JPS6330082Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主にさんま漁の棒受漁業において使
用される集魚灯に好適な防水灯に関する。

従来、この種集魚灯は、通常高燭光の白熱電球
或いは水銀灯を発電機により点灯し、夜間の集魚
に使用されていた。これは構造は簡単であるが、
ほぼ裸電球に近いため、夜間の操業中、高波等に
より水が電球に被ることがある。このため、操業
中に操業者が感電する危険がある等の欠点を有し
ていた。

また、近時防水を施した種々の集魚灯が提案さ
れているが、これらの多くは発光部分の面積を大
きくするため輝度の高い高燭光の電球を多数設け
ていた。従つて、各電球から発する熱が防水を施
したケースに伝わり、ケース本体が異常に暖めら
れるため、取扱い上不都合が生じていた。特に、
高熱を発する水銀灯を使用した集魚灯において
は、長時間操業の場合、ケース本体が許容する発
熱限界度を越え、ケース本体内の空気の異常加熱
により集魚灯自体が爆発するおそれがあり、使用
上大へん危険であり、安全操業を確保することは
難しかつた。

本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、防水灯本体の上部に外
気に対する放熱面積を大とする連通孔を貫通形成
すると共に、カバーによつて形成される空洞部を
形成することにより、放熱効果を高め、防水灯本
体内の異常高温を防止するとともに、電球の爆発
事故を減らすようにした防水灯を提供することに
ある。

この目的を達成するため、本考案は、電灯が防
水構造の防水灯本体内に収納された防水灯におい
て、上記防水灯本体の上端面両側に長手方向に沿
う一対の開口を設け、この各開口の上部にカバー
を固着して空洞部を形成し、上記一対の開口の下
部に、上記防水灯本体の上部で長手方向と直交す
る方向に貫通形成され、かつ両端部が外気に通ず
る放熱通路を成す複数個の連通孔を設けたことを
要旨とするものである。

本考案によれば、電灯を収納した防水構造の防
水灯本体の上部にその放熱面積を大とするダクト
を貫通形成すると共に、カバーによつて形成され
る空洞部を形成した構成としているため、防水灯
本体内で対流する空気を、ダクトを通過する外気
により冷却し、防水灯本体内に収納した電球が高
熱化したり、僅かな衝撃等により爆発を起す等の
不都合を良好に防止することができ、これにより
荒天の海洋上で集漁灯として使用するような場合
でも、防水、防爆構造の長所を活かし安全操業が
できる等の優れた効果を奏する。

以下、図面にもとづいてこの考案の実施例を詳
細に説明する。第１，２図は、それぞれこの考案
にかかる防水灯の一実施例を示す斜視図及び要部
断面図である。

図中、防水灯１は、棒受漁業用の集魚灯として
用いられ、その外殻は防水灯本体２が形成してい
る。３は、本考案の要部を構成する連通孔として
のダクトで、防水灯本体２の上部に貫通形成して
ある。

防水灯本体２は、内側上方に向つて縮幅する傾
斜部を有する断面ほぼ凸状の筐体形状をなし、そ
の下端開口部には蝶番２ａによつて保護網付きの
グローブ２ｂが開閉自在に取り付けられている。
この防水灯本体２は、上端面両側に長手方向に沿
う一対の開口が形成してあり、各開口にはこれら
を覆うカバー２ｃがそれぞれ固着され空洞部が形
成してある。また、各カバー２ｃの中間には、防
水灯本体２を棒に支持させるための一対の支持部
材２ｄが設けてあり、両支持部材２ｄにより支持
された棒を漁船の舟べりに立て、夜間の操業が行
なわれる。

ところで、防水灯本体２内には、高熱を発する
水銀灯４が収納されており、発電機からの給電用
導線が接続されている。ダクト３は、水銀灯４か
ら発する熱を冷却するためのものである。本実施
例の場合、ダクト３は、断面長方形状を有してお
り、防水灯本体２の上部に、長手方向と直交する
方向に貫通形成され、かつ両端部が外気に通ずる
放熱通路を成し、長手方向に沿つてほぼ等間隔に
９本設けてあり、それぞれが防水灯本体２の上部
を貫通し、外気の放熱通路を形成する。このダク
ト３は、外気となる海洋上の空気の流通がいずれ
の方向からも無理なく行われ、上記一対のカバー
２ｃとによつて形成される空洞部と相俟つて、外
気に対する放熱面積を拡大する効果を有する。

なお、グローブ２ｂの取付枠の側面下部には、
海水の浸入を防止できる空気取り入れ用の複数の
小孔２ｅが設けてあり、防水灯本体２内の空気の
換気が可能である。

次に、上記構成になる防水灯１の作用について
説明する。

棒等により支持された防水灯１は主にさんま等
の魚介類を夜間操業で捕獲するのに用いられる
が、操業中に防水灯本体２の中に配置した水銀灯
４から発する熱により暖められた空気が、防水灯
本体２内を第２図中矢印方向に上昇する。一方、
海洋上の冷たい空気は、防水灯本体２に形成され
たダクト３内を通過する。このため、熱つせられ
て防水灯本体２内を上昇した空気は、ダクト３内
を通過する冷たい空気によりダクト３の壁部を介
して冷却され、防水灯本体２内を下降する。この
場合、ダクト３の断面形状が長方形であるため、
各面ごとに熱気と冷気による熱交換がなされその
結果十分な冷却が行なわれる。また、放熱面がダ
クト３以外にカバーに２Ｃによつて形成される空
洞部にも形成されるので、上記冷却効果は倍化さ
れることになり、防水灯本体２内の熱気は効果的
に冷却され、水銀灯４の爆発事故防止に大いに貢
献するものである。

従つて、高熱を発する防水灯１を取り扱う漁
師、釣り人にとつては、安全操業とともに魚獲量
を高めるのに及ぼす効果は、計り知れないものが
ある。

なお、上記実施例において、ダクト３の形状
は、四角形以外の多角形状或いは円筒状にするこ
ともでき、ダクト３の放熱面積を大きくした場合
は、さらに水銀灯４の寿命を長くすることが可能
である。

また、上記実施例において、防水灯本体２内に
収納する電灯としては、水銀灯４に限定されず、
他のランプ類でもよい。また、防水灯１は集魚灯
以外の用途に用いてもよいのは勿論である。

以上説明したように、上記構成になる防水灯１
によれば、電灯を収納した防水構造の防水灯本体
２の上部に、その放熱面積を大とするダクト３を
貫通形成すると共に、カバーによつて形成される
空洞部を形成しているため、防水灯本体２内で対
流する空気を、ダクト３を通過する外気により冷
却し、防水灯本体２内に収納した水銀灯４が高熱
化したり、僅かな衝撃等により爆発を起す等の不
都合を良好に防止することができ、これにより、
荒天の海洋上で集魚灯として使用するような場合
でも、防水、防爆構造の長所を活かし安全操業が
できる。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は、それぞれ本考案にかかる防水灯
の一実施例を示す斜視図及び要部断面図である。 １……防水灯、２……防水灯本体、３……ダク
ト、４……水銀灯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電灯が防水構造の防水灯本体内に収納された防
   水灯において、上記防水灯本体の上端面両側に長
   手方向に沿う一対の開口を設け、この各開口の上
   部にカバーを固着して空洞部を形成し、上記一対
   の開口の下部に、上記防水灯本体の上部で長手方
   向と直交する方向に貫通形成され、かつ両端部が
   外気に通ずる放熱通路を成す複数個の連通孔を設
   けたことを特徴とする防水灯。