JPS6312024B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は空気溜を内蔵した型式のブレーキシ
リンダを含む鉄道車両用流体圧力式ブレーキ作動
機に関する。

この型式の作動機は例えば1980年10月８日出願
の米国特許出願番号第195149号（昭和56年10月７
日出願の日本特許出願番号第56−158889号）の明
細書に記載されているように、現在一般に使用さ
れている空気溜を省略することと、ブレーキ作用
によつて消費される空気量を節減することを目的
としたものである。

この目的のために上述の特許出願における作動
機のブレーキシリンダには、串型に配置された大
小２つのピストンがあり、大ピストンの両側の２
つの室は通常同圧に充気され、ブレーキ適用時に
はまづ小ピストンが加圧されて、ピストン全体が
弛め位置から作用位置に移動し、その後、上述の
２つの室の一方が減圧されてブレーキ力が発生す
るようになつている。

しかしこのような作動機においては、大ピスト
ンと小ピストンとは小径のピストン棒によつて結
合され、そのピストン棒の外周を軸封するため摺
動型のピストン棒パツキンが使用されている。こ
のようなパツキンはその摩擦抵抗によつてピスト
ンの運動効率を低下させるのみならず、製作にも
保守にも費用を増大させる原因になつている。

従つてこの発明の主目的は上述のピストン棒な
らびにピストン棒パツキンを省略し得る構造のブ
レーキ作動機を提供することにあり、この目的の
ためにこの発明においては、前述の小ピストンを
プランヂヤー型にすることにより、ピストン棒自
体を省略している。

また前述の２つの室のうちの減圧されない側の
室の容積は従来のブレーキ装置の空気溜に相当す
るもので、その容積は大きい程安全性が高い。こ
の原理に従い、この発明においてはプランヂヤー
型にした小ピストンの内部の空洞を大ピストンの
減圧されない側の室に連通させることにより、こ
の空洞を有効に利用している。

以下、図面について構造、作用を説明する。

図に示したブレーキ作動機１ａには主シリンダ
２、変位シリンダ５、及び釣合シリンダ２９を含
む端蓋１２から成るシリンダ本体１がある。主シ
リンダ２には円孔４を有する隔壁３が一体に鋳造
され、円孔４の左方には左端が閉塞された変位シ
リンダ５が取付けられている。主シリンダ２の左
端面には端蓋９が取付けられ、その内部に圧力室
１１が形成されている。また主シリンダ２の右端
面には端蓋１２が取付ボルト１２ａによつて取付
けられ、端蓋１２には同心状に形成された釣合シ
リンダ２９及び端孔１３がある。

シリンダ本体１の内部には主ピストン７、変位
ピストン８、及び釣合ピストン３０から成る複合
ピストンがあり、主ピストン７は主シリンダ２
に、変位ピストン８は変位シリンダ５に、釣合ピ
ストン３０は釣合シリンダ２９に夫々滑入され、
一体となつて左右に滑動し得るようになつてい
る。また主ピストン７は隔壁３との間に形成され
た作用室２５の圧力を左方から受け、端蓋１２と
の間に形成された弛め室２６の圧力を右方から受
けている。変位ピストン８の外径は釣合シリンダ
２９の内径と同一寸法に製作されているから、主
ピストン７の両面の有効受圧面積は同一になつて
いる。

主ピストン７の中心線上にサヤ棒１４が固定さ
れ、サヤ棒１４は端蓋１２の端孔１３を貫通して
外方に延び、その外端にはストツパー４２がボル
ト４３によつて固定されている。サヤ棒１４の内
部には押棒１５が挿入され、その左端は主ピスト
ン７に圧入された当金１５ａに接し、その右端は
サヤ棒１４の外端を超えて外方に延び、通常の基
礎ブレーキ機構（図示せず）に結合されている。

変位ピストン８はプランヂヤー型に形成され、
その左端は壁１６によつて閉塞され、その右端は
主ピストン７の左側面に形成されたフランジ１７
に嵌入され、ピン１９によつて主ピストン７に固
定されている。変位ピストン８に内部に形成され
た空洞２０はピン１９に設けられた貫通孔１８を
経て作用室２５に連通している。

変位シリンダ５の内部には変位室２１が形成さ
れ、隔壁３の円孔４の右端にはＬ型パツキン２２
が抑えリング２３とボルト２４によつて取付けら
れている。パツキン２２の内唇は変位ピストン８
の外周に接し、作用室２５から変位室２１への空
気洩れを防止している。このように変位ピストン
８は主ピストン７に直接取付けられているから、
前述したピストン棒ならびにピストン棒パツキン
は省略されている。

弛め室２６の内部には弛めばね２７が設置さ
れ、この弛めばね２７の力によつて複合ピストン
は常に左方即ち弛め位置の方向に押圧されてい
る。

主ピストン７の外周にはパツキンカツプ２７ａ
及びガイドリング２８が装着され、パツキンカツ
プ２７ａの外唇は主シリンダ２の内周面に接し、
室２５から室２６への空気洩れを防止し、ガイド
リング２８はプラスチツク等の減摩材料で製作さ
れ、接触面の摩耗を防止している。また環状材２
７ｂのゴム等の弾性材料で製作され、主ピストン
７の環状溝に圧入されて、パツキンカツプ２７ａ
の脱落を防止するとともに、その左側面は図示の
最左端位置において隔壁３に当接して衝撃を緩和
する。

主ピストン７の右側には釣合ピストン３０が一
体に形成され、その右端はサヤ棒１４に固定され
た支持板３１とともにパツキンカツプ３２及びガ
イドリング３３を支持している。カツプ３２及び
リング３３はともに釣合シリンダ２９の内周面に
接し、弛め室２６から釣合シリンダ２９の内部に
形成された釣合室３４への空気洩れを防止すると
ともに、摺動面の摩耗を防止している。

支持板３１の左方にはフイルター３６が装着さ
れ、サヤ棒１４に設けられた通気孔４１及び支持
板３１に設けられた通気孔３９を経て釣合室３４
に吸い込まれる空気中の異物を除去する。

主シリンダ２には更に取付座４４が一体に形成
され、その下端の取付面４４ａには前述した明細
書に記載されたブレーキ制御弁と同様のブレーキ
制御弁４５が取付けられている。取付面４４ａに
開口している通路４６，４７，４８及び４９は
夫々圧力室１１、変位室２１、作用室２５、及び
弛め室２６に連通し、取付座４４の側面４４ｂに
は列車を貫通して設置されたブレーキ管（図示せ
ず）の枝管５１が接続され、ブレーキ管の圧力空
気は管５１、通路５０を経て制御弁４５に供給さ
れている。

次にこのブレーキ作動機１ａの作用について説
明する。作動機１ａの各部に圧力空気が存在して
いないとき、複合ピストンは弛めばね２７に押さ
れて図示の通り左端位置即ち弛め位置にあり、車
両のブレーキは弛められている。

ブレーキ管が充気されると、その圧力空気は管
５１、通路５０を経て制御弁４５に流入し、制御
弁４５が作動し、ブレーキ管の圧力空気が、通路
４６，４８及び４９を経て夫々圧力室１１、作用
室２５及び弛め室２６に供給され、各室の圧力は
一様に上昇する。前述した通り主ピストン７の左
右の受圧面積は等しいから室２５及び２６の圧力
によつて主ピストン７が移動することなく、弛め
位置に保持され、車両のブレーキは弛められたま
まである。

常用ブレーキを適用するために、ブレーキ管が
減圧されると制御弁４５が作動し、まづ通路４
９，４８，４７が連通し、変位室２１が加圧され
て、複合ピストンは右動し作用位置をとる。この
場合複合ピストンを右動させるために必要な力は
弛めばね２７の力と各部の摩擦抵抗に打ち勝つだ
けの程度であるから、室２１の圧力は比較的低
く、従つてここで消費される空気量は少い。ま
た、室２５には室２６から圧力空気が供給される
ため、複合ピストンの右動に伴う室２５の圧力低
下は極めて小さい。

室２１の圧力が予め定められた一定値に達した
とき、制御弁４５の作動により、室２１の加圧は
中断されると同時に、室２６の圧力空気が大気に
排出され、室２６は減圧する。この場合、室２６
の減圧量はブレーキ管の減圧量に比例した値に制
御される。従つて室２５と２６との圧力差に応じ
たブレーキ力が押棒１５を経て車両に伝達され、
車両に常用ブレーキが適用される。弛め室２６が
大気に接続される時点には既に主ピストン７は右
動し終つているから、弛め室２６の容積は最小に
なつている。従つて室２６から大気へ排出される
空気量も極めて小さくなる。

ブレーキ管圧力が非常速度で減圧すると、制御
弁４５は前述した常用ブレーキ時と同様に作動す
るとともに、圧力室１１の圧力空気を変位室２１
に供給する。従つて押棒１５に伝達されるブレー
キ力は常用ブレーキ時より増大する。

ブレーキを弛めるために、ブレーキ管圧力を上
昇させると、制御弁４５の作動により、室２１は
排気され、室２５，２６は再充気されて、複合ピ
ストンは弛めばね２７により図示の弛め位置に戻
り、ブレーキは弛められる。この時、釣合ピスト
ン３０の左動により釣合室３４の容積は増大する
から、サヤ棒１４の通気孔４１及び支持板３１の
通気孔３９を経て大気が釣合室３４に吸い込まれ
る。しかしこの空気はフイルター３６によつて除
塵されるから、パツキンカツプ３２が異物によつ
て損傷することはない。

以上の説明により明らかなように、この発明の
ブレーキ作動機は前述した明細書に記載されたブ
レーキ作動機に比して次の点が改良されている。

１ 変位ピストン８と主ピストン７との間にピス
トン棒及びピストン棒パツキンがないから、運
動効率が良好であり、且つ部品の減少により製
作費、保守費が安くなる。

２ 変位ピストン８の内部の空洞２０の容積は作
用室２５の容積に加算されているから安全性が
向上している。

以上の外、付随的な利点として次の事項を挙げ
ることができる。

(1) 主シリンダ２の内部に形成された通路４７の
形状が簡単になり、鋳造費が安くなる。即ち変
位ピストン８を通常の型式にした場合、通路４
７の一端を変位シリンダ５の端壁６に開口させ
る必要があるため、主シリンダ２及び変位シリ
ンダ５の中子の形状が複雑になる。

(2) 取付ボルト１２ａを弛めることにより、内蔵
部品を組み立でたままの状態で外部に取り出す
ことができるから分解作業が楽になる。この場
合、ボルト１２ａを弛めるに従つて、端蓋１２
は弛めばね２７の力によつて右動し、その右端
面がサヤ棒１４に設置されたストツパー４２に
当接したとき、弛めばね２７の力は封殺され
る。

【図面の簡単な説明】

付図はこの発明の一実施例によるブレーキ作動
機の断面図である。 １ａ……ブレーキ作動機、１……シリンダ本
体、２……主シリンダ、５……変位シリンダ、７
……主ピストン、８……変位ピストン、２１……
変位室、２５……作用室、２６……弛め室、２７
……弛めばね、２９……釣合シリンダ、３０……
釣合ピストン、３４……釣合室、４５……ブレー
キ制御弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 主シリンダ２及びその主シリンダ２の内径よ
   り小さい内径を有する変位シリンダ５を含むシリ
   ンダ本体１と、 上記主シリンダ２及び変位シリンダ５に夫々滑
   入された主ピストン７及び変位ピストン８を含
   み、上記シリンダ本体１内を弛め位置から作用位
   置へ移動し得る複合ピストンと、 上記主ピストン７を上記作用位置の方向へ押圧
   する空気圧力を保有する作用室２５と、 上記主ピストン７を上記弛め位置の方向へ押圧
   する空気圧力を保有する弛め室２６と、 上記変位ピストン８を上記作用位置の方向へ押
   圧する空気圧力を保有する変位室２１と、 上記複合ピストンを上記弛め位置の方向に押圧
   する弛めばね２７と、 通常上記作用室２５と弛め室２６を同一圧力に
   充気し、上記変位室２１を大気に接続して、上記
   弛めばね２７によつて上記複合ピストンを上記弛
   め位置に保持せしめ、ブレーキ適用時に上記変位
   室２１に圧力空気を供給して上記複合ピストンを
   上記作用位置に移動せしめ、その変位室２１の圧
   力が一定値に達したとき上記弛め室２６を減圧す
   るよう作動するブレーキ制御弁４５と、 から構成された流体圧力式ブレーキ作動機におい
   て、 上記変位ピストン８を内部に空洞２０を有する
   プランヂヤー型とし、その空洞２０を上記作用室
   ２５に接続することによりその作用室２５の容積
   を増大させたことを特徴とする流体圧力式ブレー
   キ作動機。