JPS631294Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカメラの電動巻戻装置に関する。

従来、モータの回転を減速機構を介して巻戻カ
ツプリングへ伝達するカメラの電動巻戻装置が知
られている。

しかしながらこの装置は手動で巻戻カツプリン
グを回転しようとする場合に、減速機構が手動巻
戻の負荷となつてしまい、手動巻戻が容易にでき
ない。

本考案はこのような欠点を除去し、電動巻戻装
置において容易に手動巻戻を行なうことができる
装置を提供することを目的とする。

本考案は手動巻戻時に減速機構と巻戻カツプリ
ングとの連携を断つことにより上記目的を達成す
る。

以下、図面に沿つて本考案の実施例を説明す
る。

カメラボデイ１内にはパトローネ室２が設けら
れ、該室２へ進入可能且つ該室２から退避可能な
如く巻戻カツプリング３が上下に移動可能に設け
られている。巻戻カツプリング３はギア部３ａ、
ねじ部３ｂ、下端部３ｃを有し、ばね４により下
方に押圧されている。巻戻カツプリング３に隣接
して、上記ねじ部３ｂと噛み合うべき噛合部５ａ
を持つ噛合部材５が設けられている。噛合部材５
は左右方向に摺動可能であり、不図示の手段によ
り右方向に付勢されている。また、噛合部材５は
下方に開いた溝５ｂを有し、該溝５ｂ内に、左右
方向に極く短かい範囲で摺動可能な如く設けられ
た連動部材６の上向き端部が緩く嵌入している。

他方、ギア７が上下方向に摺動可能で且つばね
８により下方に押圧されて設けられている。ギア
７は巻戻カツプリング３のギア部３ａとは常時噛
み合つているが、巻戻し操作によりカメラに内蔵
されたモータに連結しこれによつて駆動されるギ
ア９とは、上方に摺動しとき噛合が外れる。

ギア７は、上下方向に摺動可能に設けられた手
動巻戻操作部材１０にその上部においてスプライ
ン結合されているもので、それによりギア７と一
体に回転すると共に一定範囲で軸方向に動きう
る。手動巻戻操作部材１０は、外部に露出した部
分に形成されたコインスロツト１０ａ、連動部材
６を動かす為のカム１０ｂ、ギア７に当接してこ
れを一緒に軸方向かつ上方向に摺動させる為の段
部１０ｃを有する。

また、巻戻カツプリング３の下端部３ｃと係接
している延長部１１ａを持つ保持部材１１がカメ
ラボデイ１に対して上下方向に摺動可能に設けら
れている。手動巻戻操作部材１０はこの保持部材
１１を貫通しそしてこれに嵌合していて、それに
より摺動可能に支持されている。さらに、ばね１
２が保持部材１１を手動巻戻操作部材１０に対し
て上方向に付勢していると共に、ばね１２より小
さな付勢力を持つばね１３が保持部材１１を下方
向に付勢している。

以上の構成の実施例の動作を説明する。

先ず電動巻上動作を説明する。シヤツタ幕が走
行して露光動作がなされるとモータ（不図示）が
回転し、巻上機構（不図示）によりパトローネ
（不図示）からフイルムが引き出される。この巻
上時においては、本実施例は、巻戻カツプリング
３がパトローネ室２から退避している第１図の状
態を保つ。

次に電動巻戻動作について述べる。自動巻戻操
作部材（不図示）を操作するとスプロケツト（不
図示）がフリーの状態となつてモータ（不図示）
が巻上機構から離脱し減速ギア列と連結し、この
モータの回転が開始される。第１図の状態におい
て上記モータが回転すると、次のような動作が起
こる。即ち、先ず減速ギア列最終段のギア９の回
転によりこれと噛合つたギア７が回転する。それ
により巻戻カツプリング３が回転する。巻戻カツ
プリング３が回転すると、ねじ部３ｂと噛合部５
ａとの噛合を介して、噛合部材５は上下には動か
ない故に巻戻カツプリング３が回転しながら上昇
する。この時、ばね１２のばね力がばね１３のそ
れより強く設定されているので、それまで下端部
３ｃと延長部１１ａとの係接により下方位置に止
められていた保持部材１１も巻戻カツプリング３
に追従して上昇する。こうして巻戻カツプリング
３はパトローネ室２内に進入し、パトローネ（不
図示）の軸と係合するに至る。一方、噛合部材５
は若干右方向に動いて巻戻カツプリング３の軸方
向（上下方向）の移動を阻止する状態となり、第
２図の状態が得られる。ただし、手動巻戻操作部
材１０に関しては、第１図の状態のままである。

こうして実現された状態において、巻戻カツプ
リング３がパトローネ軸を回転することによりフ
イルムをパトローネ内に巻戻して行く。巻戻完了
後、裏蓋（不図示）を開くと、不図示の手段によ
り噛合部材５が第２図の状態から付勢力に抗して
左方へ移動させられ、それにより噛合部材５によ
る阻止が解除されて巻戻カツプリング３がばね４
の付勢力によつて下降する。そして、裏蓋を閉じ
れば噛合部材５がねじ部３ｂに再び噛合し、第１
図の状態が再現される。

続いて手動巻戻動作について述べる。電源電池
の消耗によりモータによる巻上、巻戻ができなく
なつたとき、手動で巻戻をする必要が生ずる。

電動巻上の途中から手動巻戻を行なう場合にお
いては、先ず自動巻戻操作部材を操作しスプロケ
ツトをフリーにする。そして自動巻戻操作部材と
は別の操作部材でモータの電源スイツチ（不図
示）を切る。ここでコインスロツト１０ａにコイ
ン（不図示）を挿入し、第１図の状態から手動巻
戻操作部材１０を押し込んでゆく。ばね１２はば
ね１３より大きなばね力を持つから手動巻戻操作
部材１０の上昇と共に保持部材１１も上昇しよう
とするが、押し込みの前半においては、噛合部５
ａとねじ部３ｂが噛合し且つ延長部１１ａが下端
部３ｃと係接しているので巻戻カツプリング３も
保持部材１１も共に上昇しない。しかし、巻戻操
作部材１０が第１図から第２図の状態へ移動する
過程で、カム１０ｂが連動部材６を左方へ移動し
これによつて噛合部材５が左方へ移動させられ
る。従つて、手動巻戻操作部材１０の上昇によつ
てばね１２には付勢力が蓄えられているので、噛
合部５ａとばね部３ｂの噛合いが外れるとばね４
とばね１３の付勢力に抗して保持部材１１が上昇
し、これにより巻戻カツプリング３が上昇され
る。こうして巻戻カツプリング３はパトローネ軸
と係合する。

連動部材６がカム１０ｂを乗り越えたところで
第２図の状態となる。即ち、巻戻カツプリング３
は不図示のストツパーにより図示位置にて上昇を
阻止され、噛合部材５はねじ部３ｂの下に入り込
み、そして保持部材１１はカメラボデイ１により
上昇を阻止される。

さらに手動巻戻操作部材１０を押し込むとこれ
の段部１０ｃがばね８に抗してギア７を押し上
げ、これによりギア７とギア９との噛合が断たれ
て第３図の状態となる。コインをスロツト１０ａ
に押し込んだ第３図の状態においてコインを回転
させると、手動巻戻操作部材１０が回転し、それ
に連動してギア７及び巻戻カツプリング３が回転
してパトローネにフイルムが巻き取られる。この
時、ギア７とギア９との噛合が断たれているので
モータからギア９までの減速機構が手動巻戻の負
荷になることはない。

巻戻完了後手動巻戻操作部材１０の押圧を解除
すると、ばね１２，１３の付勢力によつて手動巻
戻操作部材１０と保持部材１１が原位置に復帰す
る。この際、第３図の状態にある噛合部材５は巻
戻カツプリング３の軸方向の移動を阻止するよう
に作用するが、手動巻戻操作部材１０の復帰過程
でカム１０ｂが連動部材６を左方に押すので噛合
部材５も左方に動かされ、それにより噛合部５ａ
とねじ部３ｂの噛合が外れ巻戻カツプリング３も
ばね４により下降する。巻戻カツプリング３はば
ね４により一瞬にして押し下げられるので、噛合
部材５が右方へ復帰する時にはこれは第１図の位
置に復帰して噛合部５ａとねじ部３ｂとが再び係
合する。

この状態が第１図の状態であり、この状態で裏
蓋を開くと噛合部材５だけが第１図左方へ移動
し、その後再び裏蓋を閉じると噛合部材５が再び
原位置に復帰する。即ち、裏蓋開閉により噛合部
材５のみが左右方向に動くが、他に何ら影響を及
ぼさない。こうして第１図の状態が再現される。

最後に電動巻戻途中から手動巻戻を行なう場合
について述べる。

巻戻部材１０だけが第１図の状態にあつて他が
第２図の状態にある状態において、巻戻カツプリ
ング３がパトローネ軸を回転しフイルムをパトロ
ーネ内に巻戻している途中でモータによる巻戻が
できなくなつたとき、スプロケツトをフリーにし
たまま電源スイツチ（不図示）を切りコインをコ
インスロツト１０ａに挿入して手動巻戻操作部材
１０を押し込む。すると第２図の状態になり、さ
らに手動巻戻操作部材１０を押し込むと第３図の
状態となる。ここで、上記手動巻戻動作の説明と
同様に動かせばよい。この場合も減速機構が手動
巻戻の負荷となることはない。

ところで、上記実施例においてギア７とカツプ
リング３との間に多少の減速ギア列が配置されて
も本考案を逸脱しなく、また上記実施例では手動
巻戻操作部材１０によつて手動巻戻を行なつたが
別部材で手動巻戻を行なつてもよい。

以上、本考案によれば、手動巻戻時に減速機構
と巻戻カツプリングの連携が断たれるので、余計
な負荷なく容易に手動巻戻が行なわれうる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本考案による一実施
例を説明する断面図である。 主要部の符号の説明、３……巻戻カツプリン
グ、７……伝達手段、９……減速機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 モータと、該モータの回転を減速する減速機構
   と、パトローネ内の軸と結合する係合位置とパト
   ローネ内の軸から退避する退避位置とに摺動可能
   な巻戻カツプリングと、前記減速機構と前記巻戻
   カツプリングとを連結し前記減速機構により伝達
   された前記モータの回転を前記巻戻カツプリング
   に伝達する回転伝達部材とを有し、フイルム巻上
   時には前記巻戻カツプリングを退避位置に摺動し
   てフイルムの巻上げを行い、フイルム巻戻時には
   前記巻戻カツプリングを係合位置に摺動して前記
   モータによるフイルムの巻き戻しを行うカメラの
   電動巻戻装置において、 前記減速機構と前記巻戻カツプリングを連結す
   る連結位置と該連結を解除する解除位置とに移動
   できるように前記回転伝達部材を設けるととも
   に、軸方向への摺動により前記回転伝達部材を連
   結位置と解除位置のいずれかに移動しかつ回転に
   より前記巻戻カツプリングを回転する手動操作部
   材と、前記回転伝達部材を連結位置から解除位置
   へ移動する前記手動操作部材の動作に連動して前
   記巻戻カツプリングを係合位置に摺動する連動機
   構とを設けたことを特徴とする電動巻戻装置。