JPS6322163Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 ａ 産業上の利用分野 本考案は壁面に芝生や潅木などを植樹して成る
植生防音壁に関する。

ｂ 従来の技術 道路や鉄道の沿線或いは宅地の境界に立設され
る種々の防音壁はいずれも素材たる金属板やコン
クリート板の板面が両側面にわたつて露出し、該
板体により騒音を遮断している。

ｃ 考案が解決しようとする問題点 防音面が金属板やコンクリート板により延々と
連続して形成されているから変化がなく殺風景で
あつて、運転者や宅地内の住民は疲労を感じたり
またある種の精神的な圧迫を感じたりする。

考案の構成 ａ 問題点を解決するための手段 所定間隔ごとに立設せる間柱の長辺側の両側縁
部に外側稜線が波形で上方において前傾する凹溝
を多段に縦設して係合段部を成形すると共に、該
係合段部に長矩形板を接合段部の波形と一致する
波形面に形成した塀板を多数に建て込み、間柱と
塀板の背後に形成される空所に土砂を充填し、帯
状に露出した表土に植樹して植生防音壁を形成し
植生繁茂によつてグリーン化したフエンスにより
防音効果に加えてドライバーや住民の疲労を軽減
し且つ精神的安定を与えることを目的とする。

ｂ 作用と実施例 本考案の実施例をその作用と共に説明すると、
第１図乃至第３図に示すように所定間隔ごとに下
部を土中に埋設して植立するコンクリート製の間
柱１の長辺側両側面の中央長手方向に略３分の１
巾の凹溝２，２を縦設し且つ充填した土砂の一体
化を図る連繋穴３を一定間隔ごとに凹溝２に貫設
すると共に、間柱１の長辺側の両側縁部に凹溝２
よりも浅くその外側稜線が波形で上方において前
傾し且つ、頂部を山形とした塀板係合用の凹部４
…を一定間隔ごとに多段に凹設する。更に第４図
乃至第６図に示すように間柱１，１間の距離より
も稍横長に且つ板面を間柱１の長辺側両縁部に形
成される凹部４の波形と一致する断面波形と成し
た塀板５を形成して、該塀板５の両端を第７図乃
至第８図に示すように間柱１，１に設けた凹部
４，４に下方から順次落し込みつつ嵌合すると塀
板５と凹部４とが合着し前傾状態で固定される。
塀板５を嵌合しながらその背面及び間柱１に設け
た凹溝２に土砂を充填すると充填土砂は連繋穴３
…によつて左右に連続し一体化される。而して上
下の塀板間に露出する表土面８を土羽打ちし張芝
もしくは潅木などを植樹する。尚、塀板５の材質
はGRCまたはプラスチツク廃材でもよい。第２
実施例として土留め壁と兼用する場合は第９図乃
至第１０図に示すように間柱６の長辺側両側面の
一側縁部に外側稜線が波形で上方において前傾し
且つ頂部を山形とした塀板係合用の凹部４′…を
一定間隔に多段に凹設する。更に塀板５の変形と
して第１１図及び第１２図に示すように間柱６，
６間の距離よりも稍横長で断面が凹部４′の波形
に一致し且つ凹部４′の深さと略同長の切欠７′を
切除せる断面波形の塀板７を形成して第１３図に
示すように、塀板７の両端を間柱６，６に設けた
凹部４′，４′に下方から順次落し込みつつ嵌合し
て塀板７…の背面に土砂を埋め戻して塀板間に露
出する表土面８を土羽打ちし張芝もしくは潅木な
どを植樹する。

考案の効果 本考案によれば間柱１または６を一定間隔ごと
に土中に建て込み、対向する間柱１または６の長
辺側に多段に設けた波形の凹部４または４′間に
塀板５または塀板７を下方から順次落し込みつつ
嵌合すると組立塀が形成され、塀板５の背部に土
砂を充填すると凹溝２、連繋穴３にも土砂が充填
されて上下左右に土砂は連続しまた塀板７の背面
に充填する土砂は地山と連続し自然の大地と一体
化される。このような土砂の露出表面を土羽打ち
し、張芝または植樹し或いは播種などするとその
生育繁茂によつて塀板５または７が緑によつて隠
蔽され恰もグリーンフエンスが形成された感を呈
するため、宅地内や公共施設において立設した場
合は緑化された塀が美麗でありまた趣向に応じて
種々の樹木を植樹すると風趣のある庭園を形成す
ることができる。また高速道路や鉄道の沿線に設
置したとき緑は乗客にとつては美しい景観とな
り、運転者にとつては運転に伴なう疲労感を和ら
げ殊に視力を回復させる効果が大であり、また光
が反射しないから不測の交通事故防止になり、更
に本考案の最も特徴とする防音効果については両
面に塀板を建て込み然も塀板間の空所に土砂を充
填した構造であるから二重の塀板と土砂によつて
騒音が遮断され透過損失はきわめて大であると共
に、塀板５または７の波形面が騒音を多方向に分
散し減音するから受音側では著しく静穏になり、
また土砂中の細〓に空気が保留されているから該
空気に吸音され騒音が著しく減衰し吸音効果もき
わめて大であり、この遮音と吸音によつて防音効
果は絶大である。更に植生した植物によつて行な
われる炭酸同化作用及び植生用土砂の空気浄化作
用により自動車排気ガスによつて汚染された防音
壁周囲の空気を浄化する効果を奏し、また塀板５
または７は緑に蔽われているため直射日光に曝さ
れず日影を形成するため植物が要求する水分は土
砂に保留されみだりに乾燥しないから植物の生育
を阻害しない。また塀板５はフエンスの両側壁面
を緑化するため一方に日光が照射しても他方は必
ず日影となり乾燥し果てることはない。即ちどの
ような方向に組立塀を設置しても水分は必ず保留
され殊に充填した土砂が組立塀全体に一体化され
且つ下端面において大地と接続しているため水分
はどの部分にも浸透し一部分だけ植物が枯死する
ことはあり得ない。また間柱６と塀板７から組立
塀を構成する場合は塀板７内の土砂はその背後に
おいて地山と直接連続しているから植物にとつて
良好な土壌となり且つ該組立塀は土留め壁を兼ね
るから最低限の用地幅で理想的な防音壁を構築で
きるのである。更に組立塀を芝生や潅木が全体に
蔽うから組立塀自体が風化したり腐食することを
防止する。また組立塀は植物と土とコンクリート
などから構成されるから不燃フエンスを形成する
ことになり防火性がきわめて大である。

このように本考案は施工は容易且つ迅速であり
形成される防音壁は植生が可能でありしかも堅牢
で耐久性を有するすぐれた有用考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は間柱の
側面図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ断面図、
第３図は第１図におけるＢ−Ｂ断面図、第４図は
塀板の側面図、第５図は同正面図、第６図は同平
面図、第７図は組立状態を示す縦断側面図、第８
図は同一部切欠正面図、第９図は間柱の他の実施
例を示す背面図、第１０図は同側面図、第１１図
は塀板の他の実施例を示す側面図、第１２図は同
正面図、第１３図は組立状態を示す縦断側面図で
ある。 １，６……間柱、４，４′……係合用凹部、５，
７……塀板、８……表土面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定間隔ごとに立設せる間柱の長辺側の両側縁
   部に外側稜線が波形で上方において前傾する凹溝
   を多段に縦設して係合段部を形成すると共に、該
   係合段部に長矩形板を接合段部の波形と一致する
   波形面に形成した塀板を多数に建て込み、間柱と
   塀板の背後に形成される空所に土砂を充填し、露
   出した表土に植生して成る植生防音壁。