JPS63238921A - 鉄鋼材料の引抜加工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野〕 本発明は鉄１ｉｉ１線材の伸線前処理方法に関するもの
であり、さらに詳しく述べるならば、乾式潤滑剤を用い
る鉄鋼線材の伸線工程のための前処理方法の改良に関す
るもので♂る。

〔従来の技術〕

従来、鉄鋼線材の伸線前処理法として、ショツトブラス
ト、研摩、酸洗などのスケール除去工程の後、またはス
ケール除去後りん酸塩化成処理、中和、一時防錆処理、
乾燥を施した後、これに潤滑処理を施す方法が一般に実
施されている。この前処理法の工程を、より詳しく述べ
るならば、鉄鋼線材に、必要により脱脂、水洗し、続い
て塩酸、硫酸等の希薄水溶液で脱スケール酸洗を施こし
、これを水洗し、中和と一時防錆処理を施こし、乾燥し
た後、粉末潤滑剤を用いて線材に伸線を施こす各段階よ
り構成される。伸線された線材には一時防錆のための防
錆油が塗布され、ユーザーに出荷され、その後ユーザー
において、ミシン針、スプリング、自転車スポーク等に
成型加工され、これに必要により更に脱脂、水洗、酸洗
、およびめっきなどの処理が行なわれる。前記中和一時
防錆処理液としては、一般に、水に生石灰と針状石鹸と
を混合溶解した石灰石鹸液を５０〜８０℃の温度に維持
して用いている。

潤滑処理の方法として、粉末潤滑剤を用いることなく液
状潤滑剤を用いる方法がある。この液状潤滑剤は金属石
鹸の溶液タイプ、あるいはリン酸ソーダ、ホウ砂、酸化
チタニウムの混合物の水溶液（特公昭３０−２３５８号
公報）などのものが知られている。前記金属石鹸溶液潤
滑剤は、使用中に粘度の上昇を伴い、均一な皮膜が形成
されなかったり、乾燥不充分のため充分な潤滑効果を達
成できなかったりする欠点を有しており、このため、前
述の粉末潤滑法が一般に採用されている。

粉末潤滑剤は、各種金属石鹸をベースとして石灰・タル
クなどの無機分に硫黄、台。３２などを添加したものが
一般的である。そしてこの粉末潤滑剤をダイスの手前の
箱の中に入れ、鉄鋼線材を粉末潤滑剤中に通過させて、
潤滑被膜を鉄鋼線材の表面に形成している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、粉末潤滑剤を使用する鉄鋼線材の伸線の前処
理方法の問題点を究明し、その効果的解決を図るもので
・ある。

上記線材の伸線工程において、その潤滑性が充分でない
と鉄鋼線材の表面に傷を生ずる。伸線製品の用途が、ミ
シン針、その他のように表面仕上げで精度に対する要求
が厳しい場合には、線材表面を２０００倍顕微鏡で観察
して傷が発見されないことが条件となる。傷があったり
表面が粗いと、伸線後のめっき工程において、めっき被
膜の表面が粗（なり、最終製品の外観が損なわれる。そ
こで、美麗な最終製品外観が要求される用途向けの鉄鋼
伸線材を伸線する際に番よ、それに施される潤滑剤の性
能に対する要求も極めて厳しいものとなる。

粉末潤滑剤の潤滑性能は、その組成により影響されるが
、良好な金属石鹸を使用した場合でも、伸線製品の表面
に伸線中にヘアラインなどと称される傷が生ずることが
ある。

又、酸洗、中和一時防錆処理の後、伸線工程までの鋼線
コイルの放置期間が長時間になると、錆の発生や中和一
時防錆皮膜の吸湿などを生じ、このため酸洗−中和一時
防錆を再度行なう必要を生ずることがある。しかし、中
和一時防錆工程により形成された石灰石鹸皮膜の除去は
困難である。

〔問題点を解決するため手段および作用〕本発明者らは
、潤滑剤の改良により線材の潤滑性を向上しようとする
従来技術の主流からは離れ、潤滑剤を鉄鋼線材に適用す
る前の処理剤を工夫することにより、線材の潤滑性能を
抜本的に改善する方法を鋭意研究した。その結果、意外
にも、従来りん酸塩化成処理用表面調整剤としてりん酸
塩化成処理の前処理に使用されている薬剤が粉末潤滑剤
の機能を一段と増進させることが見出された。

りん酸塩化成処理用表面調整剤は周知であり（例えば、
特公昭３９−７１２５号公報、特公昭５８−５５５２９
号公報、特公昭６０−４１１４８号公報、米国特許第２
３１０２３９号明細書、米国特許第２８７４０８１号明
細書）、その基本的成分はコロイドチタンとアルカリ性
りん酸塩である。またその基本的機能は、素材の金属面
を活性化しまたは調整し、均一、微細、ち密なりん酸塩
化成処理被膜を形成することにある。本発明において、
りん酸塩化成処理用表面調整剤（以下、「表面調整剤」
と略記する）を酸洗もしくはりん酸塩化成処理と金属石
鹸による線材処理との中間において使用したとき、どの
様な作用が生じるかは、まだ十分に解明されていないが
、鉄鋼線材と金属石鹸被膜の間に表面調整剤被膜が介在
し、これが金属石鹸粉末粒子の保持状態を改善している
ものと思われる。すなわち、表面調整剤を使用した場合
の伸線状態を使用しない場合の伸線状態と比較すると、
伸線に要する引抜力が低下し、傷発生の頻度が激減し、
チタンコロイドは伸線材表面に伸線後も残存しているな
どの現象が認められており、これらの現象を総合して考
察すると、上述の作用機構がぼり確実なものと考えられ
る。

上記発見に基づいて完成された本発明の伸線前処理方法
は、スケール除去処理またはスケール除去処理およびり
ん酸塩化成処理を施された鉄鋼線材を、チタン含有化合
物コロイドを含有する表面調整剤により処理することを
特徴とするものである。本発明方法において、表面調整
剤液は、チタン含有化合物コロイドに加えてワックスを
含んでいてもよい。

以下、本発明の構成を詳しく説明する。

本発明において使用される表面調整剤はチタン化合物コ
ロイドを含有するものである。この化合物は、チタン含
有化合物と、アルカリ性りん酸塩との反応生成物として
製造することができる。この反応生成物の製造に用いら
れるチタン含有化合物は、例えば硫酸≠タニルが用いら
れる。チタン含有化合物は、その他のＳｎ＋Ｃｏ、Ｍｏ
、Ｐｂ、Ｚｎなどのコロイド生成化合物と一緒に用いら
れてもよい。また、アルカリ性りん酸塩としてはアルカ
リ性正りん酸塩、アルカリ性ビロりん酸塩、アルカリ性
ポリりん酸塩、アルカリ性メタりん酸塩などが用いられ
るかポリりん酸塩を用いることが好ましい。ポリりん酸
塩を用いればチタンのコロイド化が容易に達成されるか
らである。りん酸塩としては、ナトリウム、カリウム、
アンモニウムなどの塩が特に好ましい。

本発明方法に用いられる表面調整剤液は、前記チタン含
有化合物コロイドに加えて、ワックス、特に水乳化性ワ
ックスを含むことができる。

ワックスは潤滑効果を増進させるだけでなく前処理され
た線材に″おける錆の発生を防止又は遅延させるのに有
効である。本発明方法に有用なワックスは、モンクン系
ベースワックス、エステル系ワックス、乳化剤含有エス
テル系ワックス、部分けん化エステルワックス、軟質ワ
ックス、非酸化、および酸化ポリエチレンワックス、な
どを包含するが、一般に界面活性剤を含有しないエマル
ジッンワックスが好ましい。表面調整剤は、上記したチ
タン含有化合物コロイド、又は、それとワックスとの他
に過はう酸塩、炭酸イオン、オルソりん酸、水溶性アニ
オン有機化合物（特願昭６０−９９２７８号）などの添
加剤を含有することができる。表面調整剤の製造方法は
上記した従来技術のものと同じである。表面調整剤中の
各成分の量は所定の効果が得られるように適宜調整すれ
ばよい。各成分の量が多すぎるか、もしくは少なすぎる
と、りん酸塩化成処理の表面調整剤が所定の表面調整効
果を達成できなくなるのと同様に、本発明の潤滑性改善
効果を達成できなくなる。しかし、本発明の場合は、表
面調整剤液中の各成分の含有量は、りん酸塩化成処理の
表面調整の場合はど制限が厳しくない、すなわち、経済
的な面も考慮すると、表面調整剤中のチタン含有化合物
コロイドの濃度は、チタン重量に換算して０．００１〜
０．５ｇ／ｌ、アルカリ性りん酸塩重量に換算して０．
１〜５０ｇ／ｌ、好ましくは２〜３０ｇ／ｌの範囲内に
あることが好ましく、この範囲内で良好な潤滑性能を得
ることができる。また、本発明の表面調整剤液において
、ワックスを含む場合、その濃度は、０．０１−１０ｇ
／ｌであることが好ましく、０．５〜５ｇ／ｌであるこ
とがより好ましい。

さらに、表面調整剤液のｐ）Ｉの値も、りん酸塩化成処
理の表面調整の場合（特公昭５８−５５２２９号参照）
はど厳しぐコントロールする必要がなく、ｐＨ−５，７
〜９．５の範囲で、満足すべき前処理が可能である。な
お、酸洗、りん酸塩化成処理により鉄鋼線材表面に残存
している酸が、表面調整剤液中に持ち込まれｐＨを低下
するおそれがあるため、線材の耐食性を考慮すると８以
上のｐｉを有する表面調整剤液を使用することが好まし
い。表面調整剤液による前処理温度は、−ｉに常温〜８
０℃であることが好ましいが、前処理後の乾燥を迅速に
するため、それに必要な熱を素材に与えてお（ように、
５０〜８０℃であることが好ま′しい。また、前処理時
間は一般に２〜３分である。

上記表面調整剤液による処理を行なった後に、金属石鹸
を潤滑剤として使用し、伸線処理を行なう。この金属石
鹸としては公知のものを使用することができる。粉末状
の金属石鹸を使用する乾式法が好ましい。金属石鹸の粉
末の粒度には特に制限がない。金属石鹸としては一般に
はステアリン酸カルシウムが使用されている。なお、石
灰石鹸は、本発明による表面調整剤を使用しても伸線材
における傷の発生を軽減しないため、本発明の前処理を
施された線材には好ましくない。しかしながら石灰石鹸
はコストが著しく低いため、伸線消耗材コストの低減の
ために極く少量の石灰石鹸を金属石鹸に混合使用するこ
とは差し支えない。また、金属石鹸の他に、公知の添加
剤を添加してもよい。

なお、上記において表面調整剤液による前処理および金
属石鹸による潤滑処理について主として説明したが、そ
の他の処理工程（酸洗、りん酸塩化成処理）は従来法と
同様に行なわれ、また中和、水洗などの中間工程は必要
により適宜行なうことも従来法と同様である。

〔実施例〕

次に、本発明を実施例にて説明する。

裏車■土 コイル状鋼線（材質５ＷＲＣＨ６２Ａ　、線径４ｎ）を
水洗、酸洗（１５％塩酸、常温）および水洗の処理をし
た後、本発明の表面調整剤液による処理を行なった。′
表面調整剤は、硫酸チタニルとりん酸二ナトリウムを用
い、硫酸チタニルの分散液を２０℃に冷却し、これにり
ん酸二ナトリウムを加え、硫酸でｐＨ８，５としてスラ
リーを生成した。これを１００〜１２０℃にて含水率が
１．５％以下になるまで乾燥し、粉砕し、それを水に溶
解して次の組成として調整した。

チタン含有化合物コロイド濃度 チタン重量換算　　　　　　　　０．１ｇ／Ｊリン酸二
ナトリウム重量換算　　７　　ｇ／ＱｐＨ８，５ 温度　　　　　　６０〜７０℃ 上記表面調整剤液に常温でコイル状鋼線を１分間浸漬し
た後、これを乾燥し、次に伸線工程に供した。伸線工程
は、伸線ダイスボックスに粉末金属石＃ｔＸ（商品名、
コーシン、主成分ステアリン酸カルシウム）を満たし、
７ダイス通過させて最終伸線速度３００ｍ／ｌ１ｌｉｎ
で、線径を２鶴に絞り、伸’ｆｌＡｉ’Ｊｔの表面状態
を顕微鏡（倍率２０００倍）により観察した。この観察
を線材の長さ１ｍにつき１箇所、合計５箇所について行
なったが、表面に傷も認め゛られず、表面肌あれも少な
く、従来のものより優れていた。表面光沢度も肉眼判定
によれば、従来のものより優れていた。

比較のために、本発明の表面調整剤のかわりに固形分と
して１０％濃度の石灰石鹸水溶液（６０〜７０℃）によ
る処理を行った他は上記と同一条件にて伸線を行ない判
定した。

その結果は、本発明により表面調整剤処理したものに比
べ、表面肌あれ、表面光沢度において劣っていた。

実施■斐 実施例１と同様の操作を行った。但し、コイル状鋼線（
材質５ＷＲＳ　８２Ａ、線径８１ｍ）を、ボンデライト
４２１　ＷＤ　（日本パーカライジング）により７０℃
で１０分間りん酸塩処理した後水洗しその後、表面調整
剤液による処理を施した。その後、鋼線を７ダイス通過
させて最終伸線速度１４０ｍ／ｍｉｎで、線径を３．７
ｆｌに絞った。得られた製品を実施例１と同様に観察し
たところ、表面に傷も認められず、また表面肌あれも少
なく、光沢度も従来のものより優れていた。

１隻±エ コイル状鋼線（材質針ＲＳ　８２＾、線径２．６寵）に
、実施例１と同様の処理を施し、９ダイス通過させて最
終伸線速度４００ｍ／ｌｌ１ｉｎで、線径を１鰭に絞っ
た。得られた製品を実施例１と同様に観察したところ、
表面に傷も認められず、表面肌あれ及び光沢度において
も従来のものより優れていた。

尖施開↓ コイル状鋼線（材質Ｓ畦Ｓ　１００Ａ　、線径２．４１
ｍ　）に、酸洗（１５％塩酸、常温）および水洗の処理
を施した後、本発明の表面調整剤液による処理を行った
。表面調整剤液は次のようにして調製した。

硫酸チタニル　　　　　　　５重量部 無水第２リン酸ソーダ　　５５　〃 無水ピロリン酸ソーダ　　１５　〃 水　　　　　　　　　　　　　　　１５　　〃上記配合
成分を攪拌混合しながら１００〜１２０℃の温度で含水
率が１．５％以下になるまで加温し′　（約２時間）、
得られた粉末を水に加えて２０ｇ／ｌ’４度の水溶液と
し、これに炭酸ソーダを加えてｐＨ９に調整した。この
処理液は、チタン含有化合物コロイドをチタン重量に換
算して０．０２ｇ／ｊ’。

リン酸根濃度換算で０．８３ｇ／ｌ、ビロリン酸根換算
で０．２２ｇ／／！含んでいた。

上記表面調整剤液に常温でコイル状鋼線を１分間浸漬し
た後、乾燥し、これに伸線工程を施した。

伸線工程において、伸線ダイスボックスに粉末金属石鹸
（商品名コーシン、主成分ステアリン酸カルシウム）を
満たし、鋼線を６ダイス通過させて最終伸線速度１００
ｍ／１ＩＩｉｎで、その線径を１．６４鰭に絞った。得
られた製品を実施例１と同様に観察したところ、表面に
傷も認められず、表面肌あれ及び光沢度においても従来
のものより優れていた。

夫隻拠エ コイル状鋼線（材質５ＷＲＳ　８２Ａ、、線径１２龍）
に、実施例４と同様の処理を施し、１０ダイス通過、最
終伸線速度１００ｍ／ｍｉｎで、線径を４．５ｍ■に絞
った。得られた製品を実施例１と同様に観察したところ
、表面に傷も認められず、表面肌あれ及び光沢度におい
ても従来のものより優れ、最終製品として５ＷＰＢ−Ｓ
の材料とすることができた。

上記実施例１〜５の方法により、合計で１０トンの鋼線
コイルを伸線したが、これらはすべて従来の方法で伸線
したものより、優れた光沢度を有していた。

実新ｌ」ｉ 実施例１と同様の操作を行った。但し、用いられた表面
調整剤液は下記の組成およびｐＨ１温度を有していた。

チタン含有化合物コロイド濃度 チタン重量に換算して　　　　　０．２ｇ／ｌりん酸二
ナトリウム重量に換算して ８　　ｇ／ｌ ワックス（商標：ヘキストエマルジョンＴ−７３０）３
　ｇ／ｌ ｐＨ８，３ 温度　　　　　　５５〜６０℃ 得られた製品は、表面に傷がなく、その表面肌あれ状況
および光沢度においても従来のものよりもすぐれていた
。

〔発明の効果〕

以上の説明、特に実施例より明らかであるように本発明
に係る前処理方法は、鉄鋼伸線材の表面品質（表面傷、
外観等）を著しく改善するものである。さらに、このよ
うに優れた表面品質を有する伸線材にめっきを施すと、
ミシン針、自転車スポークなどの用途において要求され
る最も厳しい仕様を容易に満足できるようになる。

さらに、表面調整剤の処理後伸線までの鋼線コイル放置
期間が長いために、前処理を再度行なわざるを得なくな
った場合に、表面調整剤被膜は、従来の石灰石鹸被膜と
比較して薄いために、酸洗により容易に除去できるのみ
ならず、表面調整効果により酸が鉄鋼線材表面に均一に
作用し該被膜の均一の除去ができる。

上記した如き利点を有する本発明は鉄鋼線材の伸線工業
に多大なる寄与をするものであり、産業への貢献が著大
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、スケール除去処理、又はスケール除去処理およびり
   ん酸塩化成処理を施された鉄鋼線材を、チタン含有化合
   物コロイドを含有する表面調整剤液により処理すること
   、 を特徴とする、鉄鋼線材の伸線前処理方法。 ２、前記チタン含有化合物コロイドが、チタン含有化合
   物とアルカリ性りん酸塩との反応生成物からなる、特許
   請求の範囲第１項記載の前処理方法。 ３、前記表面調整剤液中のチタン含有化合物コロイドの
   濃度が、チタン重量に換算して０．００１〜０．５ｇ／
   ｌであり、また、アルカリ性りん酸塩重量に換算して０
   ．１〜５０ｇ／ｌである、特許請求の範囲第２項記載の
   前処理方法。 ４、前記チタン含有化合物が、硫酸チタニルである特許
   請求の範囲第２項記載の前処理方法。 ５、スケール除去処理、又はスケール除去処理およびり
   ん酸塩化成処理を施された鉄鋼線材を、チタン含有化合
   物コロイドとワックスとを含有する表面調整剤液により
   処理すること、 を特徴とする、鉄鋼線材の伸線前処理方法。 ６、前記表面調整剤液中のワックスの濃度が、その純分
   重量に換算して、０．０１〜１０ｇ／ｌである、特許請
   求の範囲第５項記載の前処理方法。