JPS6358290B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は密封スラスト軸受組立体に関する。

軸線方向の高いスラスト荷重を担持するように
設計されたアンギユラコンタクト式スラスト軸受
は、型押により製造された環状の金属製レースを
熱処理し、向い合つた曲線軌道面を研削せずにそ
のままにして経済的に作ることができる。潤滑剤
を保持するためにレースを密封することが必要で
あり、また、軸受を他のある種の組立体に組込む
前にレースを互いに保持する一体化した組立体と
することが望ましい。

それぞれ曲線軌道面を形成した第１、第２の同
軸配置の軸受レースを包含し、これらの軌道面が
向い合つており、その間に必要数の軸受ボールを
収容しており、第２の軸受レースが第１の軸受レ
ースと係合して軸受レースの密封押込みばめロツ
ク相互係合状態を与える第１、第２のエラストマ
ー密封リツプを有する密封スラスト軸受組立体は
公知である（例えば米国特許第4120543号）。

この公知の密封スラスト軸受組立体（例えば米
国特許第4120543号）はマクフアーソン型ストラ
ツトのためのアンギユラコンタクト式スラスト軸
受であり、一方のレースの内縁に設けたエラスト
マー密封リツプが他方のレースの内縁にスナツプ
嵌合していて２つのレースの内縁を密封すると共
にこれらのレースを一体の組立体として保持す
る。

しかしながら、ある種の用途では、一方の軸受
レースがその内縁に軸線方向の円筒形フランジを
備え、このフランジが軸受組立体の全軸線方向厚
さにわたつて延びていて軸受組立体の中心に障害
物のない金属トンネルを与える軸受を有すること
が望ましい。このような組立体では、障害物を形
成することなくエラストマーリツプをこの中央ト
ンネルと係合させるのは不可能である。

このような組立体に、円筒形フランジのまわり
にプレスばめされ、他方のレースにある密封リツ
プに着座させてレースが分離するのを防ぐ別体の
金属リングを一体化することは公知である。しか
しながら、製作の容易さという観点からは、この
別体のリングはないほうが望ましい。

本発明によれば、それぞれ曲線軌道面を形成し
た第１、第２の同心配置軸受レースを包含し、こ
れらの軌道面が向い合つた関係にあり、間に軸受
ボールを収容しており、第２軸受レースが、第１
軸受レースと係合して軸受レースの密封押込みば
めロツク相互係合状態を与える第１、第２のエラ
ストマー密封リツプを有する密封スラスト軸受組
立体において、第１の軸受レースがその内縁で軸
受組立体の軸線方向内方に延びる円筒形フランジ
を包含し、この円筒形フランジが半径方向内向き
の内側壁と半径方向外向き外側壁とを包含し、こ
の外側壁が軸受組立体軸線に対して軸線方向かつ
半径方向内方に傾斜した密封面と、この密封面の
軸線方内側終端にある半径方向外方に延びた保持
リブとを有し、第２軸受レースが第１レースを係
合する第１のエラストマー密封リツプと、外側壁
を備える可撓性のある密封リツプである第２エラ
ストマー密封リツプとを有し、この外側壁が前記
密封面と同じ方向であるが、その密封面の変形し
ていない状態において軸受組立体軸線に対してよ
り大きい角度で傾斜しておりかつ軸線方向内向き
の保持肩部で終つており、組立時における軸受レ
ースの互いに向つての軸線方向相対運動が、第２
密封リツプの外側壁を保持リブを通過して密封面
と密封係合させるように軸線方向に摺動させたと
きに第２密封リツプを半径方向外向き、軸線方向
内向きに撓ませ、保持肩部が保持リブに隣接した
位置に動き、前記軸受レースを分離しようとする
いかなる相対軸線方向運動も保持肩部を保持リブ
と係合させてこれらの軸受レースを一体の組立体
として保持するようになつていることを特徴とす
る密封スラスト軸受組立体を得ることができる。

それによつて、密封一体化スラスト軸受組立体
は円筒形フランジの与える中央軸線方向トンネル
に障害物を生じさせることなく得ることができ
る。

本発明のある特定の軸受組立体では、第１軸受
レースはその外縁にある半径方向外方に向いたフ
ランジと、その内縁にある軸線方向中央円筒形フ
ランジとを有し、これらのフランジの間に曲線軌
道面がある。この円筒形フランジは半径方向外向
きの壁と、中央軸線方向トンネルを与える半径方
向内向き壁とを有する。さらに、半径方向外向き
壁は軸受組立体軸線の軸線方向、半径方向内側に
傾斜した密封面を与える保持溝と、この保持溝の
軸線方向内側終端にある半径方向外向きの保持リ
ブとを包含する。

第２軸受レースは第１のレースの軌道面に対し
て向い合つた関係の曲線軌道面を包含し、間に必
要数の軸受ボールが係合してある。さらに、第２
軸受レースはそれぞれ内外の縁に接合した第１、
第２のエラストマー密封リツプを包含する。第１
の密封リツプは第１レースの外縁にあるフランジ
と密封係合することができ、第２の密封リツプは
可撓性があり、撓んでいない状態では、第１レー
スの密封面と同じ方向ではあるが、軸受組立体軸
線に対してより大きい角度で傾斜する外側壁を有
する。第２密封リツプの外側壁は軸線方向内向き
の肩部で終つており、この肩部は、撓んでいない
状態では、第１レースの密封面の最小直径よりも
僅かに小さい直径を有する。

２つの軸受レースは組立時に互いに同軸に動か
されたとき、第２の密封リツプの外側壁が保持リ
ブを軸線方向に通過して摺動するにつれてこの第
２密封リツプが半径方向外側に撓まされる。第２
密封リツプは、保持肩部が保持リブを軸線方向に
通過してその近くにあるとき第１レースの密封面
と密封接触するように動き、同時に第１密封リツ
プが第１レースを密封接触するように動く。その
後、レースを分離させようとするいかなる軸線方
向の動きも、保持肩部を保持リブと係合させ第２
密封リツプを押しつぶす。このようになつたリツ
プと保持リブは一方向ゲートとして効果的に作用
してレースが軸線方向に分離するのを妨げ、それ
らを一体の組立体として保持する。

以下、添付図面を参照しながら本発明を実施例
によつて説明する。

第１，２図に示すように、全体的に１０で示す
軸受組立体は第１の環状レース１２と第２の環状
レース１４とを包含し、その間に十分に必要数の
軸受ボール１６を有している。

レース１２，１４は金属を型押により製造した
ものであり、各々、それぞれ１８，２０で示す曲
線軌道面を有する。これらの軌道面は軸受組立体
１０の軸線に対して約30度の接触角度αで軸受ボ
ール１６と係合している。レース１２，１４は熱
処理する。軌道面１８，２０は研削しないままで
ある。軸受組立体１０は以下に詳しく説明するよ
うに一体化された密封組立体となる。

第１レース１２は軌道面１８の外側と一体の半
径方向に延びた外側フランジ２２と、軌道面１８
の内側と一体の円筒状内側フランジ２４とを包含
し、この内側フランジは軸受組立体１０の軸線方
向内方にそのほぼ全軸受方向厚さにわたつて延び
ている。内側フランジ２２はこの軸受組立体１０
をマクフアーソン・ストラツトのエラストマー・
パツドの如き別の構造体を取付けるための構造部
材として作用する。これは、別の形のものでもよ
いし、省略してもよい。

円筒形フランジ２４は、第３図に最も良く示す
ように、半径方向内向きの内側壁２６と半径方向
外向きの外側壁２８とを有する。フランジ２２の
後に、レース１２の軌道面１８とフランジ２４を
一回目の作業で型押し加工し、外側壁２８の軸線
方向最内方縁部をアツプセツト加工して、軸線方
向、半径方向内向きに傾斜した環状の密封面３２
を有する保持溝３０と、この密封面を形成するた
めに外側壁２８から除去した金属で形成した、密
封面３２の軸線方向内側端で半径方向外向きに延
びる保持リブ３４とを形成する。内側壁２６は中
央軸線方向連続トンネルを与え、このトンネルは
マクフアーソン・ストラツトのピストン・ロツド
を受けたり、マクフアーソン・ストラツトのエラ
ストマー・パツドの一部を収容したりすることが
できる。したがつて、内側壁２６にはなんら障害
物があつてはならないので、外側壁２８だけがレ
ース１２，１４を保持するように作用する。これ
は以下に説明する。

第２，３図に示すように、第２レース１４はそ
の外側縁にある第１のエラストマー密封リツプ３
６と、その内側縁にある第２のエラストマー密封
リツプ３８と、これらの密封リツプ３６，３８と
一体のエラストマーの薄い外側カバー層４０とを
包含する。このカバー層４０はレース１４の外側
とマクフアーソン・ストラツトのばね座のような
別の構造部材との間に効果的な摩擦係合状態を生
じさせる。密封リツプ３８は略截頭円錐形の横断
面を有し、外側密封壁４２と、軸線方向内向きの
保持肩部４４と、層４０との結合部にある環状逃
げ部４６とを包含する。リツプ３８の変形してい
ない状態では、壁４２は密封面３２と同じ方向で
あるが、軸受組立体の軸線に対してより大きい角
度で傾斜する。一方、保持肩部４４はこの軸線に
対して略直角であり、密封面３２の、リブ３４に
隣接した最小直径部よりもやや小さい直径を有す
る。環状逃げ部４６は、密封リツプ３６が半径方
向外方、軸線方向内方に容易に撓めるようにして
いる。

組立時、レース１４をレース１２に向つて同軸
方向に動かしたとき、リツプがリブを通過して摺
動するにつれて密封リツプ３８が保持リブ３４と
壁４２の係合によつて半径方向外方、軸線方向内
方に撓む。壁４２がリブ３４を完全に通過してし
まうと、この壁４２は密封面２２と密封係合する
ようにスナツプし、保持肩部４４が保持リブ３４
に隣接した位置に動く。同時に、密封リツプ３６
がレース１２と密封係合し、この軸受組立体１０
の組立ては完了する。密封リツプ３６，３８は共
にやや変形した状態に留り、ランド部係合シール
として作用する。

密封リツプ３８およびリブ３４はレース１２，
１４を一体の組立体として保持する。組立後、軸
線方向にレース１２，１４を分離しようとするい
かなる力も、軸線方向内向き保持肩部４４を保持
リブと係合させて密封リツプ３８を押しつぶすこ
とになる。

したがつて、本発明は、一対の密封リツプのう
ちの一方のリツプが中央円筒形フランジの外壁と
密封係合すると共にそこにある保持リブと協働し
て、レースとは別個のいかなる保持部材も用いる
ことなくこれらのレースを一体の組立体として保
持する一体の密封軸受組立体を提供する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による密封スラスト軸受組立体
の一実施例を示す部分破断正面図、第２図は第１
の２−２線に沿つて矢印方向に見た部分側面横断
面図、第３図は第２図の一部の拡大図である。 〔主要部分の符号の説明〕、１０……軸受組立
体、１２，１４……軸受レース、１６……軸受ボ
ール、１８，２０……軌道面、２２，２４……フ
ランジ、２６，２８……壁、３０……保持溝、３
２……密封面、３４……保持リブ、３６，３８…
…密封リツプ、４０……カバー層、４２……密封
壁、４４……肩部、４６……逃げ部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ それぞれ曲線軌道面１８，２０を形成された
   第１、第２の同心配置軸受レース１２，１４を包
   含し、該軌道面が向い合つた関係にあり、それら
   の間に軸受ボール１６を収容しており、第２軸受
   レースが、第１軸受レース１２と係合して軸受レ
   ースの密封押込みばめロツク相互係合状態を与え
   る第１、第２のエラストマー密封リツプ３６，３
   ８を有する密封スラスト軸受組立体において、第
   １の軸受レース１２がその内縁で軸受組立体の軸
   線方向内方に延びる円筒形フランジ２４を包含
   し、該円筒形フランジが半径方向内向きの内側壁
   ２６と半径方向外向き外側壁２８とを包含し、該
   外側壁が軸受組立体軸線に対して軸線方向かつ半
   径方向内方に傾斜した密封面３２と、該密封面の
   軸線方向内側終端にある半径方向外方に延びた保
   持リブ３４とを有し、第２軸受レース１４が前記
   第１レースと係合する第１のエラストマー密封リ
   ツプ３６と外側壁４２を備える可撓性のある密封
   リツプ３８である前記第２エラストマー密封リツ
   プとを有し、該外側壁４２が前記密封面と同じ方
   向であるが、その密封面の変形していない状態に
   おいて軸受組立体軸線に対してより大きい角度で
   傾斜しておりかつ軸線方向内向きの保持肩部４４
   で終つており、組立時における軸受レースの互い
   に向つての軸線方向相対運動が、第２密封リツプ
   の外側壁４２を保持リブ３４を通過し密封面３２
   と密封係合させるように軸線方向に摺動させたと
   きに第２密封リツプ３８を半径方向外向き、軸線
   方向内向きに撓ませ、保持肩部４４が保持リブに
   隣接した位置に動き、前記軸受レースを分離しよ
   うとするいかなる相対軸線方向運動も保持肩部４
   ４を保持リブ３４と係合させてこれらの軸受レー
   スを一体の組立体として保持するようになつてい
   ることを特徴とする密封スラスト軸受組立体。