JPS6341822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、一次側と二次側が共にスタ−結線さ
れた巻線形誘導電動機のブラシ粉付着検出装置に
関する。

巻線形誘導電動機は、その可変速運転時に二次
側巻線の電流制御をする。このため、巻線形誘導
電動機は二次側結線図を第１図に示すように、回
転子軸１には二次巻線Ｕ，Ｖ，Ｗの各相に接続さ
れるスリツプリング２_U，２_V，２_Wを設け、この
スリツプリングに摺接するブラシ３_U，３_V，３_W
を通して二次巻線電流出力を取り出す構成にされ
る。従つて、巻線形誘導電動機はその運転時にス
リツプリング２_U，２_V，２_Wにブラシ３_U，３_V，
３_Wが常時摺動するため、カ−ボン，銅粉のブラ
シ粉が飛散し、これらのブラシ粉が軸１周辺に多
量に集積するとスリツプリング２_U，２_V，２_W間
の短絡すなわち巻線Ｕ，Ｖ，Ｗ間の二次短絡故障
を起こす。

この二次短絡故障を防止するために、従来は目
視によりブラシ粉付着度合を点検監視するもので
あつた。このため、点検期間が延びた場合には二
次短絡故障を起こす恐れがあるし、頻繁な点検は
保守コストを高めるし電動機装置の稼動率を下げ
る場合もある。

本考案は、二次巻線の中性点と軸間の絶縁抵抗
検出回路を設けることにより、ブラシ粉付着の連
続的自動監視を可能にして従来の問題点を解消し
たブラシ粉付着検出装置を提供することを目的と
する。

第２図は本考案の一実施例を示す結線図であ
る。同図が第１図と異なる部分は、二次巻線の中
性点０に接続される中性点スリツプリング４を回
転子軸１に絶縁して設け、このスリツプリング４
に摺接する中性点ブラシ５を設け、軸１に摺接し
てフレ−ムア−スされるア−スブラシ６を設け、
ア−スブラシ６と中性点ブラシ５間に直流電源と
ブラシ粉付着度合検出用直流電流検出器８を設け
た点にある。

なお、巻線形誘導電動機がセルビウスやクレ−
マ方式により速度制御される場合には、多くは軸
１のア−ス用ブラシが設けられることから、この
ブラシをブラシ６として利用できる。

こうして構成において、巻線形誘導電動機は一
次側、二次側共にスタ−結線される場合には零相
電流が中性点接地回路に流れることがなく、その
ため中性点回路には巻線形誘導電動機の運転速度
に無関係に該中性点回路が持つ絶縁抵抗と直流電
源７で決まる直流電流が流れる。この直流電流は
スリツプリング２_U，２_V，２_W等に付着、堆積す
る導電性のカ−ボン、銅粉を含むブラシ粉の付着
度合に応じてスリツプリング部分の表面絶縁抵抗
が低下することから増大する。これを以下に詳細
に説明する。

電動機の運転によつて、スリツプリング２_U，
２_V，２_Wにブラシ３_U，３_V，３_Wが摺動し、この
摺動により発生するブラシ粉が第２図にPBで示
すように該スリツプリングのブラシ及び軸１の周
辺に付着する。このブラシ粉PBによつてスリツ
プリング２_U，２_V，２_Wと軸１との間の表面絶縁
抵抗が低下する。この表面絶縁抵抗は電動機の製
作直後は常温、常温で100MΩ以上であるが、ブ
ラシ粉のような導電性物質の付着と湿度、温度に
よつて低下し、湿度や温度が同条件にあるときに
はブラシ粉の付着量が多くなるほど低下し、例え
ば1MΩにまで低下してくる。

スリツプリング２_U，２_V，２_Wと軸１間の表面
絶縁抵抗の低下により、直流電源７から中性点ブ
ラシ５→中性点スリツプリング４→中性点０→二
次巻線Ｕ，Ｖ，Ｗ→スリツプリング２_U，２_V，２
_Ｗ→ブラシ粉PB→軸１→電流検出器８の回路を通
した電流が増大する。この電流増大は、主にスリ
ツプリングと軸１間の表面絶縁抵抗即ちのブラシ
粉PBの付着度合いによつて変わり、該電流増大
の程度を電流検出器８の電流値から目視判定又は
回路的に比較することによりブラシ粉付着度合を
堆測できる。

また、電流増大はスリツプリング２_U，２_V，２
_Ｗの間の表面絶縁抵抗下を意味し、該スリツプリ
ングを介して二次巻線Ｕ，Ｖ，Ｗ間に短絡、フラ
ツシオ−バさらには軸１からの地絡事故の恐れを
推測できる。さらには、電流増大が設定レベルを
越えたか否かの比較によつて警報器等の制御信号
として取り出すことで、電動機運転停止による目
視判定を不要にし、自動監視が可能になる。

また、電流検出はスリツプリング２_U，２_V，２
_Ｗと軸１間の堆積ブラシ粉PBを通して行われ、絶
縁抵抗に直接に関係する該ブラシ粉PBを通した
電流によつてスリツプリングと軸間の直接の表面
絶縁抵抗を検出できる。即ち、一対対の電極をブ
ラシ粉堆積箇所に設置して該電極間の絶縁抵抗測
定によるスリツプリングと軸間のブラシ粉付着の
間接的検出ではスリツプリングへのブラシ粉の実
際の付着と電極間の付着とが一致しない場合があ
るのに較べて、本実施例では直接検出になつて正
確な検出になる。

また、直接検出にはスリツプリング２_U，２_V，
２_Wの何れかのブラシと軸１のブラシ６との間に
直流電源と電流検出器８を接続することが考えら
れるが、この構成では該検出回路に二次巻線Ｕ，
Ｖ，Ｗの交流高電圧が印加されてしまい、その電
圧絶縁手段を必要とするし、巻線電圧が検出電流
を乱す恐れがある。また、検出回路の電圧絶縁手
段が万一故障したときに、二次巻線の短絡や検出
回路の焼損を招く恐れがある。この点について、
本実施例では通常電位が零の中性点０と軸１間に
検出回路を接続するため、上述の問題が解消され
る。

従つて、本考案によれば、中性点接地回路の実
際絶縁抵抗からブラシ粉付着（集積）程度を検出
するため、ブラシ粉の付着監視のための手間を省
いた連続的自動監視が可能になる効果がある。ま
た、中性点接地回路の絶縁抵抗を直接に監視する
ため、一対の電極をブラシ粉堆積箇所に設置して
ブラシ粉付着度合を該電極間抵抗として検出する
というスリツプリングの絶縁抵抗の間接的検出に
比して、スリツプリングと軸間の実際の絶縁抵抗
から検出する本考案の検出装置は正確な検出を可
能にする。また、中性点接地回路の絶縁抵抗も含
めた検出になり、中性点接地回路の短絡又は絶縁
抵抗低下の自動監視手段として利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は巻線形誘導電動機の二次回路結線図、
第２図は本考案の一実施例を示す結線図である。 Ｕ，Ｖ，Ｗ……二次巻線、１……軸、２_U，２
_Ｖ，２_W……スリツプリング、３_U，３_V，３_W……
ブラシ、４……中性点スリツプリング、５，６…
…ブラシ、８……直流電流検出器、PB……ブラ
シ粉。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一次側と二次側が共にスター結線されかつ回転
   子軸に二次出力を取り出すためのスリツプリング
   及びブラシを有する巻線形誘導電動機において、
   前記回転子軸に絶縁して設けられ二次巻線の中性
   点に接続される中性点スリツプリングと、この中
   性点スリツプリングに摺接する中性点ブラシと、
   回転子軸に摺接するア−スブラシと、前記中性点
   ブラシとア−スブラシ間に電圧を印加する直流電
   源と、この直流電源に流れる直流電流を検出する
   直流電流検出器とを備え、前記直流電流検出器の
   検出電流の大小から二次巻線の各相スリツプリン
   グ部分のブラシ粉付着度合を検出することを特徴
   とする巻線形誘導電動機のブラシ粉付着検出装
   置。