JPS6340100B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、大腿骨の人工器官と相互に作用し
て、膝関節の代用をする脛骨の人工器官に関す
る。この人工器官は脛骨の上端に移植するように
意図される。本発明の人工器官は、大体において
Ｕ字型の横断面を有する骨髄内ステムを利用す
る。Ｕ字型横断面のステムは、膝の十字靭帯の保
持を可能にする一方、脛骨人工器官の部分の安定
性を増大させる。

自然の膝関節は、大腿骨の下端と脛骨の上端を
含む。支承作用は、中間の軟骨パツド、半月軟骨
により分離された、大腿骨の下面と脛骨の補完の
上方表面台にある２つの顆の間に生じる。脛骨の
大腿骨への連結は、顆の間に位置する強く厚い束
である膝の十字靭帯を含む鞁帯により提供され
る。

自然の膝の動きは複雑で、転動、摺動および軸
回転運動を含む。十字靭帯は大腿骨と脛骨の間の
連結を提供し、関節の安定を確実にし、膝に与え
られた応力を吸収するばかりでなく、転動と摺動
の適当な組合せ、およびこれらの運動の間に移り
変りをもたらすのに大きな役割をなし、これらは
自動の膝の作用を特徴づける。

股関節の人工器官は比較的に普通のものであ
り、かなり良好な成功記録がある。膝関節の移植
は最近の着想であり、一般に股関節の移植よりも
成功例が少なく、その長期間の安定性は証明され
ていない。膝関節は、身体の他の関節よりも大き
な応力を受ける。それは、膝より上の身体の全重
量を支える必要があり、また大腿骨と脛骨の間の
種々の角度関係にわたり支える必要がある。理想
的に、膝関節人工器官は、自然の膝と同じ作用、
回動、転動および摺動／滑動の複雑な組合せを提
供しなければならない。

最近まで、人工器官内の膝関節装置は、大腿骨
と脛骨に固定され、一つの回転軸を有する機械的
ヒンジの形態の連結ピンにより互いに連接した別
個の大腿骨部分と脛骨部分を含み、各部分は骨固
定のため長い骨髄内ステムを有する。これらの、
いわゆるヒンジ型装置は、必ずしも膝関節の生物
学的ヒンジ作用の複製ではない。何故なら、これ
らの装置が張り合おうとしている人間の膝関節が
多中心の動きを含むのに対し、これらの装置は回
転軸を一つ有するからである。したがつて、多く
のヒンジ、スピンドル、ボール、ソケツトおよび
二重ヒンジの変形例が複雑な人間の膝の動きを真
似る試みのうちに使用された。しかしながら、単
純化した近似量のいずれも正確に真似ることが不
可能であつた。これらの、いわゆるヒンジ移植の
共通した特徴は、それらが大腿骨部分と脛骨部分
の間に確実な機械的連絡を提供して、自然の連結
靭帯を不要にし、事実保持できないことである。
また、これらの装置の大きさのため、相当量の自
然の骨を除去して装置のためのスペースを設ける
必要があり、この骨の除去は将来の矯正処置に必
要となる骨の予備を減らす。

ヒンジ型式の装置の更に別の欠点は、その限ら
れた軸回転が構造体を介して極限力を直接に伝達
させ、それにより大腿骨要素と脛骨要素の固定を
ゆるめる傾向があることである。このため、実際
にこれらの装置は、すべて全部が金属性の、骨深
く進入する骨髄内ステムを固定目的のため使用し
ている。

これらのヒンジ型式の膝人工器官装置は、ラグ
ランジエの米国特許第3688316号、ブスケの米国
特許第3696466号、ゴールドベルグの米国特許第
3765033号、フインドレイの米国特許第3886601
号、ラグランジエの米国特許第3918101号および
アーカンゲルの米国特許第4001896号に見い出さ
れる。

新しい移植可能な膝装置は、一般に大腿骨部分
と脛骨部分の機械的連結を解き離しており、ピボ
ツトピンまたは他の機械的な連接により両部分を
連結する代わりに、膝の生物学的構造、すなわち
自然の関節の筋肉、被膜および靭帯部分を介して
間接的な連結により相互に支承係合して保持され
ている。これらの装置は、通常離隔したランナを
備え、自然の顆に代わる金属で構成された、大腿
骨装置と、自然の台部分に代わるプラスチツクの
脛骨装置を含み、これらの装置は通常凸状と凹状
の合わせ面をそれぞれ有する。

本発明は、これらのより新しい非ヒンジ型式の
膝装置に関し、さらにその脛骨部分のみに関す
る。本発明の装置は、多数の大腿骨部分と組合せ
て使用できる。幾つかの例示の大腿骨装置は、リ
ンクの米国特許第3715763号、エイブリルの米国
特許第3728742号、ヘルフエツトの米国特許第
3748662号、マーモアの米国特許第3852830号およ
びリーの米国特許第3958278号に開示されている。

本発明は脛骨人工器官は、大体においてＵ字型
の横断面を有する骨髄内ステムを備えた脛骨台を
含み、それにより膝関節の十字靭帯を保持し、一
方、脛骨の上端に装置を充分に固定するようにす
る。

本発明は、添付図面に関連した次の例示の実施
例の説明から、理解される。

本発明は非ヒンジ型式の人工器官の脛骨部分に
関する。これらの装置を設計するにあたり当面す
る問題は、一方で、脚の骨に人工器官の部分をし
つかり永続的に機械的に取り付けることと、他方
で、自然の靭帯を保持する必要との間で妥協する
必要が明かに必要あることである。膝関節のたぶ
ん最も重要な靭帯である十字靭帯が特に問題であ
る。あいにく、これらの十字靭帯は膝の中央を通
つて働き、これらの重要な靭帯の保持は大多数の
ヒンジ型式膝代用品に備えられている骨髄内ステ
ム取付けの使用を排除する。何故なら、これらの
ステムまたはスパイクも脛骨部分の中央に位置す
る必要があるからである。いいかえれば、移植可
能な脛骨部分の中央に十字靭帯用の開口と、該部
分の中央に骨髄内固定ステムを備えることは不可
能だと思われるのである。

この問題は大腿骨部分の場合には対処された。
何故なら、その包囲構造のため、大腿骨の端部と
良好な幾何学的に接触することができるからであ
る。さらに、大腿骨のこぶ状の端部は非常に大き
く、したがつて十字靭帯のまわりに充分な骨を設
うけ、幾つかの小さなステムを中実な骨にしつか
り配置することができる。さらに、大腿骨部分は
通常金属で作られ、それゆえ特に摩耗や破損をし
ない。

脛骨部分は更に多くの問題を示した。極めて小
さく、通常プラスチツクで作られているので、金
属の大腿骨部分の機械的安定性と強度を有しな
い。先行技術の調査では、種々の突起、短いく
ぎ、およびキー構造が主として接触表面面積を増
大し、人工器官部分を脛骨に固着するのに用いる
骨セメントが有効であるように設けられた。しか
しながら、骨セメントは骨への強固で永続的な固
着を保証しないことは、当該分野で周知である。
さらに、これらの装置は骨の質が概して貧弱で、
さらに通常は変性を受ける関節炎の状態の処置に
しばしば用いられる。これらの先行技術の脛骨装
置の取付は手段は非常に浅く、変位トルクに抵抗
するには不十分なモーメントの腕しか提供せず、
しかも、これらの装置は相当な引張荷重を受ける
関節に用いられている。

本質的に、外科医は問題あることを理解してい
た。しかしながら、十字靭帯が健全な場合手術の
応力の大部分が靭帯によつて担持する必要がある
ことを熟知して、靭帯を保持し、不安定な可能性
のある脛骨部分を使用するのが賢明であると感じ
られている。それで、この装置が後日ゆるんだ場
合、その時点で十字靭帯を取り除き、骨髄内ステ
ムを有するより安定したヒンジ型式の膝人工器官
に取り変えられた。

本発明は、この問題を実質的に解決し、妥協の
必要を排除する脛骨部分１０を提供する。本発明
の脛骨部分は、十字靭帯の保持と骨髄内ステムの
取付けの両方を提供する。詳しく図面を参照とす
ると、脛骨部分１０は骨髄内ステムすなわちスパ
イク１１を備え、このスパイクはほぼテーパ状を
なすＵ字型断面を有し、重要な十字靭帯の通過を
可能にする中央の開口１３のまわりの脛骨台１２
に固着することができる。取付け区域はＵ字型を
なし、中央の開口１３は後方に完全に開放してい
て十字靭帯の通過を可能にし、かつその作用を妨
げない。

スパイク１１はテーパ先端１４に向かつて幅が
減少する一方、一定の半径で、それによりスパイ
ク１１が切除した脛骨の骨髄内空所に容易に押し
込み可能であるのが好ましい。同様に、強度と剛
性の必要性が脛骨台１２からの距離に比例して減
ずるから、断面もテーパ先端１４に向かつて厚さ
が減少可能である。したがつて、スパイク１１は
テーパ先端１４から脛骨台１２への取付け区域に
向かつて上方と外方へ傾斜する。スパイク１１の
進入先端は鋭く劣つたものより、平坦または僅か
に丸味のあるのが好ましい。骨髄内ステムはほぼ
Ｕ字型断面を有するのが好ましいが、新月状のチ
ヤンネルのような変形も考えられることは理解す
べきである。しかしながら、スパイクの部分、特
にテーパ先端に近い部分は平坦にできるが、曲げ
を受けやすく、したがつて剛性の弱い真平らな形
状以外の断面を用いるのが好ましい。

プラステツクは一般に金属の機械的安定性、剛
性および強度を有しないので、スパイク１１を金
属、好ましくは医学等級コバルト−クロム合金で
作るのが好ましい。代替的に、ステンレス鋼また
はチタンを使用してよい。同様な理由で、脛骨台
１２または少なくともスパイク１１に直接取り付
けられる脛骨台の下にある部分も同様の金属で作
るべきである。組合わさる大腿骨装置（図示せ
ず）の顆表面に対し反作用する必要のある脛骨装
置１０の支承面２６は、好ましくは例えばきわめ
て高い分子量のポリエチレンのような耐久性の、
低摩擦の、生理学的に受け入れ可能のプラスチツ
クで作るべきである。プラスチツクの支承インサ
ート２５は金属の脛骨台１２にしつかりと固着さ
れ、動かないように適当に拘束するべきである。

脛骨台１２は第３図に明確に示すように大体Ｕ
字型である。好ましくは、各脚部１５はＵ字型の
厚い本体部分１７との接合部分で凹んでいて支承
インサート２５のための平坦な、ほぼＤ字型の台
１６を提供する。一対の間隔をおいた孔１８が各
台１６に備えられる。孔１８は四角形で示されて
いるが、孔が以下に述べる目的のため少なくとも
一つの真直な緑を有するらば、他の形状も考えら
れる。各孔１８はその一方の縁に沿つて垂下する
耳部１９を形成されている。各台１６は各脚部１
５の内側に沿つて上方に延びる保持用の壁部材２
０を形成されている。台１６に隣接する壁部材２
０の部分は、上方に円滑に弓形（凸状）をなす
が、反対側はスパイク１１の輪郭に従つており、
したがつて角度をなして輪郭をつけられている
（第３図参照）。弓形の輪郭の上方に延びた保持隆
起部２１が脚部１５とＵ字型の本体部分１７との
接合部分に各台１６の縁に沿つて設けられてい
る。支承インサート２５を脛骨台１２に着脱自在
に取り付ける他の多数の手段が可能であり、その
ような代替物は本発明の範囲内にあることは明ら
かである。

スパイク１１の表面は、溝、孔、隆起部などに
より幾分模様をつけられ、それと脛骨の骨または
介在の骨セメントとの相互作用を増大するように
するのが好ましい。更に好ましくは、当該分野で
周知のように、骨の内方生長を可能にするように
多孔表面を設ける。また、脛骨台１２の下側部分
が同様の表面組織が多孔性になつているのが好ま
しい。

支承インサート２５は概略腎臓の形状をなし、
台１６に嵌合し、保持用の壁部材２０と保持隆起
部２１の内部に嵌合する大きさである。支承イン
サート２５の上面の外方部分はえぐられていて、
大腿骨人工器官（図示せず）の組み合わさる顆表
面用に円滑に弓形の凹状支承面２６を形成する。
支承インサート２５の内縁は、壁部材２０の円滑
に上方に弓形の輪郭に対し補完するように形状を
つけられた弓形の凹部２７を備えている。支承イ
ンサート２５の底面はほぼ平坦である。支承イン
サート２５が台１６に係合するのを可能にするた
め、台１６の脚部１５に形成された凹部を越えて
延びる該支承インサートの底面部分は該凹部の深
さに一致する深さまで除去される。このようにア
ンダカツトされた部分は、レツジ２８を形成し、
支承インサート２５が台１６に位置する時、Ｕ字
型の本体部分１７に嵌合し位置する。一対のくぎ
２９は、２５の底面から突出し、台１６の間隔を
おいた孔１８に整合して位置している。各くぎ２
９の自由端は、くぎ自体よりも大きく、隆起部３
０が該くぎの少なくとも一方の縁に沿つて設けら
れている。図示の実施例において、隆起部３０は
二つの両側の縁に沿つて設けられているが、内側
の隆起部３０のみが必要である。第２図に明らか
に示すように、隆起部３０は対応の孔１８の垂下
する耳部１９と係合し、したがつて支承インサー
ト２５を台１２に固着する。

孔１８へのくぎ２９の挿入を容易にするため
に、くぎ２９の拡大端の先行縁は図面に示すよう
に面取りされている。

本発明の脛骨人工器官は十字靭帯を通す中間溝
を有する大腿骨人工器官と組み合わせて、大腿骨
の顆と脛骨台との間を実質的に適合させ、機能的
な膝の回動、摺動、転動、滑動の作用を提供する
人工器官を提供する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の脛骨人工器官の立面図、第２
図は第１図の線２−２に沿つた断面図、第３図は
第１図の脛骨人工器官の脛骨台の頂面図、第４図
は本発明の脛骨人工器官の頂面図であつて、適所
にある大腿骨人工器官の顆の表面と相互作用する
支承インサートを示す図、第５図は第４図の支承
インサートの斜視図および第６図は第５図の線６
−６に沿つた支承インサートの断面図である。 １０：脛骨部分、１１：スパイク、１２：脛骨
台、１３：中央の開口、２５：支承インサート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 十字靭帯を通すための中央の溝を内部に有す
   る大腿骨人工器官と相互作用する脛骨人工器官に
   おいて、大体においてＵ字型の脛骨台と、該Ｕ字
   型の台の各脚部に着脱自在に取り付けられ、該大
   腿骨人工器官の顆表面と摺動接触する支承インサ
   ートと、一方の縁に沿つて該台に取り付けられた
   骨髄内固定ステムを含み、この骨髄内固定ステム
   はほぼテーパ状のＵ字型の断面を有し、該台への
   該骨髄内固定ステムの取付区域はＵ字型にされ、
   それにより十字靭帯を通し、十字靭帯の作用が妨
   げられないように中央の開口を画成することを特
   徴とする脛骨人工器官。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の脛骨人工器官
   において、該台が金属または金属合金で作られて
   いることを特徴とする脛骨人工器官。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載の脛骨人工器官
   において、該支承インサートが生理学的に受け入
   れられるプラスチツク材料で作られていることを
   特徴とする脛骨人工器官。 ４ 特許請求の範囲第１項に記載の脛骨人工器官
   において、該骨髄内固定ステムは、深さが該取付
   け区域から、その自由端のテーパ先端まで減少す
   るにつれて、一定の“半径”を有することを特徴
   とする脛骨人工器官。 ５ 特許請求の範囲第４項に記載の脛骨人工器官
   において、該骨髄内固定ステムが該取付け区域か
   ら該テーパ先端に向かつて厚みの減少した断面を
   有することを特徴とする脛骨人工器官。 ６ 特許請求の範囲第５項に記載の脛骨人工器官
   に於て、該先端の端部が平らにされるか、丸味が
   つけられている事を特徴とする脛骨人工器官。 ７ 特許請求の範囲第６項に記載の脛骨人工器官
   において、該骨髄内固定ステムが金属または金属
   合金で作られていることを特徴とする脛骨人工器
   官。 ８ 特許請求の範囲第７項に記載の脛骨人工器官
   において、該骨髄内固定ステムの表面が模様をつ
   けられていることを特徴とする脛骨人工器官。 ９ 特許請求の範囲第１項に記載の脛骨人工器官
   において、該骨髄内固定ステムの断面が半月状で
   あり、深さと厚さが該取付け区域から丸味をもつ
   た端部を有するテーパ先端に向かつて減少するに
   つれ、一定の半径を有し、また金属または金属合
   金で作られ、その表面が模様をつけられているこ
   とを特徴とする脛骨人工器官。 １０ 特許請求の範囲第２項に記載の脛骨人工器
   官において、該台の底面が模様をつけられている
   ことを特徴とする脛骨人工器官。