JPS636502Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 この考案は、工作機械等のスライドテーブルや
その他測定器、プレス機のスライド部等に利用さ
れる直線運動軸受に関する。

ロ 従来技術 一般に、工作機械等のスライドテーブルやその
他測定器、プレス機のスライド部等の如き直線運
動を行う機械装置に於いては、摺動ストロークを
無限に取ることのできる転動体循環形式の直線運
動軸受を使用することが多い。

而して、従来の上記の如き転動体循環形式の直
線運動軸受の構造は、第１図乃至第３図に示すよ
うに、所定長さの長尺な断面矩形状の軌道レール
１の上面及び両側面に夫々転走溝２を形成し、こ
の軌道レール１上に断面コ字形状の軸受本体３を
跨架し、この軸受本体３の内周面に前記軌道レー
ル１の転走溝２と対応させて夫々転走溝４を形成
すると共に、この転走溝４と所定の間を隔てた隣
接部位に両端面に貫通した返還穴５を形成し、か
つ、前記軸受本体３の両端面に蓋体６を取付固定
し、この蓋体６に前記軸受本体３の転走溝４と返
還穴５を連絡する反転溝７を形成し、更に、前記
軸受本体３の転走溝４及び返還穴５並びに蓋体６
の反転溝７で構成される各ボール循環路に一部保
持器８で保持されてボール９を多数収容してい
る。

ところで、上記した従来の転動体循環形式の直
線運動軸受に於いて、軸受本体３の転走溝４と返
還穴５とを連絡する反転路を構成する方法として
は、第４図乃至第６図に示すように、蓋体６の反
転溝７に該反転溝７を横切つて嵌合溝１０を形成
し、この嵌合溝１０に断面円弧状（かまぼこ形）
の反転中子１１を嵌合組合せて構成したものであ
る。従つて、蓋体６の反転溝７に夫々嵌合溝１０
を加工し、これに反転中子１１を嵌合組合せする
必要がある為、反転中子１１の位置決め上若干の
ズレ等の誤差が生じ易く、これによりボール９が
スムーズに転動し難いと云う欠点がある。

ハ 考案の目的 この考案は、反転中子を不要にすることによつ
て、構造が簡単になり、かつ、製作が容易となる
と同時に、ボールの転動がスムーズになるように
なした転動体循環形式の直線運動軸受を提供せん
とするものである。

ニ 考案の構成 この考案は、ボールの反転軌跡の中心線を含む
平面で分割した２枚の板を掌合一体化してボール
反転路を形成すると共に該ボール反転路の内径部
側にグリース溜り間隙を形成する反転部材を構成
し、この反転部材をボール反転路が軸受本体の転
走溝とボール返還穴との間を連絡するように蓋体
に嵌合組合せしたことを要旨とするものである。

ホ 実施例 第７図乃至第１１図はこの考案の転動体循環形
式の直線運動軸受の一例を示すもので、１２は所
定長さの長尺な断面矩形状の軌道レールで、上面
及び両側面に夫々転走溝１３を長手方向に形成し
ている。１４は前記軌道レール１２上に跨架した
断面コ字形状の軸受本体で、軌道レール１２に相
対する内周面に軌道レール１２の転走溝１３に
夫々対応させて転走溝１５を形成すると共に、こ
の転走溝１５と夫々対応させて所定の間を隔てた
隣接部位に両端が端面に開口した返還穴１６を該
転走溝１５と平行させて形成している。１７は軸
受本体１４の前後端面を被蓋する蓋体で、軸受本
体１４への衝合面に該軸受本体１４の１対の転走
溝１５及び返還穴１６に対応させて夫々矩形状の
嵌合凹所１８を形成している。１９は蓋体１７の
嵌合凹所１８に嵌合組合せた反転部材で、軸受本
体１４の転走溝１５と返還穴１６との間を連絡す
る反転路２０を形成している。この反転部材１９
は反転路２０を転動するボール２１の反転軌跡の
中心線を含む平面で分割した２枚の板２２で構成
されている。板２２は第９図及び第１０図に示す
ように、掌合面に半円状の溝２３を円弧状に形成
し、かつ、該溝２３の外径部２２′の肉厚ｔ１よ
り内径部２２″の肉厚ｔ２を若干薄くしたもので、
この板２２を２枚用意して第１１図に示すように
掌合することにより、目的の反転路２０を形成さ
せると共に、この反転路２０の内径部側にグリー
ス溜り用の間隙２４を形成している。

尚、図面中２５は蓋体１７を軸受本体１４に止
着するボルト、２６はボール２１を保持する保持
器、２７は軸受内部を密封するシール部材であ
る。

上記構造の直線運動軸受では、反転部材１９が
蓋体１７の凹所１８内に嵌合ガイドされているの
で、該反転部材１９の２枚の板２２にて形成され
る反転路２０はズレ等の誤差を生じることがな
く、ボール２１はスムーズに転走し、これにより
軸受本体１４は滑らかに移動する。そして、前記
反転部材１９は反転路２０の内径部側にグリース
溜り用の間隙２４を設けたから、この間隙２４に
相当量のグリースを蓄溜することができ、軸受の
潤滑性能を向上することが可能である。また、反
転部材１９は合成樹脂を素材として形成すること
により、簡単にかつ高精度に製作することができ
る。

ヘ 考案の効果 この考案によれば、転動体の転走をスムーズに
して軸受本体の移動を小さな力で滑らかに作用さ
せることができ、直線運動を必要とする各種機械
装置に広く応用することができる。また、反転路
の内径部側にグリース溜り用の間隙を設けたか
ら、軸受の潤滑性能を向上させることができ、軸
受寿命を大幅に延長改善できる。更に、反転部材
を合成樹脂を素材として形成することにより、簡
単にかつ高精度に製作することができ、高精度な
直線運動軸受を安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来の直線運動軸受を示す
もので、第１図は一部を断面した正面図、第２図
は一部を断面した平面図、第３図は第１図のＡ−
Ａ線に於ける縦断面図である。第４図は従来の蓋
体の側面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ線に於ける
縦断面図、第６図は反転中子の斜視図である。第
７図及び第８図はこの考案に係る直線運動軸受の
一例を示すもので、第７図は一部を断面した正面
図、第８図は一部を断面した平面図である。第９
図は反転部材を構成する板の正面図、第１０図は
その側面図、第１１図は組合せ状態を示す反転部
材の側面図である。 １２……軌道レール、１３……転走溝、１４…
…軸受本体、１５……転走溝、１６……返還穴、
１７……蓋体、１８……嵌合凹所、１９……反転
部材、２０……反転路、２１……ボール、２２…
…板、２３……溝、２４……グリース溜り用間
隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面及び両側面に転走溝を長手方向に形成した
   軌道レールと、内周面に前記軌道レールの転走溝
   に夫々対応させて転走溝を長手方向に形成し、か
   つ、該転走溝と所定の間を隔てた隣接部位に両側
   面に貫通したボール返還穴を形成した軸受本体
   と、前記軸受本体の両端面に取付固定され、か
   つ、前記転走溝とボール返還穴とを連絡する円弧
   状をしたボール反転路を有する蓋体と、前記軌道
   レールの転走溝、軸受本体の転走溝及びボール返
   還穴、蓋体のボール反転路に配列保持したボール
   とよりなり、前記軌道レール上に前記ボールを介
   して前記軸受本体を摺動自在に跨架した直線運動
   軸受に於いて、ボールの反転軌跡の中心線を含む
   平面で分割した２枚の板を掌合一体化してボール
   反転路を形成すると共に該ボール反転路の内径部
   側にグリース溜り間隙を形成する反転部材を構成
   し、この反転部材をボール反転路が軸受本体の転
   走溝とボール返還穴との間を連絡するように蓋体
   に嵌合組合せたことを特徴とする直線運動軸受。