JPS6356282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、金属焼結体の型込め焼結に用いる
焼結用型の製造方法に係り、特に形状が複雑で大
形の金属焼結体の型込め焼結に用いる焼結用型の
製造方法に関する。

焼結金属フイルタの製造に於ては、他の粉末治
金製品の如く金属粉を金型内で圧縮成形するより
は、金属粉を適当な型に入れたままで焼結するル
ースシンタリング（100se sintering）が一般的
に行われている。このような型には、その焼結温
度に耐えること、焼結サイクルの熱衝撃に耐える
こと、焼結する金属粉や焼結雰囲気と化学反応
（例えば金属粉と型との溶着、金属粉の変質ある
いは変色など）を起さぬこと、および安価であつ
て機械加工し易いことが要求される。

従来、これらの要求に適合する型材としては、
比較的緻密なカーボン材とステンレス鋼などが用
いられている。しかしながら、カーボン材は普通
入手できるものが高々30cm角で厚さ８cm程度を限
度とし、それより大きいものは高価でしかも入手
が困難である。また、焼結フイルタの形状は、ス
テンレス鋼を含めたこれらの型材の加工上の制限
から平板、円板、筒形、コツプ形などに限定さ
れ、複雑な形状のものの製造は極めて困難であつ
た。

このような型の形状及び寸法上の制限を解消す
るものとしていくつかの提案がなされている。

例えば、鋳物砂をコパールで硬化させた型は一
部実用化されているが、一般に強度が弱く形状に
よつてはクラツクが入り易い。このため硬化剤の
量を増して強度を高めると、焼結中にコパールか
ら生成するカーボンが焼結体を汚染する。また、
クラツクが入らない場合も、鋳物砂は一般に粗い
ため焼結体の表面が粗くなる欠点がある。

また、耐熱性の石膏で形成した型も提案されて
いるが、この型は歯科金属鋳造など小形の焼結体
の製造には適用することができるが、比較的大形
の金属フイルタの焼結に適用すると耐熱性が悪い
ため焼結処理中に型にクラツクが生じ易い。焼結
中に型にクラツクが入ると未焼結の金属粉が陥没
したり、クラツクが小さい場合には焼結体の表面
に條痕が転写され、その金属焼結体は実用上使用
することができない。

また、型込め焼結ではないが陶器製造に做い金
属粉を含むスラリーを石膏型に流し込む所謂スリ
ツプキヤステイング（slip casting）が一部で実
用されているが、この方法では焼結縮みが大きい
ため焼結体の寸法制御が極めて困難である。

この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので
あり、大形で複雑な形状を有する金属焼結体を容
易に製造することができる焼結用型の製造方法を
見出したものである。

即ち、本発明は、焼結体と同形の模型を枠体内
に設置し、該枠体と前記模型との間に形成された
中空部に石膏スラリーを注入してこれが固化した
後脱型して第１上母型と第１下母型とを作製し、
次いで、該第１上母型と第１下母型の各々を前記
枠体と同形の別の枠体内に設置してこれらと該枠
体との間の中空部に再び石膏スラリーを注入して
これが固化した後脱型して第２上母型と第２下母
型を作製し、該第２上母型と第２下母型の各々を
前記枠体と同形の別の枠体内に設置してこれらと
該枠体との間の中空部にシリマナイト、ジルコ
ン、ムライトからなる珪酸アルミニウムか、ステ
アタイト、フオステライトからなる珪酸マグネシ
ウムあるいはコーデイライトの混合珪酸塩からな
る珪酸塩スラリーを注入し、これが固化したのち
脱型してなる焼結用型の製造方法である。

以下、この発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。

先ず第１図Ａに示す如く、製造する金属焼結体
と同形の模型２を作製し、この模型２を木板その
他の材料で作製された開口部を有する箱形の枠体
３内に、その底部中央部に支持体４を介して設置
する。模型２は木型であつても良いが形状が複雑
になつても可能な石膏型にするのが望ましい。

次いで、模型２の内外面全面に離型剤を薄く塗
布してから、模型２と枠体３との間に形成された
中空部５にその開口部に達するまで石膏スラリー
を流し込む。石膏スラリーとしては、例えば石膏
粉100重量部に水が80重量部程度含有されたもの
を使用する。

流し込み後約１時間で略石膏が硬化すると、上
面に露出する石膏面を平坦に削つてから離型剤を
塗布し、同図Ｂに示す如く枠体３の開口部に外枠
６を継ぎ足し、模型２の内部に継ぎ足された外枠
６の開口部まで石膏スラリーを流し込む。硬化後
上面を平坦化してから外枠３と模型２を取り外し
て石膏製の第１上母型７と第１下母型８とを得
る。

この第１上母型７と第１下母型８とを第２図Ａ
及びＢに示す如く、上記と同様に枠体３内に夫々
設置し、これらの第１母型７，８と枠体３の間に
形成される中空部９，１０内に石膏スラリーを注
入して第２上母型１１と第２下母型１２とを作成
する。

次に、この第２上母型１１と第２下母型１２を
第３図Ａ及びＢに示す如く、夫々枠体３内に設置
するとともに、枠体３と第２上母型１１または第
２下母型１２との間に形成された中空部１３，１
４内に予め離型剤を塗してから珪酸塩スラリーを
注入する。

珪酸塩スラリーとしては、シリマナイト、ジル
コン、ムライトなどの珪酸アルミニウムか、ステ
アタイト、フオステライトなどの珪酸マグネシウ
ムあるいはコーデイライトなどの混合珪酸塩で形
成されたものを使用する。製造する金属焼結体の
焼結温度が高い場合には、珪酸アルミニウムを含
有する珪酸塩スラリーを使用する。また、特に表
面肌の良好な金属焼結体を製造するには、粒度が
少なくとも250メツシユ以上の微粒からなる珪酸
塩スラリーを使用する。また、強度の高い焼結用
型を作製するには、200メツシユ程度の微粒と325
メツシユ以上の微粒とを混合してなる珪酸塩スラ
リーを用いる。また、珪酸塩スラリーは、珪酸塩
100重量部に対して10〜20重量部程度のリン酸ア
ルミニウムからなる硬化剤、及び硬化剤と略等量
の水を含有したものを使用する。

次に、珪酸塩スラリーを注入して約１時間後に
これが硬化すると、その表面を平坦化して枠体３
を取外してからバリを除去する。この後これを室
温で１昼夜静置後70℃以下の温度で重量が一定に
なるまで乾燥して珪酸塩で形成された上型１５、
と下型１６を得る。

このようにして作製した上型１５と下型１６を
組み合わせて第４図に示す如き焼結用型１７を組
立てる。次いで、焼結用型１７の上型１５に形成
された注入孔１８から金属粉を流し込み、振盪機
を使用して充分に詰めてから注入孔１８を別途珪
酸塩で作製しておいた栓で閉じてこれを焼結炉に
移す。焼結処理後上型１５と下型１６を外すと、
例えば第５図Ａ乃至Ｃに示す如く、過面積を増
加させるために側面に五角形状の襞１９を付けた
コツプ形の金属焼結体２０を得ることができる。

このようにして珪酸塩で作製された焼結用型１
７によれば、複雑な形状の金属焼結体２０を容易
に製造することができるとともに、焼結処理中に
焼結用型１７にクラツクが発生するのを防止して
表面肌の良好な金属焼結体２０を得ることができ
る。

以上説明した如く、この発明の焼結用型の製造
方法は、珪酸塩で焼結用型を作製することによ
り、焼結用型にクラツクが発生するのを防止して
表面肌の良好な金属焼結体を容易に製造すること
ができる焼結用型を提供することができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ及びＢは、枠体内に模型を設置した第
１母型を製造する装置の断面図、第２図Ａ及びＢ
は、第２母型を製造する装置の断面図、第３図Ａ
及びＢは、この発明の一実施例の焼結用型を製造
する装置の断面図、第４図は、この発明によつて
製造された焼結用型の一実施例の断面図、第５図
Ａは、第４図に示す焼結用型によつて製造された
金属焼結体の斜視図、同図Ｂは同金属焼結体の平
面図、同図Ｃは、同金属焼結体の断面図である。 ２…模型、３…枠体、５…中空部、７…第１上
母型、８…第１下母型、９，１０，１３，１４…
中空部、１１…第２上母型、１２…第２下母型、
１７…焼結用型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 焼結体と同形の模型を枠体内に設置し、該枠
   体と前記模型との間に形成された中空部に石膏ス
   ラリーを注入してこれが固化した後脱型して第１
   上母型と第１下母型とを作製し、次いで、該第１
   上母型と第１下母型の各々を前記枠体と同形の別
   の枠体内に設置してこれらと該枠体との間の中空
   部に再び石膏スラリーを注入してこれが固化した
   後脱型して第２上母型と第２下母型を作製し、該
   第２上母型と第２下母型の各々を前記枠体と同形
   の別の枠体内に設置してこれらと該枠体との間の
   中空部にシリマナイト、ジルコン、ムライトから
   なる珪酸アルミニウムか、ステアタイト、フオス
   テライトからなる珪酸マグネシウムあるいはコー
   デイライトの混合珪酸塩からなる珪酸塩スラリー
   を注入し、これが固化したのち脱型してなる焼結
   用型の製造方法。