JPS6322986B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインキ供給装置、更に詳しくは、平板
印刷に用いられる油性インキをインキつぼより印
刷版に供給するインキ供給装置に関するものであ
る。

一般に、インキ出しローラを用いてインキを取
り出すインキ供給装置には、印刷される絵柄に応
じてインキの印刷版への供給量を印刷版の部所ご
とに調節することが要求される。すなわち、イン
キ出しローラの長手方向に対応する方向に沿つた
印刷版上に並ぶ画線部と非画線部との配列具合に
応じて、画線部には非画線部より多くのインキを
供給する必要がある。従来、この種のインキ供給
量を調節する装置として米国特許第4033262号や
米国特許第4193345号に示されるような構造が提
供されている。第１図ａは前者に開示されている
装置の基本構造を示し、細長いインキつぼ１を構
成する底板２の先端縁とインキ出しローラ３との
間隔Ｓをねじ４によつて調整することによつて、
インキ出しローラ３周面にインキつぼ１より取り
出すインキ１０の量を加減する構造が採用されて
いる。このねじ４は底板２の先端縁に沿つて複数
個設けられていて、所定位置のねじ４を動かして
対応する位置のインキ出しローラ３と底板２との
間隔Ｓを調整し、インキ出しローラ３の長手方向
に沿つた位置でのインキの転移量を印刷版におけ
る画線部と非画線部との位置に応じて調節するも
のである。しかしながら、この装置では、長手方
向に沿つて連続している底板２の先端縁を夫々対
応するねじ４によつて部分的に変形させるといえ
ども、ねじ４によつて動かされる底板２の先端部
の一部は隣接する部分によつて拘束され、ねじ４
に対応する部分だけが他の部分と独立して動くこ
とができないため、上記の間隙をインキ出しロー
ラ３の長手方向に沿つた線上で急に変えることが
できず、第１図ｂに示すように、インキ出しロー
ラ３とこれにつながる各ローラ及び印刷版上のイ
ンキを必要としない部分Ｘにまで必要以上にイン
キ１０が転移してしまい、印刷される絵柄に合わ
せたインキ供給量の調節が難しいという問題があ
る。第２図ａは後者に開示される装置の基本構造
を示し、インキ出しローラ３の長手方向に沿つて
互いに独立して変位する部材５を配設し、各部材
５を夫々マイクロモータ６によつて動かすことに
よつてインキつぼ１からインキ出しローラ３への
取出し量を部分的に調節する構造が採用されてい
る。この構造で各部材５間でインキ出しローラ３
と部材５との間隙Ｓを急に変えることができ、第
２図ｂに示すように、インキを必要とする部分だ
けにインキ１０を供給することができるものであ
るが、印刷版の種類が変わるごとに、各印刷版に
合してインキ出しローラの長手方向に沿つたイン
キの取出し位置を変え、インキの取出し位置を正
確に設定するには、多数の部材及びマイクロモー
タが必要であり、部品手数が多く制御機構が複雑
になり、製造コストが高くなるという問題があ
る。

本発明は上記の点に鑑みて為されたものであ
り、主な目的とするところに、インキ出しローラ
の長手方向に対応する方向に沿つた印刷版上に並
ぶ画線部と非画線部との配列具合に応じて、画線
部のみにインキを選択的に供給でき、印刷される
絵柄に応じたインキの供給量を調節できるインキ
供給装置を提供することである。

本発明を以下図に示す実施例に基いて詳述す
る。本発明に係るインキ供給装置は、インキつぼ
１に貯えた油性インキ１０に周面の一部を接触さ
せて回転するインキ出しローラ３と、インキ出し
ローラ３周面にインキつぼ１より引き出されたイ
ンキ１０を周面に受け取るインキ受けローラ１１
と、インキ受けローラ１１から転移されるインキ
１０を混練すると共にインキ１０を印刷版１２に
送り出すインキ練りローラ１３とを具備し、上記
インキ受けローラ１１周面に疎油性表面１４と親
油性表面１５とが形成されたことを特徴とするも
のである。インキ受けローラ１１は、ゴムのよう
な弾力性を有する材料で成形され、両端面に突出
する軸２０が夫々揺動自在なアーム２１の一端に
取着され、このアーム２１の揺動によつて、イン
キ出しローラ３と第１のインキ練りローラ１３ａ
とへ交互に接触してインキ出しローラ３より間欠
的にインキ１０を第１のインキ練りローラ１３ａ
に移す。第１のインキ練りローラ１３ａに移され
たインキ１０は同図に示すように、順に多数のイ
ンキ練りローラ１３を経て印刷版１２に送られ
る。図では本発明のインキ供給装置をオフセツト
印刷に用いた場合を示し、印刷版１２の画像はブ
ランケツト２２を介して、加圧シリンダ２３とブ
ランケツト２２との間に供給されるシート２４に
転写される。一方、インキ出しローラ３は金属で
成形され、周面の一部をインキつぼ１内のインキ
１０に接触させながら一方向に回転し、インキつ
ぼ１の底板２先端縁とインキ出しローラ３周面と
の間にインキ出しローラ３の長手方向全長に亘つ
て形成される間隙よりインキ１０をうすい層とし
てインキ出しローラ３の周面に引き出す。上記イ
ンキ受けローラ１１周面は、長手方向に沿つて疎
油性表面１４と親油性表面１５とに区画されてい
て、前者１４が印刷版１２上でインキ受けローラ
１１の長手方向に沿つて並ぶ非画線部２４に対応
し、後者１５が画線部２５に対応しており、疎油
性表面１４でインキ出しローラ３から移ろうとす
るインキを弾き、親油性表面１５でインキを受け
取り、第４図に示すように、インキ受けローラ１
１より印刷版１２に至る各ローラ１３の周面を
夫々部分的にインキの濃淡層を形成し、印刷版１
２上のインキをより必要とする部分のみへインキ
を優先的に供給するものであり、インキを必要と
しない部分に対応する各ローラ１３表面はインキ
量が少い状態に保たれる。インキ受けローラ１１
周面に疎油性表面１４と親油性表面１５とを形成
するには、インキ受けロール１１の周面全面に親
油性物質を塗布して全面に親油性表面層１５を形
成してから第５図に示すように、必要な箇所へ疎
油性物質を塗布するか、或いは第６図に示すよう
に、疎油性物質を親油性表面層の全面に塗布した
後に必要な部分を残して疎油性物質を取り除いて
親油性表面層１５上に疎油性表面層１４を形成す
る方法や、また上記の方法と逆に、インキ受けロ
ール１１の周面全面に疎油性物質を塗布して全面
に疎油性表面層１４を形成してから、第７図に示
すように、必要な箇所へ親油性物質を塗布する
か、或いは第８図に示すように、親油性物質を疎
油性表面層１４の全面に塗布した後に必要な部分
を残して親油性物質を取り除いて疎油性表面層１
４上に親油性表面層１５を形成する方法が用いら
れる。親油性物質としては、ウレタン樹脂やニト
ロセルロース樹脂が、疎油性物質としてはポリフ
ツ化ビニリデンが用いられ、各物質を取り除く洗
浄剤としては各物質に適したケトンやエステルや
アルコール類（ｃが１〜４）のような溶剤が用い
られる。このように、インキ受けローラ１１の周
面に親油性物質と疎油性物質とを塗布して、使用
する印刷版１２の画線部及び非画線部の配列具合
に応じてインキ受けローラ１１の周面の長手方向
に沿つて親油性表面と疎油性表面を形成するもの
であるため、上記の洗浄剤を用いて容易に親油性
表面及び疎油性表面を取り除くことができ、従つ
て、印刷版１２の種類を変える場合でも、古い親
油性表面及び疎油性表面を取り除いて、新しい印
刷版１２に合わせて親油性物質及び疎油性物質を
塗布することにより、インキ受けローラ１１自体
を取り替えることなく新しい印刷版に適したイン
キの供給を行なうことができるものである。尚、
上記の実施例では、印刷版１２の軸方向に沿つた
画線部と非画線部との配列具合に応じて、インキ
受けローラ１１表面を長手方向に沿つて親油性表
面１５と疎油性表面１４とに区画したが、これに
加えて、印刷版１２上の軸方向における一つの画
線部２５に対応するインキ受けローラ１１の長手
方向の一所の周面に、第９図に示すように、上記
と同様の方法によつて、周方向に沿つて親油性表
面１５と疎油性表面１４とを並べると、上記の画
線部２５へのインキの供給量を加減することがで
きる。すなわち、印刷版１２上の画線部の濃淡に
応じて適当な量のインキをインキ受けローラ１１
より印刷版１２へ供給できるものであり、この調
節の方法としては、インキ受けローラ１１の周方
向に沿つて疎油性表面１４と交互に並ぶ親油性表
面１５の数及び幅を変えればよい。

本発明は以上のように、インキ受けローラ周面
に疎油性表面と親油性表面とが形成され、使用さ
れる印刷版上でインキ受けローラの長手方向に沿
つて並ぶ非画線部と画線部とに夫々疎油性表面と
親油性表面とが対応するため、疎油性表面でイン
キを弾き、インキを必要としない印刷版上の非画
線部へのインキの供給を停止し、親油性表面で受
け取つたインキをインキを必要とする印刷版の画
線部のみに供給できるものであり、従来技術に見
られるように、インキつぼとインキ出しローラと
の間にインキ出しの調整手段を用いることなく、
しかも複雑な機構や駆動装置を必要とせず、イン
キ受けローラ自体でインキの供給量を使用する印
刷版の種類に応じて調節でき、無駄なインキの供
給を無くすことができるという効果があり、しか
も複雑な機構や、駆動装置が無いから、複雑故の
故障もなく、保守管理が容易であり、機械の稼動
率も向上するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来技術を示す概略図、第１図ｂは
第１図ａに示す装置が有する問題点を示す斜視
図、第２図ａは他の従来技術を示す概略図、第２
図ｂは第２図ａに示す装置が有する問題点を示す
斜視図、第３図は本発明に係る装置の一実施例を
示す概略図、第４図は同上の斜視図、第５図乃至
第８図は夫々同上に用いるインキ受けローラの表
面処理の各例を示す断面図、第９図は本発明の他
の実施例を示す斜視図であり、１はインキつぼ、
３はインキ出しローラ、１０はインキ、１１はイ
ンキ受けローラ、１２は印刷版、１３はインキ練
りローラ、１４は疎油性表面、１５は親油性表面
である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ インキつぼ内に貯えた油性インキに周面の一
   部を接触させて回転するインキ出しローラと、イ
   ンキ出しローラ周面にインキつぼより引き出され
   たインキを周面に受け取るインキ受けローラと、
   インキ受けローラから転移されるインキを混練す
   ると共にインキを印刷版に送り出すインキ練りロ
   ーラとを具備し、上記インキ受けローラ周面に疎
   油性表面と親油性表面とが形成されたことを特徴
   とするインキ供給装置。