JPS6350083B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ロール組込時に適切な間隙を設定し
てバツクアツプロール軸線とワークロール軸線と
の平行度を維持するとともにワークロール組替時
には間隙を拡げてワークロールアセンブリ、バツ
クアツプロールチヨツクからの抜出し、挿入を容
易にしたワークロールチヨツクとバツクアツプロ
ールチヨツクの間隙調整装置に関するものであ
る。

第１図に示されるように、いわゆるワークロー
ル１を抱き込んだ形のロールクロス圧延機におい
ては、バツクアツプロール２のチヨツク３内にワ
ークロール１およびワークロールチヨツク４等か
ら構成されるワークロールアセンブリが収容され
るが、バツクアツプロールチヨツク３を水平面内
で傾動させるとき、ワークロールチヨツク４も共
に傾動する。また、バツクアツプロール２のウイ
ンド部５とワークロールチヨツク４との間には、
ワークロール１を組替えるため、およびロールチ
ヨツク３，４の熱膨張を考慮してある程度の間隙
が必要である。もしこの間隙が小さすぎるとワー
クロール１の組替えが困難であるし、ロールチヨ
ツク３，４間のライナ６にしばしばかじりまたは
焼付を生ずるとともに、この間隙が大きすぎると
ロールクロス圧延機においてロールクロス角度が
間隙の範囲内で変動し、圧延精度上の問題を生ず
る。また、ロールクロス圧延機以外の従来の圧延
機ではバツクアツプロール軸線とワークロール軸
線とは交差することがあり、ロールの回転によつ
てスラスト荷重が発生してチヨツクランプの変形
またはクランプボルトの切損を生じる等の問題が
ある。

一方、ワークロール１の組替頻度はバツクアツ
プロール２の組替頻度よりもはるかに多く、ま
た、圧延材を咬込む際にワークロールチヨツク４
には直接的に水平方向の荷重が作用するのでチヨ
ツクライナ６の摩耗および損傷がはやく、また、
チヨツクライナ６の厚さは補修や手入れのたび毎
に薄くなつてチヨツク３，４ごとに僅かに異なつ
てくるので、一定の間隙を維持することは難かし
いという問題がある。

本発明は、かかる問題を解決するため、ロール
組込時に適切な間隙を設定してバツクアツプロー
ル軸線とワークロール軸線との平行度を維持する
とともに、ワークロール組替時には間隙を拡げて
ワークロールアセンブリ、バツクアツプロールチ
ヨツクからの抜出し、挿入を容易にしたワークロ
ールチヨツクとバツクアツプロールチヨツクの間
隙調整装置を提供せんとするものであつて、その
要旨とするところは、バツクアツプロールのウイ
ンドフレームにシリンダブロツクを基準となる一
方の前記シリンダブロツクは固定、相対する他方
の前記シリンダブロツクは水平方向へ摺動可能に
それぞれ配置するとともに、前記水平方向に摺動
可能なシリンダブロツクと前記ウインドフレーム
との間に上下方向へ摺動し組立取付けの自由状態
において設定間隔に対応した量だけ突出する間隙
基準の組込まれたウエツジを配置する一方、前記
シリンダブロツクと相対する前記バツクアツプロ
ールのウインドフレームに前記シリンダブロツク
を押圧するワークロール押付シリンダと前記シリ
ンダブロツクおよび前記ウインドフレームを連結
するテンシヨンロツドとを設けたことを特徴とす
る。

以下、図面に示した実施例にもとずいて本発明
に係るワークロールとバツクアツプロールと間隙
調整装置について説明する。

第２図ａは、本発明の間隙調整装置のあるバツ
クアツプロールチヨツクのウインド部の正面部分
断面図、同図ｂはａのＡ―Ａ線矢視断面図、同図
ｃはｂのＢ―Ｂ線矢視断面図であるが、圧延機ハ
ウジング７にはハウジングライナ８が取り付けら
れ、バツクアツプロール２のチヨツク３に取り付
けられたバツクアツプロールチヨツクライナ９と
の間にロールアセンブリの昇降時またはバツクア
ツプロールアセンブリ組替の際のロール軸方向水
平移動時のガイド面を構成している。バツクアツ
プロールチヨツク３のウインドフレーム１０には
ワークロールバランスまたはロールベンデイング
シリンダブロツク１１が装着され、ウインド部５
の外表面にはシリンダブロツクライナ１２が取付
けられている。ワークロール１およびワークロー
ルチヨツク４等で構成されるワークロールアセン
ブリはシリンダブロツクライナ１２間のウインド
部５に装着され、ワークロールチヨツク４に取付
けられたワークロールチヨツクライナ６との間で
ワークロールアセンブリの上下方向の昇降、ロー
ル軸方向への水平移動時のガイド面を構成してい
る。各ガイド面のライナ６，１２間には運動を拘
束しないための間隙を必要とする。

ワークロール１の間隙調整装置はバツクアツプ
ロールチヨツク３のウインドフレーム１０の一方
側、たとえば圧延材の入側のみに取り付けられ、
相対する他の側、たとえば圧延材の出側を固定基
準としてワークロールチヨツク４の幅に対しバツ
クアツプロールチヨツク３のウインド５の幅が調
整される。

シリンダブロツク１１の両側面には第２図ｂに
示されるようにガイド１３を有し、バツクアツプ
ロールチヨツク３のウインド部５の溝に装着され
てシリンダブロツク１１の垂直方向の位置決めを
行うと同時に水平方向に滑動する摺動ガイド面と
なつている。シリンダブロツク１１の裏面は勾配
付に加工される。シリンダブロツク１１とバツク
アツプロールチヨツク３のウインドフレーム１０
との間にはウエツジ１４が挿入されるとともに、
ウエツジ１４の中央部には皿ばね１５を収容する
ケージ１６とばね座１７が装着され、さらにテー
パ座金１８が回り止め位置を合わせてウエツジ１
４の穴に装着されている。ケージ１６の頭部は組
立取付けの自由状態にてウエツジ１４の勾配面よ
りδだけ突出するように皿ばね１５の個数、ばね
座１７の厚さおよびテーパ座金１８の厚さが決め
られ、これが設定間隙の間隙基準となる。

バツクアツプロールチヨツク３のウインドフレ
ーム１０にはウエツジ操作シリンダ１９が組込ま
れ、シリンダ１９のピストンロツド２０はウエツ
ジアーム２１とナツト２２によりねじ止め連結さ
れ、ウエツジ１４は上下方向に移動できるように
なつている。また、シリンダブロツク１１の勾配
面と相対するバツクアツプロールチヨツク３のウ
インドフレーム１０には複数個のワークロール押
付シリンダ２３が取付けられ、そのピストンロツ
ド２４はウエツジ１４に加工された長穴２５を貫
通してシリンダブロツク１１を押すことができ
る。同じウインドフレーム１０には複数個のテン
シヨンロツド２６がウエツジ１４に設けられた長
穴２７を貫通してシリンダブロツク１１にねじ込
み連結され、テンシヨンロツド２６の他端はばね
座２８の間に皿ばね２９をはさんでナツト３０に
よりねじ止めされて、シリンダブロツク１１とバ
ツクアツプロールチヨツク４のウインドフレーム
１０とを連結している。

ワークロールチヨツク４とバツクアツプロール
チヨツク３との間隙調整は、以下に述べる手順に
より行なわれる。すなわち圧延機ハウジング７の
ウインド内にバツクアツプロールアセンブリがあ
り、新ワークロールアセンブリがバツクアツプロ
ールチヨツク３のウインド５内にロール組替装置
等により装着されるが、ワークロールチヨツク４
がクランプされるとワークロール押付シリンダ２
３に液圧が送られ、シリンダブロツク１１を介し
てワークロールチヨツク４が基準側となるシリン
ダブロツク１１のライナ１２の面に押し付けられ
た間隙が０となる。この場合、ワークロール押付
シリンダ２３の押力は、テンシヨンロツド２６の
皿ばね２９の引張力に打ち勝つてワークロールア
センブリを移動させるのに十分な容量に選定され
る。

このときシリンダブロツク１１の勾配面とウエ
ツジ１４の勾配面には目標とする間隙よりも大き
な間隙が生じるが、ウエツジ操作シリンダ１９に
液圧を送つてウエツジ１４を上昇させ、皿ばね１
５のケージ１６の頭が丁度、シリンダブロツク１
１の勾配面と接触する位置でシリンダ１９を停止
し、シリンダ１９への液圧の流入および流出を止
めてその位置が保持されるようにする。その後、
ワークロール押付シリンダ２３に対する押側への
液圧流入を停止し、排出へ切り替えると、シリン
ダブロツク１１は皿ばね２９の張力によりテンシ
ヨンロツド２６を介してシリンダブロツク１１を
ウエツジ１４に引き付け、皿ばね１５のケージ１
６の頭は完全にウエツジ１４内に沈むことにな
る。ここで、前記ウエツジ操作シリンダ１９の押
し出し停止位置におけるケージ１６の先端面、す
なわちシリンダブロツク１１の勾配面との接触面
は、前記のように、ウエツジ１４の勾配面に対し
直角方向にδだけ突出しているから、ケージ１６
の頭が完全にウエツジ１４内に沈むことによつ
て、シリンダブロツク１１のライナ１２とワーク
ロールチヨツク４のライナ６との間には、水平方
向（つまり、圧延材の進行方向）の間隙δ／
cosα（αはウエツジ１４の勾配面が垂直面となす
角度）を生じる。この間隙は、ロールクロス圧延
機では0.2〜0.3mm程度とできるだけ小さいことが
望ましく、従来の圧延機ではそれより大きい数値
0.5〜0.8mm程度が許容される。なお、テンシヨン
ロツド２６の皿ばね２９の張力は、ウエツジ１４
の接触面に生じる摩擦力でウエツジ１４を保持す
る容量に選定される。その後は、ワークロールバ
ランスまたはロールベンデイングシリンダのピス
トンロツドを引込める側に液圧を送つた後、ワー
クロール押付シリンダ２３に液圧を送つてシリン
ダブロツク１１をワークロールチヨツク４に押し
付け、ウエツジ操作シリンダ１９のピストンロツ
ド２０を押し下げてウエツジ１４とシリンダブロ
ツク１１間の間隙を拡げ、ワークロール押付シリ
ンダ２３への液圧の送りを停止すれば、シリンダ
ブロツク１１は拡大した間隙分だけシリンダブロ
ツクライナ１２とワークロールチヨツクライナ６
間に間隙を拡げるので、ワークロールアセンブリ
をバツクアツプロールチヨツク３のウインド５か
ら引出しまたは引入れする作業が容易に行なわれ
る。

以上、図面に示した実施例にもとずいて詳細に
説明したように、本発明に係るワークロールチヨ
ツクとバツクアツプロールチヨツクの間隙調整装
置によれば、ワークロールチヨツクライナとシリ
ンダブロツクライナとの間隙がライナの摩耗に拘
らずある程度一定に維持できるので、ライナを耐
用寿命を延ばすことができる。

第２に、ライナの平面的摩耗には無関係にバツ
クアツプロール軸線の平行度が間隙の範囲内で調
整されるので、ロールクロス圧延機ではゼロクロ
スの設定が容易となつてロールクロス角度に及ぼ
すライナ摩耗の影響がなくなるとともに、従来の
圧延機ではライナ摩耗によるロールクロスが軽減
されるのでスラスト荷重が減り、ワークロール軸
受の耐用寿命の延長およびクランプ装置に与える
スラスト力の軽減を図ることができる。

第３に、ロール組替時においてライナ間の間隙
を拡げることによりライナの損傷が減り、組替作
業のスピードアツプが可能となる。

第４に、駆動側のチヨツクライナの厚さを作業
側のチヨツクライナの厚さよりも薄くし、ロール
アセンブリの駆動側が作業側のウインドを通過す
るときの間隙を広げて組替作業を少しでも容易に
することは従来から行なわれており、これに基因
して駆動側と作業側のチヨツクライナの互換性が
ないという欠点が指摘されていた。しかしなが
ら、本発明装置の採用により、組替時にライナ間
の間隙を拡大することができるのでチヨツクライ
ナの厚さは同一でよく、ライナが互換性を有する
ように統一することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のロールクロス圧延機におけるバ
ツクアツプロールチヨツクウインド部の正面断面
図、第２図は本発明の間隙調整装置のあるロール
クロス圧延機を示し、ａはバツクアツプロールチ
ヨツクウインド部の正面部分断面図、ｂはａのＡ
―Ａ線矢視断面図、ｃはｂのＢ―Ｂ線矢視断面図
である。 図面中、１はワークロール、２はバツクアツプ
ロール、３はバツクアツプロールチヨツク、４は
ワークロールチヨツク、５はウインド部、６はワ
ークロールチヨツクライナ、７はハウジング、８
はハウジングライナ、９はバツクアツプロールチ
ヨツクライナ、１０はウインドフレーム、１１は
シリンダブロツク、１２はシリンダブロツクライ
ナ、１３はガイド、１４はウエツジ、１５および
２９は皿ばね、１６はケージ、１７および２８は
ばね座、１８はテーパ座金、１９はウエツジ操作
シリンダ、２０および２４はピストンロツド、２
１はウエツジアーム、２２および３０はナツト、
２３はワークロール押付シリンダ、２５および２
７は長穴、２６はテンシヨンロツドである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ バツクアツプロールのウインドフレームにシ
   リンダブロツクを基準側となる一方の前記シリン
   ダブロツクは固定、相対する他方の前記シリンダ
   ブロツクは水平方向へ摺動可能にそれぞれ配置す
   るとともに、前記水平方向に摺動可能なシリンダ
   ブロツクと前記ウインドフレームとの間に上下方
   向へ摺動し組立取付けの自由状態において設定間
   隔に対応した量だけ突出する間隙基準の組込まれ
   たウエツジを配置する一方、前記シリンダブロツ
   クと相対する前記バツクアツプロールのウインド
   フレームに前記シリンダブロツクを押圧するワー
   クロール押付シリンダと前記シリンダブロツクお
   よび前記ウインドフレームを連結するテンシヨン
   ロツドとを設けたことを特徴とするワークロール
   チヨツクとバツクアツプロールチヨツクの間隙調
   整装置。