JPS6336794Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はハニカム構造を有する全面駆動形スピ
ーカに関する。

通常、スピーカはダイナミツク型スピーカと称
しボイスコイルを中心に円錐状の振動板が取付け
らた構造のものが一般的に多く使用されている
が、近年スピーカの薄形化、周波数特性の改善化
等の観点から平板状の振動板を有する全面駆動形
の平面スピーカが導入されるに至つている。

第１図はこの種の従来例を示すもので、平板状
の振動板１の下面の所定の位置に円筒状のボイス
コイル２が一体的に結合されており、このボイス
コイル２はヨーク３とポールピース４とにて形成
された磁気空隙内に振動可能に配設されて構成さ
れている。なお、図において５は永久磁石、６は
フレーム、７はエツジである。

しかるに上記した従来の全面駆動形平面スピー
カにおいては、単に振動板１の下面にコイルボビ
ンに巻装されたボイスコイル２を設け、このボイ
スコイル２によつて前記振動板１を駆動するよう
になつているため、音声電流に比例したボイスコ
イル２の動きはこのボイスコイル２が取付けられ
た振動板１の箇所から部分的に伝達されることに
なり、結局振動板１はその全面を均一にわたつて
振動されるものではなく、このため音声電流によ
るボイスコイル２の動きと振動板１自体の動きと
が一致せず、振動板１全面を位相のズレを起こす
ことなく全面駆動することは困難であり、また、
分割振動を起したりして歪を生じ、好適な音質を
得ることはできないという欠点を伴なつていた。

本考案は上記の欠点を改善し、振動板の下面ほ
ぼ全域に不導体とボイスコイルとして機能する導
電体とからなるハニカム構造体を一体的に結合す
ることにより、振動板を均一に全面駆動し得、し
かも振動板自体の剛性をも高めたハニカム構造を
有する全面駆動形スピーカを提供することを目的
とするものである。

以下、図面に沿つて本考案を説明する。

第２図および第３図は本考案の実施例を示すも
ので、１１は有底のヨークで内部に多数の磁石１
２，１２′が林設されていると共に、開口部には
柔軟なエツジ１３を介し振動可能に平面状の軽量
薄形のアルミニウム、炭素繊維積層板等からなる
スキン材の如き振動板１４が設けられている。

しかして、振動板１４の下面にはほぼ全域にわ
たり不導体１５，１５′，１５″…とボイスコイル
として機能する導体１６，１６′，１６″…とから
なるハニカム構造体Ｈが振動板に対し垂直に、か
つ一体的に結合されている。すなわち、ハニカム
構造体Ｈはほぼジグザグ状に一連に蛇行しながら
延びる不導体１５，１５′，１５″…とこれら不導
体と相俟つて六角形を形成するよう対向配置され
た導体１６，１６′，１６″…との接合する辺を接
着剤等を介し貼り合せることによつてハニカム状
に形成されており、かつこれら不導体１５および
導体１６は振動板１４の下面において、図示の状
態において上から不導体１５、導体１６、不導体
１５′、導体１６′等の順に交互に配設されてい
る。導体１６は機械的強度、軽量化および導電性
等を考慮して例えばアルミの如き帯状の材質から
なり、一端（第１図中左方側に相当）から他端に
向つて不導体１５と対向して延び、かつ他端部側
において、不導体１５′を介在して配置された他
方の導体１６′と同様の材質からなる直線状の導
体片１６ａによつて電気的に接続されている。

また、この導体１６′と不導体１５″を介して配
置された導体１６″は反対側の一端部において同
じく導体片１６ａによつて電気的に接続されて構
成されているが、一枚の導体板を折り曲げ加工
し、一端から他端、他端から一端と交互に折り返
すように構成したものを用いることも可能であ
る。

しかして、導体１６、不導体１５等とによつて
構成され、六角形をなす各単位ハニカム部Haの
内部には永久磁石１２，１２′の先端に設けられ
た六角状のセンターポール１２ａ，１２a′がそれ
ぞれ配設されている。この際、振動板１４の一端
から他端に向つてジグザグ状に配設された各ハニ
カム部Ha内に先端がＳ極を有する永久磁石１２
を配置した場合、その上下の列には先端がＮ極を
有する永久磁石１２′を配列せしめ、このように
して永久磁石１２，１２′に結合されたポールピ
ース１２ａ，１２a′は各列交互にＳ極、Ｎ極、Ｓ
極…の関係で配列され、Ｎ−Ｓ、Ｓ−Ｎの磁極間
とＮ−Ｎ，Ｓ−Ｓの磁極間が多数形成され、Ｎ極
の極性を有するポールピース１２a′から、このポ
ールピース１２a′と隣接し、かつＳ極の極性を有
する各ポールピース１２ａに向つて第３図におい
て矢印で示すように磁束が流れ、これらの異極の
磁極間を縫うようにして導体１６等がジグザグ状
に蛇行して延びて配置されている。また、互いに
同極であるポールピース１２ａ，１２ａおよび１
２a′，１２a′等の同極の各磁極間には紙またはプ
ラスチツク等の如き材質からなる不導体１５，１
５′…が蛇行して配置されているが、この磁極間
は磁気的に反撥しているので無用なリーケージフ
ラツクスとなることはない。なお、不導体１５，
１５′…の材質としては前述のものに限定されず、
剛性、質量等の関係で適宜任意に選択し得る。ま
た、上記において永久磁石１２，１２′をハニカ
ム部Haの形状と対応せしめ六角状に形成すれば
ポールピース１２ａ，１２a′を除去することも可
能である。

次に上記のようにして構成された本考案の動作
を説明する。

ジグザグ状に蛇行して連続して延びる帯状の導
体の各端部にはそれぞれリード線（図示せず）が
接続されており、いま、このリード線を介し音声
信号がボイスコイルとして機能する導体１６，１
６′…に加わると、音声電流は導体の中を蛇行し
ながら流れるが、導体の全ての線分、すなわち各
片は磁力線と直交しているため、フレミングの左
手の法則に従つて信号電流の大きさと向きに比例
した機械力が発生して導体１６，１６′…は振動
し、よつて導体１６，１６′…と一体的に結合さ
れた平板状の振動板１４も振動し音波を放射す
る。この場合、振動板１４の下面にはほぼ全面的
にジグザグ状に蛇行した同じ導体１６，１６′…
が設けられているため、導体１６，１６′…の動
きと実質的に一致して振動板１４を全面駆動する
ことができ、振動板１４は全ての面が同じ位相の
大きさで駆動されるため、この種振動板１４の動
きに起因した歪を極めて軽減することができる。
また振動板１４は良好な音質を得るために軽く
て、かつ軟らかい材質によつて形成されているも
のを用いることが望ましいが、軟らかい材質のも
のはその剛性が弱く、このような材質からなる振
動板を単に平面状に形成すると一般にピストン振
動域の上限が低くなるため、その範囲を広げ周波
数特性を向上させるために振動板スキンの間に補
強部材を介在させるなどして振動板自体を特殊な
構造としその剛性を高めピストン振動領域を広げ
る手段を採る必要があり、振動板の構造が複雑化
しコスト高を招来するおそれがあるが、本考案に
おいては振動板１４の下面に導体１６，１６′…
と不導体１５，１５′…とからなるハニカム構造
体Ｈが結合されているため、特殊の構造を特に採
用しなくとも振動板１４の剛性を著しく向上する
ことができるので、直接振動板スキンを駆動し
得、高域はもとより、中、低域にわたる広い周波
数帯域においても振動板１４をピストン振動させ
ることができる。一方、仮りに特殊の構造の振動
板と組み合わせてスピーカを構成した場合、剛性
はより顕著に向上するため、ピストン振動領域を
より大巾に広げることが可能となり、優れた周波
特性を有するスピーカを得ることができる。

以上の通り本考案の全面駆動形スピーカによれ
ば、振動板の下面のほぼ全域に不導体とボイスコ
イルとして機能する導体とにて形成されたハニカ
ム構造体を一体的に結合し、かつ導体を異極の磁
極間に配設し振動可能としたから、変換効率は向
上し、しかも振動板を全面的に位相ズレを起すこ
となく同位相で駆動することができ、加えてハニ
カム構造体によつて振動板の剛性が向上するた
め、振動板を特殊構造としなくてもピストン振動
領域は広がり、また特殊構造の振動板は、ボイス
コイルの振動伝達のロスがそれだけ多くなるが、
本考案ではかかる構造の振動板を使用する必要が
なくなることから過渡的で急峻なパルス等の信号
でもロスなく伝達・再生することができることと
なり、よつて良好な音質を得ることができる利点
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の全面駆動形スピーカ、第２図お
よび第３図は本考案にかかる全面駆動形スピーカ
の実施例で、第２図は導体と不導体からなるハニ
カム構造体とポールピースとの配置関係を示す部
分説明図、第３図は第２図においてＡ−A′線に
沿つて切断したスピーカ断面図である。 １１……ヨーク、１２，１２′……永久磁石、
１２ａ，１２a′……ポールピース、１３……エツ
ジ、１４……振動板、１５，１５′，１５″……不
導体、１６，１６′，１６″……導体、Ｈ……ハニ
カム構造体、Ha……ハニカム部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平板状の振動板の下面略全域にわたり不導体と
   ボイスコイルとして機能する導体とからなるハニ
   カム構造体を一体的に結合し、かつ前記導体を、
   ヨーク上に互いに離間して林設された多数の磁石
   によつて形成された異極をなす磁極間を縫うよう
   に配設したことを特徴とするハニカム構造を有す
   る全面駆動形スピーカ。