JPS6320678Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトラバースガイド用カムに関するもの
である。

近年ナイロン、ポリエステルに代表される合成
繊維フイラメントの製造は高速化、多分繊化の一
途をたどりその技術革新には著しい進歩が見られ
る。このような状況に伴つて必然的にトラバース
は高速化が不可欠となり、従来のトラバースでは
高速化、特に1000DS／min（DS：ダブルストロ
ーク）以上では材質、構造のいかんを問わず、高
速下で使用する事に起因する熱の発生によつて材
質が熱膨張をし、カムの軸部とトラバースガイド
を取り付けたシフターの軸穴部が短期間で焼きつ
いて破損するといつた問題があつた。

本考案者等は斯かる従来の欠陥を排除し、高速
化に堪え得るトラバースガイドの開発に鋭意研究
の結果本考案を完成した。

本考案の目的は高速下1000DS／min以上の使
用に際しても特に焼き付きのトラブルはなく長期
間の寿命と低コストで製造可能な優れたトラバー
スガイド用カムを提供するものである。

本考案は摺動部及び軸部を有するトラバース用
カムにおいて、円柱状の軸部の表面に、軸端側が
開口する複数本の溝を周方向に等間隔に配置する
と共にこれを長手方向に穿設し、摺動部と軸部の
間につば状の油切りを設けたことを要旨とするも
のである。

以下本考案を図面により説明する。第１〜３図
は本考案のカムを説明する図面で、第１図は本考
案のカムの正面図、第２図は上面図、第３図は底
面図であり、１は摺動部、２は軸部、３はつば状
油切り、４は軸部に設けた溝、５は軸部の中心に
穿設された穴である。

摺動部は高速で回転するカムローラーの溝に案
内され、軸部と共に往復運動する。軸部はトラバ
ースガイドを取付けたシフターの軸穴に挿入さ
れ、トラバースガイドを往復運動させる。摺動部
の形状は特に限定されず、通常は軸方向から見
て、円状、凸レンズ状又は菱形状のもの、又軸と
直角方向から見て舟型、長方形又は梯形のものが
使用される。

軸部は表面の長手方向に少なくとも２個の溝を
穿設したもので、その溝は軸端に開口していなく
てはならない。溝は２個以上、更に好ましくは３
個、特に４個が好適である。溝の大きさ、長さは
カムの軸部の大きさ及び長さにより適宜決定さ
れ、例えばＶ字形、Ｕ字形、コ字形のものが挙げ
られる。又、軸部には熱の発散及び熱膨張の吸収
を助ける為穴を軸の略中心に穿設するのが好まし
い。

摺動部と軸部との間には通常油切りを設ける。
油切りの形状は、通常はつば状のものが使用され
る。

カムの材質としてはカムローラーの材質と異な
るものであれば特に限定されず、例えば鉄、砲
金、真鍮等の金属製、ポリアセタール、ナイロン
等のプラスチツク製のものが適用される。又、カ
ムローラーが金属製で高速回転する場合はプラス
チツク製のもの、特に潤滑油、カーボンブラツ
ク、二硫化モリブデン又は昇素樹脂を含有するも
のが好適である。

本考案のカムはプラスチツクの場合、例えば射
出成型により容易に製造することができる。

本考案のトラバースガイド用カムはナイロン、
ポリエステル等の合成繊維の紡糸、延伸、仮より
の巻取りに有用であり、高速の場合は、より効果
を発揮する。

本考案のトラバースガイド用カムを使用するこ
とにより従来より高速で巻取りが可能となり、し
かも耐久性が著しく向上したため、カム破損によ
る停台は減少し生産性を高めることが可能となつ
た。

同一の材質（含油ナイロン樹脂）を用い、一方
は溝のない従来型のカムと、第１〜３図の本考案
のカムを用い、試験機でテストした結果、従来型
のカムは800DS／minで60時間で破損したのに対
し、本考案のカムは1400DS／minで１ケ月を経
過したが、問題はなく軸部の破損は認められなか
つた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のカムの正面図、第２図は上面
図、第３図は底面図、第４図は本発明のカムと組
み合せて用いられるトラバースガイドを取り付け
たシフターの説明図、第５〜７図は本考案のカム
の軸部の溝の形状を説明する図である。 １……摺動部、２……軸部、３……油切り、４
……軸部に設けた溝、５……軸部の中心の穴、６
……シフター、７……軸穴、８……トラバースガ
イド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 摺動部１及び軸部２を有するトラバース用カム
   において、円柱状の軸部２の表面に、軸端側が開
   口する複数本の溝４を周方向に等間隔に配置する
   と共にこれを長手方向に穿設し、摺動部１と軸部
   ２の間に、つば状の油切り３を設けたことを特徴
   とするトラバース用カム。