JPS633855Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、動力運搬車の差動機出力軸とフアイ
ナルケース入力軸間のギヤカツプリング構造に関
するものである。

従来、動力運搬車の差動機出力軸と、最終減速
機入力軸間のギヤカツプリングは、密封構造が不
完全であるため、グリース潤滑が施されている
が、回転の遠心力でグリースが散逸して潤滑不足
に陥つたり、グリースが固化して潤滑性能を失つ
たり、また砂塵等が侵入して摩耗を早めるという
欠点があつた。

本考案は、差動機の出力軸端、およびフアイナ
ルケース入力軸端を含めて、ギヤカツプリング内
部を密封し、給油の為のめねじ孔およびプラグを
設けることにより油浴潤滑を可能にし、上記の欠
点を解消する動力運搬車における差動機出力軸と
フアイナルケース入力軸間のギヤカツプリング構
造を提供せんとするものである。

本考案の実施例を図面にもとづいて詳説すれ
ば、Ａは動力運搬車を示すもので、左右に３輪づ
つを有した６輪駆動の動力運搬車である。機体フ
レームａ上には、右側方に運転部１を設け、その
左側方で、機体のほぼ中央部に原動機部２を設
け、その左側方にはバツテリー３、燃料タンク４
を前後に配設している。同機体フレームａの後端
にはシヤシーとなるべきチエンケース５を延設し
ており、同チエンケース５の左右の前中後部に
は、それぞれ前・中・後車輪が装着されている。
チエンケース５の中央部にはミツシヨン及び差動
機６が設置されており、原動機部２からの動力を
受け、右のギヤカツプリング１０を介してそれぞ
れ右のフアイナルケース１１に動力を伝達し、そ
れぞれ右のフアイナルケース１１からそれぞれ左
右の中車軸３４に動力を伝達し、左右中車輪の車
軸からチエンケース５に収納されたチエン伝達機
構Ｃによつて左右の前後車輪に動力を伝達して６
輪駆動の動力運搬車を構成している。チエンケー
ス５の上方には、油圧シリンダ７によつて後方に
ダンプ可能な荷台８が装備されている。

チエンケース５の中央部に配設された差動機６
の出力軸１２の軸端には出力軸フランジ１３が形
成されており、同出力軸フランジ１３には、取付
ボルト１４によつて、ギヤカツプリング１０のア
ウターシエル１５の端部に形成されたシエルフラ
ンジ１６が取付けられている。

同ギヤカツプリング１０は、アウターシエル１
５とインナーシエル１７によつて構成され、アウ
ターシエル１５は内面に内歯歯車１８が形成され
ており、同内歯歯車１８に嵌合する外歯歯車１９
を形成したインナーシエル１７が嵌入されている
が、外歯歯車１９は極度にクラウニングが施され
ており、回転力を伝達しつつ、出力軸１２とピニ
オン軸２０の若干の交差を許容している。

アウターシエル１５のシエルフランジ１６の取
付面１６′には、断面方形環状のＯリング溝１
６″が設けられており、スクイズ型のＯリング２
１が嵌入されており、出力軸フランジ１３の取付
面１３′によつて圧迫されており、取付面１３′と
１６′間を密封している。またシエルフランジ１
６の外周面２２には、給油用のめねじ孔２３が穿
設されており、ギヤカツプリング１０内部と通じ
ているが、同めねじ孔２３は、六角孔付きプラグ
２３′が螺入されることで密封されている。なお、
アウターシエル１５は、フアイナルケース１１側
に略円筒状に延設されており、内面に断面方形の
Ｏリング溝１５′が設けられており、同溝１５′に
スクイズ型Ｏリング２４が嵌入されている。

インナーシエル１７は、外歯歯車１９からフア
イナルケース１１に向けて略円筒状のシール部１
７′が延設されており、内面でピニオン軸２０と、
スプライン嵌合しており、ピニオン軸２０端に配
設されたボルト２５によつて固着されたエンドプ
レート２６によつて横摺動が防止されており、シ
ール部１７′は、アウターシエル１５の内面１
５′と若干の間隙２７ａをもつて対向しているが、
同間隙２７ａには、Ｏリング２４が挟装されてお
り、出力軸１２とピニオン軸２０が交差した場合
でもＯリング２４の弾性によつて密封を保つてい
る。またインナーシエル１７のフアイナルケース
１１側の端面１７″と、ピニオン軸２０に外嵌さ
れたスペーサー２７端面２７′の間には、スクイ
ズ型のＯリング２８が挟装されており、インナー
シエルの端面１７″の密封を保つている。

インナーシエル１７にスプライン嵌合している
ピニオン軸２０は、フアイナルケース１１の上部
に配設された軸受２９と、チエンケース５の内側
板５′に溶接されたケース取付板３０に配設され、
外側面を軸受カバー３０′で覆われた軸受３１に
よつて軸支されており、両軸受２９，３１の間に
ピニオン３２がピニオン軸２０と一体に形成され
ており、同ピニオン３２は被駆動ギヤ３３と噛合
している。同被駆動ギヤ３３は、中車軸３４の内
端部３４′でスプライン嵌合しており、同中車軸
３４の内端に環装された同心Ｃ型止め輪３４″に
よつて被駆動ギヤ３３の横摺動を防止している。
同中車軸３４はケース取付板３０に配設された軸
受３５と、チエンケース５の外側板５″に溶接さ
れた軸受ケース３６に配設された軸受３７，３
７′によつて軸支されており、同中車軸３４の、
軸受３５，３７′間にはスプロケツト３８，３
８′がスプライン嵌合しており、同スプロケツト
３８，３８′には、チエン３９，３９′が懸架され
てチエン伝導機構を構成しており、前後車輪に動
力を伝達している。また中車軸３４は、軸受ケー
ス３６を貫通して外部に突出しており、外端に溶
接されたホイルフランジ４０を介して中車輪が連
設されている。

本考案の実施例は上記のように構成されている
ものであり、差動機の出力軸端、およびフアイナ
ルケースピニオン軸端を含めてギヤカツプリング
内部を密封し、給油孔およびプラグを設けること
により、油浴潤滑を施すことを可能にした。

本考案によれば、上記のように、ギヤカツプリ
ング内部を密封し、同ギヤカツプリングの摺動部
に、従来行われて来たグリース潤滑を廃止し、油
浴潤滑を施すことでグリース潤滑におけるグリー
スの散逸、グリースの固化、砂塵の侵入を防止し
ギヤカツプリングの摩耗を防止する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は動力運搬車全体側面図、第２図は要部
−断面図、第３図は要部視図。 １０：ギヤカツプリング、１３：出力軸フラン
ジ、１６：シエルフランジ、１６″：Ｏリング溝、
２１：Ｏリング、２３：めねじ孔、２３′：六角
孔付きプラグ、１７″：インナーシエル端面、２
７′：スペーサー端面、２８：Ｏリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チエンケース５に動力を伝達するフアイナルケ
   ース１１のピニオン軸２０の先端にギヤカツプリ
   ング１０を密封状態に取付け、同カツプリング１
   ０に、原動機２と連動するミツシヨン及び差動機
   ６の出力軸１２を連結してなる動力運搬車の差動
   機出力軸とフアイナルケース入力軸間のギヤカツ
   プリング構造において、ギヤカツプリング１０の
   シエルフランジ１６の取付面１６′に断面方形環
   状のＯリング溝１６″を設け、同Ｏリング溝１
   ６″にＯリング２１を嵌入すると共に、同カツプ
   リング１０の取付面１６′に出力軸１２の出力軸
   フランジ１３の取付面１３′を密封状態に接合さ
   せ、さらに、同リング１０のシエルフランジ１６
   の外周面２２にめねじ孔２３を設けると共に、同
   めねじ孔２３に六角孔付きプラグ２３′を着脱自
   在に螺着し、ギヤカツプリング１０内に給油を行
   うべく構成してなる動力運搬車の差動機出力軸と
   フアイナルケース入力軸間のギヤカツプリング構
   造。