JPS633767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はホツトプレスに合板、積層材、樹脂積
層板等の板体を加熱圧締するための熱板の改良に
関するものである。

板体を加熱圧締する熱板は、通常縦横の寸法に
もよるが真直度を保持するため、或る一定の剛性
を有する厚鋼板を素材とし、この厚鋼板に蒸気、
熱油等の加熱媒体を回流させるための通路を形成
すべく、その縦横に亘つて一定間隔毎に複数個数
を貫通穿孔した後、栓棒によつて止着して製作さ
れている。

このため、熱板はその本来的な目的に比して、
過重量とならざるを得ず、またその製作に際して
は、特殊設備並びに高度に熟練した技術を要し、
製作に掛る時間並びに費用が嵩むことになる。

またこの種熱板を上下方向に多段に配設して成
るホツトプレスにおいては、熱板自体の過重量を
支持するために、プレス装置が過大となるばかり
か、多段に配設された熱板を昇降させる動力も負
担増となる欠点があつた。

さらに加熱圧締後の板体に、加圧力のばらつき
による接着不良の発生が発生し易い状態となる。
この接着不良の発生原因としては、まず板体自体
に多少の厚薄が存在することにあり、次いでプレ
ス装置に複数個のラム、シリンダが配設されてい
ることもその遠因となつている。即ち各ラム、シ
リンダへの作動油の供給は同一駆動源を使用する
ため、各ラムの上昇においては若干の時間差を要
し、各ラムに取着されている可動盤は若干傾斜し
た状態で上昇せざるを得ないからである。さらに
可動盤外側部にはプレス支柱の可動盤側に取着さ
れた摺動盤と、摺動する摺動ガイドが配設されて
いるが、各摺動ガイドと摺動板との接触状態が均
一でないため、摺動抵抗の大小により可動盤は若
干傾斜した状態で上昇せざるを得ない。したがつ
てこの傾斜状態にて圧締される板体には、単位面
積当りの加圧力にばらつきが生ずることになる。

上記記載の傾向は熱板の過重量、段数の高段化
によつて増長的に集積され、副次的に上段部と下
段部との加圧力の差も派生している現状である。
これらを解消すべく各熱板重量を支持しながら、
同期的に縮閉、開放する同時圧締装置を設置して
も平行上昇は達成されるが、熱板自体が一定の真
直度を有している機構上、板体の厚薄に対応し得
ず、依然として加圧力のばらつきが発生すること
になる。

本考案は叙上に鑑み、熱板の素材として一対の
平板状の金属板を採用してその軽量化を図り、閉
塞された金属板間の内部中空へ加熱媒体を給排せ
しめることにより、板体の加熱圧締時に板体の厚
薄に倣つて膨張可能とし、所定の圧力を付与し得
る構造としたものであり、以下その実施例を図面
に基づきまず構成より説明する。

熱板１の素材としては比較的薄肉の鋼板、アル
マイト加工を表面に施したアルミニウム板、又は
アルミニウム合金板等の一対の金属板２，２′が
採用され、該一対の金属板２，２′を上下一定の
高さに相対向して設置されている。

さらに前記金属板２，２′の四周縁部を屈曲し
た後、溶接を施して閉塞状態とするか（第２図参
照）若しくは前記金属板２，２′間と同一高さを
有する仕切板３をその四周縁部に溶接を施して閉
塞状態とする（第３図参照）。

閉塞された前記金属板２，２′間の一端には、
熱油、蒸気等の加熱媒体を供給する供給口４を、
また他端には排出口５を設置して、加熱媒体が内
部中空６を通過する様に構成されている。

次に前記熱板が通常装着される多段式ホツトプ
レス７を第４図に基づき略述する。

ホツトプレス７は、支柱８を介して上下に対設
された上フレーム９と下フレーム１０を有し、該
下フレーム１０に設置されたシリンダ１１のラム
１２によつて昇降する可動盤１３を有する。前記
上フレーム９の下部並びに可動盤１３の上部には
最上部、最下部となる前記熱板１が固着され、そ
れぞれの熱板１間には、適宜間隔を置いて中間の
熱板１が複数個配置され、爪部材（図示せず）を
介して支持されている。

尚、図中１４は板体を示す。

次に本考案の熱板１を多段式ホツトプレス７に
装着した場合の作用を略述する。

最下部並びに中間の熱板１上へプツシユブロツ
ク、プツシヤーバー等の板体１４挿入装置（図示
せず）を介して、板体１４を全段一斉に挿入載置
した後、シリンダ１１を作動してラム１２を上昇
させると可動盤１３は上昇し、最下部の熱板１上
に載置されている板体１４は中間の熱板１を順次
押上げて上昇限に至る。

上昇限に至ると板体１４は最上部、中間部、最
下部の各熱板１間に密着された状態となり、この
時点でシリンダ１１の作動を一旦停止し、まず排
出口５に連通する配管（図示せず）の途上に設置
された停止弁（図示せず）等を介して、加熱媒体
の流動を遮断した後、熱板１に設置された供給口
４より加熱媒体を熱板１内へ供給し、該加熱媒体
に随時圧力を付与する。

また上記方法に代替して、加熱媒体を排出口５
側で遮断すると共に、供給口４側も停止弁（図示
せず）を介して遮断し、一定の圧力を保持せしめ
た後、前記シリンダ１１に上記圧力より高い圧力
を付与してもよい。

この時、熱板１の金属板２，２′は中空状のた
め膨張可能となり、板体１４の厚薄に倣つて加熱
圧締を実施し得る。

次いで加熱圧締終了後停止弁（図示せず）を解
放させ、圧抜きを行いシリンダ１１の作動により
ラム１２を下降させて、板体１４の接着を完了す
るものである。

以上の如く本考案の熱板は、従来の熱板に比し
て製作加工が極めて容易となるばかりか、重量の
大巾な軽減化が図れると共に、熱板の内部が中空
状のため、加熱媒体（蒸気、熱油等）の供給によ
り随時圧力を発生させ、板体の厚薄に倣う膨張が
可能となり板体の接着不良等を解消し得るもので
ある。

このためホツトプレスに本考案の熱板を装着し
た場合、熱板の軽量化に伴いプレス装置が小型化
となり、所要動力の減少が図れるものである。

また従来の加熱圧締の圧力より低い圧力で接着
が可能のため、板体の厚み減りが大巾に改善され
て、合板の歩留りの向上に大きく貢献するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の熱板の一実施例を示す一部破
断平面図、第２図は同一実施例を示す一部破断側
面図、第３図は同他の実施例を示す一部破断側面
図、第４図はホツトプレスの正面図、第５図はホ
ツトプレスにおける板体の加熱圧締を示す説明
図。 １……熱板、２，２′……金属板、３……仕切
板、４……供給口、５……排出口、６……内部中
空、７……ホツトプレス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定高さを有して相対向した一対の金属板の四
   周縁部を屈曲、または該金属板間に一定高さを有
   する仕切板を介して溶接し閉塞状とすると共に、
   閉塞された金属板間に供給口並びに排出口を設置
   したホツトプレス用熱板。