JPS6339665B2 - - Google Patents

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JPS6339665B2
JPS6339665B2 JP58137286A JP13728683A JPS6339665B2 JP S6339665 B2 JPS6339665 B2 JP S6339665B2 JP 58137286 A JP58137286 A JP 58137286A JP 13728683 A JP13728683 A JP 13728683A JP S6339665 B2 JPS6339665 B2 JP S6339665B2
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JP
Japan
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film
nbn
substrate
target
nitrogen
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JP58137286A
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Masahiko Naoe
Shozo Ishibashi
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Publication date
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Publication of JPS6339665B2 publication Critical patent/JPS6339665B2/ja
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/34Gas-filled discharge tubes operating with cathodic sputtering
    • H01J37/3402Gas-filled discharge tubes operating with cathodic sputtering using supplementary magnetic fields
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/0021Reactive sputtering or evaporation
    • C23C14/0036Reactive sputtering

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
1 産業上の利用分野 本発明は窒化ニオブ膜の形成方法に関するもの
である。 2 従来技術 窒化ニオブ(以下、NbNという。)は、超伝導
材料および超硬超耐熱材料に属し、理想的な構造
をとつた場合、その超伝導温度Tc、臨界磁場Hc
は、それぞれ約16K、約20Tと高く、また融点約
3000℃で熱的・機械的にきわめて安定な特性を示
す。さらに、これらの特性は厚さ数百Åの薄膜で
も得られ、結晶構造は広い範囲にわたりNaCl型
構造を示し、他の周期表、V族窒化物と同様に
窒素の解離圧が約100気圧と非常に高く、窒素格
子位置に空位が安定に存在する。 NbNは、その優れた超伝導特性、耐熱性が注
目され、高磁界発生用超伝導マグネツト材料、ジ
ヨセフソン素子用電極材料等への適用が期待され
ている。 NbNの作製法としては、主に高周波帯溶融法
や反応性スパツタ法が考えられる。しかし、高周
波帯溶融法の場合、NbNの高融点、高窒素解離
圧のため、2000℃、数十気圧以上の形成温度雰囲
気圧が必要となり、そのうえ溶液化して反応させ
ようとすると、窒素の解離が激しくなつて窒化物
が形成されなくなるので、形成物の均一性は悪
く、NaCl構造のNbNと六方晶Nb2Nの共晶が形
成され、優れた特性を得ることは困難である。一
方、反応性スパツタ法は、膜堆積にプラズマを用
いるため、Nbと窒素間の反応が大部分ラジカル
反応によつて行なわれ、窒素の雰囲気圧力を大幅
に減少させることができる(10-2〜10-3Torr)
とともに、基板温度(高周波帯溶融法の反応温度
に対応)を1000℃以下としてもNbN膜を作製す
ることができる。 反応性スパツタ法で高超伝導臨界温度Tcの
NbNを形成する上で重要なパラメーターは、次
の2つである。 (i) 窒素分圧:これは放電維持ガスであるアルゴ
ンガスとの混合ガスの総圧に対し、窒素分圧の
最適範囲が存在する。 (ii) 基板温度:700〜900℃の高温が必要で、それ
以下ではTcは低下する。 これらの条件は、化学量論的B1型NbN膜が形
成される条件と言い換えることができる。窒素分
圧が低いと、B1型結晶中には窒素位置に空位が
形成され、また窒素分圧が高いと、B1相以外の
相との混相となる。BCS理論によれば、Tcは次
の式で与えられる。 Tc=1.14θD exp(−1/N(EF)Vh) θD:デバイ温度 N(EF):フエルミ面における状態密度 Vh:電子−フオノン相互作用の強度 NbNは、θDとVhが大きいために高Tcを示すと
考えられているが、θDは空間的な原子密度が大き
いほど高く、Vhは格子の秩序度が完全な時に最
大となるので、結晶中に空孔が存在したり、秩序
度が低下すると、Tcは急激に低下する。これら
を防ぐため、PN2、Tsの条件が狭い範囲に限定
されるものと考えられ、膜作製時に厳密な制御が
要求される。 3 発明の目的 本発明の目的は、上記した知見に基いて、超伝
導特性、超硬超耐熱性等に優れたNbN膜の形成
方法を提供することにある。 4 発明の構成 即ち、本発明は、ニオブからなる複数のターゲ
ツトを互いに対向せしめ、これらの対向ターゲツ
ト間に窒素含有ガスを供給し、前記ターゲツトを
スパツタするプラズマを発生させ、このプラズマ
によつて発生した窒化ニオブイオンを加速電界で
加速した後に制御電界でエネルギー制御して前記
ターゲツト外へ導出し、この導出された窒化ニオ
ブイオンを基体上に導く窒化ニオブ(NbN)膜
の形成方法に係るものである。なお、このNbN
膜は、化学量論的組成のものがよいが、他の組成
比のものも包含していてよい。 5 実施例 以下、本発明を実施例について詳細に説明す
る。 まず、第1図につき、本実施例による超伝導素
子の構成を説明する。 この素子は、例えば、シリコン基板Sと、この
基板上に後述する方法で堆積せしめられたNbN
膜20とを有し、更にこのNbN膜上に対向電極
21,22、絶縁膜23が設けられたものからな
つている。 次に、第2図〜第7図につき、上記NbN膜2
0を形成する方法及びその装置を説明する。 第2図に示す装置は基本的には、対向ターゲツ
ト式スパツタ部Aと、このスパツタ部からイオン
化粒子を導出するイオンビーム導出体Bとからな
つている。 スパツタ部Aにおいて、1は真空槽、2は真空
槽1内に所定のガス(Ar+N2)を導入してガス
圧力を10-3〜10-4Torr程度に設定するガス導入
管である。真空槽1の排気系は図示省略した。タ
ーゲツト電極は、ターゲツトホルダー4により
Nb製の一対のターゲツトT1,T2を互いに隔てて
平行に対向配置した対向ターゲツト電極として構
成されている。これらのターゲツト間には、外部
の磁界発生手段(マグネツトコイル)3による磁
界が形成される。なお、図中の5は冷却水導入
管、6は同導出管であり、13は加速用の電極で
ある。 このように構成されたスパツタ装置において、
平行に対向し合つた両ターゲツトT1,T2の各表
面と垂直方向に磁界を形成し、この磁界により陰
極降下部(即ち、第3図に明示する如く、ターゲ
ツトT1−T2間に発生したプラズマ雰囲気7と各
ターゲツトT1及びT2との間の領域8,9)での
電界で加速されたスパツタガスイオンのターゲツ
ト表面に対する衝撃で放出されたγ電子をターゲ
ツト間の空間にとじ込め、対向した他方のターゲ
ツト方向へ移動させる。他方のターゲツト表面へ
移動したγ電子は、その近傍の陰極降下部で反射
される。こうして、γ電子はターゲツトT1−T2
間において磁界に束縛されながら往復運動を繰返
すことになる。 この往復運動の間に、γ電子は中性の雰囲気ガ
スと衝突して雰囲気ガスのイオンと電子とを生成
させ、これらの生成物がターゲツトからのγ電子
の放出と雰囲気ガスのイオン化を促進させる。従
つて、ターゲツトT1−T2間の空間には高密度の
プラズマが形成され、これに伴つてターゲツト物
質が充分にスパツタされることになる。 この対向ターゲツトスパツタ装置は、他の飛翔
手段に比べて、高速スパツタによる高堆積速度の
製膜が可能であり、また基体がプラズマに直接曝
されることがなく、低い基体温度での製膜が可能
である。 第2図の装置で注目されるべき構成は、スパツ
タ部Aにおいてターゲツトから叩き出されたNb
と反応ガス(N2)とが反応してイオン化された
粒子、即ちNbNのイオンを効率良く外部へ導出
するための導出部Bを有していることである。即
ち、この導出部Bは、ターゲツトT2の外側近傍
に配されたスクリーングリツドGを有し、これら
のターゲツトT2及びグリツドGは夫々所定の電
位に保持されると同時に、イオン化粒子10を通
過させるための小孔11,12が夫々対応した数
及びパターンに形成されている。これは、第4図
及び第5図に夫々明示した。各小孔11,12は
例えば2mmφであつて5mmの間隔を置いて形成さ
れ、グリツドGの厚みは1mmであつてよい。 第6図は、上記装置を動作させる際の電気回路
系を概略的に示すが、加速電極13に加速電圧
Vpを印加した状態で、両ターゲツトT1,T2に負
電圧Vtを与え、かつグリツドGを接地している。
また、イオンビーム導出部B側に配した基板Sも
接地している。第7図は各部のポテンシヤル分布
を示し、Vpは0〜200Vに、Vtは500〜1000Vに
設定される。 このような条件で上記装置を動作させると、ス
パツタ部A(真空度10-3〜10-4Torr)において発
生したプラズマ中のイオンは下部ターゲツトT2
の陰極降下部9(第2図参照)で加速電極13に
よつて加速された後、ターゲツトT2−グリツド
G間の電界によつて減速されながら上記小孔1
1,12を通過し、基板Sとプラズマとの間の電
位差に相当するエネルギーを以つて導出される。
導出されたイオンビーム10は、導出部B(真空
度10-5Torr以上)側に形成される電界E(第1図
参照)の作用で効果的に集束せしめられ、上記エ
ネルギーを以つて基板Sに入射することになる。
こうして、加速電極(又は陽極)13に加える陽
極電圧Vpを変化させることにより、基板S上へ
の堆積イオン(NbN)のエネルギーを制御しな
がら、グリツドGの作用で効率良くイオンビーム
10を引出し、基板S上へ導びくことができる。
また、基板Sのある側は10-5Torr以上の高真空
に引かれているので、クリーンで不純物の少ない
NbN膜を堆積させることができる。 なお、イオンビームを引出す側に配されたター
ゲツトT2の小孔11,12は必要以上に大きく
しない方がよいが、あまり大きくするとスパツタ
部Aと導出部Bとのガス圧差によつて基板S側へ
不要なガスがリークして堆積膜の純度低下が生じ
易く、或いはターゲツトT2及びグリツドGの強
度面でも望ましくなく、しかもターゲツト面積が
減少してスパツタ効率も低下し易くなることが考
えられる。 次に、上記した対向ターゲツト式スパツタによ
る(NbN)イオンの堆積条件、NbN膜の性質等
を詳細に説明する。 基板Sとしては、導電性・耐熱性を有するSi基
板(20×25×0.6tmm)および岩塩を用いた。基板
を洗浄した後、基板ホルダーにセツトし、膜堆積
槽と基板にヒーターによる脱ガス、排気を行なつ
た後、放電ガスを窒素、アルゴンの順で上述のス
パツタ部Aに導入して、膜堆積を行なつた。下記
表にNbN膜堆積条件を示す。
【表】 膜堆積速度Rdは、Vp、PN2に強く依存した。 第8図にSi(111)基板を用いた場合のRdのVp
依存性を示す。RdはVpが20Vになるまで急速に
上昇し、Vp=20〜50Vの範囲でほぼ一定の値を
とつた後に減少し、Vpが100V以上では、ほとん
ど零となつた。また、Rdはイオン源内放電電流
Idの増大とともに上昇した。 Rdの最初の上昇は、イオン電流IsのVp依存性
を反映したものであり、またVp=50V以上でRd
が減少するのは、堆積粒子であるイオンの運動エ
ネルギーが増大するにつれて、基板付着率の減
少、膜の再スパツタ(Nb単体のスパツタスレシ
ヨルド電圧は22V)の効果が大きくなるためと考
えられる。 第9図のRdの窒素分圧PN2依存性を示す。Rd
はPN2が上昇するにしたがつて減少し、また同一
のPN2においては全圧P totalが大きいほど大き
くなる傾向を示す。これは、窒素濃度が高いほど
ターゲツト表面の窒化物生成速度が上昇し、ター
ゲツトのスパツタ率が低下するためと考えられ
る。 第10図にRdのP total依存性を示す。導電
性Si(111)基板を使用した場合、Rdはガス圧の
上昇により単調に低下するが、絶縁性の岩塩基板
ではRdがP totalの低い領域でSi(111)基板の
ものより1桁低いとともに、P totalの上昇に
対しピークをとつてから減少し、その結果両者の
比Rd(Si)/Rd(NaCl)はP totalの上昇とと
もに減少した。岩塩基板上には堆積粒子として中
性粒子しか堆積しないと考えられるので、この傾
向はイオン源から放出されるビーム中のイオンの
割合が、P totalの降下につれて90%を上限と
して増大することを意味する。次に、上記方法に
よつて作製したNbN膜の性質を説明する。 作製した試料膜(NbN)について、公知のX
線回折による結晶性の評価、公知の4端子法を用
いた超伝導臨界温度の測定を行なつた。以下に結
果を示す。 (A) NbN膜の構造 膜の結晶性は、基板温度Tsによつてほぼ決
定され、Tsが100℃以下の場合非晶質的構造と
なるが、100℃以上の場合には、化学量論的B1
型構造結晶が得られた(第11図のX線回折図
参照)。これは、Rd、Vp、および実験を行な
つた範囲でのPN2に依存しなかつた。 第12図に、B1相(111)、(200)面のX線
回折幅から求めた平均結晶粒径<D>の基板温
度依存性を示す。<D>はTsの上昇に伴つて直
線的に上昇する傾向を示し、Ts=500℃におけ
る<D>は、100℃のそれの約2倍となつた。
Vp=10〜20Vで作製した膜の<D>に比べて
Vp=30〜50Vの条件で作製したものの方が大
きく、同一の<D>が得られるTsは、Vp=30
〜50Vの膜のものがVp=10〜20Vのものより
約200℃低くなつた。<D>の大きさを左右する
要因である膜堆積速度Rdと、堆積粒子の基板
表面移動度とのうち、Rdは両条件ともほぼ等
しいので、<D>の相違は表面移動度の相違が
主な要因と考えられる。すなわち、Vpの上昇
によるイオンの運動エネルギーの増大にともな
い、基板表面の加熱と付着粒子の表面マイグレ
ーシヨン効果が促進され、その結果、実効的基
板表面温度(表面移動度と正相関)が上昇し
て、結晶粒子の成長が促進されたものと思われ
る。 第13図に、B1相の格子定数a0の窒素分圧
PN2依存性を示す。ここでの試料は、Ts=500
℃、P total=5×10-4Torr一定の条件で作
製したものである。a0はPN2の上昇に伴なつて
単調に上昇し、PN2を制御することにより、化
学量論的NbNの格子定数4.39Åを持つB1相単
相膜が形成できた。また、a0はVpが20V以下、
Vpが30V以上の条件の2つのグループに分か
れる傾向を示し、前者より後者の方が同一の
PN2におけるa0は大きくなり、また前者では公
知のRF反応性スパツタと同様、a0=3.195Åと
Nb:N=1:1程度の膜しか形成されなかつ
たのに対し、後者ではa0=4.15Åと窒素がかな
り過剰となつている膜も形成された。これは、
Vpを高くとつた場合、基板表面におけるNbと
窒素の反応が促進され、準安定な結晶構造を形
成できることを示しており、Vpを変化させて
イオンエネルギーを制御することにより、化合
物形成時の反応過程をある程度制御できること
を示唆していると考えられる。 第14図に、格子定数a0の基板温度Ts依存
性を示す。ここでの試料はP total=5×
10-4Torr、Vp=30〜40Vの条件で作製したも
のである。3種のPN2において、a0はTsの上昇
に伴つてわずかながら減少する傾向を共通に示
した。これは、膜中の窒素分圧がTsの上昇と
ともに減少することを示しており、NbNにお
いて窒素の解離圧が温度の上昇とともに増大す
ることを反映したものと言える。 第15図に、格子定数a0のVpによる変化を
示す。平均結晶粒径<D>と同様、a0はVpが
20V以下と30V以上で異なる値をとつた。a0
化学量論的B1相と同程度の値をとるのは、Vp
≧30Vの条件で作製された膜であつた。膜堆積
条件のうち、異なつているものは堆積イオンエ
ネルギーのみであるから、a0の差はイオンによ
る基板加熱効果、マイグレーシヨン効果の差異
に起因していると言える。 これらのa0に関する結果を通常のRFスパツ
タ法のそれと比較すると、本実施例では基板温
度500℃以下、全ガス圧に対する窒素ガス混合
比10%以下の条件で化学量論的B1相のa0を持
つ膜が得られたが、公知のスパツタ法でこのよ
うな膜の得られる条件(基板温度約700℃、窒
素ガス混合比20%)よりも、(1)、低基板温度
(2)、低窒素ガス混合比でよいことが分つた。 一般に、化学反応速度Vは、次式で表わされ
る。 V∝K・Pan K=Aexp(−ΔE/RT):反応速度定数 Pa:反応性物質濃度 ここでΔEは反応の活性化エネルギー、Rは
気体定数、Aは反応の種類によつて決まる定数
である。本実施例におけるa0の結果より、公知
のスパツタ法と比べてPaが約1/2になつている
にもかかわらず、Vが同等もしくはより大きい
ことがわかる。同種の反応であるため、Aを同
じと考えると、本実施例の堆積方法(イオンビ
ームデポジシヨン法)ではKが大きくなつてい
ることになる。反応性スパツタ法では堆積粒子
が数eVのエネルギーを持つ中性粒子であるの
に対し、本例におけるイオンビームデポジシヨ
ン膜の堆積条件では堆積粒子の約90%が40〜
60eVのエネルギーを持つイオンであり、両者
の運動・内部エネルギーは大きく異なつてい
る。これらは、ΔEの減少、基板加熱効果、マ
イグレーシヨン効果による実効的なTの上昇作
用をもたらすものなので、その結果として
ΔE/RTが減少し、Vの上昇となつて現われ
たものと考えられる。 第16図に、NbN膜の(200)面の配向指数
f(200)の基板温度Ts依存性を示す。X線ダ
イアグラム中で大きな強度を示すものは
(200)、(111)面回折像のみであるので、f
(200)はI(200)/{I(200)+I(111)}とし
た。Vp=20V、30〜50Vの両条件で作製され
た膜のどちらも、Tsの上昇にともないf(200)
が上昇する傾向を示すが、Vp=30〜50Vの膜
のf(200)はVp=20Vの膜に比べてかなり低
い値となつている。 第17図Aに、本例によるNbN膜について、
X線ダイヤグラム、および各作製条件で比較的
強く配向した面を示す。比較のため、通常の
RFスパツタ膜の配向面を第17図Bに示す。
本例では、Ts、Vpの条件によつて、(111)面
配向、(200)面配向、ランダム等、様々な結晶
方位を持つ膜が形成された。堆積粒子エネルギ
ーが10eV程度の場合、形成される結晶質膜の
配向性は、基板温度が上昇するにしたがつて最
緻密面から順次密度の低い面へ移行する
(NaCl型構造の場合、(111)→(200)の順)。
よつて、Vp=10〜20Vの結果は、巨視的に見
ると、Vpにより実効的表面温度が変化してい
るものと解釈できるが、Vp=30〜40Vには、
結晶方位によつて強度の異なるNb−N結合の
選択的再スパツタ、堆積粒子による核の破壊な
ど、種々の原因が考えられる。 以上の結果から、堆積粒子中のイオンの比率
が高く、運動エネルギーの高いP total=
10-4Torrオーダー、Vp≧30Vの条件で作製を
行なうと、イオンの持つ内部エネルギー、基板
加熱効果、マイグレーシヨンの促進効果に起因
すると考えられる以下の事実が得られた。 (1) 低基板温度でa0=4.39Åを持つ膜が形成さ
れる。 (2) このときの窒素ガス混合比が通常のスパツ
タ法の約1/2と低い。 (3) 平均結晶粒径が大きい。 また、膜構造、配向性はVpに強く依存し、
Vpが20V以下と低い場合には、a0、<D>の減
少、配向性の変化等が見られた。Nbのスパツ
タのスレシヨルドエネルギーは約22eVであり、
これを境として膜構造が急激に変化すること
は、成長中の膜の再スパツタが膜構造に大きな
影響を及ぼすことを示唆するものと考えられ
る。 (B) NbN膜の臨界温度(超伝導温度) 第18図に、臨界温度Tcと格子定数の関係
を示す。Tcはa0がB1型構造NbNの化学量論的
組成における値(4.39Å)付近でピークをと
り、a0がそこから外れると急激に減少する傾向
を示した。またTcの最高値は15.8〓であり、
良好な超伝導性を持つ膜が形成されたと言え
る。 Tcの低下の様子は、a0が4.39Åより大きい
領域の方が小さい領域よりも急激になつた。前
者の場合、Tcの低下は格子中の窒素位置の空
孔が増えることによるデバイ温度θDの低下と、
電子−フオノン相互作用Vhの弱化によるもの
と考えられるが、後者では、結晶性が良好な場
合、θD、Vhは増大する傾向にあるため、同じ
理由でTcの低下を説明することはできない。
a0が4.39Åより小さい領域では、膜中に窒素原
子が過剰に存在しているので、これが格子を変
形させて結晶性を低下させ、Tcの低下をもた
らしていると考えるのが妥当であろう。 第19図に、Tcの窒素分圧PN2依存性を示
す。全圧P totalは5×10-4Torr、基板温度
Tsは400℃で一定とした。Tcが15〓以上の高
い値をとるPN2範囲は、Vp=30Vのとき1×
10-5〜1×10-4Torr、Vp=50Vのとき1×
10-5〜5×10-5Torrであり、Vpの上昇により
PN2の上限は減少し、また下限にも若干の減少
傾向がみられた。これは、Vpが上昇すること
により、基板表面におけるNb−N反応速度が
上昇したため、Vp=50Vの場合に化学量論的
NbNを形成するのに必要な窒素濃度が低くな
つたためと考えられる。 第20図に、Tcの基板温度依存性を示す。
ここでの試料はP total=5×10-4Torr、Vp
=30Vで作製したものである。TcはTsの上昇
にともなつて上昇し、PN2=5×10-5Torrの場
合Ts=350℃、PN2=8×10-5Torrの場合Ts=
400℃で、Tcは15〓以上の値になり、その後は
一定となつた。PN2=1×10-4Torrの場合に
は、Ts=500℃としても、Tcは13〓と低く、
さらに上昇を続ける傾向が見られた。これは、
Tsの上昇にともなつて膜中の窒素濃度の減少、
格子定数の減少が生じるため、PN2の低い条件
の方が高Tc膜の得られるTsが低下しているも
のと考えられる。また、この窒素濃度低下は
500℃までのTs範囲ではさほど大きくないた
め、PN2=1×10-4Torrの場合には窒素が過剰
となつてTcが低下し、PN2=5×10-5Torrの場
合にはTsの広い範囲にわたつて高Tc膜が得ら
れたものと考えられる。 第21図に、P totalを変化させたときの
TcのTs依存性を示す。ここでPN2は、通常高
Tc膜が得られる条件であるP totalの10%と
し、またVpは30Vで一定とした。P total=
2×10-4Torrで作製した膜のTcのTs依存性は
P total=5×10-4Torrでのそれと変化はな
く、Ts=350℃以上で15〓以上の値となつた。
一方、P total=1×10-3Torrの場合、Tcは
Tsの上昇にともなつて上昇するが、その絶対
値はP total=5×10-5Torr以下の場合より
も低く、またTs=500℃でもさらに上昇する傾
向にあつた。この範囲でP totalを変化させ
た場合、膜堆積速度の変化は10%以下である
が、イオンが堆積粒子中に占める割合は、P
total=5×10-5Torr以下では約90%、1×
10-3Torrでは約50%と大きく異なつている。
したがつて、TcのP totalによる変化は堆積
粒子中のイオンの割合によるもので、イオンの
量が多いほど低い基板温度で高Tc膜が得られ
ると言える。このことは、堆積粒子が中性粒子
のみに限られる通常のスパツタ法を用いて作製
した膜と比較すると、明確になる。図中に示し
たように、公知のスパツタ膜のTcはP total
=1×10-3Torrの場合よりさらに低くなつて
いる(スパツタ膜で15〓以上のTcが得られる
のはTsが700〓以上)。第21図の結果は、
NbN膜の場合、通常の作製法では700℃以上の
高基板温度でしか形成されない高Tc膜が、本
装置では堆積粒子のイオンの割合が多い場合に
400℃以下の低基板温度で得られることを示し
ており、応用上きわめて有利と言える。 第22図に、超伝導遷移幅ΔTcとTcの関係
を示す。ΔTcは基板温度Ts、窒素分圧PN2、全
圧P totalと明確な相関を示さず、Tcとのみ
負の相関を示した。Tcが上昇するにしたがつ
て、ΔTcは単調に減少し、Tc=10〓でΔTc
1〓、Tc=15〓ではΔTc=0.3〜0.5〓となつ
た。これは、Tcの高いものほどB1構造の結晶
中に空孔欠陥が少なく、また長距離的な秩序性
が高いため、膜中でTcの分布が少なくなり、
ΔTcが小さくなつているものと考えられる。 以上の超伝導臨界温度に関する結果を要約する
と以下の通りである。 (1) Tcは、格子定数a0に強く依存し、a0が4.39Å
の近傍で15〓以上の値が得られる。 (2) 高Tc膜の得られる窒素ガス混合率は約10%
で、通常のスパツタ法に比べて約1/2と低い。
また、Vpを上昇させることで、若干減少させ
ることができる。 (3) 15〓以上のTcが得られる基板温度の下限は、
350℃と通常の作製法より300℃以上も低く作製
上極めて有効である。 (4) ΔTcは、0.5〓以下でシヤープな遷移が得ら
れる。 また、上記(2)は、放電がより安定になることを
保障しており、膜作製時の制御性の改善が可能で
あることを示している。また(3)は、NbNの属す
る化合物系超伝導体を応用する上で最大の問題と
なつていた高基板温度の必要性を大幅に緩和した
ものと言える。 以上に述べた如く、本発明に基くNbN膜(第
1図の20)は、特に超伝導素子用として極めて
有用なものであるが、これは、上述した対向ター
ゲツト式スパツタによるイオンビームデポジシヨ
ンによつてはじめて可能となるのである。 本発明は、上述した超伝導素子以外にも種々の
デバイスに適用可能である。例えば、第23図に
示す如き増幅、記憶、論理演算素子用としても使
用できる。この演算素子は、窒化鉄(FexN)層
24上にSi3N4絶縁膜25を介して上述と同様の
NbN膜20を設けたものである。製造に際して
は、第2図に示した装置を用い、まずターゲツト
T1,T2をFe製にすることによつてFexN層24
を適当な支持体(図示せず)上に上述と同様の原
理で形成し、次にこのFexN層24上にSiターゲ
ツトT1,T2のスパツタによりSi3N4膜25を形成
し、更に上述と同様にしてNbN膜20を堆積せ
しめればよい。 以上、本発明を例示したが、上述した例は種々
変形が可能である。 例えば、第2図において、グリツドGを複数枚
セツトし、イオンビームの制御を種々に行なうこ
ともできる。また、下部ターゲツトT2に小孔1
1を形成せず、両ターゲツトT1−T2間の側方に
上述した如きスクリーングリツドを(縦に)配
し、ここからイオンビームを側方へ引出すように
してもよい。 6 発明の効果 本発明は上述した如く、対向ターゲツト方式の
スパツタ部で発生せしめたイオン化粒子を堆積せ
しめてなるNbN膜の形成方法に係るものである
から、プラズマを高密度に発生させてスパツタ効
率を高め得ると同時に、イオン化粒子を導入ガス
圧、加速電界、制御電界(グリツド電圧)、基体
温度等によつて正確にコントロールして常に所望
の膜特性を再現性良く得ることができる。この結
果、NbN膜は安定で、超伝導特性等に優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
1図は超伝導素子の概略断面図、第2図はイオン
ビーム発生装置の断面図、第3図は対向ターゲツ
トスパツタの原理図、第4図はイオンビーム導出
側のターゲツト及びグリツドの平面図、第5図は
第4図のX−X線断面図、第6図は上記装置の電
気回路系を示す図、第7図は各部のポテンシヤル
分布図、第8図はNbN膜堆積速度の加速電圧依
存性を示すグラフ、第9図は同堆積速度の窒素分
圧依存性を示すグラフ、第10図は同堆積速度の
全圧依存性を示すグラフ、第11図はNbNのX
線回折図、第12図はNbNの平均結晶粒径の基
板温度依存性を示すグラフ、第13図はNbNの
格子定数の窒素分圧依存性を示すグラフ、第14
図は同格子定数の窒素分圧に応じた基板温度依存
性を示すグラフ、第15図は同格子定数の加速電
圧に応じた基板温度依存性を示すグラフ、第16
図はNbNの配向指数の基板温度依存性を示すグ
ラフ、第17A,B図はNbNの基板温度及び加
速電圧によるX線ダイヤグラム、第18図は
NbNの臨界温度の格子定数依存性を示すグラフ、
第19図は同臨界温度の窒素分圧依存性を示すグ
ラフ、第20図は同臨界温度の窒素分圧に応じた
基板温度依存性を示すグラフ、第21図は同臨界
温度の全圧に応じた基板温度依存性を示すグラ
フ、第22図はNbNの超伝導遷移幅の臨界温度
依存性を示すグラフ、第23図は演算素子の概略
断面図である。 なお、図面に示された符号において、2……ガ
ス導入管、3……マグネツトコイル、10……イ
オンビーム、11,12……小孔、13……陽極
(加速電極)、20……NbN膜、21,22……
電極、24……FeN層、25……Si3N4膜、T1
T2……ターゲツト、G……スクリーングリツド、
A……スパツタ部、B……イオンビーム導出部、
S……基板、である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 ニオブからなる複数のターゲツトを互いに対
    向せしめ、これらの対向ターゲツト間に窒素含有
    ガスを供給し、前記ターゲツトをスパツタするプ
    ラズマを発生させ、このプラズマによつて発生し
    た窒化ニオブイオンを加速電界で加速した後に制
    御電界でエネルギー制御して前記ターゲツト外へ
    導出し、この導出された窒化ニオブイオンを基体
    上に導く窒化ニオブ膜の形成方法。
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JPS5485214A (en) * 1977-12-21 1979-07-06 Suwa Seikosha Kk Armor for personal watch
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