JPS6357686B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、流動床炉の流動化方法および装置に
関するもので、とくに、炉底部に空気分散板を設
け、その上に流動媒体を集積して流動層を形成せ
しめ、流動層内に投入された処理物を空気分散板
に設けた多数の分散ノズルから送り込まれる空気
と接触せしめながら流動媒体により加熱して処理
物の熱分解ないし焼却処理を行う流動床炉の流動
化方法および装置に関するものである。

第１図は従来のこの種流動床炉を示し、炉体１
はその炉底部に空気分散板２を設けてその下面に
風箱３を構成せしめる。空気分散板２には多数の
分散ノズル４，４，……が設けられ、空気供給源
としての押込送風機５から送られる燃焼用の空気
を空気分散板２の上面に向つて送給する。６は、
空気分散板２の上面に集積された流動媒体によつ
て形成せしめられる流動層である。７は焼却を要
する固形処理物を炉体１内に投入するための送入
装置で、送入装置７で投入された固形処理物は、
分散ノズル４から送給される空気と接触しなが
ら、混合、撹拌ないし粉砕を繰り返してその間に
流動媒体によつて加熱され、焼却処理が行われ
る。８は燃焼ガスの出口である。

このように使用される流動床炉において、たと
えば固形処理物中に低融点物が多量に含まれてい
る場合、該低融点物は高温燃焼の際に溶融して塊
状物（操作条件で流動化せず、流動媒体と分離し
て沈降するもの）を生ずる。また、不燃性の塊状
物が該固形処理物に最初から含まれている場合が
あるが、上記溶融による塊状物も含めてこれらの
塊状物９は流動層６の中を次第に降下して、分散
ノズル４の先端の高さに該当する平面位置附近に
達すると、その点で降下を停止して、停滞する。
その理由は、分散ノズル４の先端より上方にある
流動媒体は、分散ノズル４から吹き上げる空気に
よつて常に流動の状態にあるため、塊状物９はそ
の間にあつて次第に下方に向つて沈下するが、分
散ノズル４の先端高さに該当する平面位置より下
方にある流動媒体は、空気の吹き上げによる流動
化が起こらず、不動媒体部１０を構成しており、
そのため塊状物９はこの位置附近、すなわち不動
媒体部１０の上面附近に停滞してそれ以上の沈下
現象を起さないことになる。

このことは、流動床炉の処理能力を著しく低下
せしめることになる。すなわち、分散ノズル４の
先端位置附近の面上に塊状物９による堆積層が形
成されると、分散ノズル４からの空気の吹き込み
が阻害され、空気の流れに偏流が生じて流動状態
が悪くなる。したがつて燃焼効率が低下して流動
床炉としての処理物に対する熱分解ないし焼却に
関する効率が低下する。

また、炉体１内の塊状物９が一定量に達する
と、之を適当な手段によつて炉外に取り出さねば
ならないが、塊状物９がこのような位置に停滞し
てその下になお相当量の流動媒体が存在する状態
では、塊状物の排出時に塊状物に帯同して一緒に
排出される流動媒体の量が相当量に達し、きわめ
て不経済である。

本発明は、上記の従来の方法および装置におけ
る欠点を排除しうる流動化方法および装置を提供
することを目的としてなされたもので、その構成
につき実施例を示す図面に基いて以下に具体的に
説明する。

第２図において、１１は、流動層６に向つて開
口する開口位置が比較的高い高位分散ノズルで、
いずれも空気分散板Ａに属して高位分散ノズル群
を構成する。１２は、流動層６に向つて開口する
開口位置が比較的低い低位分散ノズルで、いずれ
も空気分散板Ｂに属して低位分散ノズル群を構成
する。したがつてこの場合、高位分散ノズル１１
はいずれも空気分散板Ｂを貫通して流動層６に開
口せしめられる。図例では、空気分散板Ａが空気
分散板Ｂの下位にあつて、たがいに上下に重なる
関係位置にある例を示すが、空気分散板Ａを空気
分散板Ｂの上位に位置せしめてもよく、そのとき
は低位分散ノズル１２が空気分散板Ａを貫通して
流動層６に開口せしめられることになる。

１３は空気分散板Ａの下面に構成される風箱で
あり、１４は空気分散板Ｂの下面に構成される風
箱で、風箱１３と１４とはそれぞれ独立の状態に
仕切られ、風箱１３は押込送風機５から送られる
燃焼用空気を送給するための配管１５に連結さ
れ、風箱１４は、押込送風機５から送られる燃焼
用空気を、制御弁１６を経て送給される配管１７
に連結される。１８は制御装置で、炉体１内の圧
力と風箱１３の空気圧との差圧（流動層差圧）に
応じて制御弁１６の開閉を関連制御するためのも
のである。

つぎに、このように構成される本発明装置にお
ける作用について説明する。流動層の機能が正常
に働いているとき、すなわち不燃性あるいは溶融
性の塊状物９の堆積が高位分散ノズル１１の開口
位置附近に発生していない状態のときは、流動層
の差圧は設定値を保持しており、そのため制御装
置１８は制御弁１６を閉鎖し、押込送風機５から
送給される燃焼用の空気は配管１５を経て風箱１
３に送給され、風箱１４に対しては空気を送給し
ない、そのときの状態を第３図に示す。この状態
では、図示のように、高位分散ノズル１１の先端
の開口位置と空気分散板Ｂとの間の高さを層の厚
さとする不動媒体部１０が形成される状態が示さ
れ、この状態で炉の運転が続けられると、不動媒
体部１０の上面に堆積する塊状物９の量が次第に
増加して高位分散ノズル１１からの空気の吹き込
みが阻害され、流動層の機能の低下が起つてく
る。塊状物の堆積の影響で流動層の差圧が設定値
をはずれると、制御装置１８が働いて制御弁１６
を開き、押込送風機５からの空気は配管１０に対
しても送給され、低位分散ノズル１２からの空気
の吹き込みが高位分散ノズル１１からの吹き込み
と平行して行われる。第４図はその状態を示す。
この状態では、低位分散ノズル１２からの空気の
吹き込みにより、不動媒体部１０の流動媒体の大
部分が流動状態となり、それにともなつて該部分
の流動媒体と上部位置に堆積していた塊状物９と
の位置の転換が行われて塊状物９はさらに下方に
沈降し、ほとんど空気分散板Ｂの上面附近にまで
沈下する。したがつて、高位分散ノズル１１の開
口位置附近にあつて該ノズルからの空気の吹き込
みを阻害していた塊状物９は取り除かれ、流動層
の機能が回復して正常な燃焼状態に戻り、再び流
動層の差圧が設定値を保持するに至る。その結
果、制御装置１８が働いて制御弁１６が閉じ、風
箱１４に対する空気の送給は停止され、風箱１３
のみに対して空気の送給が行われて炉の運転が継
続される。

以上のように、制御弁１６および制御装置１８
は、低位分散ノズル群に対して断続的に空気を送
給するための手段の一例として示したものである
が、断続的に空気を送給するための手段、ないし
は空気の間欠送給の発信基準の選定の手段は、本
例以外にも種々の手段の適用が考えられる。たと
えば、燃焼ガス中のCOガスの量を検出して行う
手段、または炉内圧力の変動巾の増大を検知し、
もしくは炉内温度の降下または該温度の温度むら
を検知して行う手段などのほか、一定時間を経過
するごとに所定の時間を限つて空気の送給を行う
などの自動式手段、あるいは手動式に切替操作を
行う手段の適用も、もとより可能である。

第５図および第６図は、いずれも本発明装置の
それぞれ異なる他の例を示し、本例では、空気分
散板Ｂを傾斜状態に設置し、空気分散板Ｂの上面
に集積した塊状物９を、該板Ｂの勾配を利用して
炉体１の外部に取り出すようにした例が示され
る。図において、１２′は、傾斜した空気分散板
Ｂに穿設されて低位分散ノズル群を構成するスリ
ツト状の低位分散ノズルで、低位分散ノズル１
２′をこのように構成することにより、空気分散
板Ｂ上の塊状物９と不動媒体部の流動媒体との上
下方向の置換が一層完全に行われ、空気分散板Ｂ
の上面に載置されるのは殆ど塊状物９のみとな
り、ダンパー１９およびダンパー２０を用いてこ
れを塊状物の容器２１に取り出す作業がきわめて
円滑に行われ、しかも、流動媒砂の抜出した非常
に少ないため、熱損失も小さくでき、流動床炉の
長時間連続運転に際しが便利である。なお、本例
の制御装置１８は、高位分散ノズル１１の空気吹
き出しの不良などによつて生じる差圧、すなわち
炉体１内の燃焼ガス圧と風箱１３内の空気圧との
それぞれを検出して、その差圧が設定値を超えた
場合に制御弁１６の開閉を制御するようにされた
方式の制御装置として示される。

本発明方法ならびに装置は以上のように構成さ
れるので、処理物の熱分解ないし焼却の処理過程
中に生じる塊状物を高位分散ノズルの開口位置附
近から遠ざけ、あるいはこれを炉体外部に取り出
すことができ、それによつて流動層を形成する流
動媒体の流動性を流動層の全範囲に亘つて常に良
好に保つことができる。また、炉内に生じた塊状
物を炉外に取り出すとき、塊状物に帯同して一緒
に排出される流動媒体の量を減少せしめることが
でき、流動層の機能の安定化を図つて処理効率を
向上せしめるうえにすぐれた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の流動床炉の断面図、第２図は本
発明にかゝる流動床炉の一実施例の断面図、第３
図および第４図はいずれも第２図の流動床炉にお
ける作用を説明するための要部の断面図、第５図
および第６図はいずれも本発明にかゝる流動床炉
のそれぞれ異なる他の実施例の断面図である。 １…炉体、２，Ａ，Ｂ…空気分散板、３，１
３，１４…風箱、４…分散ノズル、５…押込送風
機、６…流動層、７…送込装置、８…出口、９…
塊状物、１０…不動媒体部、１１…高位分散ノズ
ル、１２，１２′…低位分散ノズル、１５，１７
…配管、１６…制御弁、１８…制御装置、１９，
２０…ダンパー、２１…容器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 炉底部に空気分散板を設け、その上に流動媒
   体を集積して流動層を形成せしめ、流動層内に投
   入された処理物を空気分散板に設けた多数の分散
   ノズルから送り込まれる空気と接触せしめながら
   流動媒体により加熱して処理物の熱分解ないし焼
   却処理を行う流動床炉において、流動層に向つて
   開口する分散ノズルをその開口位置の高さに応じ
   て高位分散ノズル群と低位分散ノズル群との二群
   に分け、それぞれの分散ノズル群を別系統の空気
   供給源にそれぞれ連結し、高位分散ノズル群に対
   する空気の送給は終始継続して行うとともに、低
   位分散ノズル群に対する空気の送給は炉内流動層
   の流動化状態の程度に応じて該流動層の差圧が、
   所定の基準値を越える時にのみ自動的に空気の送
   給を発動せしめることを特徴とする流動床炉の流
   動化方法。 ２ 炉底部に空気分散板を設け、その上に流動媒
   体を集積して流動層を形成せしめ、流動層内に投
   入された処理物を空気分散板に設けた多数の分散
   ノズルから送り込まれる空気と接触せしめながら
   流動媒体により加熱して処理物の熱分解ないし焼
   却処理を行う流動床炉において、上記分散ノズル
   を流動層に向つて開口する分散ノズルの開口位置
   の高さが比較的高い高位分散ノズル群と該高さが
   比較的低い低位分散ノズル群とによつて構成せし
   め、各分散ノズル群はそれぞれ独立の空気供給源
   に接続せしめ、高位分散ノズル群は空気を継続的
   に送給される空気供給源に連結し、低位分散ノズ
   ル群は炉内流動層の流動化状態の程度を検知して
   該流動層の差圧が所定の基準値を越えるときにの
   み管路の途中に設けた制御弁に対して空気の送給
   を自動的に発令する制御装置をそなえる空気送給
   源に連結したことを特徴とする流動床炉の流動化
   装置。