JPS6315524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はデイーゼル機関のように、シリンダへ
ツド上方に弁腕室を備え、弁腕室内の動弁機構に
弁腕油を供給するようにした形式の内燃機関にお
ける使用済弁腕注油の戻し機構に関する。

（従来技術） 従来は例えば第１図のように、シリンダブロツ
ク１に軸受２を介して支承されているカム軸３に
バルブ開閉用のカム４と燃料噴射ポンプ５を駆動
するためのカム６を設け、カム４にはバルブ用タ
ペツト７を介してプツシユロツド８が接続し、カ
ム６とポンプ５の間にはポンプ用タペツト９が介
装されている。ポンプ用タペツト９は噴射時期調
整用のアジヤストボルト１０、ナツト１１を燃料
ポンプ調整窓１２内に備え、調整窓１２はポンプ
５内のプランジヤとバレル（図示せず）間からの
漏洩燃料の通路を兼ねている。プツシユロツドカ
バー１６は下端部が調整窓１２の上壁に設けた孔
１７に嵌合し、上端部はシリンダヘツドの弁腕室
の底壁に設けた孔に嵌合し、弁腕注油戻し通路を
形成している。そして上記従来の構造によると、
弁腕室の底部に集められた使用済の弁腕油はプツ
シユロツドカバー１６内を通り、一部は第１図の
バルブ用タペツト７上に溜り、タペツト７の上壁
に設けた孔２２と側壁に設けた孔２３とカム室２
４をへて下方のオイルパンへ戻され、一部は調整
窓１２内で漏洩燃料に混入し、調整窓底部の継手
から燃料タンクへ排出される。

ところがタペツト７の強度確保の面からは孔２
２を大きくできず、又孔２３はタペツトガイド孔
２６に間欠的に隠されるため、油の戻しが不円滑
になる。この対策として孔２２を大きくするとタ
ペツト７も大きくなり、孔２３を常時開放させる
ためにはタペツト７が長くなり、重量の増加、エ
ンジン全高の増大をきたすばかりでなく、タペツ
ト７の質量増大によりジヤンピング、バウンスを
生じやすくなり、高速化が阻害される。

（考案の目的） 本考案は噴射時期調整窓１２の蓋２７（第２
図）が複数個のボルト２８によりシリンダブロツ
ク１が締着されていることに着目し、ボルト２８
のボルト孔を利用して弁腕油を常時円滑に排出で
きるようにすることを目的としている。

（考案の構成） 本考案は、カム軸上方のシリンダブロツクに漏
洩燃料通路を兼ねる横開き凹状の燃料ポンプ調整
窓を設け、調整窓の上側に燃料ポンプを、下側に
ポンプ用タペツトを配置し、調整窓と干渉しない
シリンダブロツク部分にバルブ用タペツトのガイ
ド孔を設け、ガイド孔上端部に弁腕注油戻し通路
を兼ねるプツシユロツドカバーの下端部を嵌合
し、調整窓の蓋の取付ボルト孔を上記タペツトガ
イド孔のタペツト上方部と交差させ、ボルト孔の
延長先端部又は途中にオイルパンへ至る縦孔を設
けたことを特徴とする弁腕注油戻し機構である。

（実施例） 第２図は第１図の−断面に対応する本考案
の実施例図面で、第１図中の符号と同一符号は対
応部分である。第２図において、調整窓１２と干
渉しないシリンダブロツク１の厚肉部分にバルブ
用タペツト３０のガイド孔３１を設け、ガイド孔
３１の上端部にプツシユロツドカバー１６の下端
部を液密を保持して嵌合し、ガイド孔３１の下端
はカム室２４をへてオイルパンへ連通する。第２
図から明らかなようにガイド孔３１は調整窓１２
と連通していない。調整窓１２の蓋２７を取り付
けるため、ねじ孔３２に植込ボルト３３が固定さ
れ、植込ボルト３３に蓋２７の孔を通してナツト
３４により蓋２７を締着している。蓋２７は植込
ボルト３３の他に複数個のボルト２８により従来
と同様に固定される。上端のねじ孔３２の下きり
孔３５はタペツト３０より常時上方の位置におい
てガイド孔３１と直角に交差し、きり孔延長先端
部３５ａにガイド孔３１と平行なきり孔３６（縦
孔）の上端が連通し、きり孔３６の下端はカム室
２４をへてオイルパンへ連通している。弁腕室か
らプツシユロツドカバー１６をへてタペツト３０
の上部へ流下した弁腕油は、下きり孔３５と縦方
向のきり孔３６を通して連続的にオイルパンへ排
出されると共に、タペツト３０とプツシユロツド
８の接合部及びタペツト３０とガイド孔３１の摺
動面を潤滑する。

（考案の効果） 本考案においては調整窓蓋２７を固定するため
の一部のねじ孔３２の下きり孔３５を延長し、そ
の延長先端部３５ａとオイルパンをつなぐ縦方向
のきり孔３６を設けるだけで、タペツト３０に何
らの加工を加えることなく、弁腕油を連続的に、
多量に排出することができ、タペツト３０に改造
を加える前記従来構造における不具合をすべて解
消することができる。しかも弁腕油と漏洩燃料が
まつたく混合しないため、油の希釈や、漏洩燃料
への潤滑油の混入による再使用時の問題等を回避
することができる。加工も容易であり、低コスト
で実施できる利点もある。更に本考案によると取
付ボルト孔３２の下きり孔３５はガイド孔３１と
直角に交差しかつガイド孔３１を越えて延長し、
その先端部３５ａからガイド孔３１と平行な縦孔
３６が下方へ延長しているので、縦孔３６を設け
るための厚肉部をガイド孔３１の調整窓１２側に
突出状に設ける必要がなくなり、調整窓１２の容
積が増し、蓋２７を開けてアジヤストボルト１
０、ナツト１１等を操作する際に作業性が向上す
ると共に、シリンダブロツク１の重量も軽減す
る。又縦孔３６の下端はバルブ開閉用のカム４の
直上に開口しているので、カム面に潤滑油が直接
かかり、タペツト３０との摺動面の潤滑状態が大
幅に改善される。更に縦孔３６はガイド孔３１と
平行であるため、ガイド孔３１の機械加工と同時
に同方向の加工により形成することができ、製造
が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来構造を示すための縦断側面図、第
２図は第１図の−断面に対応する本考案の断
面部分図である。１……シリンダブロツク、３…
…カム軸、５……燃料噴射ポンプ、９……ポンプ
用タペツト、１６……プツシユロツドカバー、２
４……カム室（オイルパン）、２７……燃料ポン
プ調整窓蓋、３０……バルブ用タペツト、３１…
…ガイド孔、３２……ねじ孔（取付ボルト孔）３
５ａ……延長先端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カム軸上方のシリンダブロツク１に漏洩燃料通
   路を兼ねる横開き凹状の燃料ポンプ調整窓１２を
   設け、調整窓１２の上側に燃料ポンプ５を、下側
   にポンプ用タペツト９を、又調整窓１２内に燃料
   ポンプ５とポンプ用タペツト９をつなぐアジヤス
   トボルト１０を配置し、ポンプ用タペツト９の横
   のシリンダブロツク部分に調整窓１２を横切りか
   つポンプ用タペツト９と平行にバルブ用タペツト
   ３０のガイド孔３１を設け、ガイド孔３１上端部
   に弁腕注油戻し通路を兼ねるプツシユロツドカバ
   ー１６の下端部を嵌合し、調整窓１２の蓋２７の
   上部の取付ボルト孔３２を上記タペツトガイド孔
   ３１のタペツト上方部と直角に交差させ、ボルト
   孔３２の延長先端部３５ａにオイルパン２４へ至
   る縦孔３６をガイド孔３１と平行に設けて縦孔３
   ６の下端をカムの直上に開口したことを特徴とす
   る弁腕注油戻し機構。