JPS6411293B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、逆流抵抗手段を有する針組立体に関
する。

液体を収集する場合に、特にその液体が患者か
らの血液または身体の他の液体であるときに、患
者への逆流に抵抗を与えることが非常に望まし
い。液体が患者に戻らないように抵抗を与える理
由は多数ある。例えば、血液を収集容器に収集す
るときに、血液サンプルのいろいろな試験のため
に容器に種々の薬品または他の試薬が存在してい
ることがあり得る。血液サンプルがこの容器に流
入するにつれて、その中の薬品と混合する。万
一、この混合物が患者に逆流すれば、薬品が患者
の血流に入つて患者に害を与える可能性がある。
患者への逆流が問題となる他の例は、収集過程中
血液が凝固することである。万一、収集された少
量の血液が収集針または収集容器のどこかで凝固
した場合に、そのような凝固した或る量の血液が
患者に逆流すると、重大な難局が引き起こされ
る。従つて、患者から流体を収集するための針組
立体になんらかの種類の逆流抵抗機構を含むこと
は、要望される特性である。

（従来の技術および解決しようとする課題） 従来、このような血液または身体の流体の望ま
しくない逆流を制御しようとする際に、特に種々
の形式の弁の使用に頼つていた。これらの弁は、
種々の形状や態様で提案され、明らかに種々の流
体差圧で開閉する移動可能なボール弁、カツプ
弁、自己密閉スリツトを有する円板弁、「あひる
のくちばし形」の弁などを含んでいた。他の形式
の弁も提案された。これらの弁は、全て流体圧
力、針穿刺、または運動流体の力により、弁がそ
れぞれの流体の流れ方向に依存して開閉する作動
構成要素に基づいている。小さくて若干複雑なこ
れらの弁装置にかかる製造費用、弁装置を小さな
針組立体に装着する際に伴う困難および弁装置を
取り扱う際に付随する問題に加えて、この種の作
動弁には、他の危険、すなわちその作用の能力に
伴う危険がある。作動弁に頼つた場合、その弁が
その意図した目的や設計に従つて作動するという
はつきりした確信がなければならない。弁が作動
しない場合には、患者への血液または身体の流体
の逆流が阻止されない。それ故、そのような作動
要素が針組立体に含まれた場合、弁が適正に作動
しないという危険が常にあり、有害な結果になる
可能性をもつている。従つて、本発明の目的は、
血液を収集する間に血液または同様な液体が患者
に逆流することに対し抵抗を与えるための簡単な
機構を提供することである。この機構は、効果的
に作動するだけではなく、前述したように作動弁
に伴う付随した危険をできるだけ減らすか、また
は完全に除くような機構である。この問題の解決
に本発明が向けられている。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本発明により、
前端部、後端部およびその間の室を有するハウジ
ングと、このハウジングの前端部に設けられてい
てかつ前記室に開口する第一のチヤネルと、この
第一のチヤネルから前記前端部を介して外方へ延
びている、患者に挿入するための第一の中空針
と、前記ハウジングの後端に設けられていてかつ
前記室に開口する第二のチヤネルとを有し、前記
第一と第二のチヤネルが前記室の相対する側で整
合しており、また前記第二のチヤネルが前記後端
部を介して外方へ延びている、血液試料収集のた
めに容器を貫入可能な第二の中空針と、前記室内
にその縦軸心に沿つて延びるように支持部材によ
り支持された縦棒に、室内周壁との間に環状の間
隙を置いて流れ抵抗手段として固定された複数の
先細の円錐状物体とを有し、前記円錐状物体は、
その先細の部分が前記第一のチヤネルに面した状
態で配置されている針組立体を設ければよい。

（発明の効果） 構造的な点から見て、本発明は従来の針組立体
と逆流抵抗手段において著しく異なつている。本
発明の流れ抵抗手段は、針組立体の室内にその縦
軸心に沿つて支持された縦棒に、室内周壁との間
に環状の間隙をおいて固定された複数の先細の円
錐形物体からなり、しかもその先細の部分が第一
のチヤネルに面した状態で配置されているので、
人の血液から血液収集容器に血液を吸引する際に
その先細の円錐面により血液の流れを助けるが、
その反対方向の流れは円錐形物体の底面により抵
抗を与える。これらの円錐形物体は、作動しない
で静止している逆流抵抗手段を提供する。従来の
針組立体で使われていた作動する形式の流量弁を
除くことにより、針組立体が意図した通りに作動
しない危険も除去される。

（実施例） 以下、本発明を実施例について図面により詳細
に説明する。

本発明の実施例を説明する前に、本発明の基礎
となる針組立体について第１図〜第３図により説
明する。

針組立体１０の基本的な外部構成要素は、ハウ
ジング１２と、患者に挿入するようになつている
第一の中空針１４と、ハウジング１２の対向端に
ある第二の中空針１５とを有し、第二の中空針は
血液サンプルを収集するための真空の容器に貫入
するようになつている。ハウジング１２は、第二
の中空針１５に隣接したねじ部１８を有し、この
ねじ部の上に真空容器のための管状ホルダをその
前端部のねじ部で噛み合わせることによりねじ込
む。このホルダは、図示してないけれども、この
種の構造で多数のサンプル血液を収集するこれら
の一般的な面は当業者にとつて周知である。

第２図には、針組立体１０の内部構成要素の細
部構造をいつそう明瞭に示してある。ハウジング
１２は前端部２４と後端部２５を有し、これらの
端部は、作りやすくするためにかつ形成される内
部室をいつそうよく制御するために通常分離可能
である。前端部２４は円筒状に形成するのが好ま
しく、かつその本体の中へ部分的に本体を通つて
延びている大きな孔２８を有する。この区分の他
端部には、いつそう小さな孔２９が大きな孔２８
と連通するように完全には前端部を貫通して延び
ていない。しかしながら、さらに小さい直径の第
一のチヤネル３０がこれらの二つの孔を相互に連
結しているので、第一の中空針１４から大きな孔
２８に流体が通れる。孔２９と第一のチヤネル３
０の間の接合部に肩部３３が形成されている。第
一の中空針１４がこの肩部に当接して適正に位置
決めされる。一度、第一の中空針１４が所定の位
置に位置決めされると、接着手段などにより適宜
付着させることができる。第一のチヤネル３０は
ハウジングのこの前端部の構造に必須ではなく、
単に好ましい要素であることが認識される。さら
に、第一のチヤネル３０の大きさと直径は製造業
者の選択により変えることができる。

ハウジングの前端部２４は、また外方へ延びる
第一の中空針１４を囲むいくつかの縦リブ３１を
有する。針保護カバー（図示省略）はおおむね外
方に延びる第一の中空針１４をおおい、かつ内部
に噛み合う内側リブを有する。針保護カバーと針
組立体の間でリブが噛み合うことにより使用者が
針組立体を管状ホルダに差し込んだりまたは取り
外したりするのが容易になる。前端部２４には、
また環状のフランジ３２があり、このフランジ
は、組み立てたときにハウジングの二つの部分を
一緒に結合するための表面を形成するのに役立
つ。再び、接着剤等のような適当な固定手段を用
いてハウジングの二つの部分を固着することがで
きる。

後端部２５には、大体円筒形に形成されかつ前
端部の大きな孔２８内に嵌まるような大きさを有
する突出部分４０がある。この後端部の反対側に
は、前述したように雄ねじ１８が設けられていて
管ホルダ（図示省略）への接続機構となる。孔４
１がハウジングの後端部を部分的に通つて延びて
おり、この孔４１はハウジングの前端部の孔２９
と実質的に同様である。再び、孔４１が第二の中
空針１５の直径を受け入れるような大きさを有
し、第二の中空針は接着剤などを含む適当な手段
により孔４１に固着される。いつそう小さい直径
の第二のチヤネル４２が一端で終わつている。従
つて、流体が第二のチヤネル４２により、後端部
２５を通る第二の中空針１５を通つて流れること
ができる。環状フランジ４６が設けられていて、
ハウジングの二つの端部を一緒に結合する際にフ
ランジ３２と協働する。ハウジングを通る適当な
流体の流れを確保するために、環状のエラストマ
ーリング４８が突出部分４０の周りに配置されて
いる。前端部と後端部を一緒に組み立てたとき
に、それぞれのフランジ３２と４６を接着剤など
のような適当な固定手段により固着する。大きな
孔２８内の突出部分４０が、ハウジング内に室５
０を形成する内部空間を残す。ハウジングのそれ
ぞれの前端部と後端部にある両方の第一のチヤネ
ル３０と第二のチヤネル４２が室５０と連絡す
る。明瞭にするために示してないが、第二の中空
針１５も保護および取扱のために針保護カバーで
おおうことができる。さらに、第二の中空針１５
が多数の血液サンプル収集手順のために計画され
ている場合には、第二の中空針１５を可撓性のエ
ラストマーのさやでおおうことができる。

第一の中空針１４と第二の中空針１５がハウジ
ングの縦軸心に沿つて室５０の相対する側で軸方
向に整合しているので、それぞれの中空針が整合
軸心に対して平行である。この針組立体の構造
は、血液サンプルを得るときに正常の状態にある
患者から典型的な量の血液流を取り扱うように計
画されている。例えば、第二の中空針１５は20ゲ
ージ針が代表的であり、第一の中空針１４は種々
の静脈の大きさと状態について20，21または22ゲ
ージである。このことを念頭において室５０は患
者から収集された血液を貯えるのに充分大きく設
計されている。このような血液の貯蔵を第３図に
示してある。その図に見えるように、第一の中空
針１４を患者に挿入し、かつ第二の中空針１５を
真空の血液収集容器に挿入すると、血液が矢印の
方向に図面で左から右へ流れ、すなわち第一の中
空針１４から室５０に、それから第二の中空針１
５を通つて流れ、適正に収集することができる。
万一、血液の流れが反対方向に流れるように圧力
または流れの状態が変化する場合に、室５０は、
血液が逆方向に流れる前に充分に長い時間の遅れ
を与えるように大容積の貯蔵区画室として役立
つ。血液がハウジングの真空の管部分にある第二
のチヤネル４２からハウジングの患者に向いてい
る部分の第一のチヤネル３０へ流れる前に、まず
室５０内のほとんど全ての血液の量が排除されな
ければならない。血液収集過程で出会う典型的な
かつ通常の血液流量では、400と600立方ミリメー
トルの間の容積がこの逆流の遅延特性を与える。
400と500立方ミリメートルの間の室の容積が通常
の血液流の状態の下で充分長い遅延時間の間逆流
を遅らせるほど充分大きく、しかも針組立体を実
際に使用しうるほど充分小さいので、その室の大
きさは最も好ましい。

次に、本発明の実施例を第４図〜第６図により
説明する。この実施例では、基本的な組立体とし
て第１〜３図に関連して述べた針組立体を用いて
いる。従つて、同様な参照数字を対応する構成要
素を指すように用いてある。しかしながら、第４
図の実施例の室５０ａは、逆流抵抗の特徴を与え
るために特別な室を必要としない。室５０ａには
いくつかの物体があり、これらの物体により室５
０ａから第一のチヤネル３０ａに向かう血液の流
れに流れ抵抗を与える。これらの物体８０は先細
の円錐の形を有するのが好ましく、これらの円錐
形物体は細いテーパー部分が第一のチヤネル３０
ａの方に向くように位置決めされている。これら
の円錐形物体は縦棒８１にほぼ同心に取りつけら
れていることにより、円錐形物体が室内にほぼ中
心に取りつけられて円錐形物体の周りに血液の流
れのための環状の間〓を残している。縦棒８１が
板状の支持部材８２の中心孔に取りつけられてい
ると共に、支持部材８２の周面がハウジング端部
２４ａの内周壁に結合されている。これらの取り
つけは、種々の接着手段または同様な手段により
することができる。第６図にいつそう明瞭に見ら
れるように、円板状の支持部材８２には、血液が
支持部材を通ることができるように一つまたは複
数の孔８４がある。種々の円板状支持部材８２の
孔を隣にある円板状支持部材の孔からずらすこと
により、血液の流れに対しいつそう大きな抵抗を
与えることができる。特に第４図を見ると、血液
の流れが矢印の方向に図で左から右へ移動して有
利なことが分かる。しかしながら、血液が反対方
向に流れようとすると、円錐形物体８０、支持部
材８２および貫通孔８４の構造と配向が全て逆流
に抵抗を与えるのに役立つ。これらの流れ抵抗手
段として、従来使用された周知の弁要素の開放／
閉鎖必要条件に頼らない非作動構成要素を用い
る。ここで使用される流れ抵抗手段は剛性があ
り、そして血液の流れを一方向だけに助けるよう
に賦形されかつ配向されるのが好ましい。これら
の流れ抵抗手段の材料、形状、容積および配向
は、本発明の目的と両立できる限り設計者に任さ
れる。

本発明の実施例において、可撓性の、突き通し
得る、エラストマーのさやを、真空の血液収集管
のストツパーを刺し通すように計画された針にか
ぶせることができる。このさや（図示省略）は弁
として役立つので、患者から多数のサンプルを収
集する際にその針組立体を使用できる。このよう
な弁さやは、米国特許第3469572号に記載されて
いる。

このようにして、本発明によれば、機能するた
めに作動弁要素に頼らない逆流抵抗手段を有する
針組立体が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の基礎となる基本的針組立体を
示す斜視図、第２図は第１図の線２−２に沿つて
切断した縦断面図、第３図は第２図と同様な図で
あるが、使用中の針組立体を示す縦断面図、第４
図は針組立体に組み込まれた本発明の流れ抵抗手
段の実施例を示す縦断面図、第５図は第４図の線
６−６に沿つて切断した横断面図、第６図は第４
図の線７−７に沿つて切断した横断面図である。 １０……針組立体、１２……ハウジング、１４
ａ……第一の中空針、１５ａ……第二の中空針、
２４ａ……前端部、２５ａ……後端部、３０ａ…
…第一のチヤネル、４２ａ……第二のチヤネル、
５０ａ……室、８０……円錐形物体、８１……縦
棒、８２……支持部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 患者から収集されつつある血液の逆流に抵抗
   するように構成された針組立体において、前端
   部、後端部およびその間の室を有するハウジング
   と、このハウジングの前端部に設けられていてか
   つ前記室に開口する第一のチヤネルと、この第一
   のチヤネルから前記前端部を介して外方へ延びて
   いる、患者に挿入するための第一の中空針と、前
   記ハウジングの後端に設けられていてかつ前記室
   に開口する第二のチヤネルとを有し、前記第一と
   第二のチヤネルが前記室の相対する側で整合して
   おり、また前記第二のチヤネルが前記後端部を介
   して外方へ延びている、血液試料収集のために容
   器を貫入可能な第二の中空針と、前記室内にその
   縦軸心に沿つて延びるように支持部材により支持
   された縦棒に、室内周壁との間に環状の間隙を置
   いて流れ抵抗手段として固定された複数の先細の
   円錐状物体とを有し、前記円錐状物体は、その先
   細の部分が前記第一のチヤネルに面した状態で配
   置されていることを特徴とする針組立体。 ２ 前記各支持部材が、一つまたは複数の孔を有
   する円板である、特許請求の範囲第１項に記載の
   針組立体。 ３ 前記の隣合う支持部材の円板の孔がずらされ
   ている、特許請求の範囲第２項に記載の針組立
   体。