JPS6337591B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、可変磁気抵抗モーターのような可変
磁気抵抗機械（Variable reluctance machines）
と共に使用するポジシヨンコーダー（position
coder）に関する。

可変磁気抵抗モーターは、一般に、複数の磁性
鉄板製リングを筒状に重ねたものにより構成され
た回転子を有し、その外周に一定のピツチで歯を
切つてある。固定子もまた磁性鉄板製リングを筒
状に重ねたものから成つて、回転子を同心の状態
で囲んでいるが、回転子と固定子の間には小さな
空間をもたせてある。その固定子の、回転子に面
した内側の面には、極ピツチにて等間隔の溝を設
けてあり、これらの溝には固定子巻線が配設され
ている。更に固定子は、回転子に至近なこの同一
面に、回転子のそれらと同様の歯を有する。各固
定子巻線より内側のこれらの歯のピツチは、回転
子の歯のピツチと同一であるが、それにもかかわ
らず、ある固定子巻線とその次の固定子巻線との
間で、固定子の歯は回転子の歯に対して、バーニ
ア効果を与えるように累進的な位置変化を示す。

連続している２つの固定子巻線を含む固定子部
分と、それに面する回転子部分との対応するこの
組合せは磁気回路を構成し、その磁気抵抗は固定
子に対する回転子の角度位置に伴つて変化する。
順次生起する固定子巻線の転流は、任意の隣接し
た２つの固定子巻線に対応する磁気回路の磁気抵
抗が最大又は最小（以下、これらを磁気抵抗の極
値という）になる度毎に起きる。このことは、回
転子の角度位置に対するこれらの引き続き起こる
転流の正確な同期を意味する。回転子の歯は均等
に間隔をあけてあるので、そのステツプが回転子
の歯の数と等しく、かつその遷移が磁気抵抗の極
値と一致するようにコーダーが位置決めされてい
るならば、理論上は、どんな定位増分コーダー
（static incremental coder）でもこの同期を確
保し得るであろう。

実際には、しかしながら、例えば回転子と固定
子との同心性の誤差の原因となる可変磁気抵抗モ
ーターの製造上の許容誤差を特に考慮するなら
ば、可変磁気抵抗モーターの正確な機能を保証す
るために十分な精度をもつてこの位置決めを達成
することは非常にむつかしい作業である。

本発明の目的は、可変磁気抵抗モーターの製造
におけるこの重大な難事を克服することである。
すなわち、微妙な調整を要求することなく、固定
子巻線の転流の正確な同期を確保することがで
き、しかも回転子と固定子との同心性の欠如とい
うような製造上の誤差に広い範囲に亘つて注意を
払わずにすむように、可変磁気抵抗機械に組み込
むポジシヨンコーダーを提供することである。言
い換えるならば、本発明は可変磁気抵抗機械の回
転子の角度位置を正確に知るためのポジシヨンコ
ーダーを提供せんとするものである。

このために、本発明は可変磁気抵抗機械の回転
子用および固定子用の磁気回路と同一で同一の方
法によりセツトされる、回転子用と固定子用の磁
気回路をもつことを特徴とするポジシヨンコーダ
ーに関するものである。

以下、添付図面に示す実施例にもとずいて、本
発明をより詳細に説明する。

第１図に示すように、ポジシヨンコーダーは回
転子１０と固定子２０から成る。回転子１０は可
変磁気抵抗モーターの回転子に使用されるものと
同一の、複数の磁性鉄板製リングを筒状に重ねた
もので構成されモーターにおけると同一の方法で
モーターのシヤフトに固定されている。ポジシヨ
ンコーダーの回転子１０を構成する筒状体は、モ
ーターの回転子を構成する筒状体と単に磁気的に
絶縁されており、後者の筒状体よりも薄く、例え
ば５mm程度の厚さにすることが可能である。

固定子２０は、可変磁気抵抗モーターの固定子
を構成している磁性鉄板製リングと同様の磁性鉄
板製リングを筒状に重ねたもので構成されてお
り、その歯及び溝がモーター軸と平行方向に、モ
ーター固定子の歯及び溝と整列するようにしてモ
ーターの固定子側に取り付けてある。ポジシヨン
コーダーの固定子２０を構成している筒状体は、
モーターの固定子を構成している筒状体とは単に
磁気的に絶縁されており、それは後者の筒状体よ
りも薄く、回転子１０と同じ厚さである。しかし
てポジシヨンコーダーの固定子２０はモーターの
固定子と同数の極Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４，…及
び同数の固定子極巻線Ｅ１，Ｅ２，Ｅ３，Ｅ４，
…を有し、各々の巻線は入口ｅと出口ｓを有す
る。例えば、偶数列の巻線Ｅ２，Ｅ４，…は“検
出コイル”を奇数列の巻線Ｅ１，Ｅ３，…は“励
磁コイル”を構成する。

第２図は、本発明によるポジシヨンコーダーの
回路構成図である。正弦波電流発生機Ｇは、周波
数0（例をあげるならば10乃至100KHzの間）で励
磁コイルＥ１，Ｅ３，…に給電し、２つの連続し
た励磁コイルが互いに反対方向のフラツクスを発
生するように結線されている。検出コイルＥ２，
Ｅ６，…は直列に結線される。このようにして差
動変圧器に相当するものがつくられ、検出コイル
が受けとる電圧の振幅は磁気回路の磁気抵抗がそ
の極値になる都度打ち消される。

直列に結線された検出コイルは同期復調器Ｄと
連結され、その同期復調器は捕捉した電圧から搬
送周波数0を分離し、磁気抵抗の極値に対応する
位置で０点を通過する交流信号Ｓ１を発する。こ
の信号によれば、モーターの固定子巻線の転流が
磁気抵抗の極値の位置と正確に同期する。しかし
乍ら、かかる正確な状態における転流を確保する
ためには、単にひとつの同期信号を得るだけでは
足りず、モーターの回転方向を知ることも必要で
ある。かかる情報はつぎに述べる方法で、モータ
ーの回転方向に90゜ずれた２個の同期信号を与え
ることにより簡単に得られる。0と異なる周波数
1で電流が流れるもう一組のコイルか、前述のも
のと同一で、かつ同一周波数0を使用するもう一
組の磁気回路かを利用して、前述の励磁コイルと
検出コイルの交換によつて、磁気抵抗の極値の位
置を同じ方法で検出できる。例えば第２図の回路
において一方でＥ１をＥ２に、Ｅ３をＥ４に、Ｅ
５をＥ６に、Ｅ７をＥ８に置き換え、また他方Ｅ
２をＥ３に、Ｅ６をＥ７に置き換えると、Ｓ１の
代わりに信号Ｓ２が得られる。Ｅ２Ｅ６はＥ２お
よびＥ６と同じ極に巻いたコイルに対応するも相
通ずる点はない。）その信号Ｓ２は回転子の回転
速度が一定の間は、Ｓ１から90゜ずれたものであ
る。

第１ａ図は検出コイルの別の実施例ｅ２，ｅ３
を示す。ｅ２，ｅ３の様な小さめの検出コイルを
使用することにより、より高い周波数で運転する
こと、したがつて、また、検出感度を増進させる
ことが出来る。そして、この様にして、信号が０
を通過する瞬間を検出する精度を高めることが可
能である。

検出コイルからの総電圧は、回転子と固定子と
の同心性の誤差に起因する両者間の空間のバラツ
キによる影響を、無視してもよい程度に縮小する
ことを可能にする。これに加えて、温度、コイル
に誘導されるEMF（起電力）の存在、及び搬送波
の周波数と振幅の安定性は検出電圧が０点を通過
する際のタイミングに全く影響しない。

以上説明したポジシヨンコーダーは、可変磁気
抵抗機械の制御に関する独特の利点を示す。すな
わち、本発明のポジシヨンコーダーによれば、可
変磁気抵抗機械の回転子の角度位置を正確に知る
ことができるため正確な転流が達成され、それゆ
えにまた、製造誤差をそれほど厳しく管理する必
要がなくなるので可変磁気抵抗機械の製造が容易
になる。これらの利点は本質的に、このポジシヨ
ンコーダーにおいては、モーターの磁気回路と同
一で、同一の方法により組まれ、それゆえ製造誤
差等に鑑みて従来必要とされていた調整を要しな
い磁気回路を使用していることによるものであ
る。

当然、本発明は以上述べ、かつ、示した実施例
に限定されるものではなく、これを基礎として、
本発明の範囲にもとることはなく他の実施例を考
案することが可能である。

なお、本発明は下記の態様で実施することがで
きる。

(1) 下記からなるポジシヨンコーダー： 第１および第２の励磁コイルと、これら第１
および第２の励磁コイルと電磁的に結合した検
出コイルとを取り付けてある固定子； 前記第１および第２の励磁コイルに交流電圧
を与えて、前記第１の励磁コイルをして前記検
出コイルに第１の極性交流電圧を誘起せしめ、
かつ、前記第２の励磁コイルをして前記検出コ
イルに第２の逆極性交流電圧を誘起せしめる手
段； 前記励磁コイルおよび検出コイルに近接配置
され、前記固定子に対する角度位置に応答して
各励磁コイルと検出コイルとの磁気結合を変え
て前記検出コイルに誘起される第１および第２
の極性電圧の相対振幅を変化させ得る回転子；
および 前記検出コイルに電気的に連結され、前記検
出コイルに誘起された電圧に応答して前記回転
子と固定子との相対位置を測定し得る手段。

(2) 前記回転子と固定子とが、前記固定子に対す
る前記回転子の角度位置に応答して、前記検出
コイルと前記第１および第２の励磁コイルのう
ちいずれか一方との電磁結合を増し、同時に、
前記検出コイルと前記励磁コイルのうちの他方
との電磁結合を減じるために協働する手段を含
んでなる上記(1)のポジシヨンコーダー。

(3) 前記コイルが前記回転子に沿つて周方向に離
間しており、前記協働手段が、前記回転子の周
囲に沿つて配した周方向に離間した第１の複数
の歯と、これに対して前記コイル間で前記固定
子に配された周方向に離間した第２の複数の歯
とを含み、前記第１および第２の複数の歯の相
対位置の変化が、前記固定子に対する前記回転
子の角度位置の変化に応答して前記励磁コイル
と前記検出コイルとの電磁結合を差動的に変え
る働きをする上記(2)のポジシヨンコーダー。

(4) 前記誘起電圧に応答する手段が前記第１およ
び第２の誘起交流電圧の打消しの指標を与える
零検出手段を含んでいる上記(2)のポジシヨンコ
ーダー。

(5) 前記零検出手段が同期復調器を含んでいる上
記(4)のポジシヨンコーダー。

(6) 前記固定子が所定数の励磁コイルとその周囲
に配された同数の検出コイルとを有し、各検出
コイルが前記励磁コイルの二つの間に介在し、
前記二つの励磁コイルが両者間に位置する検出
コイルに相反する極性の交流電圧を誘起し得る
上記(1)のポジシヨンコーダー。

(7) 前記交流電圧供給手段が前記励磁コイルの
夫々に電気的に接続されている上記(6)のポジシ
ヨンコーダー。

(8) 前記検出コイルが直列に接続されている上記
(7)のポジシヨンコーダー。

(9) 所定数の固定子巻線を有する可変磁気抵抗機
械と共に使用し得、励磁コイルの数が前記可変
磁気抵抗機械の固定子巻線の数と等しい上記(6)
のポジシヨンコーダー。

【図面の簡単な説明】

第１図はモーター軸に垂直な断面図で、本発明
によるポジシヨンコーダーの磁気回路の配置概要
を示す。第１ａ図は検出巻線の別の実施例を示す
が、図面の簡明化のため本図は第１図の―′
線と―′線とで限定された部分のみを示す。
第２図は本発明によるポジシヨンコーダーの回路
構成図である。 １０……回転子、２０……固定子、Ｐ１，Ｐ
２，Ｐ３，Ｐ４，…，……極、Ｅ１，Ｅ３，…，
……励磁コイル、Ｅ２，Ｅ４，…，……検出コイ
ル、ｅ……入口、ｓ……出口、Ｇ……正弦波交流
発生器、Ｄ……同期復調器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 可変磁気抵抗機械と共に使用し当該機械の固
   定子巻線の転流を制御するためのポジシヨンコー
   ダーにして、前記機械のものと同一でかつ同様に
   組み付けてなる回転子用および固定子用の磁気回
   路と、夫々前記機械の回転子および固定子の磁性
   鉄板製リングからなる筒状体と同一の磁性鉄板製
   リングからなる筒状体で構成され、それらの歯と
   溝が前記機械の回転子および固定子の歯と溝と機
   械軸に並行な方向で整列する回転子および固定子
   とを有し、固定子には前記機械の固定子における
   と同数の極巻線があり、このポジシヨンコーダー
   の固定子の極巻線は該固定子の周囲に現れる順番
   に従つて交互の励磁コイルと検出コイルであつ
   て、励磁コイルには連続する２の励磁コイルが互
   いに逆方向のフラツクスを発生するように正弦波
   電流を供給し、検出コイルは直列に結県するとと
   もに同期復調器に連結して該同期復調器に通じて
   磁気抵抗の極値の位置にて消失する交流信号Ｓ１
   を発するようにしたことを特徴とする可変磁気抵
   抗機械用ポジシヨンコーダー。