JPS6338381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、燃料噴射式エンジン、とくに、シ
リンダヘツド内壁に部分的に凹部を設けて、ピス
トン上死点において凹部よりなる燃焼室と微小間
隙のスキツシユゾーンとがシリンダヘツド内壁と
ピストン上面との間に形成されるようにし、燃焼
室とスキツシユゾーンには夫々バルブポートを開
口させる一方、吸気通路に燃料噴射弁を配設した
燃料噴射式エンジンに関するものである。

従来より、ピストンが上死点にあるときに、ピ
ストン上面とシリンダヘツド内壁との間に、凹部
よりなる燃焼室と、微小間隙のスキツシユゾーン
とが形成されるようにした燃焼室構造が知られて
いる（特開昭54−65207号公報）。

かかる燃焼室構造は、燃焼室をコンパクトな構
造とすることができるので高い圧縮比が得られる
うえ、所謂Ｓ／Ｖ比を高めることができること
と、スキツシユゾーンからのスキツシユ流によつ
て燃焼室内に渦流（乱流）が生成されるため、燃
焼速度が早められることとで、ノツキングを防止
できるといつた利点がある。

しかしながら、上記の燃焼室構造は、燃焼が燃
焼室を形成する凹部内で行なわれることから、凹
部を画成する壁面は厳しい熱的条件におかれる。
特に、シリンダヘツド内壁に部分的に凹部を形成
し、この凹部とその周囲のスキツシユゾーンとに
吸排気バルブのバルブポートを夫々開口したもの
では、バルブポートの開口径を大きく取ろうとす
ることから、一方のバルブポートが開口する凹部
と、他方のバルブポートとの間のスキツシユゾー
ン（ブリツジ部）の幅は、不可避的に狭くなり、
換言すれば、両者を隔てる壁の厚みが薄くなり、
隔壁の冷却が有効に行なえないことから、隔壁が
部分的に過度に加熱され、この部分が着火源（ヒ
ートポイント）となつてノツキングを生じ、有効
な点火制御が行なえないといつた問題がある。

この考案は、かかる問題に鑑みてなされたもの
であつて、上記燃焼室構造を有する燃料噴射式エ
ンジンにおいて、燃料噴射弁が噴射する燃料を利
用して燃焼室と一方のバルブポートとの隔壁部分
を冷却し、この冷却によつて隔壁部分の過度の加
熱を防止するとともに、隔壁部分の有する熱によ
つて燃料の気化、霧化を促進することができる燃
料噴射式エンジンを提供せんとするものである。

すなわち、この考案では、吸気通路に設置する
燃料噴射弁を、その噴霧（噴射）の中心がスキツ
シユゾーンに開口するバルブポートと燃焼室との
間のブリツジ部に位置するように配設し、最も苛
酷な熱的条件にさらされるブリツジ部を噴射燃料
によつて冷却するようにしたことを基本的な特徴
としている。

以下、図示の実施例に基いて、この考案をより
具体的に説明する。

第１図および第２図に示すように、ピストン１
の上面１ａに対向し、ピストン１の上死点におい
て、ピストン上面１ａとの間に微小間隙のスキツ
シユゾーン２を形成する円形のシリンダヘツド内
壁３には、部分的に凹部４を設けて、この凹部４
を燃焼室５として形成する。

そして、燃焼室５の上部中央には、排気バルブ
６によつて開閉される排気ポート７を開口させる
一方、燃焼室５以外のスキツシユゾーン２を形成
するシリンダヘツド内壁部分３ａの最も幅広とな
つた部分には、吸気バルブ９によつて開閉される
吸気ポート１０を開口させている。上記吸気ポー
ト１０と燃焼室５とは、上記シリンダヘツド内壁
３に凹設した浅い円弧状の溝１１によつて形成し
た案内部１２によつて連通する。換言すれば、ピ
ストン１が上死点まで上昇した際、この案内部１
２によつて、吸気ポート１０部分のエアを燃焼室
５内に、スワールとして流入させるように案内
し、燃焼室５内にスワールを生成する。

一方、吸気ポート１０に連通する吸気通路１３
に臨設する燃料噴射弁１４は、その噴霧の中心ｌ
が、吸気ポート１０と燃焼室５とを隔てる隔壁１
５の下端部１５ａ、換言すれば、スキツシユゾー
ン２のうち、燃焼室５と吸気ポート１０との間の
最も幅狭となるブリツジ部１６に位置するように
その方向を設定し、噴射燃料によつて最も苛酷な
熱的条件下にあるブリツジ部１６を冷却する。

ブリツジ部１６に向けて噴射された燃料は、ブ
リツジ部１６を冷却することによつて自らは加熱
され、気化・霧化が促進されたうえで、吸気バル
ブ９が吸入行程で開かれたときに、吸入エアとと
もに吸気ポート１０から吸入され、ピストン１の
上昇にともなつて燃焼室５内に圧縮される。

そして、ピストン１が上死点に達する段階で、
スキツシユゾーン２および吸気ポート１０部分に
存在するエアは、圧力の上昇にともなつて、一部
はスキツシユゾーン２から直接に、大部分は案内
部によつて案内された状態で燃焼室５内にスキツ
シユ流或いはスワール流として流入し、燃焼室５
内に乱流を生成する。このように、燃焼室５内に
生成された混合気流に対しては、適当なタイミン
グで、燃焼室５内に先端を臨ませて設けた点火プ
ラグ１７によつて着火され、良好に燃焼する。

上記の実施例では、燃焼室５に排気ポート７を
スキツシユゾーン２に吸気ポート１０を開口させ
た構造としたが、その逆の構造としてもよい。

以上の説明から明らかなように、この考案によ
れば、シリンダヘツド内壁に設けた凹部よりなる
燃焼室とスキツシユゾーンに開口するバルブポー
トとの間のブリツジ部に指向させて燃料噴射弁を
配設するというきわめて簡単な構成より、従来ヒ
ートポイントとなつていたブリツジ部を有効に冷
却することができるので、ピートポイントによる
ノツキングを確実に防止することができるうえ、
冷却によつてブリツジ部から奪われた熱は、その
まゝ噴射燃料の気化、霧化に使われるので、燃料
の気化、霧化を促進することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示すシリンダヘ
ツドの要部平面説明図、第２図は第１図の−
線方向断面図である。 １……ピストン、１ａ……ピストン上面、２…
…スキツシユゾーン、３……シリンダヘツド内
壁、４……凹部、５……燃焼室、７……排気ポー
ト、１０……吸気ポート、１３……吸気通路、１
４……燃料噴射弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ピストン上面に対向するシリンダヘツド内壁に
   部分的に凹部を設け、ピストン上死点においてシ
   リンダヘツド内壁面とピストン上面との間に上記
   凹部よりなる燃焼室と微小間隙のスキツシユゾー
   ンとが形成されるようにし、上記燃焼室とスキツ
   シユゾーンには夫々バルブポートを開口する一
   方、吸気通路に燃料噴射弁を配設してなる燃料噴
   射式エンジンにおいて、 上記燃料噴射弁による噴霧の中心が上記スキツ
   シユゾーンに開口するバルブポートと上記燃焼室
   との間のブリツジ部に位置するように燃料噴射弁
   を配設したことを特徴とする燃料噴射式エンジ
   ン。