JPS6316462B2

JPS6316462B2 -

Info

Publication number: JPS6316462B2
Application number: JP16479785A
Authority: JP
Inventors: Akio Asai; Tsunehisa Yamashita; Hidekazu Azuma; Taisuke Myamoto; Kazuhide Suzuki
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 1985-07-25
Filing date: 1985-07-25
Publication date: 1988-04-08
Also published as: JPS6223971A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は、プレス金型用の切刃として使用でき
る金型切刃用低合金鋳鋼に関するものである。〔従来の技術〕従来金型切刃は、JIS規格のSKT5相当の合金
工具鋼を加工し、切刃先端部を火炎焼入れして使
用するか、または普通鋳鉄に硬化肉盛溶接を施
し、硬化部を削り出して使用していた。しかし
て、近年加工時数の大巾な低減が計れることか
ら、鋳鋼製金型切刃が検討され、実用化されてい
る。従来の金型切刃用鋳鋼として用いられていた合
金工具鋼（SKT5相当）とほぼ同一化学組成を有
する材料は、ＶならびにCu等の合金元素を多く
含有するため、焼入性は比較的良好であるが金型
の寿命の割にはコストが高く経済性に劣るといわ
れている。〔発明が解決しようとする問題点〕上記従来の金型切刃用鋳鋼の欠点を改善するも
のとして、炭素(C)、珪素（Si）のほかにマンガン
（Mn）、クロム（Cr）、モリブデン（Mo）、およ
びバナジウム（Ｖ）を含み残部が鉄と不可避不純
物としてのリン（Ｐ）および硫黄（Ｓ）を含有す
る材料が提案されている。しかし、この材料は、
切刃および曲刃の両方の用途に使用可能であるこ
とを目的とした材料であるため、硬度も高く、鍛
鋼品に比べ極端に被削性が悪く加工が困難という
問題点を有し、また高価な化学成分であるMo，
Ｖを含むことからコスト高であるという欠点を有
する。本発明は、金型用切刃として要求される火炎焼
入れ硬さ、耐摩耗性等の特性を満足させ、かつ低
コストで、被削性を向上させた金型切刃用鋳鋼材
料を提供することにある。〔問題点を解決するための手段〕本発明の金型切刃用低合金鋳鋼は、重量比で
Ｃ：0.4〜0.5％、Si：0.4〜0.8％、Mn：1.3〜1.5
％、Cr：1.3〜1.6％、Ｓ：0.1〜0.3％、Pb：0.15
〜0.25％、Ca：0.001％〜0.004％を含み、残部鉄
および不可避不純物としてＰを0.03％以下含むこ
とを特徴とする。次に、本発明の成分限定理由について述べる。Ｃは、その含有量を増加すると焼入れ硬さが増
大するが、その反面延性が低下する。本発明で目
標とした焼入れ硬さH_RC55以上を得るには0.4％以
上必要であるが、0.5％以上添加すると延性が低
下するので0.4〜0.5％とした。 Siは、脱酸のためと焼入性に寄与することから
加えられる。あまり少いと脱酸の効果がなく、多
く添加すると鋳物に熱間割れが発生し易くなるな
どのことから、0.4〜0.8％とした。 Mnは、脱硫および焼入性ならびに延性の向上
を目的として添加される。1.3％以下では添加効
果が充分でなく、1.5％以上では延性等が低下す
ることから前記の範囲とした。 Crは、焼入性を向上させるのに必要であるこ
とから添加される。添加量は1.3％以下では不充
分であり、1.6％以上では延性および溶接性が劣
化することから、1.3〜1.6％とした。Ｓは鋼中のMn、Crなどと結合し、硫化物を形
成し、切削の際の応力集中による脆弱化に寄与
し、これにより、切屑破砕性を高め、切削を容易
にする。しかしながら、0.1％未満では必要とさ
れる効果が得られず、0.3％を超えても添加量の
割には効果が上がらず、コスト高となるため、
0.1〜0.3％とする。 Pbは、融点が低いため、切削時の加工熱で溶
融し、応力集中源として作用し、これにより被削
性の向上に寄与するとともに、工具と切屑あるい
は加工物との間の潤滑に役立つ。しかしながら、0.15％未満では必要とされる効
果が得られず、0.25％を超えても添加量の割には
効果が上がらず、コスト高となるため、0.15〜
0.25％とする。 Caは、切削時の工具の表面に付着し、この付
着物が工具と切屑との接触を妨げ、工具寿命を延
ばし、また、鋳物の切削性をも向上する。しかし
ながら、0.001％未満では必要とされる効果が得
られず、また、溶解度に限界があるため、0.001
％〜0.004％とする。Ｐは、不純物であり、少ければ少いほどよく、
多いと延性等を低下させる。しかしながら、0.03
％までは許容される。〔実施例〕以下、本発明を実施例により説明する。実施例および比較例表１に本発明鋳鋼の化学成分、表２に従来鋳鋼
の化学成分を示す。

【表】

【表】表２に示す従来鋳鋼は、前記した切刃と曲刃の
両方の使用を目的としたもので、表１と対比すれ
ばわかるように、本発明のものは快削元素Ｓ，
Pb，Caが添加されているが、表２の従来鋳鋼は
Mo，Ｖを含むが、Pb，Caは含有してない。な
お、従来鋳鋼は、従来鍛造品とほぼ同一組成を有
する材料である。これらの鋳鋼の被削性と火炎焼入れ硬さ試験を
行つた。具体的に行つた鋳鋼の組成を表３に、ま
た試験結果を図および表４に示す。結果は、全て
３つの供試材の平均値である。

【表】図から本発明の鋳鋼は被削性に優れており、従
来の鋳鋼に比べ被削性が３倍向上していることが
わかる。なお、被削性は、工具鋼を材料とし表面
に超硬TiCコーテイングを施した刃具を用いて行
い、この刃具の供試材に接する刃面が0.3mmとな
るまでの切削長を比較した。

〔発明の効果〕

本発明は、水焼入れを行う必要はあるが、従来
鋳鋼に比べ、Mo，Ｖ等の高価な元素を省いてお
り、低コストであり、かつ切刃として必要な硬さ
H_RCで55以上の要件を満すものである。また、本発明鋳鋼は金型用切刃として要求され
る火炎焼入れ硬さ、耐摩耗性、抗折力、シヤルピ
ー値を満足させながらも、快削成分を添加するこ
とによつて被削性を向上させたものであり、金型
切刃用鋳鋼として加工性、経済性に優れている。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明鋳鋼と従来鋳鋼との被削性を示す
グラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

１重量比で、炭素(C)0.4〜0.5％、珪素（Si）0.4
〜0.8％、マンガン（Mn）1.3〜1.5％、クロム
（Cr）1.3〜1.6％、硫黄（Ｓ）0.1〜0.3％、鉛
（Pb）0.15〜0.25％およびカルシウム（Ca）0.001
〜0.004％を含み、残部鉄および不可避不純物と
してリン（Ｐ）を0.03％以下含むことを特徴とす
る金型切刃用低合金鋳鋼。