鋼においては、溶体化処理後、空冷によ
つて常温における鋼の組織をマルテンサイトの単
一相とするために、Ni+Crを19%以下とするこ
とが好ましい。鋼組織が残留オーステナイトを含
む二相組織となるときは、強度が不足するように
なるからである。 本発明鋼においては、その耐熱疲労特性を一層
高めるために、Coを3%以上含有させるのが好
ましい。即ち、Coは、Moの固溶度を低下させ、
Ni3Mo等の析出を促進し、また、時効温度を高
温側にずらして高温強度を高め、かくして、耐熱
疲労特性を著しく向上させるのである。しかし、
添加量を過多とすることは、経済性の観点から好
ましくないので、上限を30%とする。 本発明鋼によれば、例えば、Alダイキヤスト
金型は、所定の化学成分を有する鋼を真空溶解
し、インゴツトとした後、ソーキング処理し、次
いで、溶体化処理した後、型彫りし、時効処理す
ることによつて製造される。また、溶接棒(フイ
ラー・ワイヤー)の場合は、ソーキング処理後、
熱間圧延により径10〜15mmの線材とし、溶体化処
理を施し、次いで、冷間伸線によつて適宜径の線
材とし、これを再び溶体化処理することによつて
溶接棒(フイラー・ワイヤー)を得ることができ
る。 以上のように、本発明鋼は、C量を0.05%以下
に抑え、前記した合金元素の添加によつて、高強
度高靭性のマルテンサイトからなる単一母相を形
成させ、ここに時効処理によつて金属間化合物を
析出させることによつてその強度を高めると共
に、時効硬化の最大条件を高温側にずらせること
によつて、高温での強度、靭性及び耐軟化抵抗を
改善して耐熱疲労特性を高め、更に、Crの添加
によつてその耐Al溶損性を著しく向上させたも
のであり、Alダイキヤスト金型用超高張力鋼と
して有用である。勿論、他の金型、例えば、プラ
スチツクやゴム成形のための金型にも好適に使用
することができる。更に、本発明鋼によれば、補
修後の熱処理を要しないAlダイキヤスト金型の
補修用溶接棒としても有用である。 以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこ
れら実施例に限定されるものではない。 実施例 真空溶解法によつて第1表鋼番号1〜4に示す
化学組成の鋼を調製してインゴツトとし、ソーキ
ング処理後、インゴツトを皮削りした。1150〜
1200℃での素鍛造を経て、径20mm鋼に仕上鍛造
し、850℃で1時間加熱して溶体化処理し、空冷
後、試験片加工し、550℃で3時間加熱、冷却し
て時効処理を施した。 第2表に鍛造品の室温強度、600℃での機械的
性質、及び600℃で3時間の時効処理を施したと
きのHRCを示す。また、第3表には変態温度、
耐熱疲労特性及びAl溶損試験の結果を示す。
【表】
【表】
(b)及び(c)はマルエージング鋼であり、標準組
成を示す。
成を示す。
【表】
【表】
【表】
また、比較のために、SKD61鋼、18%NiのCo
無添加マルエージング鋼及び18%Ni300ksiマル
エージング鋼の化学組成を比較鋼として第1表に
示し、また、本発明鋼と同様の性質を第2表及び
第3表に示す。 本発明鋼によれば、比較鋼5に比べて常温強度
及び高温度に著しくすぐれていると共に、耐Al
溶損性にすぐれ、また、従来のマルエージング鋼
に比べて、高温強度及び耐Al溶損性に著しくす
ぐれていることが明らかである。
無添加マルエージング鋼及び18%Ni300ksiマル
エージング鋼の化学組成を比較鋼として第1表に
示し、また、本発明鋼と同様の性質を第2表及び
第3表に示す。 本発明鋼によれば、比較鋼5に比べて常温強度
及び高温度に著しくすぐれていると共に、耐Al
溶損性にすぐれ、また、従来のマルエージング鋼
に比べて、高温強度及び耐Al溶損性に著しくす
ぐれていることが明らかである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で C 0.05%以下に規制し、 Al 0.1〜1.0%、 Ni 10〜20%、 Cr 1〜7%、 Mo 3〜7%、 Ti 0.5〜3%、 残部鉄及び不可避的不純物からなることを特徴
とする耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼。 2 重量%で C 0.05%以下に規制し、 Al 0.1〜1.0%、 Ni 10〜20%、 Cr 1〜7%、 Mo 3〜7%、 Co 3〜30%、 Ti 0.5〜3%、 残部鉄及び不可避的不純物からなることを特徴
とする耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6984184A JPS60221555A (ja) | 1984-04-06 | 1984-04-06 | 耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6984184A JPS60221555A (ja) | 1984-04-06 | 1984-04-06 | 耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60221555A JPS60221555A (ja) | 1985-11-06 |
JPS645102B2 true JPS645102B2 (ja) | 1989-01-27 |
Family
ID=13414428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6984184A Granted JPS60221555A (ja) | 1984-04-06 | 1984-04-06 | 耐Al溶損性のすぐれた超高張力鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60221555A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5102619A (en) * | 1989-06-06 | 1992-04-07 | Latrobe Steel Company | Ferrous alloys having enhanced fracture toughness and method of manufacturing thereof |
FR2774099B1 (fr) * | 1998-01-23 | 2000-02-25 | Imphy Sa | Acier maraging sans cobalt |
-
1984
- 1984-04-06 JP JP6984184A patent/JPS60221555A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60221555A (ja) | 1985-11-06 |
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