JPS6340443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野） 本考案は、荷役作業中ないし輸送、貯蔵中に用
いる荷物運搬用合成樹脂シート（いわゆるスリツ
プシート。以下、シートと略称する。）に関する。

〔従来の技術〕

近年、貨物輸送の効率化を計るために種々の改
良が試みられ、その一つとしてシートに荷物を載
せてフオークリフトによつて荷役を行つたり、輸
送、貯蔵などを行う方法が提案され、例えば、添
付の第１図の如く、周縁につまみ部ｂを有する合
成樹脂のシートＳが開発されている。これらは一
般的にプツシユプルフオークリフトによつて荷役
作業を行う場合に使用されている。すなわち、第
４図に示すようにこのフオークリフトは上記シー
トＳのつまみ部ｂをくわえる機構を有し、つまみ
部ｂをくわえて、載荷部ａ上に荷物を載せたシー
トＳをその設置場所からフオークの上へ引いた
り、フオークの上から所定の場所へ積荷とともに
押したりして荷役作業を行う。なお、つまみ部ｂ
は荷役の方法によるが必ずしも四方に設ける必要
はない。

このために使用するシートＳは種々のものが提
案されており、例えば板紙製、段ボール製、合成
樹脂シート製などがある。その繰返し使用のため
の耐久性を考慮すると、合成樹脂シート製のもの
が好ましい。ところが合成樹脂シート製のものの
場合、シートの載荷部ａの表面と積荷との間の摩
擦抵抗が少ないため、上記荷役作業中の移動、運
搬の際に積荷が荷崩れを起し、作業能率の低下や
危険を伴う。

合成樹脂シートの上記欠点の解決のための手段
として、たとえばシートの押出成形時にサンドブ
ラストしたロールに接触させることにより、載荷
部ａの表面となるシート面を粗面としたもの（実
公昭55−16821）、載荷部ａの表面に摩擦抵抗片を
多数貼着したもの（実開昭53−76463）などが提
案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の従来技術の提案は、合成
樹脂シートの上記欠点の解決手段としては不満足
なものであるか、或いはその製作に手間がかかり
すぎて実用的でない。

本考案は、従来の提案の上記欠点を解決するこ
とを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段およびその作用〕

本考案は熱可塑性合成樹脂を主成分とする厚さ
10mm末満のスリツプシートにおいて、その載荷面
に幅１〜20mmの線状または面状の凹部を少なくと
も１個存在させ、該凹部にはその周縁に凸部が形
成され、かつ該線状または面状の凹部の深さおよ
び凸部の高さが0.3〜５mmであることを特徴とす
るスリツプシートである。シートの厚さが10mm以
上のものに対しても本考案は有効であるが、その
ように厚いシートを使用する必要性がなく経済的
でない。好ましい厚さは0.4〜５mmである。

本考案に使用するスリツプシートの材質には、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−
１、ポリ−４−メチルベンテン−１などのポリオ
レフイン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの熱
可塑性樹脂の単独重合体、共重合体またはこれら
の混合物などがあり、特に限定はないが、中でも
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンまたは
プロピレンを主成分とする他のα−オレフインと
の共重合体などのポリオレフイン系樹脂が安価で
剛性を有するので価格、強度の面で有利である。

一方、上記スリツプシートには、必要に応じて
酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、紫外線防止剤、
無機質または有機質の充填材、滑剤などの慣用の
添加剤を適宜選択して添加することもさしつかえ
ない。

これらスリツプシートは、例えば慣用の押出し
成形後、カレンダーロールを使用するなどによつ
て製造することができ、またその載荷面および裏
面の平滑度は平滑面、粗面いずれでもよく、粗面
にする場合は、サンドブラスト、エンボス加工な
どの物理的処理あるいは酸による化学的処理など
が用いられる。

本考案のスリツプシートの表面に凹部および凸
部を形成させるには、上記の熱可塑性合成樹脂類
から適当な種類を選び、シートの成形時または成
形后にその軟化点以上の温度で熱プレス法、ロー
ル法などによつて該凹部の周縁に凸部を形成する
ことが出来るので、その製作に手間がかからず経
済的である。形成される凹凸部の一例の断面図を
第３図に示したが、その凹部の深さおよび凸部の
高さはシート面に対して、0.3〜５mm、好ましく
は0.5〜３mmである。載荷面上に形成するこの凹
凸部の作用は、単にその表面と積荷との間の摩擦
抵抗を大きくするだけではない。その凸部が積荷
の底面に軽くくいこむことにより所謂アンカー効
果（投錨効果）を生じ、それが凸部作業中の積荷
の荷崩れを防止するのに役立つ。その高さが0.3
mm以下ではアンカー効果が充分でなく、荷役作業
時に荷崩れの危険性が生じ、また５mm以上となる
と凸部作業時にシートの凹凸部による荷物の破損
あるいは作業能率の低下を引き起す原因にもな
る。

さらに、シートの凹部は、線状の場合は、幅１
〜20mm、好ましくは２〜10mm、面状の場合は、径
を１mm〜10cm程度とするのがよく、その形状には
限定はなく、線、円などのほかに適宜模様、文字
なども使用可能である。凸部の幅は１〜20mm、好
ましくは２〜10mmであり、幅が１mm未満のものは
その強度が不足するので充分なアンカー効果を発
揮出来ず、またその凸部が破損しやすく実用的で
ない。一方20mmを越える場合もアンカー効果を呈
さなくなる。

一方、凹凸部のシートへの配列にも特に限定は
なく、例えば第２図ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅに例示し
たような方法で凹凸部を点在させることができ
る。

〔考案の効果〕

以上記載したように、本考案のスリツプシート
は、極めて簡単な加工によつて製作することが出
来、単に載荷面の摩擦抵抗が増加するばかりでな
く、その凸部のアンカー効果により荷役作業中の
荷滑りが防止されるので、これを使用すれば安全
で効果的なプツシユプルフオークリフトによる凸
部作業が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術の合成樹脂製スリツプシート
の一例を、第２図のａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅは本考案
のスリツプシートの載荷面の凹凸部の配列の例を
示し、第３図ａは第２図ａのＡ−A′の断面図、
第３図ｂは第２図のｅのＢ−B′の断面図の夫々
の凹凸の状況を示す。第４図はプツシユ・プルフ
オークリフトの凸部作業の一例を示す。 Ｓ：合成樹脂スリツプシート、ａ：載荷部、
ｂ：つまみ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プツシユプルフオークリフトによつて荷役作業
   を行なう場合に使用するスリツプシートであつ
   て、剛性を有するポリオレフイン系合成樹脂を主
   成分とする厚さ10mm未満のスリツプシートにおい
   て、その載荷面に幅１〜20mmの線状または面状の
   凹部を少なくとも１個存在させ、該凹部にその周
   縁に凸部が形成され、かつ該線状または面状の凹
   部の深さおよび凸部の高さが0.3〜５mmであるこ
   とを特徴とするスリツプシート。