JPS6314185Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案はボイラー、加熱炉、溶解炉、その他の
燃料装置に使用する多孔式噴霧バーナのバーナ・
チツプの構造に関するもので、特に、液体燃料の
噴霧を良好にし、すなわち、液体燃料の微粒子化
を促進し、燃焼を改善し、省エネルギー及び公害
対策に有効であり、経済的なものである。 近年、ボイラー、加熱炉、溶解炉、その他のの
燃焼装置では、昨今のエネルギー事情から燃料価
格が高騰し、重質化の傾向を示しており、省エネ
ルギー及び公害防止対策が望まれている。そし
て、このためには良好な燃焼、すなわち、低O₂
％であるとともに低ばいじんであり、さらに低
NOx化を達成すればよく、その燃焼特性は通常
燃料の噴霧特性と燃焼用空気との混合特性に依存
することが知られている。 従来、多孔式噴霧バーナを使用する燃焼装置で
は燃料の他、空気、蒸気等の噴霧媒体が使用さ
れ、噴射口から噴射時、すなわち上記噴霧媒体が
高圧側から低圧側に噴射される際の膨張エネルギ
ーにより混合及び微粒子化を図つている。 すなわち、上記膨張エネルギーのみに依存する
方式（内部混合方式、中間混合方式等）であつ
た。しかしながら、液体燃料は非圧縮性流体であ
り、液体燃料自体には分散力がほとんどないた
め、液体燃料の微粒子化を促進するためには上記
噴霧媒体の混合量を増大しなければならず、省エ
ネルギーに反する欠点があつた。 また、噴霧粒子の大小のばらつきが多いため燃
焼用空気との混合率も異なり、良好な燃焼を達成
することが困難であつた。このため、従来、バー
ナ廻りの風箱、送風機等の改造に巨費を投じてい
た。 また、従来、低NOxを達成するために、緩慢
燃焼（排ガス再循環、二段燃焼、分割火焔燃焼
等）及び水注入（水の蒸発潜熱による効率の低
下）、脱硝装置の設置等がなされているが、これ
らはいずれも省エネルギーに相反する欠点があつ
た。 さらに、噴霧媒体を無くしてしまうと、液体燃
料は水鉄砲の如く一本の線状で噴出する、すなわ
ち直進力のみになつてしまい、バーナ・チツプと
して使用することができないものであつた。 本考案のバーナ・チツプの構造は上記の如き欠
点を除去してなるものであり、噴射方法を変え、
液体燃料の微粒子化を促進し、省エネルギー及び
公害対策に有効で、経済的な燃焼を可能とするも
のである。 以下に、本考案を一実施例を示す図面について
詳細に説明する。 図中１はバーナチツプ本体であり、先細り中空
状に構成され、その先端内部の中央には凹部２が
設けられ、その外側には適当間隔をあけて円形凹
溝３が設けられ、上記凹部２と円形凹溝３間には
先細りの外周面に開口する適数の噴射口４が設け
られている。 さらに、該適数の噴射口４の内部端の一側と上
記凹部２間にはそれぞれ連通溝５が噴射口４の接
線方向に設けられ、さらに、上記適数の噴射口４
の内部端の他側と上記円形凹溝３間にはそれぞれ
連通溝６が噴射口４の接線方向に設けられる。 上記各噴射口４の内部端における連通溝５，６
の配置は後に詳述するが、第９図示の如く噴射口
４から噴射される液体燃料を旋回させるためであ
る。 次に、上記バーナチツプ本体１には第６図、第
７図及び第８図示の如き分流体７が重合される。
すなわち、該分流体７は第２図示の如く、バーナ
チツプ本体１内部の凹部２、円形凹溝３、噴射口
４及び連通溝５，６部に適合する先細り形状とさ
れ、その背面から流入する液体燃料を上記バーナ
チツプ本体１の凹部２に供給する穴８及び上記バ
ーナチツプ本体１の円形凹溝３に供給する穴９が
設けられる。 図面実施例の場合、上記穴８は分流体７の中央
部に設けられて上記バーナチツプ本体１の凹部２
に適合している。そして、上記穴９は穴８の外側
周囲に適数設けられ、上記バーナチツプ本体１と
重合させたときに、その円形凹溝３に外部端が適
合するとともに、内部端が上記穴８と合流してい
る。 本考案の場合、さらに、分流体７には、その背
面から上記バーナチツプ本体１の噴射口４の後端
に連通して空気、蒸気等の噴霧媒体を供給する穴
１０が設けられる。すなわち、上記穴１０は上記
バーナチツプ本体１の噴射口４と同数設けられ、
その外部端はバーナ・チツプ本体１と重合したと
きにその噴射口４とそれぞれ同一方向となるよう
に曲折されるとともに、噴射口４の中心部にそれ
ぞれ適合している。さらに、上記穴１０の内部端
は、分流体７の背面の上記穴８の外側周囲に設け
られた円形凹溝１１に連通している。 なお、本考案は後述の如く液体燃料を旋回さ
せ、そこに空気、蒸気等の噴霧媒体を供給するこ
とによつて液体燃料の噴霧特性を向上させるもの
である。 なお、図中１２はガイドピン、１３はガイド穴
で、これらは、上記分流体７がバーナチツプ本体
１に重合する際に上記噴射口４と穴１０とが連通
するようにガイドする作用を有する。 なお、上記バーナチツプ本体１と分流体７との
結合は、溶接することによつて行なつてもよい
し、他の手段によつて行なつてもよい。 上記構成の本考案では、液体燃料供給管１４及
び噴霧媒体供給管１５が分流体７の背面に連結さ
れる。そして、穴８に液体燃料が供給され、円形
凹溝１１を介して穴１０に空気、蒸気等の噴霧媒
体が供給される。 その結果、まず、液体燃料は分流体７により２
つの流れに分けられる。すなわち、分流体７の穴
８からバーナチツプ本体１の凹部２に至る流れ
と、上記穴８に合流している分流体の穴９からバ
ーナチツプ本体１の円形凹溝３に至る流れであ
る。 そして、バーナチツプ本体１の凹部に供給され
た液体燃料はそれぞれの連通溝５からそれぞれの
噴射口４の一側に供給され、バーナチツプ本体１
の円形凹溝３に供給された液体燃料はそれぞれの
連通溝６からそれぞれの噴射口４の内部端の他側
に供給され、第９図示の如く、旋回されつつ、噴
射口４から噴射させられる。したがつて、液体燃
料の微粒子化を図ることができる。 さらに、上記液体燃料の噴射の際に、分流体７
の円形凹溝１１を介して穴１０に供給された噴霧
媒体が、同時に噴射口４から噴射させられる。こ
のため、噴霧媒体の膨張エネルギーによつてさら
に微粒子化が促進され、広い範囲に均一に拡散さ
せられる。なお、本考案の場合、穴１０の外部端
が重合したときに噴射口４とそれぞれ同一方向と
なるように曲折されるとともに、噴射口４の中心
部にそれぞれ適合させたことによつて、噴霧媒体
の膨張エネルギーが上記旋回させられた液体燃料
に対して平均に作用するため、微粒子化された液
体燃料の大小のばらつきが一段と少なくなるもの
である。 以上から、噴霧媒体の混合量を増大することな
く、完全燃焼に近づき、良好な燃焼が達成される
ことになる。すなわち、低ばいじん化、低O₂化
され、さらに、低O₂化により、排ガス熱損失が
低減して熱効率が向上するとともに、サーマル
NOxが低減されて全体として低NOx化され、ま
た、SO₂からSO₃への変換率が下がり低温腐蝕の
予防となる。 以上の如く、本考案は省エネルギー及び公害対
策に有効であり、経済的である効果が得られるも
のである。 なお、以下に本考案のバーナ・チツプの構造に
よる燃焼テストの結果例を示す。

【表】 以上のデータが示す如く本考案型が燃焼条件が
悪いにもかかわらず、ばいえん濃度が低減し排ガ
ス温度も低下している。

【表】

【表】 以上二つのデータが示す如く本考案型バーナの
効果は多大なものがあり、ばいえん濃度の大巾低
減により、低O₂化燃焼が可能となり、省エネル
ギー対策及びばいえん、NOxの低減等の公害防
止対策上大いに貢献するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案のバーナ・チツプの全体正面図、第２図
はその縦断面図、第３図はバーナチツプ本体の平
面図、第４図はその一部を断面にした正面図、第
５図はその底面図、第６図は分流体の平面図、第
７図は第６図Ａ−Ｂ線断面図、第８図は同じくそ
の底面図、第９図はバーナチツプ本体の噴射口の
内部端の拡大図である。 １……バーナチツプ本体、２……凹部、３……
円形凹溝、４……噴射口、５，６……連通溝、７
……分流体、８，９，１０……穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先細り中空状に構成され、その先端内部の中央
   には凹部が設けられ、その外側には適当間隔をあ
   けて円形凹溝が設けられ、上記凹部と円形凹溝間
   には先細り外周面に開口する適数の噴射口が設け
   られ、該噴射口内部端の一側と上記凹部間及び噴
   射口内部端の他側と上記円形凹溝間にそれぞれ上
   記噴射口の接線方向に連通溝が設けられたバー
   ナ・チツプ本体と、該バーナ・チツプ本体内部の
   凹部、円形凹溝、噴射口及び連通溝部に適合する
   先細り形状とされ、その背面から粒入する液体燃
   料を上記バーナ・チツプ本体の凹部と円形凹溝に
   供給するそれぞれの穴及び噴霧媒体を噴射口後端
   に供給する穴を設けた分流体とからなることを特
   徴とする多孔式噴霧バーナのバーナ・チツプの構
   造。