JPS6339847Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はテレビジヨンスタジオ等で使用する照
明具吊り下げ装置の自動調芯装置に関する。

テレビジヨンスタジオ等で使用する照明具吊り
下げ装置には、スタジオの天井に設けた照明用床
を走行してその位置を変え、かつ照明ライトの高
さを調節できる形式のものと、吊り下げ高さ及び
位置が固定された照明ライト取付具に照明ライト
を取付ける形式のものとがあり、いずれも安全の
ため２本のワイヤを１組として用い、前者にあつ
ては２本１組としたワイヤの下端下部に照明ライ
トを吊り下げ、また後者にあつては２本１組とし
たワイヤの下端を照明ライト取付具のコーナー部
に固定している。

ところで、上記照明具吊り下げ装置において
は、１本のワイヤを用いたのではそれが切断した
場合に照明ライトが落下したり、照明ライト取付
具が傾いたりして人身事故が生じる虞れがあるた
め、ワイヤを２本１組として用いている訳である
が、初期に２本のワイヤ長を調整して同一長と
し、吊り下げ物の重量が両方に均一に加わるよう
にしても、経時的な変化によつていずれか一方の
ワイヤ長が伸び、２本のワイヤ長が不均一となつ
て一方のワイヤに大きな張力が加わることにな
る。そしてその結果、大きな張力の加わるワイヤ
の切断事故に到ることがある。

このように、従来の照明具吊り下げ装置におい
ては、調芯装置を有しないため、２本のワイヤを
使用して吊り下げても片側のワイヤに張力が集中
してワイヤの切断事故を起こしたり、あるいはそ
れに到らなくとも初期に２本のワイヤ長を揃えた
り、２本のワイヤ長が不揃いになつた場合にこれ
を補正したりする調整に手間取るという不都合が
あつた。

そして、このような問題を解決するものとし
て、従来、実公昭57−23425号で開示されたゴン
ドラ装置の自動調芯装置が存在した。この装置
は、かご枠に設けたドラムの２個の案内溝に夫々
２本のワイヤを互に反対方向に一回半程度巻付け
てその端末をねじ止め等によりドラムの２本の腕
に固定したものであるが、この装置にあつては、
ドラムは２本の腕を備えるため、機械加工で簡単
に製作できないこと、夫々のワイヤをドラム外の
ところで２箇所で固定しなければならず、ワイヤ
の端末部をネジ止等によつてドラムの腕に固定す
るため、ワイヤ端末に固定のための加工を必要と
する等、構造的に複雑となりコスト高になるこ
と、さらに、ドラム両側にドラムとともに回動可
能な腕が突出するため、装置形状が大きくなるこ
と、等の欠点があつて、必ずしも満足できるもの
ではなかつた。

本考案は上記従来装置の欠点を解決する照明具
吊り下げ装置における自動調芯装置を提供するこ
とを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面について説明す
る。

第１図ないし第４図は本考案の第１の実施例
で、この照明具吊り下げ装置はスタジオの天井に
設けた照明用床上を台車で移動させ、碁盤目状に
形成された照明用床の隙間より伸縮自在の吊り管
を降ろすとともに、台車上に装置した駆動機構に
より吊り管に先端を固定したワイヤを巻上げある
いは巻戻して吊り管を伸縮させ、吊り管の先端に
設けた照明ライトを昇降させる照明ライトの位置
及び高さを調整する形式のものである。

図において、１は照明用床であり、２は照明用
床１上を移動する台車、３は台車２上に立設され
た支柱、４は縮めた状態で支柱３内に収容され径
の異なる管体を同心状に伸縮自在に設けた吊り
管、５は支柱３に設置し支柱３及び吊り管４の内
部を通して吊り管４の先端に固定した２本の第１
ワイヤ６ａ及び第２ワイヤ６ｂを巻上げあるいは
巻戻すワイヤ巻取り機構、７はワイヤ巻取り機構
の駆動モータ、８は吊り管４の下端に設けた自動
調芯装置、９はこの自動調芯装置８の下部に吊り
下げた照明ライトである。

第３図及び第４図によつて自動調芯装置８の構
成について説明すると、１０は照明ライト９を下
部に吊り下げた軸であり、１１は軸１０に回転自
在に設けた回転筒体で、この回転筒体１１には前
記２本の第１ワイヤ６ａ及び第２ワイヤ６ｂの下
端部を回転筒体１１の外周に並べて互に逆方向に
巻回して第１輪部６ｃ及び第２輪部６ｄに形成す
る。１２は回転筒体１１の最下部に設け、締付ネ
ジ１３，１３によつて、回転筒体１１の外周に第
１輪部６ｃと第２輪部６ｄとを押圧固定して第１
ワイヤ６ａ及び第２ワイヤ６ｂを回転筒体１１に
固定する固定板である。１４は吊り管４の下端に
固定したカバーである。

なお、回転筒体１１の外周には第１ワイヤ６ａ
及び第２ワイヤ６ｂの案内溝を形成してもよい。
この自動調芯装置８は初期において、第１ワイヤ
６ａと第２ワイヤ６ｂのワイヤ長を同一に揃えて
おく、したがつて第４図のように、固定板１２は
回転筒体１１の最下部すなわち真下に位置するこ
とになる。

かかる構成よりなる自動調芯装置８では例えば
経時変化により２本のワイヤのうち一方の第１ワ
イヤ６ａが他方の第２ワイヤ６ｂに比べてワイヤ
長が伸びたとする。

すると、回転筒体１１は軸１０に回転自在に軸
着されており、第１ワイヤ６ａと第２ワイヤ６ｂ
はその下端部の第１輪部６ｃと第２輪部６ｄが回
転筒体１１に対して互いに逆方向に巻付けられて
回転筒体１１は第１ワイヤ６ａと第２ワイヤ６ｂ
の張力により夫々互いにバランスした逆方向の回
転力が付与されているが、一方の第１ワイヤ６ａ
が伸びた時点で他方の第２ワイヤ６ｂの張力が勝
り、これにより回転筒体１１は第４図の矢印方向
に第１ワイヤ６ａと第２ワイヤ６ｂの張力がバラ
ンスするところまで回転することになる。

次に第５図は本考案の第２の実施例で、この照
明具吊り下げ装置はスタジオの天井からワイヤに
て両側から照明ライト取付具を吊り下げ、照明ラ
イトを設置するもので、照明ライトの位置及び高
さを固定した形成のものである。すなわち、第５
図において、２０はスタジオの天井、２１は照明
ライト取付具、２２は照明ライト取付具２１に設
置した照明ライトで、照明ライト取付具２１はそ
のコーナー部を天井から下した２本の第１ワイヤ
６ａと第２ワイヤ６ｂを一組とする複数組のワイ
ヤで吊り下げられ、これら第１ワイヤ６ａと第２
ワイヤ６ｂの下端にその軸１１を照明ライト取付
具２１に固定した前記の第１の実施例と同一の構
成を有する自動調芯装置８が設けられる。

したがつて、２本の第１ワイヤ６ａ及び第２ワ
イヤ６ｂのうち、一方のワイヤが伸びた場合に
は、前述のように自動調芯装置８の作用によつ
て、２本の第１ワイヤ６ａ及び第２ワイヤ６ｂの
張力がバランスする。

なお、第１ワイヤ６ａと第２ワイヤ６ｂは断面
丸形あるいは平形等その形状は限定されるもので
はない。

以上述べたように、本考案の自動調芯装置は、
回転筒体が円筒形の簡単な形状であるため、また
ワイヤの端末部に固定のための加工を必要としな
いので製作が容易で安価にできる。回転筒体と２
本の第１ワイヤと第２ワイヤの固定が固定板を回
転筒体に締付ネジで締付けることにより１箇所で
同時に行うことができ、また取外して第１ワイヤ
と第２ワイヤを交換する場合も同様に簡単に行え
る。さらに、回転筒体の外周下部に２本の第１ワ
イヤと第２ワイヤを固定するための固定板を配設
し、第１ワイヤ及び第２ワイヤの下端部に互いに
逆方向に巻付けた第１輪部及び第２輪部を形成し
たため、第１ワイヤ及び第２ワイヤの端末部が邪
魔になつたりこれを固定するための腕部が外方へ
突出する従来装置に比べて全体をほぼ円形にま
とめた小型形状にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例に係る照明具吊
り下げ装置の側面図、第２図は同じく正面図、第
３図は照明具吊り下げ装置の自動調芯装置の正面
図、第４図は同じく一部を切欠した側面図、第５
図は本考案の第２の実施例に係る照明具吊り下げ
装置の側面図である。 ６ａ，６ｂ……第１ワイヤ、第２ワイヤ、８…
…自動調芯装置、９……照明ライト、１０……
軸、１１……回転筒体、１２……固定板、１３，
１３……締付ネジ、２１……照明ライト取付具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平に配置され照明ライトあるいは照明ライト
   取付具を吊り下げる軸１０と、この軸１０に回転
   可能に装着した円筒形の回転筒体１１と、この回
   転筒体１１の外周上に並べて下端部を互いに逆方
   向に巻回して第１輪部６ｃ及び第２輪部６ｄを形
   成した２本の吊り下げ用の第１ワイヤ６ａ及び第
   ２ワイヤ６ｂと、前記回転筒体１１の外周下部に
   第１輪部６ｃと第２輪部６ｄの外側に位置して締
   付ネジ１３，１３にて回転筒体１１の外周に第１
   輪部６ｃと第２輪部６ｄを押圧固定する固定板１
   ２とからなる照明具吊り下げ装置における自動調
   芯装置。