JPS633212Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、VHF，UHF、マイクロ波、ミリ波
などの高周波帯において好適に使用できるストリ
ツプ線路型の帯域阻止フイルタに関する。

帯域阻止フイルタは、不要な周波数帯の信号を
阻止、除去し、必要な周波数帯の信号のみを変化
させることなく通過させることを機能とするもの
である。マイクロ波、ミリ波などの高周波帯にお
いて、ストリツプ線路を用いて共振器やインダク
タンスやキヤパシタンスを構成できるので、種々
の型式のフイルタをつくることができる。

第１図〜第３図はストリツプ線路により構成し
た従来の帯域阻止フイルタの平面図である。図に
おいて、１はマイクロストリツプ線路絶縁基板、
２は主伝送線路、３は伝送線路型共振器、４は伝
送線路型共振器の共振周波数における主伝送線路
上の等価短絡点を示す。

第１図の従来例において、主伝送線路２を伝送
してきた信号のうち、伝送線路型共振器３の共振
周波数に一致する周波数およびその近傍の周波数
の信号は減衰され、共振周波数から離れた周波数
の信号は減衰されずに通過される。しかし、実際
には、伝送線路型共振器３の共振周波数における
減衰量が不足することがあるので、その改善のた
め第２図や第３図の例が提案されている。

第２図および第３図の従来例においては、伝送
線路型共振器３は主伝送線路と平行に延在する結
合部を備えており、この主伝送線路２に沿つた部
分の長さは伝送線路型共振器３の共振周波数の1/
８波長以上でおよび1/4波長程度にして、この主伝
送線路と平行に延びる結合部により主伝送線路２
と伝送線路型共振器３との結合を強くして共振周
波数における信号の減衰量を大きくしている。

前記第１図乃至第３図の帯域阻止フイルタにお
いては、伝送線路型共振器３を主伝送線路２に沿
つて前記共振周波数のほぼ1/4波長の間隔で配置
している。これにより、伝送線路型共振器３の共
振周波数における主伝送線路２上の等価短絡点４
は共振周波数のほぼ1/4波長の間隔で配置される。
したがつて、第２図および第３図の例において
は、伝送線路型共振器３の数をＮ個（偶数）とし
た場合、主伝送線路２に沿つた長さは、少なくと
も、（1/4）×（Ｎ＋１）×（共振周波数における波
長）だけ必要になる。このように主伝送線路に平
行に延在する結合部を有する伝送線路型共振器を
複数個用いた帯域阻止フイルタでは、帯域阻止フ
イルタの機能上必要な主伝送線路に沿つた長さが
長く、占有面積も大きくなり、また通過させるべ
き信号も余計に減衰してしまうという問題があつ
た。

そこで、本考案の目的は、主伝送線路に平行に
延在する結合部を有する伝送線路型共振器を複数
個用いたストリツプ線路型帯域阻止フイルタにお
いて、帯域阻止フイルタの機能上必要な主伝送線
路に沿つた長さを短縮し、もつて、帯域阻止フイ
ルタの小型化をはかり、かつ、通過信号の余分の
減衰をなくして特性の向上をはかつた、ストリツ
プ線路型帯域阻止フイルタを提供することにあ
る。

上記目的を達成するため、本考案によるストリ
ツプ線路型帯域阻止フイルタは、主伝送線路と平
行に延在する結合部を有する伝送線路型共振器を
複数個設け、これらを主伝送線路をはさんでその
両側に配置し、前記複数個の伝送線路型共振器の
うちの少なくとも１つの伝送線路型共振器結合部
の延在方向を他の伝送線路型共振器の結合部の延
在方向と反対方向とするように構成したものであ
る。

以下、図面を参照して本考案による帯域阻止フ
イルタにつき、さらに詳細に説明する。

第４図は本考案の一実施例の平面図であり、第
５図は上部接地導体を基板上方に設け、下部接地
導体を基板直下に設けた本考案の実施例の横断面
図である。図において、１は絶縁基板、２は主伝
送線路、３は伝送線型共振器、４は伝送線路型共
振器の共振周波数における主伝送線路上の等価短
絡点、５は下部接地導体、６は上部接地導体、７
は上部接地導体に設けた突起である。この実施例
の帯域阻止フイルタにおいては、伝送線路型共振
器３が主伝送線路２の両側に対称的に配置されて
いる。また、主伝送線路２をはさんだ両側の伝送
線路型共振器３は互いに逆方向に配置されてい
る。すなわち、伝送線路型共振器の結合部の延在
方向が互いに逆方向となつている。このような配
置により、伝送線路型共振器３の共振周波数にお
ける主伝送線路２上の等価短絡点４は、共振周波
数のほぼ1/4波長の間隔で並ぶことになり、また
帯域阻止フイルタの機能に必要な主伝送線路の長
さは、共振器３の数をＮ（偶数）として、（1/4）×
Ｎ×（共振周波数における波長）の長さですむこ
とになる。また、第５図から明らかなように、伝
送線路２をはさんで向きあつた伝送線路型共振器
３間の結合は、上部接地導体６の突起７によつて
阻止できる。このようにして、共振周波数におけ
る減衰特性を下げることなく、帯域阻止フイルタ
の機能に必要な主伝送線路２に沿つた長さを、
（1/4）×（共振周波数における波長）だけ短くする
ことができる。また、このように主伝送線路に沿
つた長さを短くできることにより、伝送線路型共
振器３の共振周波数から離れた通過させるべき周
波数の信号の減衰が少なくなる。

第６図は本考案の他の実施例の平面図である。
この例では一組の２つの伝送線路型共振器３のみ
が伝送線路２に対して対称的にかつ逆方向になる
ように配置されているが、他の一組の２つは第２
図の従来例におけると同様の配置となつている。
すなわち、少なくとも１個の伝送線路型共振器の
みを他のものとは逆方向にして伝送線路に沿つて
ずらして配置され、少なくとも１つの伝送線路型
共振器の結合部の延在方向を他のそれと反対方向
としている。こうすれば、やはり、（1/4）×（共振
周波数における波長）の長さだけ、帯域阻止フイ
ルタの機能上必要とする伝送線路に沿つた長さを
短くすることができる。また、この例の場合に
は、第５図に示すような上部接地導体６の突起７
は近接して配置された伝送線路型共振器３の間に
のみ設ければ不要の結合を除くことができる。

第７図は上部接地導体を基板上方に設け下部接
地導体を基板下方に設けた本考案の実施例の横断
面図である。この例では下部接地導体５にも突起
８を設けてあり、これにより伝送線路型共振器間
の結合を低減する。この例のように絶縁基板が接
地導体と密着しない構造のマイクロストリツプ線
路では、結合防止のための突起は上下両方の接地
導体に設けることができるが、いずれか一方のみ
に設けるようにしてもよい。

本考案のストリツプ線路型帯域阻止フイルタは
以上のように構成されているから、帯域阻止フイ
ルタの機能上必要とする主伝送線路に沿つた長さ
を短縮することができ、帯域阻止フイルタの占有
部分を減少させて小型化をはかることができ、ま
た、フイルタを通過する信号については減衰を少
なくすることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来のストリツプ線路型帯域
阻止フイルタの平面図、第４図は本考案の一実施
例によるストリツプ線路型帯域阻止フイルタの平
面図、第５図は上部接地導体を上方に設けた本考
案の実施例の横断面図、第６図は本考案の他の実
施例の平面図、第７図は上部接地導体を上方に下
部接地導体を下方に設けた本考案の実施例の横断
面図である。 ２……主伝送線路、３……伝送線路型共振器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主伝送線路と平行に延在する結合部を有する伝
   送線路型共振器を複数個設け、これらを主伝送線
   路をはさんでその両側に配置してなるストリツプ
   線路型帯域阻止フイルタにおいて、前記複数個の
   伝送線路型共振器のうちの少なくとも１つの伝送
   線路型共振器の結合部の延在方向を他の伝送線路
   型共振器の結合部の延在方向と反対方向としたこ
   とを特徴とするストリツプ線路型帯域阻止フイル
   タ。