JPS6350692B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は円筒状基体をベースとする電子写真感
光体を製造するに際し、前記基体上に後述する導
電層等の塗液を連続して能率よく塗布することの
できる装置を提供せんとするものである。

本発明に言う電子写真とは、従来公知の電子写
真プロセスによる複写方式に係るものである。即
ち、最内層から導電層、光導電絶縁層、絶縁層を
円筒状基体上に順次形成せしめた感光体を用い、
まず、その絶縁層表面を電極もしくはコロナ放電
によりあらかじめ正または負に一様に帯電させ、
次に前記被帯電絶縁層表面に複写せんとする原画
像を照射すると同時にこれにコロナ放電を当てて
光照射部分の電荷を減衰せしめ、よつて原画像の
明暗のパターンに従つて生ずる表面電位の差によ
る静電像を前記絶縁層表面上に形成せしめ、さら
に前記静電像を荷電着色粒子を主体とする現像剤
にて可視化した後、紙等の転写材に前記可視像を
内部もしくは外部電界を利用して転写し、これを
熱定着して電子写真像を得るものである。

ところで、上記した電子写真感光体を得るに
は、まずカーボン微粉末を塩ビ―酢ビ系等のバイ
ンダー中に分散し、これを円筒状基体上に塗布し
て導電層となし、次いでCdS・CdSe・ZnO等の
微粉末を無溶剤型でかつ常温で液体の熱硬化性合
成樹脂（例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂）のバインダー中に分散し、これを前記導電層
上に塗布層合して光導電絶縁層となし、さらにそ
の上にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等の合成樹脂塗料の中の一種を選択して塗布
層合して透光性の有機絶縁層となし、電子写真感
光体を完成するものである。

円筒状基体上に、上記した導電層等を塗布する
方法としては、スプレー、ローラーまたは刷子塗
り、フローコーター、デイツピング等の種々の方
法があるが、比較的均一な塗膜が得られるとの理
由で、従来、円筒状基体を塗布液中に浸漬して塗
布液を基体表面に塗着させ硬化させる方法、即ち
デイツピング法（浸漬法）が一般に採用されてい
た。

しかしながら、この方法は円筒状基体を塗布液
中にダイレクトに浸漬する方法であるため、処理
する工程において塗布液中にゴミが混入しやすい
と言つた重大な欠点があり、さらに円筒状基体を
塗布液中より引き揚げる時に同基体の震動及び引
き揚げ速度むらを生じやすいこと、及び長時間処
理することによつて塗布液性能の低下を来たすこ
と等のために、円筒状基体表面に塗布液を均一に
塗布することは困難であつた。その上、塗布液濃
度の変化などを避けるためには比較的多量の塗布
液を必要とした。

デイツピング法のいま一つの欠点は、円筒状基
体の内腔面等の処理すべきでない面にまで塗布液
が塗着することである。よつてこれを防止するた
めに、処理すべきでない面をマスキングシート等
でカバーし処理後これを剥離しなければならない
煩雑さを有するが、この工程が連続した塗布作業
を行なう場合の重大な障害になつていた。

本発明は、円筒状基体をベースとする電子写真
感光体を製造するに際し、比較的均一な塗膜が得
られるものであるデイツピング法の特徴を活か
し、かつ前記した同法の欠点を回避して、高効率
に連続して塗工することのできる装置を提供する
ものである。

即ち、本発明はリング状のゴム弾性塗布弁を下
端に有する円筒状塗工槽と、その下方に位置し円
筒状基体を挾持すべく上記塗工槽と同心に対峙す
る複数のクリツパーと、この複数のクリツパーを
等間隔に支持し円筒状基体を上記塗工槽に下方よ
り挿入すべく左右一対に走行する２条のキヤタビ
ラチエーンを備えたことを特徴とする電子写真感
光体の塗工装置である。

以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。

第１図において、１は金属製円管よりなる塗工
槽で、下端に塗布すべき円管状基体３の外径より
やや小なる円形開孔を持つ、即ちリング状のゴム
弾性の塗布弁２を有する。

表面に塗布すべき円筒状基体３は塗工槽１の下
方より塗工槽１と同心に定速で供給されるが、円
筒状基体３が塗工弁２を押し開いて塗工槽１に挿
入された直後に塗液ノズル４を介して塗液が塗工
槽１中に注入される。この場合、塗液が円筒状基
体３の表面に付着して消費される分量だけ限定的
にかつ継続的に供給されることになるので、従来
のデイツピング法の欠点である塗液中に異物の混
入する機会が全く無く、さらに新鮮な塗液が継続
的に供給されることにより塗液性能の低下するこ
ともまた多量の塗液を必要とすることも全く無く
なるものである。

塗工槽１に円筒状基体３を給送するのは、塗工
槽１の下方に位置し、円筒状基体３を挾持するた
めに、相互に同基体の外径相当の間隔で対峙して
走行する複数のクリツパー５である。このクリツ
パー５は図示する矢印方向に等速で駆動されてい
るそれぞれ別個のキヤタビラチエーン６，６′に
より支持されている。またクリツパー５の円筒状
基体１と相接する面にはゴム弾性物５′が装備さ
れていて、円筒状基体１を確実に挾持するための
配慮がなされている。またクリツパー５の総個数
は、円筒状基体の規定の長さ例えば272mmの間に
２点以上を支持するに足るだけの個数であるもの
とし、これを塗工槽の直下約１ｍの間、塗工槽の
中心線と平行で、かつ円筒状基体３と塗工槽１が
同心になるよう位置決めされている。かくすると
円筒状基体３を塗工槽１と同心の方向から供給す
ることを可能にするものである。

円筒状基体３は塗工槽１内に挿入された後暫時
してクリツパーから解放されるが、その後は後続
の円筒状基体により押し上げられ、さらに塗工槽
１の上方に設けられた吊上機７により保持され
る。この間、塗液中にデイツプされる形で塗工が
行なわれるものである。なお塗膜の厚さは塗液の
濃度またはキヤタビラチエーンの走行速度によつ
て調節されるので、キヤタビラチエーンは速度の
微調整の可能な駆動装置によつて駆動されること
を必要とする。

吊上機７は、図示する如く、円筒状基体の内腔
にフツクを挿入してこれを保持するもので、円筒
状基体の塗工面をいささかも損うものではない。

また、前記した如く、円筒状基体１は塗工槽内
を後続の円筒状基体に押し上げられるものである
故、円筒状基体は連続してクリツパー５に挾持さ
れるものでなければならないが、この給送はクリ
ツパー部の下方に位置する油圧シリンダー８のピ
ストン８′によつて行なわれる。ピストン８の頭
部には円筒状基体の内腔の内径よりやや小なる直
径を有する突起９が設けられている。この突起に
円筒状基体が嵌められ、キヤタビラチエーン６，
６′の走行に追随して補給されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の塗工装置の概略側面図であ
る。 １……塗工槽、２……塗布弁、３……円筒状基
体、４……塗液ノズル、５……クリツパー、５′
……ゴム弾性物、６，６′……キヤタビラチエー
ン、７……吊上機、８……油圧シリンダー、８′
……ピストン、９……突起、１０……ギヤーホイ
ール、１１……駆動モーター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ リング状のゴム弾性塗布弁を下端に有する円
   筒状塗工槽と、その下方に位置し円筒状基体を挾
   持すべく上記塗工槽と同心に対峙する複数のクリ
   ツパーと、この複数のクリツパーを等間隔に支持
   し円筒状基体を上記塗工槽に下方より挿入すべく
   左右一対に走行する２条のキヤタビラチエーンを
   備えたことを特徴とする電子写真感光体の塗工装
   置。