JPS6328476B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、改善された木炭の製造方法に関し、
さらに詳しくは、木材炭化炉の製炭効率を大幅に
向上させ、しかも短時間に良質の木炭を製造する
工業的に有利な方法に関するものである。 木材を炭化する方法は、乾留法と製炭法に分類
される。乾留法は木材を外気と遮断された状態で
外部から加熱して炭化木材を得るとともに芳香族
炭化水素類その他の有機成分を収得する方法であ
つて特殊な装置及び回収操作を必要とする。一
方、製炭法は炭化すべき木材の一部を燃料として
燃焼させ、残部の木材を炭化させる木炭の収得を
目的とする方法であつて、本発明はそのような製
炭法、特に築窯製炭法の改善に係るものである。 築窯製炭法は、木材を炭化炉につめたのち、炉
入口付近の木材の一部を燃焼させて発生燃焼熱ガ
スを排煙口に導きながら、炉内の木材を炭化温度
以上に加熱、炭化させた後、その自発炭化を利用
して木炭を製造するものである。 かかる製炭法では、従来、製炭炉内の温度を炭
化温度に高めるのに炉入口付近の木材を燃焼し、
その燃焼焔熱で他の木材を加熱炭化させることが
不可欠で、通常、炉内の炭化用木材の約10％が燃
料として消費され、残る約90％が木炭として得ら
れている。 添付図面第１図は、従来の製炭炉の１例の林試
式角型炉の構造を説明するための模式的平面図
で、炉壁で包囲形成された長方形断面を有する炉
本体１の一方の短辺部中央には、かま口２が設け
られ、対応する他の短辺の炉壁近傍に、炉壁の下
部中央に設けられたガス排出口に通ずる煙突３が
該壁と一体に又は別個に設けられている。炉内に
は炭化すべき木材、すなわち炭材４が充てんされ
る。このように準備された炉は、次いでかま口２
の部分の炭材を適当な手段により加熱燃焼させ、
その燃焼焔熱で残りの炭材を炭化させるのであ
る。この方法では、かま口２の近傍の、例えば破
線で示す部分までの炭材は燃焼して灰化するの
で、炭材から木炭への転化率が低下し、同時に炉
の収炭効率も低いものである。また、このような
製炭炉の操業において、炉内への炭材の充てん作
業及び製品の炉外搬出作業性を省力化し、操業性
を向上させるために台車を使用する例が多くなつ
ているが、従来法での台車の使用は充てんした炭
材の一部が上記のように焼失するので、組みあげ
た炭材が崩れやすく、また燃焼残材などが台車の
レールや床に落下し、製炭ごとに清掃しなければ
ならない不利益も回避できなかつた。そのような
不利益にもかかわらず、製炭炉に開かれたただ１
個所のかま口で炭材を燃焼させ、その燃焼焔によ
り炉内の他の炭材を炭化温度以上に高めることが
極めて効果的で、且つ最善であると考えられ、現
在もこの方法が採用されている。このようなかま
口部のみで燃焼加熱する従来法では、炉内全体を
均一な炭化温度に高めるのに長時間を要し、燃焼
部近傍に多少品質の劣つた木炭が形成される不都
合も止むを得ないことであつた。 また、このような製炭炉内のかま口の炭材を燃
焼させる不利益を解消ないし軽減させる方法とし
て、製炭炉に隣接して燃焼室を取り付け、その燃
焼室からの火焔ないし熱気を炉内に導入する方法
がいくつか提案されている。しかし、そのような
火焔等を用いて木炭を製造する方法は、本質的に
炭化効率が低いので、これを向上させるために、
主として炉の構造に改善努力がなされ、あるいは
その特殊な炉の構造と関連した厄介な操業法が要
求されるなど、工業的に満足し得る方法は、まだ
見出されていない。 本発明者らは、このような従来製炭法の諸欠陥
を克服し、高い効率で高品位の木炭を短時間に製
造する方法について研究を重ねた結果、上記の従
来技術概念にもかかわらず、例えば格外木材や廃
材を熱風発生炉で燃焼させ、そこで発生させた熱
風を炭化熱源として効率よく木炭を製造し得る実
用的に望ましい方法を見出した。 すなわち、本発明は、製炭炉を用いて木炭を製
造する築窯製炭法において、熱風発生炉で発生さ
せた熱風を炭化すべき木材を充てんした製炭炉の
下部の複数個所から導入し、発生燃焼ガスを煙突
に通ずる製炭炉下部の排煙口から排出させて、木
材を燃焼させることなく加熱し、自発炭化及び精
練させる木炭の製造方法を提供するものである。 通常、木炭は、ナラ、松、桜、樫などの生木を
加熱して、その自発炭化が開始するまで加熱さ
せ、自発炭化が開始した時点でかま口部の燃焼加
熱は停止され、口が閉じられる。その後、炭材は
自発炭化し、かつ精練が行われ、完全に木炭化し
たのち自然冷却又は強制冷却が行われる。はじめ
の燃焼加熱炭化温度は、木材の種類により、ある
いは軟炭、堅炭の別により異なるが、一般に300
〜500℃程度であつて、製炭用の密に充てんされ
た生木全体をその炭化温度に加熱するには、さら
に高い温度の燃焼火焔を長時間提供することが必
要であり、この点から従来の方法が最適とされて
いたのである。 本発明の方法は、このような従来の製炭技術の
通常概念にむしろ逆行するものであるが、本発明
の築窯製炭法においては、従来知られた製炭炉、
例えば備長窯、木試式炉などが好都合に用いら
れ、また台車方式は一層有利に採用できる。また
炉の形状、大きさなどは何ら制限されないし、木
炭製造用原料としてどんな種類の炭材も適用でき
る。 さらに、本発明の方法に用いられる熱風発生炉
は、燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを提供しうる
構造のものであればよく、製炭炉の容量に適合し
た供給能を有するものが好適に用いられる。この
熱風発生炉に用いられる燃料は、通常、製炭材料
に適さない格外木材が好都合に使用でき、その他
製造された木炭の格外製品、あるいは重油などど
んな燃料であつてもよい。また、熱風発生炉は、
製炭炉の周囲の特定部所に固定的に設置してもよ
いが、例えば車を取り付けてレール上を移動さ
せ、複数個の炉に使用し得るようにすることが好
ましい。また、製炭炉に複数個の熱風発生炉を組
合せて、製炭炉の下部の異なる個所から熱風を送
入することができ、あるいは容量の大きい熱風発
生炉で発生させた熱風を分枝管などにより分けて
製炭炉に複数個所から導入することもできる。熱
風発生炉には、通常、送風機が付設され、熱風は
効果的に製炭炉に送入される。又煙突の吸引効果
を利用すれば送風機は不要である。熱風発生炉に
付設される熱風誘導管は、保温処置を施して熱ロ
スを防止することが好ましい。製炭炉には、炭材
の製炭炉内への充てん及び製造された木炭の搬出
に必要な上下摺動扉又は開閉扉及び熱風導入用の
導入口が設けられる。熱風導入口は、複数個を製
炭炉の側壁の下方部に且つ適当な間隔を置いて配
設され、熱風誘導管の先端部と嵌合ないし気密に
接合し得るように開閉自在に設けられる。 本発明の方法は、このように製炭炉と熱風発生
炉とを組み合わせ、熱風発生炉からの熱風製炭炉
の下部の複数個所に導入するすると共に、木材か
ら発生する燃焼ガスを煙突に通ずる製炭炉下部の
排煙口から排出させるように構成させたことが極
めて特徴的である。 次に本発明の方法を図面によりさらに具体的に
説明する。 第２図は、本発明の方法を説明するための模式
的概要図で、製炭炉本体１には、側壁下部に設け
られた燃焼ガス排出口に連通する煙突３が配置さ
れ、炉本体内には台車５上に組まれた炭材４が搬
入扉２′から搬入収納されている。炉本体１には、
その側壁の下部に複数個の熱風導入口６が開閉自
在に設けられ、炉本体と組み合わされる熱風発生
炉７に取り付けられた熱風送出管９の先端部は、
使用に際して上記熱風導入口６と連結され、製炭
炉への熱風導入管として作用する。また該発生炉
７には、通常、送風機８が組み合わせて用いら
れ、熱風を製炭炉１内へ効果的に導入させること
ができる。熱風導入口６は、煙突３に通ぢる排煙
口が下部に設けられた側壁以外の側壁にそれぞれ
１個設けて複数個所から熱風を導入することが好
ましく、その場合には、通常その数に相当する熱
風発生炉が併用される。 本発明の方法によれば、製炭炉内の炭材を燃焼
させる必要がないので燃焼損失は全くなく、従つ
て炭材の木炭化効率、換言すれば木炭収率はほと
んど100％であつて、製炭炉の製炭効率を顕著に
向上させることができる。また、台車を用いる方
法では、荷崩れや燃焼灰などの不利益事項がない
ので、作業性が極めて高く、製炭炉の稼動率も大
幅に増大する。さらに本発明の方法は、熱源とし
て規格外木材、廃材、重油その他任意の燃料を用
いることができる点で望ましいばかりでなく、そ
の熱風の製炭炉内への導入をコントロールでき、
炉内の全炭材を短時間に炭化温度に加熱する利点
を有する。その結果、高品質でばらつきのない木
炭を高収率で短時間に得ることができるので、本
発明の製炭法は、工業的に優れた高い実用性を有
するものである。 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。 実施例１、比較例１〜２ 奥行9.7ｍ、幅３ｍ及び高さ2.7ｍの炉内寸法を
有する耐火れん瓦及び断熱れん瓦製の角型製炭炉
と、奥行4.5ｍ、幅2.3ｍ、高さ2.1ｍの一部不定形
耐火物を使用した耐火れん瓦製台車２台を用いて
実験を行つた。炉には内径360mmφで高さ４ｍの
煙突が付設されている。 このような製炭炉を用い、炭材としてから松
9000Kgを２台の台車に積み上げて木炭製造を行つ
た。また、使用した熱風発生炉は、その炉内寸法
が奥行1.0ｍ、幅0.46ｍ及び高さ0.65ｍであつて耐
火れん瓦及び断熱れん瓦で構成され、格外木材を
燃料に用いて熱風を供給し得るものである。 このような熱風発生炉を１基用いて、熱風を木
材搬入用扉の下部のかま口から導入した場合（比
較例１）、発生炉を３基同時に用い、それぞれの
熱風を炉の側壁下部に形成された３つの熱風導入
口から導入した場合（実施例１）、及び同じ炉を
使つて従来法に従つて、かま口部の炭材を燃やし
た場合（比較例２）について製炭実験を行つた。 これら製炭実験におけるそれぞれの各工程の状
況及び結果を下掲第１表にまとめて示す。 なお、表中の製炭時間の欄の「着火」は、従来
法においては、かま口部の木材を燃焼させた時間
であつて、実施例においては、熱風発生炉から炉
内への熱風導入時間である。

【表】

【表】 ＊ 温度測定は、すべて煙突に通ずる排煙
口下部で行つたもの
なお、本発明の方法における上記実施例の操業
中の排煙口下部で測定した製炭炉の経時的温度変
化を第３図にグラフで示した。グラフ中の破線は
発生炉３基を使用した場合のものである。 上記結果から、本発明の方法が従来法に比べて
はるかに優れ、熱風発生炉を３基使用した場合に
は、単基使用に比べてさらに高品質の木炭を優れ
た収炭率で短時間に得られることが明瞭に理解で
きよう。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の製炭炉の一例を説明するため
の模式的平面図、第２図は、本発明の方法を説明
するための模式的概要図であり、第３図は、本発
明の方法を実施した場合の製炭炉内の経時的温度
変化を示すグラフである。 図中の符号１は製炭炉本体、２はかま口、２′
は搬入出用扉、４は炭材、６は熱風導入口、７は
熱風発生炉、８は送風機である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 製炭炉を用いて木炭を製造する築窯製炭法に
   おいて、熱風発生炉で発生させた熱風を炭化すべ
   き木材を充てんした製炭炉の下部の複数個所から
   導入し、発生燃焼ガスを煙突に通ずる製炭炉下部
   の排煙口から排出させて、木材を燃焼させること
   なく加熱し、自発炭化及び精練させることを特徴
   とする木炭の製造方法。