JPS6338370Y2

JPS6338370Y2 -

Info

Publication number: JPS6338370Y2
Application number: JP18171483U
Authority: JP
Priority date: 1983-11-25
Filing date: 1983-11-25
Publication date: 1988-10-11
Also published as: JPS6088072U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、たとえばデイーゼルエンジンに備え
られる燃料噴射装置の改良に関する。

この種燃料噴射装置は、燃料噴射ポンプと、エ
ンジンに設けられるノズルおよびこれら燃料噴射
ポンプとノズルとを連通する噴射管その他から構
成される。上記燃料噴射ポンプは、エンジンに機
械的に連結するカムシヤフトの回転にともなつて
プランジヤバレル内のプランジヤを往復駆動し、
往復時にバレル内に導入した燃料油を圧縮・高圧
化して噴射管を介し上記ノズルからエンジンのシ
リンダ内へ噴射する。

ところで、エンジンのアイドリング時もしくは
低速高負荷時などは、排気ガスのスモークレベル
が極めて高いものである。これは、上記カムシヤ
フトがエンジンに連結されているため、エンジン
が低速回転のときはプランジヤの燃料油圧送圧力
が低いことに基因する。また、エンジンが高速回
転のときは、噴射管面積は一定のため管内圧力値
が高くなつて燃料油にキヤビテイシヨンが発生し
易い。このキヤビテイシヨンはポンプ構成部品に
対するエロージヨンとなり耐久性を低下させる。
これは、ノズル径と噴射管径との割合、あるいは
ポンプ側圧力、噴射管での燃料油流速等種々の条
件により影響されるが、一般的な傾向は上述の通
りである。

本考案は上記事情に着目してなされたものであ
り、その目的とするところは、第１、第２の逆止
弁を備えた補助噴射管と何も備えない主噴射管と
の２本の噴射管で燃料噴射ポンプとノズルとを連
通することにより、エンジンの低速回転時におけ
るスモークレベルの低減化と高速回転時における
燃料消費改善および燃料油としての反射波圧力値
低減によるキヤビテイシヨンエロージヨンの防止
化を図れる燃料噴射装置を提供しようとするもの
である。

以下、本考案の一実施例を図面にもとづいて説
明する。図面は燃料噴射装置の要部のみを示し、
図中１は燃料噴射ポンプＰを構成するプランジヤ
バレルである。このプランジヤバレル１内にはプ
ランジヤ２が往復動自在に収容される。また、プ
ランジヤバレル１の周壁には給排油ポート３が設
けられ、図において上端図にはインジエクシヨン
ポート４が設けられる。上記給排油ポート３は図
示しない燃料油タンクに連通する。上記インジエ
クシヨンポート４には吐出弁５が設けられる。こ
の吐出弁５は、ごく低い圧力で開弁し、かつ正逆
方向の流通が可能である。吐出弁５の吐出側には
噴射管６が接続される。この噴射管６は中途部で
主噴射管７と補助噴射管８とに分岐される。な
お、従来噴射管は、これら主、補助噴射管７，８
の断面積を合せた断面積に略同等である。それぞ
れの端部は図示しないエンジンのシリンダに設け
られる噴射ノズル９に連通する。上記主噴射管７
の中途部には何らの付加物もない。しかるに上記
補助噴射管８の中途部には上記噴射ポンプＰ側に
第１の逆止弁１０、噴射ノズル９側に第２の逆止
弁１１が、それぞれ設けられる。これら第１、第
２の逆止弁１０，１１は噴射ポンプＰの燃料油圧
送圧力が高圧力のときのみ、これから噴射ノズル
９側へ燃料油を流通させ、その逆の流通は阻止す
るようになつている。なお、主噴射管７と補助噴
射管８から導びかれる燃料油はいずれも噴射ノズ
ル９の噴孔から噴出される位置に、主、補助噴射
管７，８とも連通する。

しかして、プランジヤ２を往復駆動することに
より給排油ポート３からプランジヤバレル１内に
燃料油を給排出する。燃料油の給出時は吐出弁５
から噴射管６に圧送する。ただし、エンジンの回
転速度によつて、燃料油の圧送系路が異る。たと
えばアイドリング時、もしくは低回転高負荷時な
ど低回転速度の際は、プランジヤ２の燃料油圧送
圧力が小さい。第１、第２の逆止弁１０，１１の
セツト力は、上記エンジン低回転速度時の圧送圧
力より大に設定する。このため、第１、第２の逆
止弁１０，１１はともに開放せず、噴射管６に供
出される燃料油は主噴射管７にのみ導びかれて、
噴射ノズル９から噴射される。この噴孔に対する
主噴射管７の比である噴射絞り比（f/F₁但しF₁：
主噴射管７の断面積、ｆ：噴孔９ａの断面積）が
従来より大となるから、主噴射管７における燃料
油の流速および圧力が大となる。よつて噴射ノズ
ル９における噴射圧が大となり、燃料油の微粒子
化が促進され、燃焼状態が理想的になる。このこ
とにより、スモークレベルが低減する。

エンジンが高回転速度になると、プランジヤ２
の燃料油圧送圧力が上昇する。この圧力が第１、
第２の逆止弁１０，１１のセツト力を越えると、
燃料油は補助噴射管８に圧送される。当然、燃料
油は主噴射管７にも導かれ補助噴射管８とも噴射
ノズル９へ供出される。このことにより、充分な
燃料油量が確保され、噴射ノズル９から噴射され
る。プランジヤ２は往復駆動されるので、往復時
燃料油が主、補助噴射管７，８を圧送され、復動
時に逆送しプランジヤバレル１から給排油ポート
３を介して燃料油に戻される。これはエンジンの
低回転速度時および高回転速度時ともに同一であ
るが、特に高回転速度時においては第１、第２の
逆止弁１０，１１を設けたことにより、燃料油が
素早く、かつ確実に戻る。すなわち、燃料油戻し
時は主噴射管７を流通した燃料油のみ戻り、補助
噴射管８の燃料油は第１、第２の逆止弁１０，１
１に阻止されて戻らない。

さらにまた、エンジンの高回転速度時は、燃料
油の圧送時に主、補助噴射管７，８が使われ、戻
り時に主噴射管７のみ使われるので、互いに通路
体積が異る。したがつて、各管７，８内を反射波
として導びかれる燃料油の反射波圧力が低減し、
キヤビテイシヨンの発生を抑制できるのでエロー
ジヨンもない。このように本考案は、エンジンの
低回転時に、噴射管径を細くして噴射管内の燃料
圧力を高くするためのものである。したがつて、
燃料噴射ポンプＰ近傍の第１の逆止弁１０のみ備
えて第２の逆止弁１１を備えない場合には、主噴
射管７からの燃料がノズル９を介して補助噴射管
８内に逆流し、その分ノズル９の燃料噴射圧が低
下してしまう。また、ノズル９近傍の第２の逆止
弁１１のみ備えて上記第１の逆止弁１０を備えな
い場合には、インジエクシヨンポート４から圧送
された燃料が主・補助噴射管７，８内にそれぞれ
流入していき、補助噴射管８内に流入した分だけ
主噴射管７内の燃料圧力が低下する。このような
理由から、第１の逆止弁１０は主・補助噴射管
７，８の分岐部近くの補助噴射管８に、かつ第２
の逆止弁１１はノズル９に近い補助噴射管８にそ
れぞれ設けることが、最適となる結果が得られ
る。ただし、上記逆止弁を３個もしくはそれ以上
補助噴射管８に備えても、燃料の流量抵抗が増大
するとともに、コストが増加するだけで何等のメ
リツトもない。

以上説明したように本考案によれば、エンジン
が低回転速度の際は主噴射管のみ、高回転速度の
際は主、補助噴射管で燃料油を導びき、上記補助
噴射管には第１、第２の逆止弁を離間して設けた
から、低回転速度の際のスモークレベルの低減化
と、高回転速度の際の燃料消費量改善および反射
波圧力値低減によるキヤビテイシヨンエロージヨ
ンの防止化を得るなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す燃料噴射装置の
概略的構成図である。Ｐ……燃料噴射ポンプ、９……噴射ノズル、６
……噴射管、１０……第１の逆止弁、１１……第
２の逆止弁、８……補助噴射管、７……主噴射
管。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

燃料噴射ポンプとノズルとを噴射管を介して連
通し、燃料噴射ポンプから噴射管を介しノズルに
圧力波として燃料油を圧送し、かつ吸い戻すよう
にしたものにおいて、上記噴射管は、燃料噴射ポ
ンプ近傍に第１の逆止弁、ノズル近傍に第２の逆
止弁を備えた補助噴射管と、何も備えない主噴射
管とからなり、上記第１、第２の逆止弁はポンプ
圧送圧力が高いときのみ所定流通方向が開放する
ことを特徴とする燃料噴射装置。