JPS6345856B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は無機顔料用の分散剤に関する。更に詳
しくは、不飽和モノカルボン酸、スルホ基含有モ
ノマー及び不飽和ジカルボン酸の水溶性共重合体
よりなる無機顔料用の分散剤に関する。 一般に塗料は、炭酸カルシウム、酸化チタン、
クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、サチン
ホワイト等の顔料、および各種樹脂から製造され
ており、塗膜の光沢・発色性の点から、塗料中の
顔料粒子の分散性が優れていることが望ましい。 特に、アート紙やコート紙等の塗被加工紙は、
塗被液を高速度のコーテイングマシンで紙面上に
塗布するので、顔料の分散性が悪いと塗被液の見
掛け粘度が増大し、流動性が悪化するので良好な
塗布が難しく、また得られた塗被加工紙の印刷適
性その他の塗被加工紙の性質が悪くなるために目
的を達することができない。分散剤として塗被加
工紙の性質、および経済性の点から少量の添加で
粘度が低下し、しかも高濃度の顔料分散液の調製
が可能なものが望まれる。 また塗被液は、各種の顔料を混合して製造され
るため、顔料の混合時において凝集や増粘などの
不都合な現象が生じないことが必要である。 以上の理由から、塗被液の分散剤として、各種
広範な顔料に対し有効な分散効果を有する分散剤
が望まれている。 従来、この目的の分散剤として、ヘキサメタリ
ン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、ポリアクリル酸
ソーダ等が使用されており、また近年、アクリル
酸とマレイン酸との水溶性共重合体が提案されて
いる（特公昭54−36166号公報）。 しかし、ピロリン酸ソーダやヘキサメタリン酸
ソーダは炭酸カルシウムやサチンホワイト等の顔
料に対して分散効果は十分でなく、しかも得られ
た分散液の粘度の経時安定性が悪く、ポリアクリ
ル酸ソーダは沈降炭酸カルシウム等に対する分散
性が悪いなど満足すべきものではない。また、ア
クリル酸とマレイン酸との水溶性共重合体は貯蔵
安定性に優れているが、分散性の点で必ずしも十
分満足のゆくものではない。 そこで、本発明者らは広範は顔料に対して優れ
た分散性能を有する分散剤を見出すべく鋭意研究
した結果、不飽和モノカルボン酸、スルホ基含有
モノマー、及び不飽和ジカルボン酸からなる水溶
性共重合体が上記の欠点を有さず優れた分散性を
有することを見出し本発明を完成した。 即ち、本発明はａ）アクリル酸およびメタクリ
ル酸からなる群より選ばれる不飽和モノカルボン
酸の１種または２種の混合物70〜95モル％、ｂ）
アリルスルホン酸およびメタリルスルホン酸から
なる群から選ばれるスルホ基含有モノマー２〜10
モル％、及びｃ）マレイン酸、フマール酸および
イタコン酸からなる群より選ばれる不飽和ジカル
ボン酸の１種または２種以上の混合物２〜20モル
％、を反応させて得られる共重合体の塩よりなる
無機顔料用分散剤を提供するものである。 本発明の共重合体は、共重合体の平均分子量が
500〜40000の範囲であればどのような方法で合成
しても特に性能上、大きな差はみられないが、
1000〜20000の範囲のものが特に優れた性能を示
す。合成法としては、例えば次のような方法があ
る。すなわち、不飽和モノカルボン酸、スルホ基
含有モノマー、及び不飽和ジカルボン酸を水媒体
中で過硫酸塩の如き水溶性重合開始剤を用いて重
合せしめ、中和によりアルカリ金属塩又はアンモ
ニウム塩を得る方法である。 本発明において使用されるスルホ基含有モノマ
ーの重合物に係る重合に要するモノマーの配合割
合は極めて特徴的であり、全モノマーに対しモル
％で２〜10モル％である。スルホ基含有モノマー
の配合割合が２モル％未満では効果が不十分であ
り、10モル％をこえるとカラー系での分散効果が
低下する。 また、本発明において用いられる不飽和ジカル
ボン酸の配合割合は、全モノマーに対し２〜20モ
ル％である。不飽和ジカルボン酸が２モル％未満
では沈降炭酸カルシウムに対する分散性が悪くな
り、20モル％をこえるとサチンホワイトやカオリ
ンに対する分散効果が悪くなる。 本発明の共重合体の塩としては、ナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属塩、又はアンモニウ
ム塩が好ましいが、一部アルカリ土類金属の塩と
してもよく、未中和部分を残しておいても良い。 このようにして得られた共重合体の塩よりなる
本発明の分散剤は、塗被加工紙や水系塗料等に使
用されている各種の顔料、例えば炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、クレー、カオリン、ベンガラ、
水酸化アルミニウム、サチンホワイト等に対し、
従来の分散剤に比較して少量の添加量で効果があ
り、しかも流動特性が向上する等のすぐれた分散
性を発揮するものである。 以下に本発明を実施例について具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例 １ 平均粒子径0.08μ、立方体、固形分濃度52重量
％の微粒子沈降炭酸カルシウムのフイルタープレ
ス脱水ケーキに所定量の分散剤と水を加え、25℃
の恒温槽中に一定温度に達するまで（１時間）浸
し、ホモミキサー、TKタイプ（特殊機器(株)製）
で５分間撹拌した後、Ｂ型粘度計、ローターNo.１
でみかけの粘度値を測定した。なお、加える水の
量は炭酸カルシウムの固形分濃度が50.0％になる
ように調整した。分散剤無添加の場合のスラリー
粘度は10000cps以上である。表１に使用した分散
剤の種類及び添加量並びに試験結果を示す。

【表】

【表】 実施例 ２ 所定量の分散剤および水を加え均一溶液としカ
オリン（ウルトラホワイト90ENGELHARD社
製）をその含有量が70重量％となるよう分散剤水
溶液に加えた後ホモミキサー、TKタイプ（特殊
機器(株)製）で５分間撹拌後、Ｂ型粘度計によりみ
かけの粘度値を測定した。 表２に使用した分散剤の種類及び添加量並びに
試験結果を示す。

【表】 実施例 ３ 所定量の分散剤、および水を加えた分散剤水溶
液中にカオリン（ウルトラホワイト90）、炭酸カ
ルシウム（平均粒子径0.15μ）、およびサチンホワ
イト（白石工業製）を以下の配合割合で加え、固
形分濃度57.5重量％の混合スラリーを調製した。 混合物スラリー配合 ウルトラホワイト―90 75（固形重量部） 炭酸カルシウム 15 サチンホワイト 10 分散剤 0.725 分散剤の種類および得られたスラリーの粘度の
結果を表３に示す。

【表】 得られた混合スラリーに以下の配合割合で、で
んぷん水溶液およびスチレン／ブタジエン共重合
ラテツクスを加え、製紙用塗被液（カラー）を調
製した。 カラー配合 ウルトラホワイト―90 75 炭酸カルシウム 15 サチンホワイト 10 酸化でん粉（MS#3800日本食品化工製） 10 ラテツクス（住友化学製SN307） 10 （固形分49％） 得られたカラーの性質を表４に示す。

【表】 得られたカラーを、上質紙の表面にコーテイン
グロツドを用い手塗り後、室温乾燥後スーパーカ
レンダー処理を行ない仕上げた。得られた塗被紙
の諸性質を表５に示す。

【表】 実施例 ４ 本発明試料のアクリル酸：メタリルスルホン
酸：マレイン酸（モル比90：５：５、平均分子量
4000）共重合体ソーダ塩および比較試料のポリア
クリル酸ソーダ（平均分子量3000）を分散剤とし
て使用し、以下に示す配合割合でエマルシヨン塗
料を調製した。 塗料配合 重量部 酢酸ビニル・エチレン樹脂エマルシヨン（ポリ
ゾールEVA Ｐ―5E昭和高分子製） 35.0 メチルセルロース（２％水溶液） 16.0 ジブチルフタレート 2.0 チタンホワイトＲ―550（石原産業製） 20.0 炭酸カルシウム（ホワイトンＰ―10白石工業
製） 20.0 水 6.5〜5.5 分散剤 0.5〜1.5 塗料の調製法としては、分散剤水溶液へ所定量
の水、メチルセルロース水溶液および顔料を加え
た後、Ｔ・ＫオートホモミキサーＭ型にて、
4000rpmで10分間撹拌した後、樹脂エマルシヨ
ン、およびジブチルフタレートを顔料スラリー中
に加え、2000rpmで５分間撹拌により塗料を調製
した。 分散剤の添加量および得られた塗料の粘度の結
果を表６に示す。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ａ）アクリル酸およびメタクリル酸からなる
   群より選ばれる不飽和モノカルボン酸の１種また
   は２種の混合物70〜95モル％、ｂ）アリルスルホ
   ン酸およびメタクリルスルホン酸からなる群から
   選ばれるスルホ基含有モノマー２〜10モル％、及
   びｃ）マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸
   からなる群より選ばれる不飽和ジカルボン酸の１
   種または２種以上の混合物２〜20モル％、を反応
   させて得られる共重合体の塩よりなる無機顔料用
   分散剤。 ２ 共重合体の平均分子量が500〜40000である特
   許請求の範囲第１項記載の分散剤。 ３ 共重合体の塩が、アルカリ金属塩又はアンモ
   ニウム塩である特許請求の範囲第１項又は第２項
   記載の分散剤。