JPS6337484Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、２サイクルエンジンにおける圧縮比
の可変装置に関するものである。

一般に、２サイクルエンジンにおいては、圧縮
比が高いほど低回転時特に低負荷低回転時におけ
る出力の向上が見られ、加速性能が良くなる反
面、高い圧縮比では高回転時特に高負荷高回転時
における出力が低下し、オーバラン性能が悪くな
るとともに、熱負荷が増大する不具合を有する。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、低
回転時における出力の向上および良好な加速性能
を得るとともに、高回転時における出力低下およ
びオーバラン性能を改善し、熱負荷を軽減した２
サイクルエンジンの圧縮比可変装置を提供するこ
とを目的とする。

本考案は、２サイクルエンジンのシリンダ内壁
に、主排気通路と連通する副排気口と、副排気通
路を介して主排気通路に連通する少なくとも１つ
の副排気口とを開設し、前記副排気通路にエンジ
ン回転数と連動してエンジン回転数が設定回転数
を越えて高回転となつたときに開作動して圧縮比
を低くする開閉弁を介設してなるものを前提と
し、前記副排気口が、主排気口の横方向に偏位し
て設けられるとともに、副排気口の上端が主排気
口の上端より上方に、副排気口の下端が主排気口
の上端より下方にそれぞれ配置され、副排気口が
主排気口よりも遅い時期に閉口するように構成さ
れている。

以下、本考案の実施例を図面に沿つて説明す
る。第１図および第２図に示す２サイクルエンジ
ンのシリンダ１において、シリンダ内壁１ａには
ピストン（図示せず）の摺動によつて開閉される
主排気口２が開設され、該主排気口２に連通して
主排気通路３が設けられている。

上記主排気口２の横方向（周方向）に偏位して
主排気口２の上部両側には、該主排気口２とは独
立した副排気口４，４が開設されている。

上記副排気口４，４の下端は主排気口２の上端
よりピストンストロークにしてΔS₁分だけ下方
（シリンダブロツク側）に設けられている。また、
副排気口４，４の上端は主排気口２の上端よりピ
ストンストロークにしてΔS₂分だけ上方（シリン
ダヘツド側）に設けられ、よつて、副排気口４，
４は主排気口２よりこのΔS₂分だけ遅い時期に閉
口する。

上記副排気口４，４は副排気通路５を介して主
排気通路３に連通されている。副排気通路５の途
中には副排気口４，４と主排気通路３の連通を制
御する開閉弁６が介設されている。開閉弁６は、
シリンダ１を貫通する回転シヤフト７に切欠部７
ａが形成されてなり、該シヤフト７の回転操作に
てその開閉が行われる。８は回転シヤフト７とシ
リンダ１との間に介装されたシール材である。

上記開閉弁６はエンジン回転数に連動して作動
する作動機構９により開閉操作され、エンジン回
転数が設定回転数を越えて高回転となつたときに
開いて、副排気口４，４と主排気通路３を連通す
るものである。図示の場合には、作動機構９はシ
ヤフト７の端部に固着されたプーリ１０にワイヤ
１１が連通されてなり、該ワイヤ１１はエンジン
回転数に応じて作動するサーボモータ（図示せ
ず）に接続され、シヤフト７の回転操作を行うよ
う構成されている。

その他、図において、１２はシリンダ内壁１ａ
に開設された掃気口、１３は掃気通路、１４は冷
却水通路である。

次に、上記実施例の作用を説明すれば、エンジ
ン回転数が低回転時においては、開閉弁６は副排
気通路５を閉じており、副排気口４，４からの排
気は行われない。よつて、ピストン上昇時には、
主排気口２の上端が該ピストンによつて閉じられ
た状態から混合気の圧縮が開始し、燃焼室に持ち
込む混合気量が増加し、高い圧縮比でもつてエン
ジンの運転が行われる。

一方、エンジン回転数が設定値を越えて高回転
となると、開閉弁６は副排気通路５を開いて、副
排気口４，４からも排気を行うことになる。よつ
て、主排気口２がピストンの上昇に伴つて閉じら
れても、副排気口４，４の上端が閉じるまでの
ΔS₂分のストロークだけ混合気の圧縮が遅れ、上
記ΔS₂のストロークに相当する容積の混合気量が
減少し、圧縮比が低下した状態でエンジンの運転
が行われる。

尚、上記実施例では、エンジン回転数にのみ応
じて開閉弁６を作動する場合を説明したが、この
エンジン回転数とスロツトル操作量（スロツトル
バルブ開度）とを組合せて、負荷の変動にも対応
して開閉弁６を操作し、圧縮比を変更するように
してもよい。その他、開閉弁６の作動機構９とし
ては、従来公知のものに適宜設計変更可能であ
る。

従つて、以上の如き本考案圧縮比可変装置によ
れば、主排気口の横方向に偏位して該主排気口よ
りも遅い時期に閉口する少なくとも１つの副排気
口を設け、該副排気口が高回転となつたときに主
排気通路に連通されるようにし、２サイクルエン
ジンの圧縮比を低回転時に高くし高回転時に低く
するようにしたことにより、低回転時特に低負荷
低回転時における出力の向上および良好な加速性
能を得るとともに、高回転時特に高負荷高回転時
における出力低下およびオーバラン性能を改善
し、熱負荷を軽減することができるものであつ
て、運転領域全般において良好な運転性能が得ら
れる。また、主排気口の横方向に偏位して副排気
口を設けているので、中子砂のくずれなどの鋳造
上の問題を生ずることなく、副排気口の開閉に伴
う各エンジン性能の変化のバランスを自由に設定
できるようになり、小排気量のエンジンやストロ
ークの短いエンジンにも容易に適用することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はシリ
ンダの横断面図、第２図は同縦断面図である。 １……シリンダ、１ａ……シリンダ内壁、２…
…主排気口、３……主排気通路、４……副排気
口、５……副排気通路、６……開閉弁、７……回
転シヤフト、７ａ……切欠部、８……シール材、
９……作動機構、１０……プーリ、１１……ワイ
ヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２サイクルエンジンのシリンダ内壁に、主排気
   通路と連通する主排気口と、副排気通路を介して
   主排気通路に連通する少なくとも一つの副排気口
   とを開設し、前記副排気通路にエンジン回転数と
   連動してエンジン回転数が設定回転数を越えて高
   回転となつたときに開作動して圧縮比を低くする
   開閉弁を介設してなるものにおいて、前記副排気
   口が主排気口の横方向に偏位して設けられるとと
   もに、副排気口の上端が主排気口の上端より上方
   に、副排気口の下端が主排気口の上端より下方に
   それぞれ配置され、副排気口が主排気口よりも遅
   い時期に閉口するように構成されていることを特
   徴とする２サイクルエンジンの圧縮比可変装置。