JPS6328586B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タバコ煙過用等のタバコ煙フイル
ター素材及びその製造方法に関する。

セルロースアセテート、紙、ポリプロピレン等
の繊維質材料でできたロツド状プラグを紙のプラ
グ包装体で包みタバコ煙フイルターとし、該フイ
ルターを例えば紙巻タバコ等の喫煙物品に備える
ことは広く行なわれている。そのように包装され
たロツド状プラグは、フイルターロツド製造機に
例えば梱から取り出した連続的なセルロースアセ
テートフイラメントのちぢれたトウ等の過材料
と、巻き枠からの連続的な帯状のプラグ包装体と
を送りこんで製造されたフイルタ素材（以下フイ
ルターロツドと称す）から得られる。前記トウ
は、先ず広げられ、セルロースアセテートのトウ
の場合ならトリアセチンのような、適当な可塑剤
を噴霧してから、前記フイルターロツド製造機に
送られ、該製造機でトウがロツド状に集められ、
プラグ包装体に包み込まれる。紙巻タバコ製造業
界では、このようにしてフイルターロツドを作る
のが現在のオーソドツクスな方法である。

また一方ではプラグ包装体に包み込んで安定性
を付与する代りに、製造工程で過材料自体に自
己保持（self−sustaining）の性質を付与する工
程によつて製造されるフイルターロツドも知られ
ている。

さらに最近、フイルターチツプ付き紙巻タバコ
製造において通気孔付きフイルターの使用がふえ
てきている。従来は、そのようなフイルターは繊
維質の煙過材料をプラグ包装体に包み込むこと
により構成されており、該フイルターをチツピン
グペーパーを使つてタバコロツドに取り付けてい
る。そして、空気通過用にチツピングペーパーに
貫通孔を設けている。その際通気用貫通孔をチツ
ピングペーパー周りに１列からそれ以上設けるの
が普通である。当然、チツピングペーパーより内
側にあるプラグ包装体も空気通過を許さなければ
ならず、このために、静電的又は機械的処理等を
施こしてプラグ包装体に必要な多孔性を持たせる
か、貫通孔を設けるかせねばならない。従つて、
紙巻タバコ製造に際しては、チツピングペーパー
の通気孔の変化と、プラグ包装体の空気透過性の
変化とが組合わさつて、全体の通気度が所定の公
差以上にならないように常に管理する必要があ
る。何故なら、全体の通気度が紙巻タバコの煙成
分の配分を支配するからである。

自己保持性フイルターロツドから取つたフイル
タープラグを使用すれば、外周面に多孔性がある
ためプラグ包装体の必要がなくなり、一定の通気
度を保つことが簡単になる。

ところで自己保持性フイルターロツドを製造す
る方法として、可塑剤を含ませたトウを金型に通
し、その中で高温ガス又は水蒸気処理をしてロツ
ド状に集結させることが提案されている。このよ
うなフイルターロツド製造法が英国特許明細書
NO−970817に開示されている。また英国特許明
細書NO−1169932に開示されている自己保持性
フイルターロツドの別な製造方法では、金型にト
ウを入れてロツド状に集結させる代りに、可塑剤
を含ませたトウを一束に集結させて水蒸気透過性
テープに包み込み、そこに水蒸気を通しトウと接
触させる。

これら自己保持性フイルターロツド製造方法は
前述したオーソドツクスな製造方法とは大きく異
なり、費用もかさむし、不利である。さらに、自
己保持性フイルターロツドの第２の製造方法にお
いては、水蒸気透過性テープのメツシユ構造の跡
がフイルターロツドの外周面に残る。これは、品
質管理の目的でフイルターロツドの直径を決定し
ようとする際に問題となり、不利益である。

本発明の目的は、その性質及び効果がプラグ包
装体で包まず自己保持性でかつ多孔性の外周面を
有するフイルターロツドに似ているにもかかわら
ず、プラグ包装体付きフイルターロツドを製造す
るのと同じ方法で作ることができるフイルターロ
ツドを提供することにある。さらに、外周面がプ
ラグ包装体付きフイルターロツドに匹敵するなめ
らかさを有するフイルターロツドを提供すること
も本発明の目的である。

英国特許明細書NO・1110785では、可塑剤を
加えないセルロースアセテートのフアイバーを一
束にして、その外周面に、好ましくはセルロース
アセテートフイルムのプラグ包装体を固着させる
方法が提案されている。この方法で製造されたフ
イルターロツドは可塑剤を加えないため、市場に
出回つている自己保持性フイルターロツドに一般
に備わつている剛性を有さない。さらに上記セル
ロースアセテートフイルムの物理的構造及び化学
的性質が通常の紙製プラグ包装体とは大きく異な
る。すなわちこのようなフイルムは、物理的には
セロフアン（商標名）に類似して、紙の繊維組織
を有さず、空気に対して実質的に透過性がない。
従つて、上記フイルターロツドはセルロースアセ
テートの自己保持性フイルターロツドと大きく異
なつている。

本発明のフイルターロツドは、熱可塑性のセル
ロースアセテート又はポリプロピレンを少なくと
も主成分とした煙濾過材料にて形成されるととも
に、プラグ包装体にて覆われたロツド体にて構成
され、前記プラグ包装体が、前記煙濾過材料の主
成分と実質的に同一の科学的物質を有するセルロ
ースアセテートもしくはポリプロピレンのフアイ
バー又はフイラメントを少なくとも50重量パーセ
ント含み、前記ロツド体に固着され、かつ10000
コレスタ単位以上の空気透過性を備えた構成とし
たもである。

なお、コレスタ単位で表わされるシート材料の
空気透過性は、シート材料の表裏に10cm水柱の圧
力差をかけ、その１cm²当りを通過した空気流量を
cm³／分で表わした測定値に基づいている。

好適には、前記プラグ包装体の前記ロツド体へ
の固着を、該プラグ包装体又は前記煙過材料に
添加する可塑剤又は接着剤で兼用して行なうのが
好ましい。また必要とあらば、上記プラグ包装体
に煙過材料を包み込むのに先立つて、プラグ包
装体に固着剤を軽く塗布することにより結合力を
高めることもできる。

本発明はさらに煙フイルターロツドの製造法を
も提供するものである。すなわち、少なくとも主
成分として熱可塑性セルロースアセテート又はポ
リプロピレンの煙過材料を有する連続的なトウ
又はウエブに結合剤を含ませロツド体へと集結さ
せ、次に10000コレスタ単位以上の空気透過性を
有する連続なフアイバー質又はフイラメント質の
プラグ包装体に前記ロツド体を包み込みもつて上
記ロツド体とプラグ包装体を固着するに際し、前
記煙濾過材料のロツド体への集合と前記プラグ包
装体への包み込みとを、該煙濾過材料とプラグ包
装体とを一緒にフイルター素材製造機に送り込む
ことによつて行うものである。その際、上記プラ
グ包装体は煙過材料の主成分と実質的に同一の
化学的性質を有するセルロースアセテートもしく
はポリプロピレンのフアイバー又はフイラメント
を少なくとも50重量パーセント含む。プラグ包装
体の縦方向に伸びる継目（seam）は重ねシール
とするのが好ましい。

上記煙過材料はフアイバー質もしくはフイラ
メント質のものがより有利である。前記ロツド体
の主成分を構成する熱可塑性過材料に加えて、
該ロツド体はさらに他に１種類以上の熱可塑性又
は非熱可塑性材料を含んでも良い。例えば前記主
成分を構成する材料がセルロースアセテートなら
ば、ロツド体はポリプロピレンを別の成分として
含むことができ、その反対の場合も同様に成り立
つ。

好ましくは、前記プラグ包装体は、80重量パー
セント以上の、さらに好ましくは90重量パーセン
ト以上のロツド体主成分と同様の化学的性質を有
する前記熱可塑性材料を有する。しかしながら、
プラグ包装体にさらに一種類以上の熱可塑性又は
非熱可塑性材料を含ませることもできる。また木
材パルプ等のセルロース質フアイバーとか、強度
付与添加剤及び結合剤を含ませることもできる。
プラグ包装体は不織紙製造工程又は、通常の紙製
造工程により製造することができる。

前記プラグ包装体が充分な引張り強さを備えて
いること及びフイルターロツド製造機に効率よく
送るのに適していることは必須要件であり、その
引張り破壊強さは、プラグ包装体巾１mmにつき50
ｇ以上であるのが好ましい。

本発明を利用して、本出願人の出願に係る特開
昭52−114099号の明細書開示の高温成形（hot−
shaping）に適したフイルターロツドを提供する
ことができる。

以下添付図面を参照しながら本発明の実施方法
を説明する。

実施例 １ ハウニ（Hauni）KDF1フイルターロツド製造
機を使用して、デニール規格８／36000のちぢれ
たセルロースアセテートのトウ２と、4.5％の木
材パルプを含むセルロースアセテートのフアイバ
ーで構成され、約25000コレスタ単位の空気透過
性と、巾１mmにつき60ｇの引張り破壊強さを有す
る重さ31.4ｇ／cm²、巾27mm、厚さ142ミクロンの
プラグ包装体３からフイルターロツド１を作製し
た。前記トウは可塑化され、プラグ包装体３はト
リアセチンを使用して境界４でトウ２に固着され
た。スイフツケミカル社（Swifts Chemical
Company Limited）から提供されるPVAプラグ
包装体用接着剤を使用してプラグ包装体の縦方向
に伸びる継ぎ目を接着した。このようにしてでき
たフイルターロツド１は周長24.85mmを有し、包
装体を施こした全長120mm間で150mmWGの圧力降
下を示した。これは英国特許明細書NO・
1109932に開示される方法で得られる自己保持性
セルロースアセテートのフイルターロツドときわ
めて類似していることが解つた。同様に有益な製
品が約32000コレスタ単位の空気透過性を有する
セルロースアセテートのプラグ包装体を使用した
場合にも得られた。

前記プラグ包装体継ぎ目のための接着剤として
トリアセチン（単独でも良いし、セルロースアセ
テートを３％添加してもよい）、コハク酸ジエチ
ル又は１−３ブタンジオールジアセテートを使用
することができる。

25000コレスタ単位を有するプラグ包装体を使
用して上述のように製造したフイルターロツドの
何部分かを本出願人の出願に係る特開昭52−
114099号に開示の高温成形にかけ、溝付きフイル
ター要素を作成した。前記セルロースアセテート
のプラグ包装体が高温成形過程で溶融するので、
得られたフイルター要素はプラグ包装体のない自
己保持性セルロースアセテートのフイルターロツ
ドの何部分かを同じ過程にかけて得られた要素と
同等の品質であつた。

実施例 ２ ハウニKDF1フイルターロツド製造機を再び使
用して、ちぢれたポリプロピレンのトウと、約
25000コレスタ単位の空気透過性を有する不織ポ
リプロピレンのシート材料で構成されるプラグ包
装体とからフイルターロツドを作製した。エチレ
ン−ビニルアセテート共重合体エマルジヨンをト
ウの可塑剤及びプラグ包装体の結合剤として使用
した。また、高温溶融接着剤（hot melt
adhesive）をプラグ包装体継ぎ目に使用した。

上記フイルターロツドの何部分かを前述の高温
成形にかけてフイルター要素を作製した。

本発明に従つて作製したフイルターロツドは、
前述の高温成形が不要のフイルター要素作製にも
使用することが可能である。

以上述べたように本発明によると、従来におけ
るプラグ包装体で包まれていない自己保持特性を
有したフイルターロツドに類似した特性を有する
フイルター素材を、このような従来の自己保持特
性を有したフイルターロツドの場合のような特別
な製造方法によることなく、従来のオーソドツク
スな方法により製造することができる。しかも、
ロツド体をプラグ包装体で覆うものでありなが
ら、自己保持特性を有するフイルターロツド並み
の良好な空気透過性を備えたものとすることがで
きる。また、必要に応じて、高温成形を行うこと
もできる。

【図面の簡単な説明】

図面は、フイルターロツドの一部分を拡大した
縦断面図である。 １……フイルターロツド、２……トウ、３……
プラグ包装体、４……境界。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性のセルロースアセテート又はポリプ
   ロピレンを少なくとも主成分とした煙濾過材料に
   て形成されるとともに、プラグ包装体にて覆われ
   たロツド体にて構成され、前記プラグ包装体が、
   前記煙濾過材料の主成分と実質的に同一の化学的
   性質を有するセルロースアセテートもしくはポリ
   プロピレンのフアイバー又はフイラメントを少な
   くとも50重量パーセント含み、前記ロツド体に固
   着され、かつ10000コレスタ単位以上の空気透過
   性を備えていることを特徴とするタバコ煙フイル
   ター素材。 ２ 前記プラグ包装体が前記セルロースアセテー
   トもしくはポリプロピレンのフアイバー又はフイ
   ラメント結合用として用いられ又は前記煙濾過材
   料の結合用として用いられている結合剤によつて
   前記ロツド体に固着されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のタバコ煙フイルター
   素材。 ３ 前記結合剤がトリアセチンであることを特徴
   とする特許請求の範囲第２項記載のタバコ煙フイ
   ルター素材。 ４ 前記煙濾過材料がフアイバー質又はフイラメ
   ント質であることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項ないし第３項のいずれか１つに記載のタバコ
   煙フイルター素材。 ５ 前記ロツド体がセルロースアセテートのトウ
   で構成されているか、もしくは主成分としてセル
   ロースアセテートのトウを有しており、前記プラ
   グ包装体のフアイバー又はフイラメントがセルロ
   ースアセテートで構成されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項ないし第４項のいずれか
   １つに記載のタバコ煙フイルター素材。 ６ 前記ロツド体がポリプロピレンのトウで構成
   されているか、もしくは主成分としてポリプロピ
   レンのトウを有しており、前記プラグ包装体のフ
   アイバー又はフイラメントがポリプロピレンで構
   成されていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項ないし第４項のいずれか１つに記載のタバコ
   煙フイルター素材。 ７ 前記プラグ包装体が前記フアイバー又はフイ
   ラメントを少なくとも90％含んでいることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項ないし第６項のいず
   れか１つに記載のタバコ煙フイルター素材。 ８ 少なくとも主成分として熱可塑性セルロース
   アセテート又はポリプロピレンの煙濾過材料を有
   する連続的なトウ又はウエブに結合剤を含ませて
   ロツド体へと集結させ、次に10000コレスタ単位
   以上の空気透過性を有すると伴にフアイバー質又
   はフイラメント質であり、かつ前記煙濾過材料の
   主成分と実質的に同一の化学的性質を有するセル
   ロースアセテートもしくはポリプロピレンのフア
   イバー又はフイラメントを少なくとも50重量パー
   セント含む連続的なプラグ包装体に前記ロツド体
   を包み込み、もつて上記プラグ包装体とロツド体
   を固着するに際し、前記煙濾過材料のロツド体へ
   の集合と前記プラグ包装体への包み込みとを、該
   煙濾過材料とプラグ包装体とを一緒にフイルター
   素材製造機に送り込むことによつて行うことを特
   徴とするタバコ煙フイルター素材の製造方法。