JPS643880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、湯水混合栓におけるカートリツジに
関するものである。

〔従来の技術とその課題〕

従来におけるワンハンドルタイプで、かつ、シ
リンダーステムタイプの湯水混合栓は、例えば特
開昭57−116982号公報に掲載されている。すなわ
ち、その概要を第３図に示すが、同図で、円筒状
外ケースで構成された水栓本体１内にカートリツ
ジ２が挿入され、このカートリツジ２は合成樹脂
製のシリンダー３とこのシリンダー３内に挿入さ
れたステムＡ、すなわち、上部ピストン５と、下
部ピストン（中空ピストン）６と、これらのピス
トン５，６を連結する途中偏平状にした銅パイプ
（連結棒）７と、で構成されている。

そして、水栓本体１の下部には、湯および水の
パイプ８，９が連結されている。これらのパイプ
８，９の終点に該当する水栓本体１には連通口１
０，１１を設けている。これらの連通口１０，１
１に対して前記シリンダー３に設けた１対の開口
部１２，１３が対面しており、この１対の開口部
１２，１３外周にはシール部材１４，１５が装着
され、湯・水を封水している。この１対の開口部
１２，１３の内側では、中空ピストン６に切欠か
かれた帯状の切欠開口部１６が対面している。こ
の中空ピストン６の内周と偏平化された銅パイプ
７の外周との間隙で混合室１７を形成している。
この混合室１７は前記シリンダー３に設けた出口
孔１８に連通し、この出口孔１８は水栓本体１の
出口孔１９に連通し、この出口孔１９は更に吐出
管２０に連通している。

かかる従来例の作用をいえば、湯および水のパ
イプ８，９を湯沸器および水道と接続すると、シ
リンダー３の１対の開口部１２，１３に迄、湯お
よび水がそれぞれ充満する。

次いで、ハンドル２７を押し下げれば、ステム
Ａが上方に摺動し、中空ピストン６の切欠開口部
１６が１対の開口部１２，１３と重合して連通
し、湯水が混合室１７に流入して混合され吐出管
２０へ流出する。

ここにおいて、ハンドル２７を左右に回動すれ
ば、ステムＡは回動され、１対の開口部１２，１
３と重合する切欠開口部１６の開口面積が調節さ
れて、混合室１７に流入される湯および水の量が
調節される。したがつて、吐出管２０より流出す
る湯温が調節できる。そして、湯および水は１対
の開口部１２，１３のシール部材１４，１５のと
ころで、それぞれ独立して封水され、閉栓時、混
合室１７内では湯および水の圧力が作用しない。
したがつて、その操作は軽快にできるとともに、
高圧の水道水が湯沸器の方へ逆流するおそれも生
じない、とされている。

ところで、かかる湯水混合栓は水道および湯沸
器に接続されており、水道の水圧は通常、２〜３
Kg／cm²、高圧地域（新興住宅地）で４〜８Kg／cm²
であるのに対し、湯の圧力は、瞬間湯沸器等では
通常、0.5〜0.7Kg／cm²であるので、両者に大きな
圧力差が存在する。したがつて、混合室１７へ流
入する量は両者間で大差があつて湯温の調節が円
滑にできない。

そこで、かかる従来例における中空ピストン６
の切欠開口部１６の代わりに、中空ピストン６に
多数の小孔を穿設した構造（特公昭48−4975号公
報参照）も考えられるが、かかる構造の場合、中
空ピストン６の径が大となつて水栓全体が大型化
するとともに、小孔の加工費も嵩み好ましくな
い。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本考案は、これら従来例の不都合を一挙
に除くために案出されたもので、その要旨とする
ところは、水栓本体に上下方向に内蔵され、その
下方部において水道および湯沸器とそれぞれ連通
した、平角で対面する１対の開口部を備え、か
つ、その上方部において吐出管と連通した出口孔
を備えたシリンダーと、該シリンダー内に挿入さ
れた上部ピストンおよび下部ピストンと、これら
のピストンを連結する連結棒と、からなるカート
リツジであつて、前記下部ピストンを、その内部
を混合室とする中空ピストンで構成し、該中空ピ
ストンに帯状の切欠開口部を、前記１対の開口部
に重合可能に開設した、湯水混合栓におけるカー
トリツジにおいて、前記１対の開口部の径をそれ
ぞれ７〜10mmとし、前記切欠開口部の切欠を中心
角で180〜240度とし、かつ、該切欠開口部におけ
る水道用開口部側の内側に、該切欠開口部を略半
分覆うよう40〜80メツシユの網体を添設した湯水
混合栓におけるカートリツジにある。

〔実施例〕

以下、本考案の構成を添付図面に示す実施例に
より詳細に説明する。第１図は本考案の実施例で
あるカートリツジのみを示す断面図、第２図は第
１図の要部拡大図であるが、第３図に示す従来例
と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略す
る。

第１図および第２図において、ステムＡを構成
する下部ピストン、すなわち中空ピストン６に
は、中心角θで略220度の帯状の切欠開口部１６
を形成している。この中空ピストン６の下端は小
径部２１を形成し、この小径部２１の更に下端に
フランジ２２を形成している。これらの小径部２
１とフランジ２２とに銅パイプ７の下端２３を挿
入し、この下端２３を小径部２１にロー付２４し
ている。

ここにおいて、前記切欠開口部１６の内側で、
水道側の開口部（径Ｄ＝7.6mm）１２側に、すな
わち高圧側にステンレス鋼線で組成された60メツ
シユの小片の網体２５を２つ折りにして、その下
端が中空ピストン６の大径部と小径部２１を連絡
する壁面ａに当たる位置まで、若干弯曲させ挿
入・載置し、その上端を中空ピストン６と偏平状
の銅パイプ７との間で挟持して固定し、切欠開口
部１６の略半分を覆つている。なお、２６はＯリ
ングを示す。

本実施例は、以上の構成となつているので、１
対の開口部１２，１３と切欠開口部１６が重合し
た際、一方の開口部１２に他方の開口部１３より
高圧の水道水が流入し、他方の開口部１３より流
入する湯と正面衝突して激しく混合されるが、こ
の網体２５の存在により、水道水の流入が緩和さ
れ、他方の開口部１３より流入する湯と釣合いな
がら正面衝突して混合される。そのため、湯が水
道水により一方的に押し出され、その流入を阻止
されることはない。

ところで、切欠開口部１６に前述の温度調節円
滑化のための網体２５を装着したところ、意外に
も、操作時に発生する、すなわち湯水が混合室１
７へ流入する際に発生する騒音も低減された。詳
しくいえば、水圧2.5Kg／cm²、湯圧0.6Kg／cm²、水
温22℃、湯温72℃において、第１図に示すカート
リツジにおいて、網体２５を装着しないものと、
装着したものとを比較試験したところ、0.5ｍ離
れた所で前者が57.5dB、後者が47dB、１ｍ離れ
た所では前者が53.5dB、後者が43dBの騒音を測
定した。つまり、網体２５の有無で10dBにも騒
音が低減されたのである。

また、本実施例の開口部１２，１３は共に同径
Ｄで、7.6mmの場合を例示したが、小片の網体２
５が採用可能の開口部の大きさであれば、これに
限らず、７〜10mmまで有効であることが判明し
た。すなわち、開口部の径Ｄを６mm以下とすれば
40〜80メツシユの網体２５は目詰を起こし、所定
の流量が得られず、11mm以上とすれば網体２５の
受圧面積が大きくなり長時間使用後、網体２５は
水圧で変形し、しかも、網体２５の装着に特別な
構造を必要とすることが判明した。また、本実施
例の切欠開口部１６は中心角θ＝220度の範囲で
帯状に切欠かれているが、180〜240度の範囲をと
つても、平角で対面する１対の開口部に対し有効
であることが判明した。更に、本実施例の網体２
５のメツシユの大きさは60メツシユを例にした
が、本考案ではこれに限らず、40〜80メツシユで
も、目詰りおよび小片である網体２５の変形防止
も役立つことが判明した。

〔考案の効果〕 本考案によれば、温度調節が滑らかに調節で
きる。すなわち、平角で対面する１対の開口部
に、帯状の切欠開口部を重合させ、しかもこの
切欠開口部を網体で一部を覆つただけであるの
で、重合面積が滑らかに変化でき、湯水温度を
微調節することができる。これを比較試験例で
みれば、開口部７〜10mm、40〜60メツシユの網
体を用いて、試験した結果を第４図および第５
図に示す。第４図は網体を装着しない場合の温
度曲線および湯・水量曲線グラフ、第５図は網
体を装着した場合の温度曲線および湯・水曲線
グラフを示すが、第５図ではその〇印内のごと
く、曲線の傾斜がゆるやかになつており、つま
り、操作角度（ハンドルによつてステムを回動
する操作用角度）が広い範囲で行うことがで
き、ひいては温度を微調節することができる。

意外にも、騒音が10dBも低減できる。すな
わち、前記のごとく、滑らかな温度調節する
ための網体（40〜60メツシユのもの）を装着し
たところ、小径（７〜10mm）の１対の開口部お
よびそれと重合する切欠開口部より流入する湯
水によつて生じる騒音が、10dBも低減するこ
とができる。

開口部の径が７〜10mmの大きさであるので、
小片の網体を装着することができる。すなわ
ち、小片の網体を単に切欠開口部の内側で、そ
の一部を覆うよう装着できるので構造簡単と
し、特に、圧力の低い湯側の切欠開口部は覆つ
ていないので、抵抗なく低圧の湯が流入し、所
定量の混合水が簡単に得られ、しかも、網体を
装着しても、開口部の径が７〜10mmの小型のカ
ートリツジを大型化や複雑化することなく、簡
素化した構造が維持でき、更には、湯と水道の
圧力差のない場所に使用するときには、単に網
体のみを取外せばよいという至便さも有するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図イは
第１図の要部拡大図、ロはイ図のＢ〜Ｂ断面図、
第３図は従来例の断面図、第４図、第５図はグラ
フである。 ２……カートリツジ、６……中空ピストン、１
２，１３……開口部、１６……切欠開口部、１７
……混合室、２５……網体、θ……中心角、Ｄ…
…開口部の径。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 水栓本体に上下方向に内蔵され、その下方部に
   おいて水道および湯沸器とそれぞれ連通した、平
   角で対面する１対の開口部を備え、かつ、その上
   方部において吐出管と連通した出口孔を備えたシ
   リンダーと、該シリンダー内に挿入された上部ピ
   ストンおよび下部ピストンと、これらのピストン
   を連結する連結棒と、からなるカートリツジであ
   つて、 前記下部ピストンを、その内部を混合室とする
   中空ピストンで構成し、該中空ピストンに帯状の
   切欠開口部を、前記１対の開口部に重合可能に開
   設した、湯水混合栓におけるカートリツジにおい
   て、 前記１対の開口部の径をそれぞれ７〜10mmと
   し、前記切欠開口部の切欠を中心角で180〜240度
   とし、かつ、該切欠開口部における水道用開口部
   側の内側に、該切欠開口部を略半分覆うよう40〜
   80メツシユの網体を添設した湯水混合栓における
   カートリツジ。