JPH07111885A - シガレットフィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 人の口中に入るたばこの煙の吸引量が少ない
にもかかわらず、喫煙者の十分な煙量感と香喫味を与え
得るシガレットフィルターを得ること。 【構成】 図示（ｂ）のシース・コア型シガレットフィ
ルターであり、コア部材がコルゲートシート集束物１
で、その外周が融着成型されており、その形態が安定し
たものにて構成され、シース部が開繊した繊維トウの集
束物２にて構成したシガレットフィルター。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、口中へ吸引される煙量
が実質的に少ないにもかかわらず、たばこ喫煙者に十分
な煙量感と香喫味を感じさせるシース・コア型構造のシ
ガレットフィルターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決すべき課題】従来より、
たばこ煙中に含まれる有害成分の除去効率を高め得るシ
ガレットフィルターの開発が進められ、一般的には、一
本のフィルター中に充填するフィルター素材の充填量を
増す方法がとられてきた。しかし、フィルター素材の充
填量を増大したシガレットフィルターは、喫煙時の吸引
抵抗が高いため喫煙者に不快感を与えるという難点があ
った。

【０００３】上述した如く、喫煙者に不快感を与えるこ
となく、かつ、たばこの煙中の有害成分の除去効率の高
いシガレットフィルターの発明が、特公昭５８−６４６
７号公報に示されている。この発明では、相異なる２種
の繊維トウを開繊集束し、シース・コア構造としたもの
であり、このシガレットフィルターは、たばこ煙中の有
害成分の除去効率が高いにもかかわらず、従来開発され
てきたシガレットフィルターに比べても喫煙感の低下が
ないものである。しかし、たばこの煙の濾過効率を高め
たシガレットフィルターは、喫煙者に十分な煙量感を与
えるものとはなっておらず、香喫味不足のシガレットフ
ィルターであり、さらにこの点を改良し得たシガレット
フィルターの開発が待たれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、上
記課題を解決し得たシガレツトフィルターを開発するこ
とを目的として検討中のところ、コルゲート加工したシ
ート状物の集束物の外周を融着したものをシガレットフ
ィルターのコア材とし、該コア材の外周に繊維トウの開
繊集束物をシース材として設けたシース・コア型のシガ
レットフィルターとすることにより、喫煙者の口中に吸
引される実質的な煙量は少ないにもかかわらず、十分な
煙量感を喫煙者に与えうるシガレットフィルターとなる
ことを見いだし本発明を完成した。

【０００５】本発明の要旨とするところは、シース・コ
ア型断面を有するシガレットフィルターであり、コア材
がコルゲート加工したシート状物の集束物の外周を融着
したものにて構成されており、シース材が開繊繊維トウ
の集束物にて構成されていることを特徴とするシース・
コア型シガレットフィルターにある。

【０００６】本発明のシガレットフィルターの好ましい
一例の横断面図を図１中の(b) に、縦断面図の一例を図
２に示した。これら図中の１は本発明のシガレットフィ
ルターのコア部を構成する、均一にコルゲート加工され
たシート状物の集束物であり、２はシース部を構成する
開繊した繊維トウの集束物を、３は巻紙、４は必要によ
り外部空気をシガレットフィルター内に取込み、ベンチ
レーション効果をシガレットフィルターに与える開孔部
である。

【０００７】図３は、本発明を実施するに際して用いる
均一にコルゲート加工したシート状物の断面図である。
このコルゲート加工したシート状物の深さｄは 0.2〜２
mm、溝間ピッチｐが 0.5〜３mmのものとするのがよい。
コルゲート加工したシート状物の溝の深さｄが0.2mm 未
満のもの、あるいは、溝間ピッチが0.5mm 未満のもの
は、熱可塑性シート状物よりコルゲート加工したシート
状物を作る際の困難性が急激に高くなるので好ましくな
く、一方、溝の深さｄが２mmを越えて深いもの、あるい
は、溝間ピッチｐが３mmを越えて大きいものは集束性良
好なコルゲート加工したシート状物となりにくい。

【０００８】図１(a) 中の１は、上記のごとくして作成
したコルゲート加工したシート状物を単に集束したもの
であり、その形状は、常に均一な断面円形状のものとす
ることは難しい。これに対し、図１(b) の１に示したコ
ルゲート加工したシート状物の集合体は、コルゲート加
工したシート状物の集束時、または集束後に、熱成型具
中を通過させて、該集束物の外周面を溶融成型し、その
形状安定性の向上を図ったものであり、かくすることに
よって、本発明のシガレットフィルターの工程通過性を
一段と向上せしめたものとすることができるとともに、
本発明のシガレットフィルターの美感の向上を図ること
ができる。またその集束物の断面形状は丸のみならず、
図５の(a) 〜(f) に示したごとき異形断面形状のものと
することもできる。

【０００９】また、コルゲート加工したシート状物の集
束物の外周を溶融成型し、その形状安定性を向上したも
のは、本発明のシガレットフィルターを作るに際し、シ
ース部を構成する、繊維トウの充填量を増大しても、こ
のコア部材の形状が変化することはなく、所望の濾過特
性と煙量感、香喫味を得られるシガレットフィルターと
することができる。

【００１０】本発明で使用する、コルゲート加工したシ
ート状物の集束物は、その内部にたばこの煙を良好に流
通させる流路が形成されているにもかかわらず、煙流と
コルゲート加工したシート状物との衝突による濾過効果
も有しており、コルゲート加工したシート状物の内部を
通過して、口中に到達するたばこの煙は、少ないにもか
かわらず十分な煙量感と香喫味を人に与えるという大き
な特徴を有している。また、コルゲート加工したシート
状物を作る際のシート状物として繊維素材よりなるもの
を用いる場合には、その目付量を増やすことにより、た
ばこの煙中の粒子状成分の除去効率も高めることができ
る。

【００１１】コルゲート加工したシート状物を得るに際
して用いるシート状物は、熱成型加工性を有するもので
あることが必要であり、シート素材としては、ポリオレ
フィン、ポリエステル、ポリアミド、セルロースアセテ
ートなどを例示できるが、その他、それ自体は熱可塑性
を示さないもの、例えばセルロース系繊維などの場合
は、ホットメルト系接着剤を併用することにより、同様
の目的を達成し得るコルゲート加工したシート状物を得
ることができる。シート状物としては、とくに長繊維捲
縮トウを開繊しシート化したもの、短繊維の集合体より
なるシート状物、不織布等の崇高のあるものの他、フィ
ルム状物も用い得るが、本発明のシガレットフィルター
の濾過効率を高めるためには崇高性のあるシート素材を
用いるのがよい。とくにアセテート長繊維トウより作ら
れたコルゲート加工したシート状物は、本発明のシガレ
ットフィルターをつけたシガレットの香喫味を良好にす
るという大きな効果を奏するので好ましいものである。

【００１２】本発明のシガレットフィルターのシース部
を構成するフィルター部材としてはレーヨン、ビニロン
繊維、ポリオレフィン繊維、セルロースアセテート繊維
などからなる長繊維捲縮トウを用いることにより、たば
この煙の濾過効率の高いシガレットフィルターとするこ
とができる。

【００１３】本発明のシガレットフィルターの好ましい
製造方法は、フィルターを構成するコア材として熱可塑
性を有するシート状物を溝付熱成型ロールでコルゲート
状シートに成型し、さらに熱成型集束装置にて均一な形
状に集束したものを、もう一方のフィルターを構成する
シース材として繊維素材を用い、これにてコア材を包み
こんで一体化することによって作ることができ、この製
造方法を図４によって説明する。

【００１４】まず、シース部を形成するフィルター部材
22は、長繊維捲縮トウよりなり、このものは、その開繊
装置５によって均一に開繊された状態でデリベリーロー
ル６により、好ましくはトリアセチン等の可塑剤を均一
に添着した後、第１のリングガイド７および第２のリン
グガイド８を通過させることによって、開繊した繊維ト
ウシートの断面形状を円弧状に広げ、さらに筒状に成形
しつつ、二重管15の外側管に供給し管状体に集束する。

【００１５】一方、コルゲート加工に供するシート状物
が不織布、フィルム等開繊不要なものである場合には、
図４中の９に示したごとき状態で供給し、ガイド10を通
過した後、コルゲート型熱成型型装置13でコルゲート状
シートに成型する。コルゲート型熱成型装置13は、多数
の溝を有する上下２本のニップロールより成り立ってお
り、上下のロールの溝が互いに噛合し、約１mm以下の厚
さでそのクリアランスを調整できる機能を有するととも
に、所定の圧力で加圧する能力と、所定の温度で熱成型
する能力を備えているものならば、いずれの装置をも用
いることができる。コルゲート加工されたシート状物は
エキストラロール14により引き出され、リングガイド
７、８の中を通過した後、熱成型集束装置16にて、コル
ゲート加工したシート状集束物としながら、その外周面
を熱融着加工し、その形態安定化をし、前記管状繊維ト
ウの内部へ供給され、フィルタープラグマシンにて本発
明のシガレットフィルターに加工される。

【００１６】コルゲート加工に供するシート状物がトウ
のごとく、その開繊が必要な繊維素材である場合には、
図４に示すごとく、ベールより引き出したトウ21を開繊
装置11によって均一に開繊した状態でデリベリーロール
12により、好ましくは、トリアセチン等の可塑剤を均一
に添着した後、コルゲート熱成型装置13に送られ、コル
ゲート加工したシート状物に成型される。コルゲート加
工したシート状物は、エキストラルロール14により引き
出され、リングガイド７および８の中を通過せしめた
後、二重管15の中央管状部に供給され、筒状繊維素材の
中心部に集束一体化される。

【００１７】熱成型集束装置16はコルゲート賦型したシ
ート状物が通過する部分の断面積を徐々に小さくするこ
とにより、コルゲート加工したシート状物を集束するこ
とが可能な形状を有し、所定の温度で集束物の外周を一
体化しうる装置であればどんな形状のものでも用いるこ
とができ、断面形状空洞部が円形状、楕円形状、角型、
五角形、星型のもののいずれをも用いることが出来る。

【００１８】本発明の製造方法において、熱可塑性シー
ト状物が繊維素材である場合には、添着せしめる可塑剤
の量、繊維種、繊維太さコルゲート熱成型装置13のロー
ル間のクリアランス、圧力、および温度、図３に示すコ
ルゲート状シートの溝ピッチｐおよび溝深さｄ、熱成型
集束装置16の温度は得られるシガレットフィルターの特
性を決めるので、製造するシガレットフィルターの特性
に合わせて決定するのがよい。コルゲートロール間のク
リアランスは0.5mm 以下、ロール間圧力は 0.5〜６Kg／
cm²Gの範囲、温度は60〜180 ℃の範囲とするのが好まし
く、コルゲート状シートの溝ピッチｐは 0.5〜３mm、溝
深さｄは 0.2〜２mmなる範囲が好ましい。コルゲート熱
成型装置のロール間のクリアランスが0.5mm を越える場
合、温度が60℃未満の場合には、コルゲート成型加工し
たシート状物とするのが困難であり、コルゲート熱成型
装置の温度が 180℃を越える場合には、逆にシート化が
進みすぎ、十分な吸引抵抗を保ったフィルター部材とす
ることが困難になるとともに、コルゲートシートの製造
安定性が悪くなり、結果としてフィルター素材としての
性能が低下するので好ましくない。熱成型集束装置16の
温度は、熱可塑性シート状物の素材にもよるが、約60〜
300 ℃の範囲とするのが好ましい。温度が60℃未満の場
合には、シート状物をコルゲート成型することが困難と
なり、300 ℃を越える場合には、シート状物の溶融が進
みすぎ、均一なコルゲート形状とはなりにくい。また、
コルゲート成型したシート状物が熱成型集束装置16を通
過する際の出口断面積は、徐々に集束したコルゲートシ
ート状物の集束形状を最終的に決定する上で、シート素
材の性質により最適な断面積を選択する必要がある。す
なわち、その出口断面積が小さすぎる場合には、コルゲ
ート賦型したシート状物の集束物が、熱成型集束装置16
を通過する際の抵抗が大きくなり、プラグ巻き上げ機内
に円滑供給することが困難となる。また、出口断面積が
大きすぎる場合には、コルゲート賦形したシート状物の
集束物の空隙が多くなるため、その剛直性が失われてし
まい、均一な形状のものとすることが難しい。

【００１９】また、同時にフィルタープラグマシンに供
給された巻紙３は、その少なくとも一端縁に接着剤を塗
工し、シガレットフィルター素材の外周に巻つけるとと
もに、その端部を接合した後、カッターで所定長に切断
することによって、本発明のシガレットフィルターとす
ることができる。

【００２０】本発明のシガレットフィルターは、コルゲ
ートシートの効果によって煙量感の発現性が高く、シー
ト素材の選択により、煙流中の粒子状成分の除去効果を
高めることができる特徴を有している。また、シート状
物の成型性向上により、外観上、および性能上、商品価
値の高いフィルターとすることができる。

【００２１】以下、実施例により、本発明をさらに詳細
に説明する。

【００２２】

【比較例１】熱可塑性を有するシート状物として、幅14
0mm 、厚さ0.05mmのポリプロピレンフィルムをコア材と
し、該シート状物を包み込むシース材として、繊維素材
としてセルロースアセテートトウを用い、図４に示す装
置を用いてシガレットフィルターを製造した。シート状
物をコルゲート賦型物を集束する熱成型集束装置の温度
を常温とした。コルゲート状シートの断面は、図３に示
すごとき断面を有しており、ピッチ幅ｐは1.0mm 、深さ
ｄは0.5mm であったが、シートの剛性が大きく、フィル
ターのコア材に成型することはできなかかった。

【００２３】

【比較例２】熱可塑性を有し、コア材とするシート状物
および該シート状物の集束物を包み込み、シース部を形
成する繊維素材としてセルロースアセテートトウを用い
図４に示す装置を用いてシガレットフィルターを製造し
た。ただし、熱成型集束装置の温度を常温とした。コル
ゲート状シートの断面は、図３に示すごとき断面を有し
ており、ピッチ幅ｐは1.0mm 、深さｄは0.5mm であっ
た。得られたフィルターの横断面形状は、図１(a) に示
す通り、シート状物がつぶれたような形状であった。

【００２４】

【実施例１】比較例１で用いたコア材、シース材と同一
の素材を用い、図４に示す装置を用いてシガレットフィ
ルターを製造した。熱成型集束装置の温度を 200℃とし
た。コルゲート状シートは、比較例１と同じ断面形状を
有しており、コア材を形成するコルゲート状シート物の
集束物の外周は円形状に融着しており、その形態は安定
しており、得られたフィルターの断面形状は図１(b) に
示す通りの構造であり、コルゲート状シートの集束物
は、ほぼ真円形状を有していた。

【００２５】

【実施例２】比較例２と同一のコア部、およびシース部
形成用の繊維素材を用い、図４に示す装置を用いてシガ
レットフィルターを製造した。コルゲートシート状物集
束物の熱成型集束装置の温度を 200℃とした。コルゲー
ト状シートは、比較例２と同じ断面形状を有しており、
得られたフィルターの横断面形状は図１(b) に示す通り
の構造であり、コルゲート状シートの集束物は、ほぼ真
円形状を有しており、その外周は、融着され形態安定性
は良かった。以上のようにして作成したフィルターの横
断面中のコルゲートシート状物の真円度を、図１(a) に
示すｘ／ｙで表し、また、通気抵抗は、コレスタ基準で
測定し、ＣＶ値を（標準偏差／平均値）×100 とした値
で表１に示した。

【表１】

【００２６】

【比較例３】表２に示すコア形成用およびシース部形成
用繊維素材を用い、図４に示す装置を用いてシガレット
フィルターを製造した。ただし、コルゲート熱成型集束
装置13の温度を常温とし、２本のロールは噛み合わない
よう離した状態とした。コルゲートシート状物集束物の
熱成型集束装置の温度を常温とした。得られたフィルタ
ーは、フィルター長20mm、円周24.7mmであった。

【００２７】

【実施例３】表２に示すコア部およびシース部形成用繊
維素材を用い、実施例２と同様の方法によってシガレッ
トフィルターを製造した。比較例３で得たシガレットフ
ィルターと同じフィルター長および円周であった。以上
のようにして作成したシガレットフィルターを、市販さ
れている日本タバコ産業（株）製“エプソン”よりチッ
プを切り取ったたばこと接続し、西独ボルグワルト社製
自動喫煙機ＲＭ２０／ＣＳにてコレスタ条件で喫煙さ
せ、フィルター中に捕集されたタール、ニコチン成分を
シガレットフィルターとケンブリッチフィルターに捕集
されたタール、ニコチン成分の合計量で除し、 100倍し
た値を除去率とし、また、フィルター通気抵抗はコレス
タ基準で測定した値で表２に示した。

【表２】

【００２８】

【発明の効果】表１、表２に示した結果より、本発明の
シガレットフィルターは通気抵抗が低いため、煙量感の
発現性が高いにもかかわらず、たばこ煙中の有害成分を
除去する性能が高い。また、成型性が向上したことによ
り、性能および外観上商品価値の高いフィルターである
ことがわかる。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a) は比較例のシガレットフィルターの断面図
の一例であり、(b) は本発明のシガレットフィルターの
一例の断面図である。

【図２】本発明のシガレットフィルターの一例の縦断面
図である。

【図３】本発明のシガレットフィルターのコア材を構成
するコルゲート加工したシート材の断面図。

【図４】本発明のシガレットフィルターを製造するのに
用いる製造装置の概略図。

【図５】本発明のコア断面形状を変えたシガレットフィ
ルターの例を示す断面図。

【符号の説明】

１ ……… 熱可塑性シート状物 ２ ……… 繊維素材 ３ ……… 巻紙 ４ ……… 空孔 ５ ……… 開繊装置 ６ ……… デリベリーロール ７ ……… リングガイド ８ ……… リングガイド ９ ……… コルゲート賦型シート形成用シート状物 10 ……… ガイド 11 ……… 開繊装置 12 ……… デリベリーロール 13 ……… コルゲート熱成型装置 14 ……… エキストラルロール 15 ……… 二重管 16 ……… 熱成型集束装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シース・コア型断面を有するシガレット
   フィルターであり、コア材がコルゲート加工したシート
   状物の集束物で、その外周部が融着されたものにて構成
   され、シース部が開繊繊維トウの集束物にて構成されて
   いることを特徴とするシース・コア型シガレットフィル
   ター。