JPS6356070B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、互いに協働する２つのゴム胴の間で
枚葉紙の印刷が行われるようになつていて、第１
のゴム胴に、給紙装置によつて枚葉紙を供給され
るくわえ爪が設けられている形式の、両面印刷用
の枚葉紙オフセツト印刷機に関する。

従来の技術 このような形式の印刷機は例えばドイツ連邦共
和国特許第543116号明細書に基づいて公知であ
る。このような形式の印刷機では、被印刷材の表
面及び裏側への印刷は同時に行われる。この公知
の印刷機においては、くわえ爪等によつて案内さ
れていない枚葉紙後縁部が、本来の印刷区域の前
において一方のゴム胴と接触しないようにしなく
てはならない。なぜならばこの時に枚葉紙後縁部
と前記ゴム胴とが接触すると、このゴム胴に転写
された印像が枚葉紙に印刷汚れを与えてしまうか
らである。従つて公知の印刷機では、どのように
して被印刷材を印刷の前に正確に案内するかが問
題である。

ドイツ連邦共和国特許第341855号明細書にはゴ
ム胴・ゴム胴形式による両面印刷用の巻取り紙輪
転印刷機が記載されている。この印刷機では、被
印刷材は付加的な圧胴によつてまず初め第１のゴ
ム胴に押し付けられ、片側が印刷される。次いで
この被印刷材は、両ゴム胴の間の印刷区域に達
し、ここで第２の印刷が行われる。これによつて
表面と裏面とが印刷されるが、この場合枚葉紙の
下側は実際は２度、つまり、１度目は圧胴と一方
のゴム胴との間で、そして２度目は両ゴム胴の間
で印刷されることになる。しかしこれに対して枚
葉紙輪転印刷機には、巻取り紙輪転印刷機とはま
つたく異なつた問題がある。つまり、枚葉紙輪転
印刷機では巻取り紙輪転印刷機とは異なり枚葉紙
前縁部が案内され、枚葉紙後縁部がひらひらして
いるので、枚葉紙の案内に関連して著しい支出超
過が必要である。

ゴム胴・ゴム胴印刷機における枚葉紙案内の可
能性に関しては種々の明細書において解決策が提
案されている。

例えばドイツ連邦共和国特許第960994号明細書
に基づく装置では、枚葉紙を両ゴム胴の間の印刷
区域にまで導く案内手段が設けられている。さら
に、ゴム胴とは無関係にくわえ爪を各印刷機側壁
の内側に支承する手段が設けられている。この配
置形式では、一方のゴム胴との早すぎる接触を回
避する軌道に沿つて、枚葉紙を確実に案内するこ
とを目的としている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら本発明の出発点となつた公知の枚
葉紙案内は、構造上極めて複雑でかつその製作費
が高いにもかかわらず、ゴム胴・ゴム胴印刷機に
おいて枚葉紙の両側を印刷汚れなしに印刷すると
いう問題を最適に解決しているものではない。

ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の両
面印刷用の枚葉紙オフセツト印刷機を枚葉紙案内
に関して改良して、被印刷材が一方のゴム胴と早
期にかつ制御されずに接触することを確実に回避
することのできる、両面印刷用の枚葉紙オフセツ
ト印刷機を提供することである。

問題点を解決するための手段 この課題を解決するために本発明の構成では、
第１のゴム胴の前に２つの給紙胴が配置されてお
り、閉じられた外周面つまり周方向において胴溝
等によつて中断されていない外周面を有する第２
の給紙胴が、該給紙胴の軸線に対して平行な回転
軸線を備えた偏心軸受けに支承されていて、該偏
心軸受けの回動によつて第１のゴム胴に対する第
２の給紙胴の位置を、両胴の最大接近箇所におけ
る両外周面間の間隔が印刷される枚葉紙の厚さよ
りも幾分大きくなるように調節可能であり、偏心
軸受けの偏心している定点、つまり偏心軸受けの
位置不変の回転軸受がほぼ、第２の給紙胴の軸線
と第１のゴム胴の軸線とを結ぶ仮想の結合線に対
して垂直でかつ第２の給紙胴の直径方向の延びて
いる線上に配置されていて、第２の給紙胴の調節
時に必然的に生じる接線方向の引渡し誤差が最小
値になるような位置を占めており、偏心軸受けの
回動によつてくわえ爪開放カムが、少なくとも２
つの案内ピンによつてサイドスタンドに対する平
行平面で第２の給紙胴の運動と共に同程度移動で
きるように、第２の給紙胴に対して同心的に偏心
軸受けに配置されている。

作 用 次に第１図を参照しながら本発明による枚葉紙
オフセツト印刷機の作用を説明する：給紙パイル
から１枚ずつ供給される枚葉紙９はまず初め第１
の給紙胴３に与えられ、この給紙胴３からさらに
第２の給紙胴４に引き渡される。次いで枚葉紙は
第１のゴム胴２に達するが、この場合第２の給紙
胴４が偏心軸受け５の回動によつて第１のゴム胴
２に対して、両胴２，４の最大接近箇所における
両外周面間の間隔が印刷される枚葉紙９の厚さよ
りも幾分大きく調節されていることに基づいて、
枚葉紙９は第２の給紙胴４と第１のゴム胴２との
間では印刷されることなく第１のゴム胴２になめ
らかに引き渡される。この引渡しの際に枚葉紙は
周知のように第１のゴム胴２に所属の、枚葉紙を
確実かつ正確に固定するくわえ爪機構によつて受
け止められる。これによつて、枚葉紙が印刷区域
において初めてゴム胴と接触するように案内され
る公知の枚葉紙案内形式とは異なり、枚葉紙は印
刷区域の前で既にゴム胴に巻き付けられ、ひいて
は安定した枚葉紙案内が達成される。また第１の
ゴム胴２の前に２つの給紙胴３，４が配置されて
いることによつて、第１のゴム胴２への引渡し前
における正確でかつ静かな枚葉紙案内が達成され
る。それというのはつまり、前縁をくわえ爪によ
つて保持されて給紙胴の周面に沿つて湾曲した状
態で案内される枚葉紙の後縁部範囲は、両給紙胴
３，４の間の接触範囲において可能な限り長く保
持されるからである。この結果極めて安定した状
態で確実に案内された枚葉紙は印刷汚れのおそれ
なしに両ゴム胴２，１１の接触箇所１２（印刷区
域）において印刷される。

実施例 第１図からわかるように、枚葉紙９は給紙パイ
ル１から１枚ずつゴム胴・ゴム胴印刷機に供給さ
れる。この場合、個々の枚葉紙９は給紙装置とし
ての前縁くわえ爪１０によつて第１の給紙胴３に
与えられ、この第１の給紙胴３は枚葉紙９をさら
に第２の給紙胴４に引き渡す。この第２の給紙胴
４から枚葉紙９は第１のゴム胴２に達する。この
ゴム胴２には、枚葉紙９を確実かつ正確に固定し
かつ第２のゴム胴１１と協働するくわえ爪機構が
設けられている。両ゴム胴２，１１の接触箇所１
２で印刷が行われ、この場合それぞれのゴム胴は
他方のゴム胴の圧胴として働いている。両ゴム胴
２，１１の接触箇所１２を通過した後で、枚葉紙
９は第１のゴム胴２から外され、排紙パイル１３
に送られる。

第１の給紙胴３と第１のゴム胴２との間に第２
の給紙胴４を使用することによつて、枚葉紙の印
刷汚れを回避する枚葉紙案内が得られる。この場
合第２の給紙胴４は、枚葉紙がまつたくずらされ
ることなく第１のゴム胴２に引き渡すように、第
１のゴム胴２に対して配置されている。つまり、
第２の給紙胴４と第１のゴム胴２との間では印刷
は行われない。図示の印刷機の機構はその構造に
おいて汎用の印刷機構に相当しているので、詳し
い説明は省く。

第２の給紙胴４と第１のゴム胴２との間の胴間
隙の調節を可能にするために、第２の給紙胴４は
偏心軸受け５を介してゴム胴２に対して移動調節
可能に構成されている。第１のゴム胴２に対する
第２の給紙胴４の調節は印刷される紙の厚さに関
連し、極めて厚いボール紙に対応する範囲まで変
化可能である。

給紙胴４とゴム胴２との間における申し分のな
い枚葉紙引渡しを可能にするために、くわえ爪開
放カム６が第２の給紙胴４に対して同心的に配置
されている。このために偏心軸受け５は、くわえ
爪開放カム６が配置されている範囲に、給紙胴４
の軸線に対して同心的に旋削されたつば１５を有
している。くわえ爪開放カム６を保持しているく
わえ爪開放カム保持体１８は案内ピン７によつて
サイドスタンド８に確実に当て付けられている。

ここで偏心軸受け５を用いた第２の給紙胴４並
びにくわえ爪開放カム６の調節動作について具体
的にのべると、偏心軸受け５を所定の角度だけ回
動させることによつて、偏心軸受け５に支承され
た第２の給紙胴４はこの給紙胴４と偏心軸受け５
との間の偏心率に応じて移動調節させられる。こ
の際に、第２の給紙胴４に対して同心的なつば１
５に支承されたくわえ爪開放カム保持体１８も案
内ピン７によつて案内されてサイドスタンド８に
対する平行平面で給紙胴４の運動と共に同程度移
動する。これによつて、第２の給紙胴４に取り付
けられたくわえ爪装置のカムローラとくわえ爪開
放カム６との間の適正な接触を保つことができ
る。

サイドスタンド８に配置された偏心ピン１６の
ヘツドは、くわえ爪開放カム保持体１８に設けら
れた長孔状の切欠き１７のなかに係合している。
この偏心ピン１６によつてくわえ爪開放カム保持
体１８の移動方向を制御することにより引渡し誤
差は最小に調節される。上に述べたように構成す
ることによつて、給紙胴４の位置とは無関係にく
わえ爪１４を所定の時間に正確に開放及び閉鎖す
ることができる。すなわち、枚葉紙の引渡しの際
に生じる接線方向の誤差は極めて僅かしか生じな
い。さらに補足的に述べると、第１のゴム胴２と
第２の給紙胴４との間の純然たる胴間隔の変化
は、第２の給紙胴４を半径方向で第１のゴム胴２
に向かつて接近運動させることによつて達成され
るが、この場合に不都合な接線方向の運動は回避
されねばならない。この接線方向の運動を回避す
るために、偏心軸受け５の定点つまり不動の回転
軸線をほぼ、第２の給紙胴４と第１のゴム胴２と
を結ぶ仮想の結合線に対して垂直でかつ第２の給
紙胴の直径方向に延びている線上に配置する必要
があることは、当業者にとつて自明なことであ
る。

発明の効果 上に述べたことからわかるように本発明の構成
は公知の装置に比べて様々な利点を有している。
例えば、本来の印刷区域の前における付加的な枚
葉紙案内が必要ないということが挙げられる。こ
の結果故障の原因となる源がもはや存在しないこ
とに基づいて、印刷機の故障が僅かになりかつ操
作も簡単になる。

また、第１のゴム胴の前に２つの給紙胴を配置
したこと、第２の給紙胴を偏心軸受けを介して支
承して、同給紙胴と第１のゴム胴との間の胴間隙
を、印刷される枚葉紙の厚さよりも幾分大きく調
節できること及び偏心軸受け並びにくわえ爪開放
カムの有利な配置形式によつて、枚葉紙を十分に
制御された安定した状態でかつ印刷汚れのおそれ
なしに印刷区域に供給することのできる枚葉紙オ
フセツト印刷機が比較的廉価な製作費で得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は２つのゴム胴間で両面印刷が行われる
両面印刷機の略示図、第２図は一方の給紙胴の支
承部を部分的に破断して示す図、第３図は第２図
に示された給紙胴のためのくわえ爪開放カムを示
す図である。 １……給紙パイル、２，１１……ゴム胴、３，
４……給紙胴、５……偏心軸受け、６……くわえ
爪開放カム、７……案内ピン、８……サイドスタ
ンド、９……枚葉紙、１０……前縁くわえ爪、１
２……接触箇所、１３……排紙パイル、１４……
くわえ爪、１５……つば、１６……偏心ピン、１
７……切欠き、１８……くわえ爪開放カム保持
体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互いに協働する２つのゴム胴の間で枚葉紙の
   印刷が行われるようになつていて、第１のゴム胴
   に、給紙装置によつて枚葉紙を供給されるくわえ
   爪が設けられている、両面印刷用の枚葉紙オフセ
   ツト印刷機において、 (イ) 第１のゴム胴２の前に２つの給紙胴３，４が
   配置されており、 (ロ) 閉じられた外周面を有する第２の給紙胴４
   が、該給紙胴の軸線に対して平行な回転軸線を
   備えた偏心軸受け５に支承されていて、該偏心
   軸受けの回動によつて第１のゴム胴２に対する
   第２の給紙胴４の位置を、両胴２，４の最大接
   近箇所における両外周面間の間隔が印刷される
   枚葉紙の厚さよりも幾分大きくなるように調節
   可能であり、 (ハ) 偏心軸受け５の回転軸線がほぼ、第２の給紙
   胴４の軸線と第１のゴム胴２の軸線とを結ぶ仮
   想の結合線に対して垂直でかつ第２の給紙胴４
   の直径方向に延びている線上に配置されてい
   て、第２の給紙胴４の調節時に必然的に生じる
   接線方向の引渡し誤差が最小値になるような位
   置を占めており、 (ニ) 偏心軸受け５の回動によつてくわえ爪開放カ
   ム６が、少なくとも２つの案内ピン７によつて
   サイドスタンド８に対する平行平面で第２の給
   紙胴４の運動と共に同程度移動できるように、
   第２の給紙胴４に対して同心的に偏心軸受け５
   に配置されている ことを特徴とする、両面印刷用の枚葉紙オフセツ
   ト印刷機。