JPS6314856Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は医療用固定材に関するものであり更に
詳しくは、複雑な人体の形状に柔軟に適合し通気
性のある医療用固定材に関するものである。

従来技術 従来、医療用固定材としては石膏ギプスが古く
から使用されており現在はガーゼに石膏を塗布し
た石膏包帯が広く用いられている。これら石膏包
帯はモデリング性、固定性、衝撃からの保護には
十分有効であるが、ギプス装着のままではＸ線を
透過しないために外部より治瘉状態を診断出来な
いこと、通気性不足のための不快感があること、
重く不便であること、作業時に囲りを汚し、ギプ
ス室の施設が必要であることなどの欠点があつ
た。近年これら石膏包帯に代るものとして、プラ
スチツクギプスの名称で各種のものが開発されて
来た。例えば比較的低温で軟化する樹脂組成物を
基布に附着させたものを用意し、使用時に約70℃
位の熱湯に浸して可塑化して患部に巻きつけるも
の、あるいは紫外線硬化型樹脂組成物を基布に塗
布したものを患部に巻きつけ、しかるのちに紫外
線を照射して樹脂を硬化させるものなどがある。
しかし、前者は患者、施術者とも熱く加熱設備を
要するなどの不便さがある。後者は紫外線硬化の
ための特別な紫外線照射設備を必要とするなどの
不便さがある。

またこれら石膏包帯、プラスチツクギプスなど
に共通するのはいずれもテープ状の形状をしてお
り、患部にテープを捲き重ねて固定具とすること
である。これはあらかじめ患部を固定される形に
したのちにテープ状固定材を捲きつけて固定する
のであり、捲き重ねた後、固定材が硬化するまで
の間に患部の形を修正することは不可能であり、
また長時間患者は同一の姿勢を保つ苦痛があつ
た。

考案の目的及び構成 本考案は叙上の従来のテープ状固定具の欠点に
鑑みなされたものであり、患部に好適に適合しし
かも作業性に優れた医療用固定具を提供せんとす
るものでありその要旨は伸縮性のある円筒状基布
に水分との接触によつて発泡硬化するポリウレタ
ンプレポリマーを含浸一体化せしめた医療用固定
材にある。

実施例 以下に図面により詳細に説明する。第１図は本
考案による医療用固定材の一部斜視図であり、同
図では伸縮性のある筒編地の基布を示している。
基布に伸縮性を持たせる方法としては組織による
ものと糸によるものがあるが一般には編組織によ
るものが多く、ゴム編、平編、パール編などの原
組織の他多くの応用組織がある。本考案の目的の
ためには円筒の直径方向の伸縮性が大きいことが
必要であり通常、折巾で伸びが50％〜1500％まで
伸縮するものが好ましい。この目的にかなうもの
としては伸縮性の筒編物あるいはヨコ糸に加工糸
ゴム糸、スパンデツクス糸などを使用した円型織
物などがある。さて本考案は第１図にみられるよ
うに基布の形状が円筒状であること、及び伸縮性
の大きいことが特長でありこれは従来の石膏包
帯、プラスチツクギプスなどに全くなかつた形態
上の特長である。

第２図は本考案による固定材の一部断面図であ
りＡは水分との接触前のものを示しＢは水分との
接触により発泡、硬化した状態を示す。第２図Ａ
のうち１は基布となる繊維を示し２はポリウレタ
ンプレポリマー樹脂である。第２図Ｂのうち１は
基布を構成する繊維を示し２はポリウレタン樹脂
を３は発泡硬化時に生じた空隙を示す。この空隙
により本考案の固定材は通気性、透湿性があると
共に軽く患者に負担をかけない。このような発
泡、硬化する樹脂としてはポリウレタン分子中に
−NCO基を有する重合体、又は分子中に−NCO
基を発現せしめる重合体を主成分とする樹脂組成
物であればよい。

本考案に使用される繊維についてのべると織、
編物組織としてヨコ方向の伸縮性があるならば通
常の天然繊維、合成繊維などが使用出来るが、組
織上の伸びが不足したり、ストレツチバツク性が
不足する場合には伸縮性に富んだ加工糸、意匠糸
を使用したりあるいは天然ゴム糸、人造ゴム糸、
ポリウレタン弾性糸などを使用しうる。又一般的
に筒編地などを巾方向に伸ばすとタテ方向は縮む
が、本考案では使用時のタテの縮みは本考案の効
果を減らすものではない。

本考案のもう一つの大きな特長はその使用方法
にある。従来の石膏包帯、プラスチツクギプスな
どがその形態をテープ状とし使用に当つては患部
に捲回して行つていたのに対し、本考案による方
法では、あらかじめ水を含ませた固定材の中に患
部を入れ固定材の伸縮性により患部の形状に適合
させる。例えば従来、足首の固定などはなじみの
よい石膏包帯でも施術者の高度な技術を要すると
いわれ、プラスチツクギプスでは適用がむずかし
かつた部位である。しかるに本考案の固定材によ
るとあたかも靴下を覆くかのように容易に足首に
固定材を適合させうる。又その固定強度が不足す
る場合には重ねて固定材を覆うことが出来る。こ
のように容易に早く作業できることは従来方法と
は全く異つた特長といえる。

考案の効果 以上詳述した如く本考案によれば肢体のどのよ
うな個所にも容易になじむ柔軟性を持ち、特別な
装置は必要とせず、患部を被覆する作業時間中は
十分に可塑性があり、作業後は速やかに硬化し、
硬化時の発熱も体温程度であり、一度硬化すれば
長時間の使用に対して、患部を固定し完全に保護
しうる強度を発現し、しかも含浸せしめたウレタ
ンプレポリマーの発泡により通気性、透湿性があ
り、軽く負担にならず、患部を被覆したままでＸ
線撮影により治瘉状況を診ることが可能であり、
不要の際は従来のギプスカツターなどで容易に切
除出来るものである。

又作業性にも優れ、使用に際しては収縮状態に
ある本考案固定材の円筒中に下肢又は手首等の患
部を挿入すればその弾性によつて患部の曲面に沿
つてぴつたりと適合するので何等の複雑な成形作
業を必要としない。すなわち巾方向に伸縮性の大
きい円筒状基布に水分との接触により発泡硬化す
るポリウレタンプレポリマーを含浸、一体化させ
た本考案の医療用固定材は石膏ギプス、義肢用材
料装具用材料など広く医療用固定材として使用さ
れる工業的に有意義な考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による医療用固定材の斜視図で
あり、第２図Ａ，Ｂは第１図のＸ−Ｘ線に沿う医
療用固定材の断面の一部を示す。 １……繊維材料、２……樹脂、３……空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直径方向の延びが折巾で50％〜1500％である伸
   縮性のある円筒状基布に水分との接触によつて発
   泡硬化するポリウレタンプレポリマーを含浸一体
   化させた医療用固定材。