JPS6345118B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は演奏中に弦の張力を一時的に徐々に弱
め又は強めてトレモロをかけるギター用トレモロ
機構に関し、詳しくは弦を支持するブリツジピー
スと弦の表甲側端部を係止する係止部との間に設
けられる弦の張力可変装置の弾性回転軸の構造、
弦の位置固定用のブリツジローラを軸支するブリ
ツジピースの構造、及び前記張力可変装置に取付
けるトレモロアームの取付装置の構造に関する。

（本発明が解決しようとする問題点） 本発明は弦の張力可変装置の弾性回転軸として
弾性限界の著しく大きな捻りバネを提供し、弦の
位置固定用のブリツジローラを軸支してその円滑
な回転を維持できるブリツジピースを提供し、及
びトレモロアームを簡易な締付機構により強固に
取付でき、或はその締付力を簡単に調整できるト
レモロアームの取付装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明はギターの頭部と胴部表甲との間に張ら
れた各弦を支持するブリツジピースと各弦の表甲
側端部を係止する係止部との間に、外周に適数条
の螺旋状の溝を刻設したトーシヨンバーの弾性力
に抗してトレモロアームを押動又は引上げること
によつて前記トーシヨンバーを中心に回転して前
記弦の張力を変化させる張力可変装置を設けるギ
ター用トレモロ機構にある。

（実施例） 次に、本発明の第１実施例の構成を図面によつ
て説明する。

電気ギター１の胴部表甲２には前後各プレート
部３，４とともに一体形成された左右各フレーム
部５，６がネジ７で取付けられ、前プレート３部
にはブリツジジヨイント８上に取付けられたテン
シヨンブラケツト９を介して各弦１０別テンシヨ
ンローラ１１が軸１２を中心にして回転自在に取
付けられている他、ブラツジジヨイント８にはブ
リツジピース１３がピン１４に結合されている。
ブリツジピース１３は第６図、第７図に図示する
ように弦１０を通す溝を周設した各弦別ブリツジ
ローラ１５を軸支するためのものであり、該ブリ
ツジピース１３より１対の対称形状のサポート１
６を一定間隔を隔てて突設し、該サポート１６の
一方には段付穴１７を、他方にはネジ穴１８をそ
れぞれ同一軸線上に貫設している。そして１対の
サポート１６，１６間にブリツジローラ１５及び
その両側面に１対のプラスチツク製のワツシヤ１
９を狭入し、先端部に雄ネジを形成した軸２０を
一方のサポート１６より１対のワツシヤ１９、ブ
リツジローラ１５を挿通して他方のサポート１６
に螺入し、締付けている。

又、１対のサポート１６，１６の基部間にはブ
リツジピース１３の基部方向へ向け割込溝２１を
設けてサポート１６間の距離が拡縮できるように
成し、一方割込溝２１の一側壁面より他側壁面方
向へ任意の突出量のストツパ２２を突設してい
る。そして各ブリツジピース１３はネジ２３によ
り上下位置調節可能かつブリツジジヨイント８を
前後（第４図左右方向）させてのネジ２４の締付
けによつて前後位置調節可能に取付けられてい
る。

一方、第５図に示すように、左右フレーム部
５，６間には右フレーム部６に一端を回転可能に
支持させた筒状のメインロータ２５を貫通した捩
れバネ兼用回転軸、以後略称のバネ軸２６が、そ
の一端がカムプレート２７を介して左フレーム部
５に支持され、その他端がメインロータ２５に図
示省略ピンで一体に結合された状態で取付けられ
ている。

そして前記バネ軸２６は第６図に示すようにト
ーシヨンバーの外周に１条もしくは２条以上の螺
旋状の溝２８を刻設して、同長、同径の単なるト
ーシヨンバーに比し弾性限界を大きくしたものを
用いている。

次に前記メインロータ２５には弦１０を圧接さ
せるベンド調節片２９がピン３０を中心にして回
転可能かつネジ３１によつて各弦１０別にバネ軸
２６の軸中心から弦１０との圧接面３２までの距
離を調節可能に取付けられ、かつ、ベンド調節片
２９の弦１０との圧接面はメインロータ２５の第
４図反時計方向回転によつてバネ軸２６中心から
弦１０圧接位置までの圧接距離が任意の変化率で
徐々に小さくなるように例えば任意のオーバル曲
線で形成されている。

このようにベンド調節片２９を取付けたメイン
ロータ２５にはフアインチユーナフレーム３３が
ネジ３４を介して一体に取付けられ、該フアイン
チユーナフレーム３３にはバネ軸２６の付勢力に
抗してメインロータ２５を第４図反時計方向に回
転させるトレモロアーム３５が取付けられてい
る。

しかしてトレモロアーム３５はその下端部に雄
ネジ３６を刻設すると共に、トレモロアーム３５
より僅か大なる内径に形成して下半部に雄ネジ３
７を刻設したスリーブ３８と断面Ｃ字状に一方向
を開裂させると共に外周下部に下方に向かい次第
に縮径する締付用のテーパ面３９を形成して前記
スリーブ３８の下端面に当接されるブツシユ４０
を嵌装し、一方トレモロアーム３５を取付けるべ
くフアインチユーナフレーム３３に形成した取付
孔４１には前記スリーブ３８の雄ネジ３７、ブツ
シユ４０のテーパ面３９、トレモロアーム３５の
雄ネジ３６にそれぞれ対応する雌ネジ４２、テー
パ面４３、雌ネジ４４を形成している。

次に各弦１０の端部に取付けられたボビン状エ
ンドピース４５を円錐状のピース受４６に支持さ
せた状態で係止位置を前後方向に調節可能なフア
インチユーナ装置４７、即ち、ピース受け４６を
形成しかつピン４８を中心にして回転可能な各弦
１０別チユーナアーム４９先端にピン５０で連節
したチユーナロツド５１に取付けられたチユーナ
ナツト５２を左右に回すことによつて前後係止位
置を変化させて各弦１０のテンシヨンを調節する
フアインチユーナ装置４７が取付けられている。

なお、この場合、第１１図に示すように、弦１
０端部のボビン状エンドピース４５を支持するピ
ース受け４６を円錐状に形成したことにより、ピ
ース受け４６内におけるエンドピース４５の姿勢
が縦横斜めの任意の姿勢になつても、チユーニン
グ後の弦１０のテンシヨンを一定かつ弦１０を円
錐の中心に位置させることができ、これによつて
エンドピース４５の姿勢が変化したときに弦１０
が上下左右の任意方向に変位して例えばチユーナ
アーム４９に当接して弦１０が切れるという不具
合がなくなる他、特に、演奏時のトレモロ使用に
よる弦１０のテンシヨン変化によつてエンドピー
ス４５の姿勢が変化し易く、その場合において安
定したチユーニング状態を保持することができる
効果がある。

なお、５３はフアインチユーナ装置４７上面の
フアインチユーナカバーである。

次に、本実施例の作用について説明する。

このように構成されたトレモロ機構５４におい
て、各弦１０別ベンド調節片２９の弦１０との圧
接面３２は、トレモロアーム３５によるメインロ
ータ２５の回転によつてメインロータ２５の回転
中心から圧接面３２までの距離変化（第１２図の
Ｓ１）が、例えば第１弦１０−１の方を大きく、
第６弦１０−６の方を小さく、しかも変化率を係
止位置の変化量（第１２図のＳ２）と合わせて各
弦１０がそろつて音階の１度ずつ変化する任意の
オーバル曲線等にすることができ、この場合、ト
レモロを和音で変化させることができ、又、圧接
位置或は圧接面３２のカーブを任意に形成するこ
とによつて、トレモロアーム３５の押動角度によ
るトレモロの効果が角度位置によつて異なるよう
にすることもできる。

又、トレモロアーム３５の基部はスリーブ３８
の締付により取付孔４１のテーパ面４３に沿つて
押下げられたブツシユ４０のテーパ面３９が締付
効果により強固に締付けるので強力に締着される
と共にかかる締着操作はスリーブ３８を回すだけ
で演奏中でも簡単になされ、しかもスリーブ３８
の締付けの強弱によりトレモロアーム３５とメイ
ンロータ２５の遊びを調節して個人の好みに合わ
せたブレーキの強弱を調整できる。

又、トレモロアーム３５をフアインチユーナフ
レーム３３の左右対称位置のネジ孔５５に取付け
ることによつて容易に左利き用にすることがで
き、又バネ軸２６をトーシヨンバーの外周に適数
条の螺旋状の溝２８を刻設したものを用いたの
で、バネ軸２６に回転力を加えたとき応力は螺旋
と並行方向となつて同方向の引張り応力に近くな
り、従つてバネ軸２６の弾性限界を著しく大きく
できる。

次にフアインチユーナ装置４７はフアインチユ
ーナフレーム３３に取付けずに後プレート部４に
独立して取付けることができ、この場合、トレモ
ロアーム５６押動による各弦１０別変化を一層大
きくとることができる。

又、ブリツジピース１３のブリツジローラ１５
は軸２０の締付けにより１対のサポート16間でワ
ツシヤ１９を介して良好に固定でき、一方ストツ
パ２２により過剰な締付けを防止でき、かかる点
よりブリツジローラ１５の遊びをなくしてその円
滑な回転を確保できる。

次に本発明の第２実施例の構成及び作用につい
て説明する。

本実施例においては、前記ベンド調節片２９に
代え、第１３図〜第１６図に示すようにピン３０
に取付けたレバー状のレール５６を取付けてい
る。該レール５６は短手方向中央部を谷状に凹設
した断面路〓状に成り、該レール５６に案内され
てその上を摺動するローラキヤリア５７を嵌め合
せている。ローラキヤリア５７は前記レール５６
に対応して略〓状の断面形状に成り、レール５６
との摺接部に左右１対の締着用のネジ５８，５８
を取付けて、該ネジ５８を緩めると、ローラキヤ
リア５７がレール５６上を摺動でき、ネジ５８を
締付けるとローラキヤリア５７がレール５６上の
任意の位置に止着されるようにしている。

又、第１５図に示すように前記ネジ５８，５８
のうちいずれか一方を回動軸５９に軸支されたピ
ニオンギヤ６０に代え、これをレール５６に対応
形成されたラツク６１に噛み合せて、ピニオンギ
ヤ６０の回動操作によりローラキヤリア５７の止
着位置を微調整できるようにしてもよい。

次にローラキヤリア５７の中央の谷間部には弦
１０に圧接されるローラ６２を軸支する軸６３を
渉設し、かつローラ６２の接触を防ぐためローラ
キヤリア５７の中央底面部には溝６４を切欠形成
している。又、６５はローラ６２の両側に狭入さ
れてローラ６２を円滑に回転させるプラスチツク
製のワツシヤである。

以上の点より、ローラ６２の固定位置は、メイ
ンロータ２５の軸心に対し任意の位置に変位させ
ることができ、従つてトレモロアームによるメイ
ンロータの回転時においてローラ６２に圧接され
る弦の張力変化率を任意に変化させることができ
る。

（発明の効果） 本発明はギターの弦の張力可変装置におけるバ
ネ軸の弾性限界が大となつてトレモロアームの操
作を容易にすると共にトレモロアームの基部を強
固に締着して演奏中におけるアームの位置を安定
させると共にその締着力の調節によりトレモロア
ームの位置規制用ブレーキ力を個人の好みに応じ
て任意に、しかも演奏中でも簡単に調整でき、又
ブリツジローラの円滑な回転を確保してビリ音の
発生を防ぐことができる効果がある。

又、本発明の第２実施例は弦に圧接されるロー
ラを止着するレバー状のレールのレバーアクシヨ
ンにより弦の張力を変化させて各弦の線径、伸
率、材質等の変化或は演奏者の好み等に対応し適
切なトレモロ効果を得ることができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例全体の正面図、第２
図はそのトレモロ機構の斜視図、第３図はその要
部側面図、第４図はその要部破断側面図、第５図
はその要部正面図、第６図はバネ軸の斜視図及び
その要部の断面を示す拡大図、第７図はブリツジ
ピース部分の分解斜視図、第８図はその要部縦断
面図、第９図はトレモロアームの締付装置を示す
分解斜視図、第１０図はその中央縦断面図、第１
１図はトレモロ機構の要部説明図、第１２図はそ
の動作説明図、第１３図は本発明の第２実施例の
要部を示す図、第１４図はその要部断面図、第１
５図は更に他一方の実施例の要部を示す図、第１
６図はその平面図である。 １……電気ギター、２……胴部表甲、１３……
ブリツジピース、１５……ブリツジローラ、１９
……ワツシヤ、２１……割込溝、２２……ストツ
パ、２５……メインロータ、２６……バネ軸、３
５……トレモロアーム、３８……スリーブ、４０
……ブツシユ、５４……トレモロ機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ギターの頭部と胴部表甲との間に張られた各
   弦を支持するブリツジピースと各弦の表甲側端部
   を係止する係止部との間に、外周に適数条の螺旋
   状の溝を刻設したトーシヨンバーの弾性力に抗し
   てトレモロアームを少なくとも押動させることに
   よつて前記トーシヨンバーを中心に回転して前記
   弦の張力を変化させる張力可変装置を設けること
   を特徴とするギター用トレモロ機構。 ２ ブリツジピースにはブリツジローラを軸支す
   る螺子にて締着さるべき１対のサポートを突設
   し、該１対のサポートの基部間にはサポートに弾
   性を与える割込溝を設けて前記ブリツジローラの
   両側面にはブリツジローラの回転を円滑にするワ
   ツシヤを挟入させたことを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載のギター用トレモロ機構。 ３ 張力可変装置に取付けるべきトレモロアーム
   の基部には、雄ネジを刻設したスリーブと、断面
   Ｃ字状に成ると共に外周に締付用のテーパ面を形
   成して前記スリーブの下端面に当接されるブツシ
   ユとを嵌装し、又トレモロアームの取付孔には前
   記スリーブの雄ネジ、ブツシユテーパ面にそれぞ
   れ対応する雌ネジ、テーパ面を形成したことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載のギター用
   トレモロ機構。 ４ トーシヨンバーと共に回転するメインロータ
   に一体に取付けたレバー状のレールに沿つて摺動
   しかつレールの任意部位に締着できるようにした
   ローラキヤリアにて弦に圧接されるローラを軸支
   し、メインロータの回転に基づくローラキヤリア
   の回転及びそのレール上の締着部位の調整により
   ローラの位置をメインロータの軸心に対し任意の
   位置に変位させることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載のギター用トレモロ機構。