JPS6327001Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、取付フランジを一体的に形成してな
る合成樹脂製マスタシリンダをボルトとナツトに
よりダツシユボード等車体の一部に取付けるよう
にした合成樹脂製マスタシリンダの取付構造に関
する。

上記した取付構造においては、従来、そのボル
トとして、頭部に続く首下部と先端ねじ部が略同
一径のものを採用している。このため、前記取付
フランジに設けた取付孔に直接ボルトを通してナ
ツトとにより合成樹脂製マスタシリンダを車体の
一部に取付ける場合には、締め付け過ぎにより取
付フランジが割れたり、締め付け不足に起因して
熱履歴や車両の振動等によりボルトとナツトの締
着が緩むおそれがある。これに対処するため、一
般には、取付フランジの取付孔に金属のブツシユ
を嵌入（圧入またはインサート成形）している。
かかる手段によれば、ボルトとナツトの締め付け
過ぎや不足による不具合を解消することができる
ものの、生産性が悪いばかりかコスト高となる等
の新たな問題が生じる。

本考案はかかる実状に鑑みてなされたもので、
その目的は特殊な形状のボルトを採用することに
より上記した新たな問題をも解消し得る合成樹脂
製マスタシリンダの取付構造を提供することにあ
る。

また、本考案の要旨は、前記ボルトとして、頭
部に続く首下部を前記取付フランジに設けた取付
孔に予め圧入嵌合される大径としその大径部長さ
は前記取付フランジの肉厚と略等しい長さとされ
且つその外周にはセレーシヨンが形成され、また
先端ねじ部が前記車体の一部に設けた前記首下部
より小径の取付孔に嵌挿される小径とした段付ボ
ルトを採用し、前記首下部と前記先端ねじ部の間
の段部と前記ナツト間に前記車体の一部を挟着し
たことにある。このため、本考案においては、当
該合成樹脂製マスタシリンダの組付に際して、段
付ボルトがその首下部に形成したセレーシヨンに
て合成樹脂製マスタシリンダの取付フランジに回
転不能に仮組され、同ボルトの小径先端ねじ部に
ナツトを螺合させて同ナツトを回転させるといつ
た極めて簡単な作業によつて当該合成樹脂製マス
タシリンダをダツシユボード等車体の一部に一方
（車室内方）からシリンダ等によつて邪魔される
ことなく取付けることができ、作業性を大巾に改
善することができるとともに、ボルトにナツトを
いかに強く締め付けても、取付フランジには不必
要な締付力が作用せず、取付フランジの割れ、ナ
ツトの緩み等の心配は全くない。またボルトの形
状を変える手段であるため、従来の金属ブツシユ
を採用する手段に比べて生産性が良いばかりか、
コストダウンを図ることができる。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図においてマスタシリンダ１０は、ガラス
繊維のステープルフアイバを適宜の合成樹脂に混
在させてなるFRPにより一体的に成形されてい
て、シリンダ１１とリザーバ１２及び円筒部１３
と取付フランジ片１４により構成されている。

リザーバ１２は、シリンダ１１の略中央外周部
から先端側にてシリンダ１１の外周部に位置し、
シリンダ１１の先端部にてシリンダ内孔１１ａに
連通している。このシリンダ内孔１１ａには、合
成樹脂製のバルブケース２１とピストン２２とが
摺動可能に嵌挿されており、特にピストン２２は
液密的に摺動可能になつている。また、バルブケ
ース２１とピストン２２との間には圧縮スプリン
グ２３が介装されている。この圧縮スプリング２
３は、その付勢力にてバルブケース２１をシリン
ダ内孔１１ｂの先端側底部に位置させ、かつピス
トン２２をシリンダ内孔１１ａの後端側に位置さ
せている。また、バルブケース２１とピストン２
２とはコネクテイングロツド２４により連結され
ている。このコネクテイングロツド２４の先端部
には、バルブケース２１内に収容されてシリンダ
１１の連通孔１１ｂに対向するバルブ部２４ａを
備えており、またバルブケース２１とバルブ部２
４ａとの間には圧縮スプリング２５が介装されて
いる。この圧縮スプリング２５は、コネクテイン
グロツド２４をシリンダ１１の先端側へ付勢して
その後端部２４ｂをピストン２２に係合させてお
り、ピストン２２が先端側へわずかに摺動したと
きバルブ部２４ａをシリンダ内孔１１ａの先端側
底部に着座させて連通孔１１ｂを遮閉する。また
ピストン２２には図示しないブレーキペダルに連
結されるプツシユロツド２６が連結されている。

一方、円筒部１３は、シリンダ１１の略中央外
周部にてシリンダ１１とリザーバ１２の一部に結
合され、シリンダ１１の外径よりも大径でこれと
同心的に後端側へ所定長さ延びている。また、各
取付フランジ片１４は円筒部１３の後端外周部か
ら互に外方へ所定長さ突出している。

しかして、本実施例においては、マスタシリン
ダ１０がその一対の取付フランジ片１４にて各取
付フランジ片１４に設けた取付孔１４ａに嵌入し
たボルト３１とこのボルト３１に螺合したナツト
３２により車両のダツシユボード３３に取付られ
ている。なお、図においてはリザーバ１２と取付
フランジ片１４が同一面に位置しているように示
されているが、実際には異なる面に位置してい
て、ボルト３１の取付孔１４ａへの嵌入には支障
がないようになつている。

ところで、各ボルト３１は、その頭部３１ａに
続く首下部３１ｂが各取付フランジ片１４の肉厚
Ｔと略等しい長さ大径とされ、かつその外周には
セレーシヨンＳが転造によつて形成されており、
またその先端ねじ部３１ｃが小径とされている。
また各ボルト３１は、ナツト３２の着脱に際して
回転しないようにその首下部３１ｂにて各取付フ
ランジ片１４の取付孔１４ａに予め圧入嵌合さ
れ、またその先端ねじ部３１ｃにてダツシユボー
ド３３に設けた首下部３１ｂより小径の取付孔３
３ａに嵌挿されている。このため、当該合成樹脂
製マスタシリンダ１０の組付に際して、ボルト３
１がその首下部３１ｂに形成したセレーシヨンＳ
にて合成樹脂製マスタシリンダ１０の取付フラン
ジ片１４に回転不能に仮組され、同ボルト３１の
小径先端ねじ部３１ｃにナツト３２を螺合させて
同ナツト３２を回転させるといつた極めて簡単な
作業によつて当該マスタシリンダ１０をダツシユ
ボード３３等車体の一部に一方（車室内方）から
シリンダ１１等によつて邪魔されることなく取付
けることができ、作業性を大巾に改善することが
できるとともに、各ボルト３１の首下部３１ｂ先
端段部がダツシユボード３３の前面に当接してお
り、ボルト３１にナツト３２をいかに強く締め付
けても、取付フランジ片１４には不必要な締付力
が作用せず、取付フランジ片１４の割れ、ナツト
３２の緩み等の心配は全くない。またボルト３１
の形状を変える手段であるため、従来の金属ブツ
シユを採用する手段に比べて生産性が良いばかり
か、コストダウンを図ることができる。なお、本
実施例において、ダツシユボード３３の取付孔３
３ａを図示上下方向において長孔とした場合に
は、各取付フランジ片１４の先端部（図示上端或
いは下端部）が成型時に図示左方へ収縮変形した
場合にも、良好な組付性が確保できる。

なお、上記実施例においては、一対の取付フラ
ンジ片１４を有する合成樹脂製マスタシリンダ１
０のダツシユボード３３への取付に際して本考案
を実施したが、本考案は環状の取付フランジを有
する合成樹脂製のマスタシリンダのダツシユボー
ドへの取付等種々の合成樹脂製マスタシリンダの
取付構造において上記実施例と同様にまたは適宜
変更して実施することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示す縦断面図である。 符号の説明、１０…合成樹脂製マスタシリン
ダ、１４…取付フランジ片、１４ａ…取付フラン
ジ片の取付孔、３１…ボルト、３１ａ…頭部、３
１ｂ…首下部、Ｓ…セレーシヨン、３１ｃ…先端
ねじ部、３２…ナツト、３３…ダツシユボード、
３３ａ…ダツシユボードの取付孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 取付フランジを一体的に形成してなる合成樹脂
   製マスタシリンダをボルトとナツトによりダツシ
   ユボード等車体の一部に取付けるようにした合成
   樹脂製マスタシリンダの取付構造において、前記
   ボルトとして、頭部に続く首下部を前記取付フラ
   ンジに設けた取付孔に予め圧入嵌合される大径と
   しその大径部長さは前記取付フランジの肉厚と略
   等しい長さとされ且つその外周にはセレーシヨン
   が形成され、また先端ねじ部が前記車体の一部に
   設けた前記首下部より小径の取付孔に嵌挿される
   小径とした段付ボルトを採用し、前記首下部と前
   記先端ねじ部の間の段部と前記ナツト間に前記車
   体の一部を挟着したことを特徴とする合成樹脂製
   マスタシリンダの取付構造。