JPS64242B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規なトレーラの鉄道移送装置に係
り、特に鉄道輸送と道路輸送との間の切換操作を
リフト等に荷役機器を一切用いることなく容易に
達成することができるようにしたトレーラの鉄道
移送装置に関する。

一般にトレーラにはセミトレーラ、セミバント
レーラ、フルトレーラ等があり、これらは専ら道
路（路面）上を走行するように構成されている。

ところで、輪送力の増大と迅速化とが求められ
ている今日においては道路輪送に鉄道輪送を加え
てこれを達成させることが望まれている。しかし
乍ら、トレーラにあつては道路上を走行するため
の車輪が備えられているために、これを直接鉄道
軌道上に走行させることができないが、最近では
トレーラ中比較的小型なセミバントレーラを鉄道
車両上に積載して輪送することが提案されてい
る。その具体的な従来例を第１図に従つて説明す
る。この鉄道移送装置は図示する如くコンテナ１
ａとトレーラ車１ｂとが一体になつたセミトレー
ラ乃至セミバントレーラ１を鉄道軌道上に沿つて
走行する長物用貨車２に積載して移送するように
したものである。従つて、この装置によれば長物
用貨車２による鉄道輪送からセミトレーラ１によ
る道路輪送に切換えて貨物を丸ごと目的地まで運
搬することができる。

しかし乍ら、上記装置にあつてはセミトレーラ
１を丸ごと長物用貨車２上に積載するようになつ
ているため、この長物用貨車２を荷重に充分耐え
得るよう堅牢に且つ大型に構成しなければならな
い。またセミトレーラ１を上記長物用貨車２に積
卸し乃至積換えるに際してこれを荷役するための
大型なクレーン等の荷役機器を必要とし、鉄道輪
送と道路輪送との間の切換操作が容易に行えず、
輪送の迅速性を欠くものであつた。

特に輪送力の増大乃至増強を図るために、トレ
ーラが大型化されつつある今日において、上述し
た如く鉄道輪送と道路輪送とを切換えることので
きる鉄道移送装置を採用する場合には、トレーラ
を容易に積卸すことのできる荷役設備を各ターミ
ナルごとに新たに装備しなければならないという
問題が生じる。

このように鉄道の各ターミナルに、トレーラを
鉄道用貨車に積卸するための荷役設備を設けるこ
とは膨大な費用が掛ることになる。

そこで、現在に至るまで大型化されたトレーラ
を直接鉄道車両を用いて移送することが実用化さ
れていないと共に不可能であると考えられてい
た。

本発明者は上述した種々の問題点を解決すべく
鋭意研究の結果本発明を案出するに至つたもので
ある。本発明の目的は鉄道輪送と道路輪送との間
に切換操作を荷役機器を一切用いることなく容易
且つ迅速に達成することができ、もつて輪送力の
増大を図ることのできるトレーラの鉄道移送装置
を提供するにある。

上記目的を達成するために本発明は、車体底部
後側に路面上を走行する走行車輪を有するトレー
ラと、該トレーラの底部前側に設けられ、走行車
輪を支点に車体の前端及び後端を上下にシーソ運
動させる伸縮可能な補助脚と、該補助脚により上
昇された車体の前端下及び後端下にそれぞれ配置
され、車体全体を支承して鉄道軌道上を走行する
一組の台車と、該台車の上面ほぼ中央部に形成さ
れ、上記トレーラの前端及び後端のそれぞれの下
部に突設された係合突起部と係合する係合受部
と、台車の上面部に前端及び後端から係合受部ま
で形成され、係合突起部を係合受部に案内する案
内溝とを備えたものである。

以下に本発明の好適一実施例を第２図以降の図
面に従つて詳述する。

第２図に示す如く、本発明装置はトレーラ７
と、このトレーラ７の車体７ａ底部の前後位置に
それぞれ分割して着脱自在に連結され、上記車体
７ａを支承乃至支持して鉄道軌道Ｒ上を走行する
同一構造の一組の台車８，８とから主に構成され
ている。

上記トレーラ７はコンテナ５とトレーラ車６と
が一体となつた大型セミトレーラで、その車体７
ａ底部の後側に路面上を走行するための走行車輪
９を有し、前側に形成された支持アーム１０を介
して牽引車（図示せず）により牽引されるように
なつている。特に、トレーラ７の車体７ａは前後
で両端支持されて移送されるに充分耐える構造に
設計してある。また、トレーラ７の車体７ａ底部
の前側には油圧ジヤツキ等からなる伸縮可能な補
助脚１１が取付けられており、この補助脚１１を
伸縮させて走行車輪９を支点として車体７ａの前
側及び後側を上下にシーソ運動させることにより
台車８，８に対して連結乃至切離しができるよう
に構成されている。更に、トレーラ７の車体７ａ
底部において、第２図及び第３図に示す如く長手
方向に沿つて両側に有するフレーム１２ａ，１２
ｂの前後端部には台車８への連結手段としての係
合突起部１３が下方へ突出して形成され、且つこ
れら係合突起部１３の近傍には車巾方向に貫通す
るフレーム固定用ピン孔１４が形成されている。
また、車体７ａ底部のフレーム１２ａ，１２ｂ間
中央部における前後には後述する台車８の連結器
１５と着脱自在に連結する連結部１６ａ，１６ｂ
が設けられている。

一方、台車８は台座１７底部に鉄道軌道Ｒ上を
走行する軌道用車輪１８を備えたもので、２台１
組で１台のトレーラ７を両端支持するようになつ
ている。台座１７の上面部はその移動方向前後端
部をトレーラ７の車体７ａより低く設定して側面
台形状に形成され、その中央部を境にして前後に
トレーラ７の車体７ａ底部後端部が２つ相向い合
わせて載置できるようにしてある。また、台座１
７上面部にはトレーラ７の車体７ａ底部を案内載
置させるための案内部として、第４図及び第５図
に示す如くトレーラ７のフレーム１２ａ，１２ｂ
端部を前端及び後端から中央部に導くための案内
溝１９ａ，１９ｂが前後に一対ずつ形成されてい
る。これらの案内溝１９ａ，１９ｂの終点部には
第４図乃至第６図に示す如くトレーラ７の係合突
起部１３が係合する断面凹状の係合受部２０ａ，
２０ｂが形成され、これら係合受部２０ａ，２０
ｂには上記係合突起部１３との係合を解くための
係合解除機構２１がそれぞれ設けられている。即
この係合解除機構２１は第６図に示す如く受動歯
車２２のねじ軸２２ａに昇降体２３を螺合したい
わゆるねじジヤツキから成り、受動歯車２２に中
間歯車２４ａ，２４ｂを介して噛合連結されたウ
オーム歯車２５の駆動軸２５ａを手動等によつて
回転操作することにより上記昇降体２３を昇降移
動させ、その上昇時に同図中破線で示す如くトレ
ーラ７の係合突起部１３をジヤツキアツプして係
合を解くように構成されている。

また、上記係合受部２０ａ，２０ｂの近傍には
第５図に示す如く係合時のフレーム１２ａ，１２
ｂを台車８上に固定するためのロツク機構２６が
設けられている。このロツク機構２６は中央部に
鎖歯車部２７ａを有する雌ねじ筒軸２７と、この
筒軸２７にその両端部から相対方向へ出没自在に
螺合された一対の雄ねじピン２８ａ，２８ｂとか
ら成り、筒軸２７を回転操作することによりピン
２８ａ，２８ｂを案内溝１９ａ，１９ｂ内に出没
させて、その突出時に係合受部２０ａ，２０ｂと
係合状態にあるフレーム１２ａ，１２ｂの固定用
ピン孔１４に挿通させることによつてロツクする
ように構成されている。そして、上記筒軸２７の
回転手段として、その鎖歯車部２７ａを手動等に
より回転駆動される回転軸２９の鎖歯車２９ａに
鎖３０に介して連結してある。

一方、台車８の台座１７前後には第２図、第５
図及び第７図に示す如く連結器１５が基部をボル
ト３１により枢支してそれぞれ俯仰自在に取付け
られている。

この連結器１５は別の台車８の連結器１５や軌
道用牽引車の連結器（図示せず）等に着脱自在に
連結される通常構成のものであり、特に本実施例
ではトレーラ７の車体７ａ底部に設けられた連結
器１６ａ，１６ｂにも連結し得るようにしてあ
る。また、連結器１５には第７図に示す如くこれ
を俯仰操作するための俯仰機構３２が設けられて
いる。この俯仰機構３２は連結器１５の下部に枢
支された昇降用雌ねじ体３３と、この雌ねじ体３
３に螺合された雄ねじ軸３４とから成るねじジヤ
ツキで、その雄ねじ軸３４を回転して雌ねじ体３
３をねじ送り操作することにより第７図中実線で
示す斜め下方に向いた折畳位置から同図中破線で
示す水平に向いた展開位置に自在に変位し得るよ
うに構成されている。また、本実施例では上記雄
ねじ軸３４に受動歯車３４ａを装着すると共に、
この受動歯車３４ａにウオーム歯車３５に噛合さ
せ、このウオーム歯車３５を鎖３６を介して上述
した回転軸２９に連結してあり、この回転軸２９
を回転駆動することによつて上記ロツク機構２６
及び俯仰機構３２を同時に共動操作し得るように
してある。

次に、上記実施例の作用を述べる。

本発明装置は２基の台車８，８間にトレーラ７
の車体７ａを跨らせてその走行車輪９を含む車体
７ａ全体を支持させた状態で、台車８，８により
トレーラ７を鉄道軌道Ｒ上に沿つて移送するもの
であり、鉄道輪送から道路輪送に又はその逆に切
換えるに際して台車８，８へのトレーラ７の積卸
し乃至積換えの要領について以下に説明する。

先ず、台車８，８上にトレーラ７を積載する場
合は、第８図ｃに示す如くトレーラ７を台車８，
８間の鉄道軌道Ｒ上に沿つて位置させてから、補
助脚１１を収縮させることにより走行車輪９を支
点とするシーソ作用で同図ｂに示すように車体７
ａ後部を持を上げ、その底部に一方の台車８を位
置させた後、補助脚１１を伸張させることにより
車体７ａ後端部を支点として同図ａに示す如く車
体７ａ前部を持ち上げ、その底部に他方の台車８
を位置させてから補助脚１１を再び収縮させるこ
とにより台車８，８上へのトレーラ７の積載が完
了する。この場合、トレーラ７側に位置する台車
８，８の俯仰機構３２は連結器１５を下方に下げ
た状態に、ロツク機構２６はピン２８ａ，２８ｂ
を没入させた状態に、係合解除機構２１は昇降体
２３を係合受部２０ａから没入させた状態にそれ
ぞれ予めセツトしておき、トレーラ７におけるフ
レーム１２ａ，１２ｂの係合突起部１３を台車８
における台座１７の案内溝１９ａ，１９ｂに沿つ
て移動させてその終点部にある係合受部２０ａに
係合させてから、上記ロツク機構２６及び俯仰機
構３２のみ駆動操作する。即ち、これらのロツク
機構２６及び俯仰機構３２の操作は第７図に示す
ように回転軸２９を手動乃至電動等によ回転駆動
することにより成され、ロツク機構２６にあつて
は第５図に示す如く筒軸２７の回転で相対方向に
ねじ送りされるピン２８ａ，２８ｂをフレーム１
２ａ，１２ｂのそれぞれの固定用ピン孔１４，１
４に挿通させることにより台車８上への車体７ａ
の固定が完了し、俯仰機構３２にあつては第７図
に示す如く雄ねじ軸３４の回転で雌ねじ体３３を
上方向にねじ送りすることにより連結器１５を水
平に持ち上げて第２図、第３図における車体７ａ
底部の連結器１６ａ，１６ｂへの連結器１５の連
結が完了する。

このように台車８にロツク機構２６を設けたの
で、台車８からのトレーラ７の脱落を確実に防止
することができ、安全性が向上する。また、台車
８に連結器１５を俯仰させる機構３２を設けたの
で、連結器１５をセミトレーラ７の積卸しに際し
て邪魔にならないようにしたり、或いは車体７ａ
底部に設けた連結部１６ａ，１６ｂに下方より連
結したりすることができる。しかも、上記ロツク
機構２６及び俯仰機構３２は１個の回転軸２９で
同時に共動し得るようになつていることから、操
作性が非常に良い。

一方、トレーラ７の車体７ａ底部の連結部１６
ａ，１６ｂを設け、この連結部１６ａ，１６ｂに
台車８の連結器１５を連結するようにしたので、
牽引力を無理なく伝達することができ、係合突起
部１３の破壊を確実に防止することができると共
に、緩衝効果をも発揮させることができる。更
に、台車８の台座１７には中央部を境にして前後
にトレーラ７の車体７ａ底部後端部が２つ相向い
合わせて載置できるように構成したので、第９図
に示す如く３基の台車８により２台のトレーラ７
を支持することができ、合理的で且つ経済的であ
る。また、特に台座１７上面部にセミトレーラ７
の車体７ａ底部を案内載置させるための案内溝１
９ａ，１９ｂを形成したことから、トレーラ７の
積載及び取外しが確実且つ容易にできる。以上の
要領でトレーラ７の積載が成されるのであるが、
逆にセミトレーラ７を台車８から取外す場合は、
上述した逆の要領、即ち第８図のａ，ｂ，ｃの順
序で作業を行えば簡単にトレーラ７の取外作業を
行うことができる。

このように台車８による鉄道輪送とトレーラ７
による道路輪送との間の切換操作が簡単に成し得
るため、ターミナルではトレーナ７が走行し易い
ように鉄道軌道Ｒを路面と面一になるように設定
するだけで良く、クレーン等の荷役設備を一切必
要としない。特に本発明装置は、トレーラ７の車
体７ａを台車８，８間を連結するフレーム乃至シ
ヤーシとして共用するようにしてあるため、トレ
ーラ７の車体７ａを両端支持して移送するに充分
耐える構造に設定するだけで、余計な部材を使用
しながら廉価に製作することができる。また、台
車８，８間の巾が自由に設定できることから、仮
にトレーラ７（この場合、コンテナが一体になつ
ていない。）がコンテナ船から荷卸しされた大型
コンテナを積載した大型のものであつても、その
まま積卸しができ、鉄道輪送を行うに際して従来
の如く大型コンテナを分解する必要が全くない。

一方、台車８にあつては連結器１５を介して互
いに連結することができることと相俟ち、台座１
７上面部が平坦であるため、コンテナを直接積載
することも可能である。

尚、上記実施例ではトレーラ７としてセミトレ
ーラを用いたものが、その他のトレーラであつて
も良い。また、上記実施例ではトレーラ７のフレ
ーム１２ａ，１２ｂ後後端部に台車８へ連結手段
としての係合突起部１３を形成したが、係合突起
部１３の代りに車体７ａ底部に設けた連結部１６
ａ，１６ｂと同様のものを設けるようにしても良
い。また、上記実施例では係合解除機構２１、ロ
ツク機構２６及び俯仰機構３２のそれぞれねじ送
りを利用したいわゆるねじジヤツキにより構成し
たが、これらは油圧ジヤツキにより構成しても良
いこと勿論である。

以上要するに本発明によれば次の如き優れた効
果を発揮する。

(1) 鉄道輪送と道路輪送との間の切換操作を、ク
レーン等の荷役機器を一切用いることなく容易
且つ迅速に達成することができる。

(2) 従つて、各ターミナルには荷役設備が不要で
あるため容易に実施化することができ、しかも
大型トレーラを鉄道軌道に沿つ移送することが
できるから輪送力の増大及び迅速化が図れる。

(3) また、台車間にトレーラを両端支持させてそ
のトレーラの車体を台車間の連結手段として共
用するようにしたため、トレーラの車体を両端
支持して移送するに充分耐える構造にするだけ
で余計な部分が無く、廉価に製作することがで
き、しかも台車を待機させるのにスペースをと
らない。

尚、本発明は実施例に限定されるものでなく、
要旨を逸脱しない範囲であれば種々変形して実施
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の側面図、第２図は本発明の
好適一実施例を示す鉄道移送装置の分解側面図、
第３図は第２図の―線に沿うセミトレーラの
底面図、第４図、第５図は台車の拡大正面図及び
部分的一部切欠拡大平面図、第６図は第５図の
―線に沿う断面図、第７図は第５図の―線
に沿う断面図、第８図ａ，ｂ，ｃは作用説明図、
第９図は使用状態説明図である。 図中、７はトレーラ、７ａは車体、８は台車、
９は走行車輪、１９ａ，１９ｂは案内部として例
示した案内溝、Ｒは鉄道軌道である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 車体底部後側に路面上を走行する走行車輪を
   有するトレーラと、該トレーラの底部前側に設け
   られ、走行車輪を支点に車体の前端及び後端を上
   下にシーソ運動させる伸縮可能な補助脚と、該補
   助脚により上昇された車体の前端下及び後端下に
   それぞれ配置され、車体全体を支承して鉄道軌道
   上を走行する一組の台車と、該台車の上面ほぼ中
   央部に形成され、上記トレーラの前端及び後端の
   それぞれの下部に突設された係合突起部と係合す
   る係合受部と、台車の上面部に前端及び後端から
   係合受部まで形成され、係合突起部を係合受部に
   案内する案内溝とを備えたことを特徴とするトレ
   ーラの鉄道移送装置。