JPS6316518Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は平版印刷機において版胴上の版に対す
る給水量を調整する機構に関するものである。

オフセツト印刷機等においては、版胴上の版に
対して印刷インキと水とを同時に供給し、画線部
にはインキを付着させ、また非画線部ではインキ
を反発させて水を吸収させることにより画像を形
成し、この画像をゴム胴を介して印刷機紙へ転写
して印刷を行なう。そして、この種の印刷機にお
ける給水装置は、水を蓄えた水舟に浸つて回転す
る水元ローラによつて持ち回りされた水を、水元
ローラに対接して回転するクロームローラへ移
し、さらにこの水を着ローラ等のローラ群を介し
て版胴へ供給するように構成されている。ところ
が、この給水装置による給水量が適切でないとイ
ンキとのバランスが損なわれて良質な印刷物が得
られないので、従来、給水装置には、水元ローラ
とクロームローラとのニツプ圧を変化させること
によつて給水量を調整するようにした調整機構が
設けられている。そして、従来一般に知られてい
る調整機構は、クロームローラの両軸端部に軸装
したレバーの下端部に角メタルを装着し、この角
メタルによつて水元ローラを軸支させるととも
に、レバーに設けたボルトにより角メタルをクロ
ームローラの軸芯に対する遠近方向へ摺動させて
ニツプ圧を調整するものであつて、両ローラの間
には、これらを相互に離間させる方向への弾撥力
を有するスプリングが設けられている。

このような従来の調整機構においては、両ロー
ラ間のニツプ圧を調整したあとニツプ圧がかかる
方向にはスプリング圧のみで受けているので、ニ
ツプ圧が不安定であり、両ローラの軸端部を駆動
連結するギヤの歯荷重の変化によりニツプ圧が変
動して印刷むらが発生するという不具合があつ
た。また、両ローラのニツプ圧は一般にローラの
幅方向の中央部よりも両端部の方が圧が高くな
り、したがつて給水量が中央部で多く両端部で少
なくなる傾向にあり、従来の給水装置においては
これを避けることが不可能であつた。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、クロームローラの軸芯を中心にして回動自在
に設けたローラレバー受にローラレバーを回動自
在に支持させ、このローラレバーにクロームロー
ラと対接する水元ローラを軸支させるとともに、
ローラレバーを回動させて水元ローラをクローム
ローラに対する遠近方向へ移動させる調整手段
と、ローラレバー受を回動させて水元ローラの少
なくとも片方の端部をクロームローラの軸芯を中
心にして周回させる調整手段とを設けることによ
り、ニツプ圧調整後に両ローラの軸間距離を固定
することを可能ならしめてニツプ圧の安定化を計
り、かつ水元ローラの片方の端部を独立してクロ
ームローラの円周方向へ移動させるひねり調節を
可能ならしめてローラの幅方向に対する給水量の
均一化を計つて印刷物の品質を向上させるごとく
構成した平版印刷機における給水装置の調整機構
を提供するものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細
に説明する。

第１図は本考案に係る給水装置の調整機構を第
２図の矢印Ａ方向から見た正面図、第２図はおな
じく展開して示す側断面図である。これらの図に
おいて、両側の機台フレーム１の内側には、台座
を有するローラ受支軸２が水舟３に近接して取付
けられており、このローラ受支軸２には、左右一
対のローラ受け４が回動自在に支持されている。
そしてこのローラ受４の中央部には、ボールベア
リング５を備えたローラ軸受６がその脚部をロー
ラ受４へ嵌入させて装着されており、ボルト７に
よつてローラ受４に一体的に固定されている。こ
のローラ軸受６には、図示しない駆動装置によつ
て駆動され、下流側の振りローラ８に周面を対接
させて回転するクロームローラ９が軸支されてい
る。一方、機台フレーム１の上部に取付けられた
シリンダ支軸１０には、エアシリンダ１１が回転
自在に枢支されており、そのロツドエンドは、ね
じ手段によつて伸縮自在に形成された連結レバー
１２を介して前記ローラ受４の上端部と連結され
ている。そして、エアシリンダ１１を伸縮させる
ことによりローラ受４がローラ受支軸２を中心に
して回動しクロームローラ９を振りローラ８に対
接させたり、振りローラ８から離間させたりする
ように構成されている。

さらに、前記ローラ軸受６の脚部はローラ受４
から外方へ突出し、この突出部すなわちクローム
ローラ９の軸芯と同軸上には、左右一対のローラ
レバー受１３が回動自在に支持されている。この
ローラレバー受１３は、ほぼＴ字状に形成されて
おり、その下端部に植設されたローラレバー支軸
１４には、Ｌ字状に形成された左右一対のローラ
レバー１５が回動自在に支持されている。そし
て、このローラレバー１５の水舟３へ向う部材の
先端部に装着された調芯型のボールベアリング１
６には、クロームローラ９と軸端部のギヤ（図示
せず）によつて駆動連結され周面をクロームロー
ラ９に対接させて回転する水元ローラ１７が軸支
されており、その一部は水舟３内に蓄えられた水
中に浸漬されている。

さらに、前記ローラレバー受１３とローラレバ
ー１５との間には、ニツプ圧調整手段としての調
整ねじ機構１８が装着されている。すなわち、こ
の調整ねじ機構１８のねじ受１９および２０はそ
れぞれローラレバー受１３とローラレバー１５と
に回動自在に取付けられており、片方のねじ受２
０には雌ねじが設けられている。そして両方のね
じ受１９，２０は、つまみを有するねじ棒２１を
ねじ受１９を貫通してねじ受２０へ螺入すること
によつて伸縮調節自在に連結されており、調節後
は、締付ナツト２２を緊締することによりねじ棒
２１の鍔２３との間でねじ棒２１の移動を係止す
るごとく構成されている。そしてこの調整ねじ機
構１８を調整することによりローラレバー１５が
ローラレバー支軸１４を中心にして回動し、水元
ローラ１７がクロームローラ９に対する遠近方向
に移動して両ローラ１７，９間のニツプ圧が調整
される。

さらに、前記ローラ受４とローラレバー受１３
との間には、ひねり調整手段としての調整ねじ機
構２４が装着されている。すなわち、この調整ね
じ機構２４のねじ受２５および２６は、それぞれ
ローラ受４とローラレバー受１３とに回動自在に
取付けられており、片方のねじ受２５には、雌ね
じが設けられている。そして両方のねじ受２５，
２６は、つまみを有するねじ棒２７をねじ受２６
を貫通してねじ受２５へ螺入することによつて伸
縮調節自在に連結されており、調節後は、締付ナ
ツト２８を緊締することによりねじ棒２７の鍔２
９との間でねじ棒２７の移動を係止するごとく構
成されている。そして、左右の調整ねじ機構２４
をそれぞれ個別に調整することにより、ローラレ
バー受１３の両端部がローラ軸受６の脚部を中心
にしてそれぞれ個別に回動し、水元ローラ１７の
両端部のいずれかがクロームローラ９の軸芯を中
心にしてその周面上を転動して周回し両ローラ１
７，９間のひねりが調整される。

以上のごとく構成された給水装置およびその調
整機構の動作を説明する。運転開始に先だつて水
舟３に水を蓄え、エアシリンダ１１を伸長させて
クロームローラ９を振りローラ８に対接させる。
そして機台を運転すると、ギヤで駆動連結された
水元ローラ１７とクロームローラ９が回転し、水
元ローラ１７によつて持ち回りされた水は、クロ
ームローラ９に移されたのちさらに振りローラ８
および図示しないローラ群を経て版胴上の版へ供
給される。そして、このような給水とインキの供
給とを同時に行ないながらなされる印刷作業にお
いては、前述したごとき給水量の調整が行なわれ
る。すなわち、先ず調整ねじ機構１８の締付ナツ
ト２２を弛めたのち、ねじ棒２１を回動させる
と、ローラレバー１５が回動し水元ローラ１７が
クロームローラ９に対して遠近方向へ移動するの
で、両ローラ９，１７間のニツプ圧が変化し給水
量が調整される。そして、調整後は締付ナツト２
２を緊締すると、ねじ棒２１は、ねじ受１９側へ
引き寄せられ、鍔２３と締付ナツト２２とによつ
て回動を係止される。したがつて、スプリングを
用いた従来の機構と異なり、水元ローラ１７は調
整位置に固定されて移動することがなく、ローラ
駆動ギヤの歯荷重が変動したり機台が振動したり
してもニツプ圧が変動することがない。

また、給水量がローラの幅方向に対して不均一
であると認めた場合には、両側の調整ねじ機構２
４のうちのいずれか一方の締付ナツト２８を弛め
たのち、ねじ棒２７を回動させると、ねじ棒２７
が進退してこれと一体のローラレバー受１３が回
動し、水元ローラ１７の調整を行なつた側の端部
がクロームローラ９の周面上を転動して周回する
ことにより、クロームローラ９の他端に対して位
相が進んだり遅れたりしていわゆるひねり調整が
行なわれる。この結果両ローラ９，１７の中央部
におけるニツプ圧が両端部よりも高められ、幅方
向に不均一であつた給水量が調整される。そし
て、このひねり調整によつて水元ローラ１７の軸
芯をひねつても、調芯型ボールベアリング１６で
軸支されていることによつて、回転を妨げること
がない。

なお、本実施例においては、ひねり調整手段と
しての調整ねじ機構２４を両側に設けたが、これ
を片側だけに設け、他方の側はローラ受４とロー
ラレバー受１３とを一体的に固定してもよい。

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば平版印刷機の給水装置において、クロームロ
ーラの軸芯を中心にして回動自在に設けたローラ
レバー受にローラレバーを回動自在に支持させ、
このローラレバーにクロームローラと対接する水
元ローラを軸支させるとともに、ローラレバーを
回動させて水元ローラをクロームローラに対する
遠近方向へ移動させる調整手段と、ローラレバー
受を回動させて水元ローラの少なくとも片方の端
部をクロームローラの軸芯を中心にして周回させ
る調整手段とを設けることにより、水元ローラと
クロームローラとの間のニツプ圧が調整され、こ
の調整により給水量を容易に調整できることはも
とより、調整後は水元ローラとクロームローラと
の軸間距離が完全に固定されて変動することがな
いので、駆動ギヤの歯荷重が変動したり機械が振
動したりしても両ローラ間のニツプ圧が変動する
ことがなく、きわめて安定した給水量を保持する
ことができる。また、水元ローラの片方の端部を
他方の端部に対してクロームローラの円周方向へ
移動させて水元ローラをひねることができるの
で、ローラの中央部のニツプ圧が両端部のニツプ
圧よりも高くなる傾向が解消されてローラの幅方
向に対する給水量が均一化され、前記給水量の安
定化と相まつて印刷物の品質が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る平版印刷機
における給水装置を示し、第１図はこれを第２図
の矢印Ａ方向から見た正面図、第２図はおなじく
展開して示す側断面図である。 １……機台フレーム、４……ローラ受、９……
クロームローラ、１３……ローラレバー受、１５
……ローラレバー、１６……調芯軸受、１７……
水元ローラ、１８，２４……調整ねじ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端を機台フレームに支持されクロームローラ
   の両端部を軸支する一対のローラ受と、前記クロ
   ームローラの両側にあつてクロームローラの軸芯
   を中心にして回動自在に形成された一対のローラ
   レバー受と、このローラレバー受に回動自在に支
   持され調芯軸受を介して水元ローラの両端部を軸
   支する一対のローラレバーと、このローラレバー
   と前記ローラレバー受との間に装着され前記水元
   ローラを前記クロームローラに対する遠近方向へ
   移動させて両ローラ間のニツプ圧を調整すべく前
   記ローラレバーを回動させるニツプ圧調整手段
   と、前記ローラ受と前記ローラレバーとの間に装
   着され前記水元ローラの両端部の少なくとも片方
   の端部を前記クロームローラの軸芯を中心にして
   周回させて両ローラ間のひねりを調整すべく前記
   ローラレバー受を回動させるひねり調整手段とを
   設けたことを特徴とする平版印刷機における給水
   装置の調整機構。