JPS639932B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は電気加工装置、特に工具と被加工物
間に加工液を供給しながらパルス状の加工電流を
通電して加工を行うものに関する。

一般にこの種の電気加工装置では、テーブルに
固定された被加工物を加工液が滞留する中で加工
液を加圧供給しながら加工を行う。

従つて、その被加工物を固定するテーブルは加
工液に直接晒されることになる。ところが、加工
液は被加工物の加工にともなつてその温度が上昇
し、一般には環境温度よりも10〜15度Ｃも高い温
度に達し、これが上記テーブルの熱変形による寸
法誤差をもたらす最も大きな原因となつている。
このテーブルは、従来においては、鋳鉄からなる
基台に天然石すなわち斑レイ岩を切り出して形成
した定盤部を固定したものであつた。この斑レイ
岩からなる定盤部は、鋳鉄等の金属材料に比べて
熱膨張係数も小さく変形が少ないという利点があ
るものの、天然石であるために加工性が非常に悪
く、特に薄く形成することが困難であつた。この
ため、その定盤はどうしても高重量とならざるを
得ず、このことがテーブルを位置決めのために案
内するガイド部への荷重負担を増大させてその位
置決めの精度を低下させ、これが被加工物の加工
精度を低下させる結果となつていた。また、テー
ブルの部分で既に相当の重量を占めてしまうため
に、そのテーブルの上に載置出来る被加工物の重
量が限られてしまうという問題もあつた。さら
に、厚く形成された天然石の定盤部は、熱変形に
よる歪の蓄積が大きいという問題もあつた。この
歪を小さくするためには、定盤部を分割形成すれ
ばよいが、しかし、天然石をそのように分割形成
することは、加工性が悪いために非常に高価なも
のとなつてしまう。

この発明は前述した従来の課題に鑑みてなされ
たもので、その目的は、製作容易な構成であると
ともに、そのテーブル部分を十分な機械的強度を
保持しつつ大幅に軽量化することを可能にし、こ
れによりテーブルのガイド部への荷重負担を軽減
せしめて高精度な位置決めを可能にし、かつ熱変
形による歪を最小限に抑えることが出来て、比較
的高重量の被加工物も高精度に加工が行えるよう
にした電気加工装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、この発明は、工具
と被加工物間に加工液を供給しながらパルス状の
加工電流を通電して加工を行う電気加工装置にお
いて、上記被加工物を固定する定盤部がセラミツ
クス材料で構成されているとともに、この定盤部
が面方向に複数個に分割されて配設され、かつ各
分割体の境界部に逆Ｔ型断面形状の溝が形成され
ていることを特徴とする。

以下、この発明の好適な実施例を図面に基づい
て説明する。

図は、この発明による電気加工装置の一実施例
を示す。同図に示す装置は、電極１２をサーボ送
りする主軸ヘツド１０、電極１２と被加工物１４
の間隙電圧を検出する間隙検出装置１６、この間
隙検出装置１６からの検出信号に基づいて上記主
軸ヘツド１０を上下に駆動するモーター２０に駆
動電圧を与える駆動アンプ１８、電極１２と被加
工物１４間に断続的なパルプ状の加工電流を供給
する電源２２等を有している。また、テーブル３
２の定盤部３０に被加工物１４を高さ調節可能に
固定するために、押工金具２４、レベリングボル
ト２６、ボルト２８等が使用されている。

上記電極１２は前記工具に相当するものであ
る。また、定盤部３０はテーブル基台３２ａ上に
ボルト４２およびブツシユ４４により固定されて
いる。電極１２および被加工物１４はケーブル４
６，４８を介して上記電源２２に接続されてい
る。そして、テーブル３２は加工液が滞留する加
工槽５０内に設けられている。このテーブル３２
は、図示を省略するが、ガイド部に案内されて移
動し、位置決めされるようになつている。

ここで、上記定盤部３０はアルミナ結晶質を調
合・混練し、型を用いて成形あるいは加圧成形し
たのち、高温で焼成したものが使用されている。
つまり、セラミツクス材料で構成されている。そ
の形状は、型を用いて成形あるいは加圧成形によ
り形成されるため、図示の如く、空洞３４を有す
るリブ型構造とすることが簡単にできる。また、
その厚みも従来の天然石による定盤部に較べると
大幅に薄型化されているが、リブ型構造とするこ
とにより十分な機械的強度を確保している。この
定盤部３０は一体物ではなく、面方向に複数個に
分割された分割体３０ａの集合によつて構成さ
れ、各分割体３０ａの隣り合う境界部には、側面
部を段付形状３６とすることにより逆Ｔ型断面形
状の溝４０が形成されている。この溝４０にＴナ
ツト３８を組みこむことにより任意の大きさの被
加工物１４を任意の位置に固定することが簡単に
できるようになつている。空洞３４の大きさは、
定盤部３０の必要強度に応じて定められるが、こ
の空洞３４を多数のリブで細分化することによ
り、テーブル３２の軽量化と強度（断面二次モー
メント）の増大をさらに両立して増大させること
ができる。空洞３４を有するリブ型構造は各分割
体３０ａ毎に形成されている。

さて、以上のようなテーブル３２を有する電気
加工装置では、そのテーブル３２の定盤部３０が
セラミツクス材料で構成されているので、その形
状を薄型化し、かつ分割構造にし、さらに各分割
体３０ａ毎に空洞３４を有するリブ型構造にする
ことが簡単に行われ、これにより大幅な軽量化と
必要な機械的強度の確保という二つの条件を両立
させることができる。この結果、先ず、テーブル
３２の移動を案内するガイド部への荷重負担が小
さくなつて、該テーブル３２の位置決め精度を維
持することができるようになり、これにより加工
精度を高く維持することができるようになる。ま
た、テーブル３２の軽量化とともにその機械的強
度の確保により、該テーブル３２に載置できる被
加工物１４の重量制限を緩めることができるよう
にもなる。さらに、定盤部３０は、リブ型構造に
より薄型化されるとともに、複数個に分割形成さ
れることにより、熱変形による歪の蓄積がほとん
どなくなり、この点においても加工精度は大幅に
向上させられるようになる。しかも、各分割体３
０ａの間に形成された逆Ｔ型断面形状の溝４０
は、被加工物を任意の位置に固定するのに非常に
便利に使用することができる。

以上のように、この発明による電気加工装置
は、その製作が容易であるとともに、そのテーブ
ル部分は軽量に形成されかつ十分な機械的強度も
有し、さらに熱変形による歪もほとんど生じない
ので、従来よりも重量のある被加工物を高精度に
加工することができる。

【図面の簡単な説明】

図はこの発明による電気加工装置の一実施例を
示す断面図である。 図中同一部材には同一符号を付し、１２は工具
としての電極、１４は被加工物、２２は電源、３
０は定盤部、３０ａは分割体、３２はテーブル、
３２ａは基台、３４は空洞、４０は逆Ｔ型断面形
状の溝、５０は加工槽、５２は加工液である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工具と被加工物間に加工液を供給しながらパ
   ルス状の加工電流を通電して加工を行う電気加工
   装置において、上記被加工物を固定する定盤部が
   セラミツクス材料で構成されているとともに、こ
   の定盤部が面方向に複数個に分割されて配設さ
   れ、かつ各分割体の境界部に逆Ｔ型断面形状の溝
   が形成されていることを特徴とする電気加工装
   置。 ２ 特許請求の範囲１の装置において、上記定盤
   部は各分割体毎に空洞を有するリブ型構造に形成
   されていることを特徴とする電気加工装置。