JPS6313798Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、特殊なダスト衝突面をもつサイクロ
ン型のダスト分離装置とこの装置によつて分離さ
れた空気を更に過する特殊なエヤフイルター装
置とを同一ケーシング内に組込み一体化させ、高
性能の自動車エンジン用エヤクリーナを提供する
ことにある。

先ず図面に就いて実施例の詳細を述べる。

１は方形箱状のケーシングで、このケーシング
内を平面方形で且側面プリーツ状のフイルターエ
レメント２を介し、上下２室に区画して上部室を
過室３となす共に、この過室３に吐出口４を
設け、又下部室をダスト分離室５となす。

そこで、本案の特徴的構成要素のひとつである
上記フイルターエレメント２について先ず詳述す
る。

このものは、プリーツ状に屈折形成した材２
ａの片面に現われる各ヒダ２ｂの両端に中軟合成
樹脂製の閉塞部材２ｃを一体に付着せしめ、各ヒ
ダ２ｂの開度を固定させ、もつてヒダ２ｂを構成
する対向板間のクリアランス２ｄを確保させ、通
過空気の抵抗を極力少なくするように構成されて
いる。

又、閉塞部材２ｃの根元側に臨む周縁にこの根
元を包被するようにゴムパツキン２ｅが囲繞沿着
され、このゴムパツキン２ｅをケーシング１を構
成する上下ケース部材１ｇ，１ｇの嵌合溝１ｉに
密着挾合保持させ、もつて上記した過室３とダ
スト分離室５とがシール状に区画される。

一方、上記ダスト分離室５は、この室内に上下
端を開口した短円筒状のダスト分離体６が垂設挿
入される。このダスト分離体６は、パンチプレー
トにて形成した円筒状ホルダー７とこのホルダー
７の内周面に囲繞沿着した繊維筒８とでなり、こ
の繊維筒８の内面円筒面をダスト衝突面９とな
し、この衝突面９にケーシング１に設けた空気流
入口１０が接線方向に開口されている。又、ダス
ト分離体６の上端開口縁は、ケーシング１に設け
た隔壁１ａの下面に密接シールされ、隔壁１ａに
は連絡口１ｂが形成され、この連絡口１ｂは分離
体６の内側中央に少しく介入されて開口してい
る。

又分離体６の下端開口は、ケーシング１の上げ
底１ｃ面に形成した一方向の流入用斜片１ｄをも
つ落下口１ｅに臨ませてあり、この落下口１ｅは
上記上げ底１ｃとケーシングの底面との間に設け
たダスト溜め１ｆに開口している。

ところで、上記ダスト衝突面９、つまり、繊維
筒８も又本来の特徴的要素をなすもので、これを
詳述すると、上記衝突面９は、繊維を絡み合い状
に入り組ませ、この入り組んだ繊維間に粒状ダス
トの侵入と、侵入したダストの繊維との衝突によ
つてダストをはね返し状に移動させ得る大きなメ
ツシユをランダムに有する肉厚の繊維層にて形成
されている。

以下作用を述べる。

尚、吐出口４に図示せざるを適宜の吸引機構を
接続するか、或は流入口１０側に空気の圧送機構
を接続して使用するものであるが、何れにしても
ダストを含んだ外部空気が流入口１０から流入す
ると、この流入口１０は内面円筒状の衝突面９に
対し接線方向に開口しているので、流入空気は遠
心力にて加速され、そしてこの空気の流れにのつ
た、例えば、砂粒などのダストが衝突面９に衝突
し、ダストは常法のように分離され、そしてダス
ト分離された空気は更にフイルターエレメント２
を透して過室３に侵入過され、過された空
気は吐出口４を通じて取出されることは勿論であ
るが、特に本考案では、ダスト衝突面９が上記構
成からなる繊維層にて形成されているので、第５
図のように、いま流れにのつたダストＡが衝突面
９から繊維層を侵入したとすると、この繊維層を
構成する繊維Ｂと繊維との間にメツシユｃがダス
トＡよりも充分大きいので、ダストＡはメツシユ
ｃ内に捕捉されることなく繊維間を通り抜け、一
方繊維はランダムに絡み合つて入り組んでいるの
で、上記通り抜けたダストＡは、他の繊維の何れ
かに、必ず衝突してはね返され、そして衝突によ
つて減速されたダストＡは、上記はね返しを連続
的に繰返しながら、順次自重で繊維層内を下降し
てゆくことになる。

この状況は、恰かもパチンコ玉がランダムに植
設された釘に衝突しながら、ランダムに順次降下
する態様とみることができる。

以上のことから、ダストＡは全くメツシユに捕
捉されることがなくなり、従つて衝突面、即ち繊
維層にダストＡによる目詰りや付着の発生がな
く、常にダストの分離機能を衝突面に維持させる
ことができる。而も、繊維層内に侵入したダスト
のはね返しの回数が連続的に行われるので、例え
メツシユがダストより大きくとも、ダストの分離
を確実に行わせ得ることになる。

ちなみに、従来サイクロン式のダスト分離装置
と呼ばれるものは、スポンジなどの吸着分離面に
外部空気を衝突させ、この分離面にダストを吸着
捕捉させる構造のもので、そしてこの構造が固定
観念づけられて、現在でも専ら当該技術分野にお
ける慣用手段として上記構造の分離装置が採用さ
れている。

ところが、上記構造だと要するに吸着なるた
め、分離面に一旦吸着されたダストが空気の流速
によつて分離面から吹き離され、而もその吹き離
されたダストが後続流入空気に混じつて、かきま
わされるので、ダスト密度が濃くなり、従つて、
ダスト分離効率を悪くすると云う問題があり、而
も分離面が目詰にを生じ易く、短時日に清掃しな
ければならないし、更に又、上記目詰りによる分
離面の劣化を助長するなどの問題があるが、しか
し、従来はそれが当然のことゝとして考えられて
きたものである。

この事実に鑑み、本考案は上述のように特殊な
ダスト衝突面を形成し、もつて従来のもつ不都合
を解決させたものである。

又一方、本考案では、ダスト分離装置とエヤフ
イルター装置とを単一のケース内に一体組込み、
ダスト分離装置からの多量の空気をフイルター装
置に連続的に吸引通過させるものなるため、吸引
機構による強力な吸気力がフイルターに負圧とし
て作用することによつて生ずるフイルターヒダの
開度の縮少による空気透過効率の低下の憂も考慮
しなければならず、そのために本考案では、敢て
ヒダの両端に合成樹脂などの閉塞部材を一体的に
付着せしめて、各ヒダの開度を固定した、つまり
ひとつのヒダをひとつの閉塞部材で固定する、換
言すれば、ヒダごとに夫々独立した開度をもたせ
たものを用い、もつてヒダを構成する対向板間の
クリアランスを強力に確保させ、上記空気透過効
率の低下を防がせるようにしたものである。

上述のように、本考案によれば、特殊構成のフ
イルターエレメントと同じく、特殊構成の衝突面
を有するサイクロン型ダスト分離室とを同一ケー
シング内に組込み、もつて高性能の自動車エンジ
ン用エヤクリーナの提供を可能としたものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断正面図、第２図は同上横断平面
図、第３図はフイルターエレメントの一部切欠端
面図、第４図は同上Ａ〜Ａ線断面図、第５図はダ
スト分離状態を示す説明図である。 １……ケーシング、２……フイルターエレメン
ト、３……過室、４……吐出口、５……サイク
ロン型ダスト分離室、９……ダスト衝突面、１０
……流入口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングを、水平方向のフイルターエレメン
   トを介して上下２室に区画して上部室を外部への
   吐出口を備えた過室となし、又下部室を、円筒
   の内周面をダスト衝突面となすと共に、この面に
   外部空気の流入口を接線方向に開口させたサイク
   ロン型ダスト分離室となした自動車エンジン用エ
   ヤクリーナにおいて、上記フイルターエレメント
   は、プリーツ状に形成した材の何れか片面に現
   われる各ヒダの両端に合成樹脂などの閉塞部材を
   一体的に付着せしめて各ヒダの開度を固定させて
   なり、一方上記ダスト衝突面は、繊維を絡み合い
   状に入り組ませ、且、この入り組んだ繊維間に粒
   状ダストの侵入と侵入したダストの繊維との衝突
   によつてダストをはね返し状に移動させ得る大き
   なメツシユをランダムに有する肉厚の繊維層にて
   形成されていることを特徴とする自動車エンジン
   用エヤクリーナ。