JPS6317850Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ボルトヘツドの形状に係わり、更
に詳しくはボルトを、その軸線よりも傾いた方向
からでも締め付け工具により締め付けることを可
能としたボルトに関するものである。

一般にボルトをソケツトレンチ等の締め付け工
具により締め付ける場合、ボルトヘツドと一体的
に形成されたシヤンクの軸線上から被嵌させて行
なうのが一般的である。

また狭い場所等で、締め付け工具を軸線上から
挿入できない場合、締め付け工具を傾けた状態で
ボルトヘツドに締め付け工具を係合させて行つて
いる。

ところで従来、締め付け工具を傾けた状態でボ
ルトの締め付け作業を行なうには、例えば、(a)ユ
ニバーサルジヨイントを使用したり、(b)締め付け
工具を無理に傾けて行つていた。然し乍ら、上記
(a)の場合には、実用上において、M10〜14程度ま
でが限界であり、ライン作業等ではその寿命との
関係で太いボルトを使用した場合、使用不可とな
る問題があつた。

また(b)の場合では、先ずボルトヘツドとソケツ
トレンチとの嵌合隙間量によつて、傾き角度（約
３度〜４度）に限界がある。更に、ぎりぎりのソ
ケツトレンチをボルトヘツドに係合できたとして
も充分な締め付け反力が得られず、また太いボル
トでは、インパクトレンチが振られて、作業者に
危険を及ぼしたり、工具が他の部品に接触するこ
とにより使用限界があつた。また上記のように斜
めからボルトヘツドにソケツトレンチを係合させ
て締め付け固定するとソケツトレンチの当り巾、
及び部位が悪い為係合隅部が摩耗したり、ボルト
ヘツドに於ける係止部の角部が削られ再使用性や
商品性に問題が生ずるものであつた。

一方、ボルトヘツドの座面端部の全周に面取り
又は丸みを付けたボルトが、実開昭54−179358号
公報によつて提案されている。

しかしながら、この公知技術は別体の座金や他
の部品を使用することなく、被締結物の傷つきや
削り取りを防止したり、締め付け作業の簡略化等
を図るものであつて、締め付け工具が係合するよ
うな係止面にはなつていないため、締め付け工具
を傾斜させて締め付けることはできない。

この考案は、係る従来の問題点に着目して案出
されたもので、その目的とするところは特に締め
付け工具を傾けた状態でボルトを締め付け固定す
る場合でも、ボルトヘツド及び締め付け工具に傷
や摩耗を生じさせずに、確実かつ安全に締め付け
作業を行なうことが出来、しかも再使用性が可能
であるばかりか、高商品性を常に維持することが
出来るボルトを提供するものである。

この考案は上記目的を達成するため、ボルトヘ
ツドを形成する多角柱状の係止面の上端縁及び下
端縁に、ボルト軸に傾斜させた締め付け工具の挿
入端部が係合可能な逃げ面を設けたことを要旨と
するものである。

つまり締め付け工具を傾斜させてボルトを締め
付けるとき、ボルトヘツドに形成させた逃げ面
に、締め付け工具の係合部が丁度係合するように
したものである。

前記逃げ面は、ボルトヘツドの多角柱状の係止
面の上端縁と下端縁の両方に設け、中央部に帯状
の平行部のあるビヤ樽形とし、その逃げ面のボル
ト軸線に対する角度は、締め付け工具を傾けて使
用した場合でも、締め付け工具の係合部が前記ボ
ルトヘツドの係止面に係合し、かつボルトに有効
な締め付け力を与えることができるような角度と
し、３〜５度とするのが最も好ましい。

以下添付図面に基いて、この考案の実施例を説
明する。

第１図において１は、ボルトヘツド２及びシヤ
ンク３とから成るボルトであつて、４はソケツト
レンチ等の締め付け工具である。前記ボルトヘツ
ド２の多角柱面には、第１図及び第２図ａに示す
ように、締め付け工具４が、ボルト軸の軸方向で
使用されるとき係止される係止面５を有し、該係
止面５の上下方向にはボルト軸に対する角度αが
３〜５度となるような傾斜角度を有する逃げ面７
ａ，７ｂが、折れ線９ａ，９ｂを境界として形成
されている。

前記逃げ面７ａ，７ｂは、締め付け工具４を傾
斜させて使用するとき、締め付け工具４の係合面
４ｂ，４ｂが丁度係合するような傾斜面となつて
いる。

従つて、ボルト１を締め付け工具４により斜め
上方から締め付け固定する場合にも、ボルトヘツ
ド２の上下端縁部６ａ，６ｂが締め付け工具４の
挿入端部４ａに当接して摩耗したり、こじれるこ
とが無い。

なお第２図ｂの形式のボルトヘツト２にも適用
可能である。

また第３図は、この考案の他の実施例を示すも
ので、この実施例は、インサイドヘツクスボルト
１１の係合部１２に、その挿入端部１３と底部１
４とに、上記と同様な傾斜面を有する逃げ部７
ａ，７ｂを形成したものである。

従つて、インサイドヘツクスボルト１１の係合
部１２に、締め付け工具４を斜め上方から係合す
る場合でも、該締め付け工具４の先端部が挿入端
部１３にガイドされて円滑に係合するとともに、
また締め付け固定する際にもその先端部が挿入端
部１３や底部１４のコーナ等にこじれることが全
くなく安全かつ確実に締め付けることができるも
のである。

この考案は上記のように、ボルトヘツドを形成
する多角柱状の係止面の上端縁及び下端縁に、ボ
ルト軸に傾斜させた締め付け工具の挿入端部が係
合可能な逃げ面を設けたため、締め付け工具を傾
けた状態でボルトを締め付け固定する場合でも、
ボルトヘツド及び締め付け工具に傷や摩耗を生じ
させずに、確実、安全かつ作業性を低下させるこ
となく締め付け作業を行うことが出来、しかも再
使用性が可能であるばかりか、高商品性を常に維
持することが出来る効果がある。また構成が簡単
であるため、安価に製作できるとともにメンテナ
ンスも容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の使用態様を示す一部断面
図、第２図ａはボルトヘツドの正面図、第２図ｂ
は他のボルトヘツドの正面図、第３図は他の実施
例を示す断面図である。 １……ボルト、２……ボルトヘツド、３……シ
ヤンク、４……締め付け工具、４ａ……挿入端
部、４ｂ……係合面、５……係止面、６ａ，６ｂ
……端縁部、７ａ，７ｂ……逃げ面、９ａ，９ｂ
……折れ線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボルトヘツドを形成する多角柱状の係止面の上
   端縁及び下端縁に、ボルト軸に傾斜させた締め付
   け工具の挿入端部が係合可能な逃げ面を設けたこ
   とを特徴とするボルト。