JPS6326804B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、バナジウムやイオウなどの不純物を
多く含む重油を使用するボイラの補強構造に関す
る。

従来のボイラの火炉の底部（以下炉底部とい
う）の構造を示す第１図によつて説明する。

一般に重油焚ボイラにあつては、火炉はある圧
力（数百mm水柱）を保持して運転されるが、火炉
の周壁を構成する垂直部炉壁管１、炉底部炉壁管
２が火炉内部の圧力によつて外側へ膨れないよう
に、垂直部の前壁３、後壁４、側壁５の４周なら
びに炉底部にバツクステイ６を取付けて、これを
防止している。なお、炉底部炉壁管２ならびに側
壁５を構成する管は何れも下部ドラム２３より分
岐して配列されているため、両者は互いに直交す
る形で配列され、かつ側壁５を構成する管の方が
下へ延びている形状に構成されている。図中８は
バーナを示す。

一方、重油の中にバナジウムやイオウなどの不
純物が多量に含まれている場合は、その重油燃焼
灰によりボイラの過熱器管や再熱器管に高温腐食
による減肉を生ぜしめ、また節炭器管や再生式空
気予熱器に低温腐食による減肉を引き起こす可能
性がある。一般にはこれらを抑制するため、マグ
ネシウムの化合物を重油の中に添加したり、火炉
の中へ直接投入して、重油燃焼灰の融点を上昇さ
せ、上記の伝熱面に灰が付着しないようにする対
策が採られる（以下このようなものを添加剤とい
う）。

このように、ボイラの火炉に添加剤を投入する
と、重油燃焼灰の融点が高くなり、過熱器管や再
熱器管に燃焼灰が付着せずに直接ボイラの炉底部
に降りそそぐように落ちて、多量に堆積すること
がある。

第２図はその重油燃焼灰が炉底部に堆積しいる
状況を示す第１図のＡ−Ａ線矢視の断面図であ
る。この重油燃焼灰は、融点が高いために、ボイ
ラ運転中は、上層部では溶融しているが、中層部
及び下層部では固まつた状態（固体または半固
体）となつていると考えられる。このような重油
燃焼灰が、炉底部７に多量に堆積すると、第２図
に示すように、運転中は重油灰のａ部分の温度が
炉壁管９のそれよりも高い（熱膨脹が大）ため
に、常に炉壁管９に対して矢印ｂで示すようにこ
れを外側に押し拡げようとする力が働くことにな
る。第２図中、ｃは溶けている灰の部分、ｄは固
まつている灰の部分、１０はシールプレートを示
す。

また、ボイラの停止、冷却過程においても、重
油灰は炉壁管よりも中中冷めにくいため、やはり
第２図のように、炉壁管９を外側に押し拡げよう
とする力を及ぼす。このような現象に対しては、
第１図に示したような従来の炉底部６の構造では
重油灰の力に打ち勝つことができない場合があ
る。

本発明は、第２図で説明したような、炉底灰の
力で、炉壁管が曲つたり、シールプレートが破れ
て、溶けた灰がボイラの外側へ流出するような事
故が応々発生したため、これらの欠点を解決する
ため創案したものであつて、炉壁管が火炉の内部
の圧力（正圧または負圧）によつて外側または内
側へ膨れないようにするために炉壁管にバツクス
テイを取付けて、これを保護することは公知の技
術であるが、この構造を炉底灰により生ずる力に
対抗するように応用した点および構造面で炉底部
に適応できるよう構成したことを特徴としてい
る。

以下、本発明の好適な実施例を示す第３図より
第７図に従つて詳述する。

第３図は、本発明による炉底部の構造を示す。
符号１１から１４は火炉を構成する炉壁管で、１
１は前壁管、１２は後壁管、１３は側壁管、１４
は炉底管である。１５は炉底に堆積した重油燃焼
灰（以下炉底灰と言う）、１６から２１は本発明
によバツクステイの構成で、それぞれ、１６はバ
ツクステイ、１７はテンシヨンプレート、１８は
ピン、１９はテンシヨンプレート支持金物、２０
はバツクステイ連結金物、２１はボルトナツト、
２２は側壁より炉底までの連結金物を示す。

炉壁管１１から炉底管１４はそれぞれメンブレ
ンウオールであり、かつ、お互いが例えば連結金
物２２で連結され、炉内のガスが外部へ漏れない
ような構成になつている。バツクステイ１６は、
第３図の側面図に示すように、炉底管１４に沿つ
て配置され、図示のように複数本に分割するが、
場合によつては、一本物とする場合もある。そし
てそれは第３図のＢ−Ｂ矢視断面を示す第５図に
示すように、側壁管１３に取付けたバツクステイ
連結金物２０とボルトナツト２１で連結される。

第４図に示すように、テンシヨンプレート１７
（第４図、第７図）は炉底管１４の下面に沿つて
バツクステイ１６に直交するように複数本が配置
され、自身の重量は炉底管１４に取付けたテンシ
ヨンプレート支持金物１９によつて支持される。
その両端部はバツクステイ１６に対してピン１８
を使つて連結（第４図、第６図）する。テンシヨ
ンプレート１７が側壁管１３を貫通する部分は、
第３図の断面Ａ−Ａ、第４図の断面Ｃ−Ｃ、Ｄ−
Ｄを示す第４図、第６図、第７図のように形状を
変えている。すなわち、炉底管１４の下部では水
平状態であるが、側壁貫通部ではこれに側壁管の
管軸心と平行な面を有する複数個（第６、７図の
例示では３個）の垂直のラグすなわち板材１７′
を付けることにより貫通を容易にしている。側壁
管１３のメンブレンウオールを構成するフイン１
０は、垂直のラグ１７′が貫通する部分を切り欠
いている。

次に本発明により補強構造の作用、効果につい
て述べる。

第３図、第４図において、炉底灰１５がある量
堆積して、側壁管１３を押し拡げようとする力が
働くと、従来はその大部分が側壁〜炉底連結金物
２２にかかり無理が有つたが、本発明構成による
と、その力は先ず側壁管１３からバツクステイ連
結金物２０（第５図）を介してバツクステイ１６
にかかり、バツクステイ１６が曲がろうとする。
両側の側壁に取付けたバツクステイ１６が曲がろ
うとするのを炉底に取付けたテンシヨンプレート
１７で互いに引張りつけることで曲がりは防止さ
れる。換言すれば、テンシヨンプレート１７の側
壁貫通部は、側壁管１３の管軸心に平行な面を有
する板材１７′で構成されているので、この貫通
部分においてはテンシヨンプレート１７の断面形
状を変化させたこととなり、管が存在しても側壁
の貫通が容易になる。従つて側壁部にかかる荷重
に対しては先ずこれを炉底部両側のふたつのバツ
クステイ１６に伝え、これを上記板材を包含する
テンシヨンプレート１７にて互いに張りつけるこ
とによつて、炉底部と側壁部の連結金物に無理が
かからないようにするのである。

このようにして、本発明の補強構成によると、
炉壁管が火炉の内部の正圧または負圧によつて外
側または内側へと膨れることは防止することが出
来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のボイラの炉底部の構造を示す側
面図、第２図は第１図のＡ−Ａ矢視の拡大断面
図、第３図より第７図は本発明の構成を示し、第
３図は側面図、第４図は第３図のＡ−Ａ線矢視の
拡大断面図、第５図は第３図のＢ−Ｂ線矢視の断
面図、第６図は第４図のＣ−Ｃ線矢視の断面図、
第７図は第４図のＤ−Ｄ線矢視の断面図である。 １１……前壁管、１２……後壁管、１３……側
壁管、１４……炉底管、１５……炉底灰、１６…
…バツクステイ、１７……テンシヨンプレート、
１８……ピン、１９……テンシヨンプレート支持
金物、２０……バツクステイ連結金物、２１……
ボルトナツト、２２……側壁〜炉底連結金物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炉底近傍の対向する側壁にそれぞれ取付けら
   れたバツクステイ、同バツクステイどうしを連結
   するテンシヨンプレート、および同テンシヨンプ
   レートを炉底下面に保持するテンシヨンプレート
   支持金物を具え、前記テンシヨンプレートの側壁
   貫通部は側壁管の管軸心と平行な面を有する板材
   で構成されていることを特徴とするボイラ補強構
   造。