JPS6344629B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、容器から液体製品を小出しにするた
めの入れ子式で自動通気形又は自動通気形の注ぎ
口に関する。

液体小出し用注ぎ口に自動通気装置を組込むこ
とは、サージ即ち液体が不十分な通気のために滑
らかに流れず、変動し、噴出し、不均一に流出す
ることなしになめらかに注ぎ繰作を行なう望まし
い補助手段として長い間認められてきた。工業サ
イズのバケツや缶で普通用いられている或るタイ
プの注ぎ口は可撓性壁部分を有する折畳み式であ
り、この壁部分により、注ぎ口をコンパクトな格
納状態即ち入れ子状態から完全に突出した注ぎ位
置まで持上げることができる。これら従来の注ぎ
口にはたいてい容器の内外を自動的に通気させる
自動通気装置を組込んであり、これにより、容器
の頭部に完全に分離した価格の高い通気装置を設
ける必要がない。一般には、この通気装置は細長
い管状部材からなり、その下端に周方向外向きの
フランジが設けてある。注ぎ口が入れ子位置即ち
格納位置にある場合、通気部材の上部は注ぎ口内
部に取付けてあり、通気装置の主要部分が注ぎ口
を越えて軸線方向に容器内に延びている。可撓性
注ぎ口をその注ぎ位置に持上げたとき、通気部材
は軸線方向に変位し、通気用フランジが注ぎ口底
に接近して隣接し、それらの間に一連の空気入口
通路を与える。

上記従来の通気装置は、その意図した通気機能
を適切に果すけれども、本発明が解決すべき或る
種の構造上の欠陥を持つている。そのうちでも重
要なのが、従来の管状通気装置を組込むことによ
つて、折畳み式あるいは入れ子式の蓋全体を軸線
方向又は長手方向にかなり大きくしなければなら
ないということである。たとえば、バケツ製造業
者間では、バケツ本体と別体の蓋を備えるように
頭部を仕上げ、バケツ本体を互いに入れ子の状態
に重ねて輸送費を低減することは普通である。バ
ケツの蓋を重ねるのも普通であるが、自動通気装
置を備えると、蓋の長手方向の輪郭が倍となるの
で、実質的に蓋を重ねるのは不可能である。実
際、従来の自動通気装置によりかなり嵩が大きく
なるので、蓋そのものの輸送も高くつくことにな
る。

この従来例にはさらに欠点があり、製造中に注
ぎ口内部に通気用管状部材をしつかりと取付けな
ければならないのである。これは、通常、ヒート
シール作業で行なつているが、これはコスト高の
原因となつているばかりでなく、輸送、取扱いの
ときに外れないようにかなり強固なヒートシール
を行なわなければならないのである。また、通気
式の蓋を充填したバケツに取付けたときに、流体
の機械的なはねかけ作用（sloshing action）に
よつて通気装置が注ぎ口から外れやすくなるので
ある。充填した流体による化学的な侵食でも注ぎ
口と通気装置との間のヒートシール結合部に大き
な応力を与える可能性がある。

さらに別の欠点として、上記シートシール結合
に関連して、注ぎ口は注ぎ位置まで引き出された
り、貯蔵位置に押し込まれたりし、しかもこれが
繰り返されるので、この時ヒートシール結合部を
含む壁部分は大きく撓まされ、それによつて注ぎ
口が通気装置から分離するおそれがあることがあ
げられる。

従つて、本発明の目的は、上記従来例における
問題点を解消すること、即ち、注ぎ口組立体が長
手方向にかさばらず、注ぎ口と通気装置とが少々
のことでは分離することがなく、このことは注ぎ
口が繰り返し貯蔵位置と注流位置との間でたわみ
変形されても維持されるように改良された入れ子
式自動通気装置を提供することにある。

このような注ぎ口は、特許請求の範囲第１項に
記載の如く構成される。より具体的には、注ぎ口
は密封チヤンネルを有し、このチヤンネルにより
金属かしめリングによつて注ぎ口がバケツト開口
ネツクに強固に取付けられる。注ぎ口と重なつた
通気部材は周方向のリツプを有し、このリツプに
よつてかしめリングの作用の下に通気部材が密封
チヤンネルに機械的に固着される。通気部材は、
その周囲から空気が侵入するのを許すと共に、注
ぎ口がその突出注ぎ位置にあるときに中央を通つ
て液体が流れ得るようにした形状となつている。
入れ子になつた注ぎ口の形状にぴつたりと一致
し、全体の垂直輪郭をほとんど大きくしない簡単
な自動通気装置を用いることによつて、上記の制
御された液体の流れを得ることができる。さら
に、この自動通気装置を容器開口部に機械的に取
付けるのに金属製のかしめリングを用いることに
より、通気装置に損傷を与えることがなく、その
後の使用状態でも通気装置が外れることはない。
この注ぎ口は、また、その開口部を塞ぐ、手で取
外せる密封膜と、この密封膜を取外したときに開
口部を再閉鎖する再閉鎖キヤツプとを有する。

以下、本発明の実施例を図面をもとに説明す
る。概略的に言うと、本発明による自動通気注ぎ
口組立体は入れ子式のプラスチツク製注ぎ口１
と、金属製かしめリング２と、ブラスチツク製オ
ーバーキヤツプ３と、自動通気装置４とを包含す
る。

一層詳しく言えば、格納位置即ち入れ子位置に
ある注ぎ口１は、その基部に周方向のさかさにな
つた密封チヤンネルを有し、この密封チヤンネル
は短い外壁６と、頂壁７と、細長い内壁８とから
なる。チヤンネルの内壁８の下端からは比較的可
撓性の外壁９が比較的剛性の直立注ぎ口ネツク１
０の下端まで延びている。注ぎ口ネツク１０はら
せん状の外ねじ１１を有する。この外ねじのすぐ
上で、注ぎ口ネツク１０は、引裂き区域１３で囲
まれた密封部材１２によつて閉鎖されている。こ
の密封部材１２のすぐ上方には、指でつかめるよ
うなリング引手１４が水平状態に設けてあり、こ
の引手は連結ネツク１５によつて引裂き区域１３
に隣接した密封部材の周縁に一体に結合してあ
る。密封部材とリング引手との間の垂直方向の間
隙は、リング引手の垂直横断面厚さよりも小さ
い。

金属製のかしめリング２は逆チヤンネル形状の
横断面を有し、内側に巻込んだ下縁で終端する細
長い周壁１６と、頂壁１７と、最下方内側巻込部
で終端する短い内壁１８とからなる。かしめリン
グ２は注ぎ口密封チヤンネル上に横たわり、その
内方に当該チヤンネルを封じこめる。

再閉鎖可能なオーバーキヤツプ３は一対のヒン
ジ止めされた持上げ取手２０で囲まれた周方向に
拡大した頂壁１９を有し、この取手は最初の格納
位置でかしめリング２に重なつている。リングの
内壁１８の頂周縁から円筒形のスカート２１が垂
れ下り、このスカートはリングの内壁１８の巻込
下縁の下に係合して相互錠止している。キヤツプ
の頂部からは内ねじ付き円筒形側壁２２が垂れ下
つており、内ねじが注ぎ口ネツク１０の外ねじ１
１と螺合している。側壁の内側に設けられ下向き
に開いた環状の溝２３内に注ぎ口ネツクの最上端
を着座させることにより、完全な螺合及び、その
後の再閉鎖が行なわれる。注ぎ口１、かしめリン
グ２およびキヤツプ３を上記のように組立て取吸
うことにより、輸送、保管に有効でしつかりしか
つコンパクトな蓋構造体を得ることができる。

ほぼカツプ状の自動通気装置４がこの組立体の
一部を構成している。この自動通気装置は環状の
底壁２４と、周方向のリツプ２６で終端する直立
した外側の側壁２５とを包含する。通気装置の側
壁２５の上端付近の環状区域に一連の空気入口ス
ロツト２７が形成してある。側壁２５の上端に
は、リツプ２６とスロツト２７の間で短い円筒形
のバンド２８が設けてある。通気装置の底壁２４
の中心部は開いており、それにより直立した内壁
２９の囲む液体出口通路が形成されている。底壁
２４には小さいドレン孔３０が設けてある。

先に述べた蓋組立体を自動通気装置に適用する
には、蓋組立体を通気装置４に挿入し、通気装置
の外壁２５と内壁２９により形成されている環状
ポケツトに注ぎ口ネツク１０と可撓性の外壁９と
をぴつたりと閉じ込めるだけでよい。通気装置の
内外両壁には上向きにテーパが付けてあり、組立
てを助けるようになつている。通気装置および注
ぎ口は相互に圧縮されるので、通気装置の外壁２
５の上端にある円筒形バンド２８は、注ぎ口密封
チヤンネルの内壁８を緊密に囲む。通気装置のリ
ツプ２６が密封チヤンネルの頂壁７の上面と接触
すると、通気装置のバンド２８と内壁８とがしつ
かりと摩擦嵌合する。組立作業完了時にも、流体
出口通路を囲む通気装置の内壁２９の最上端は注
ぎ口の密封部材１２のすぐ下にある。第１図でわ
かるように完成した自動通気注ぎ口組立体はコン
パクトなユニツトであり、コスト高の原因となる
接合組立作業を必要としない。また蓋の全輪郭の
変化が非常に小さいので、その後の取扱い、包装
作業、保管が経済的であり、なんらの問題もな
い。

自動通気注ぎ口組立体の使用方法は第３図でわ
かる。注ぎ口の密封チヤンネルが容器の開口部に
位置したとき、通気装置のリツプ２６は開口部ネ
ツト３１と密封チヤンネルの頂壁７の間で緊密に
圧縮される。その結果、機械的な相互錠止作用が
与えられて、通気装置が外れるのが実質的に不可
能となる。この配置は、収容された流体のはねか
け作用によつて生じる損傷力に対抗する際に非常
に望ましいことがわかつた。さらに、充填されて
いる炭化水素によつて合成プラスチツク部品に与
えられる従来の有害な膨潤作用も生じない。

この注ぎ口を用いるべく蓋の準備を行なうに
は、オーバーキヤツプ３にある大きな把持取手２
０を使つて可撓性の内壁９を引出し、直立した注
ぎ位置へと配置を逆にする。オーバーキヤツプ３
を外して、すぐに近づくことのできるリング引手
１４によつて密封部材１２を引裂くと、容器は小
出しの準備が整つたことになる。通気装置中央通
気内壁２９を通つて急速に排出される液体は、大
気圧空気が注ぎ口の頂内面に沿つて移動し、空気
入口スロツト２７を通ることによつて瞬時に変位
する。リング引手１４のための間隙だけを残して
密封部材１２をできるだけ注ぎ口開口部に近いと
ころに配置したことによつて、流体通路用内壁２
９の最大限の突出を可能とする。内壁２９が少な
くとも空気入口スリツト２７の水平面に達したと
き、流出液体と侵入空気の充分な分離が行なわ
れ、満足できる通気作用を得ることができる。

なお、本発明の注ぎ口組立体の種々の他の変更
や修正および異なつた実施例が当業者にとつて明
らかであろうし、それは発明の精神あるいは範囲
から逸脱することなく行なわれ得る。したがつ
て、先の説明に含まれる、または添付図面に示し
た事項のすべては例証的なものと解釈すべきであ
り、限定の意味はないことは了解されたい。

以上述べてきたように、本発明によれば制御不
能なサージ（脈動）を生ずることなく液体製品の
小出しを迅速かつ正確に行なうことができる。ま
た、注ぎ口が入れ子位置にあるとき、注ぎ口と通
気装置とは輪郭が一致して互いに重ね合わされた
状態となるので、嵩（特に長手方向）の嵩が大き
くなることはなく、これは、注ぎ口組立体を重ね
るうえで非常に有利である。さらに通気装置は金
属製のかしめリングによつて注ぎ口に固定されて
いるので少々のことでは外れることがなく、注ぎ
口が繰り返し貯蔵位置と注流位置との間でたわみ
変形されても、上記理由により注ぎ口が通気装置
から分離することもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による自動通気装置を持つ入れ
子式注ぎ口の部分断面正面図である。第２図は注
ぎ口蓋とそれと別に取付けた自動通気装置の展開
斜視図である。第３図は注ぎ口組立体を容器壁開
口部にかしめた後の突出した注ぎ位置で示す断面
図である。第３ａ図は第３図に示す注ぎ口容器壁
結合部の拡大断片断面図である。第４図は自動通
気装置の頂面図である。 〔主要部分の符号の説明〕、１……注ぎ口、２
……かしめリング、３……オーバーキヤツプ、４
……自動通気装置、１０……注ぎ口ネツク、１２
……密封膜、１３……引裂き区域、１４……リン
グ引手。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ その一端に周方向に配置された環状の密封チ
   ヤンネル６，７，８を有する、一体成形されたプ
   ラスチツク製で入れ子形の注ぎ口１と、前記密封
   チヤンネルから下方に延びる比較的可撓性の外壁
   ９と、該外壁の再下端に連絡してあり、前記注ぎ
   口が格納位置にある時前記外壁に入れ子式に嵌め
   込まれ、かつ最上端の自由端で終端する比較的剛
   性の内壁１０と、蓋内壁上に形成されたキヤツプ
   係合手段１１と、前記内壁を閉ざしている密封膜
   １２と、前記密封チヤンネルの上に横たわり、前
   記注ぎ口を容器に固定する金属製で環状のかしめ
   リング２と、頂壁１９及び前記注ぎ口と係合する
   垂下スカート２１を有する一体成形されたプラス
   チツク製のキヤツプ３とを有する入れ子式注ぎ口
   において、 流体が容器から流出するのを防止するととも
   に、外気を容器内部に自動的に通気する自動通気
   装置４が設けてあり、該自動通気装置は前記注ぎ
   口が格納位置にある時、前記外壁に少なくとも部
   分的に密封してこれを周囲から取り囲み、かつ前
   記格納位置にある前記外壁の輪郭に実質的に一致
   した輪郭を有しており、それによつて前記注ぎ口
   の長手方向の輪郭は、前記自動通気装置の存在に
   よつて変更されないようになつており、さらに前
   記自動通気装置は周辺に配置された空気入口２７
   及び中央に配置された流体出口２９を含んでいる
   ことを特徴とする入れ子式自動通気注ぎ口。 ２ 前記空気入口は、前記密封チヤンネルに近接
   して配置されている特許請求の範囲の第１項に記
   載の自動通気注ぎ口。 ３ 前記自動通気装置の流体出口は、少なくとも
   前記空気入口の水平面まで上方に延びている特許
   請求の範囲第１項に記載の自動通気注ぎ口。