JPS63114206A - 鉄心加工方法及び巻き加工用内枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、非晶質合金薄帯をＤ型鉄心に巻き加工或いは
成形する際の鉄心加工方法及びそのときに使用する巻き
加工用内枠に関する。

〔従来の技術〕

変圧器１回転機等の電気機器に使用される鉄心材料とし
ては、励磁特性が良好であり、鉄損の低いことが要求さ
れる。この鉄損を低下させるためには、材料の欠陥を少
なくし、内部応力を下げることにより、ヒステリシス損
を低減させ、また電気抵抗を高め、板厚を薄くすること
により、渦電流損を低減させることが必要である。この
ような要求を満たす材料として、珪素鋼板又は珪素鋼帯
がこれまで使用されている。

この珪素鋼板又は珪素鋼帯は、鋳造、熱延、冷延、焼鈍
等の多数の工程を経る従来の方法により製造されるもの
である。これに対して、合金を高温の溶融状態から超急
冷することにより、液体と同様な構造をもつ非晶質合金
の薄帯を製造する技術が最近開発された。

この非晶質合金の製造方法によるとき、薄板を圧延等の
工程を経ることな（直接的に製造することができる。ま
た、得られた非晶質合金薄帯は、従来の珪素鋼板、珪素
鋼帯等に比較して電気抵抗が高く、板厚も薄く、且つ磁
気異方性も小さいので、鉄を員が著しく低減される。更
に、励磁特性も優れているので、この非晶質合金薄帯は
、鉄心材料として大いに期待される材料である。

この非晶質合金薄帯をＤ型鉄心として使用する場合、数
値〜数十１の幅に鋳造された非晶質合金薄帯を一旦コイ
ル状に巻き次いでＤ型に成形するか、或いはＤ型に直接
巻き加工し、次いでたいていの場合に磁場焼鈍する。こ
の焼鈍によって、鋳造時の歪みが開放され、所定の方向
に磁化容易軸が揃えられ、鉄心の磁気特性が向上される
。同時に、非晶質合金薄帯の構造緩和が生じ、外力を必
要とすることなく非晶質合金薄帯が鉄心形状を保つこと
ができるようになる。

ところが、この巻き加工を行うとき、巻き枠に巻き取ら
れた非晶質合金薄帯に、たとえば皺のような歪みが発生
し易い、この巻き歪みの発生は、非晶質合金薄帯の幅が
太き（なるほど顕著に現れる。これは、非晶質合金薄帯
が鋳造のままの形態で使用されることに起因するもので
ある。すなわち、超急冷により非晶質合金薄帯を製造す
る際、高温の溶融金属が急冷凝固されること、ノズルの
加工精度、高温時の変形、冷却ロールの膨張等の変動要
因により、非晶質合金薄帯の形状が不安定なものとなる
。このような形状不良が、非晶質合金薄帯を巻き加工す
る際に歪みとなって現れる。

この歪みは、巻き加工に続いて行われる焼鈍工程で定着
され、鉄心の磁気特性を劣化させる。

従来、このＤ型鉄心の直線部にあたる個所を締付は板で
所定形状に保持し、これを焼鈍することが特開昭５７−
５４３０８号公報で提案されている。しかし、当該公報
に示されている締付は板は、鉄心材料を単にＤ型に保持
するものに過ぎない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、非晶質合金薄帯をＤ型鉄心に加工する際、こ
の外に種々の問題がある。たとえば、非晶質合金薄帯を
巻き枠に多層状態でコイル状に巻き取るときに、巻き締
りが生じる。この巻き締りがあると、非晶質合金薄帯の
表面に対して直角方向の力、すなわち面圧が加わり、こ
の面圧に沿って非晶質合金薄帯内部の磁区が揃うように
なる。

また、このコイル状に巻き取られた非晶質合金薄帯をＤ
型に成形する際には、その面圧により影響がより顕著な
ものとなって現れる。

このように、非晶質合金薄帯の表面に対して直角方向に
配列された磁区は、非晶質合金薄帯を鉄心として使用す
るとき、磁束に対する抵抗として作用し、鉄損を大きく
悪化させる原因となる。

また、巻き加工された非晶質合金薄帯を焼鈍する際、そ
の結晶化温度が焼鈍温度に近接していることから、焼鈍
条件の管理を非常に厳格に行う必要がある。たとえば、
通常組成のＦｅ系非晶質合金薄帯の結晶化温度は４５０
〜６００℃の範囲にあり、焼鈍はそれより若干低い３５
０〜４２０℃で行われる。このため、ややもすれば非晶
質合金薄帯が結晶化することになり、非晶質特有の優れ
た特性が失われることになる。

そこで、本発明は、このような非晶質合金薄帯をＤ型鉄
心に巻き加工する際に、このような不測の力が加わらな
いようにすると共に、焼鈍条件を緩和し、鉄損が少なく
磁気特性に優れた鉄心を得ることを目的とする。

Ｃ問題点を解決するための手段〕 本発明の鉄心加工方法は、その目的を達成するために、
非晶質合金薄帯をＤ型鉄心の巻き枠に直接巻き加工する
か或いはコイル状に巻かれた状態からＤ型鉄心に成形す
るに際し、前記り型鉄心のコーナ部のみを支持する支持
部が伸縮自在な腕部の先端に設けられた内枠をＤ型に巻
き加工された非晶質合金薄帯の内周に挿入し、次いで前
記腕部を伸延させることにより前記非晶質合金薄帯の直
線部に張力を付与することを特徴とする。

また、そのために使用する巻き加工用内枠は、連結部材
を介してＨ型に組み合わせるか、或いは直接にＸ型に組
み合わせた一対の腕部の各先端に、Ｄ型状に巻き加工さ
れた非晶質合金薄帯のコーナ部に接触する支持部を設け
、該支持部を腕部の周面より高くし、且つ前記腕部又は
連結部材を伸縮自在にしたことを特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面に示した実施例により、本発明の特徴を具体
的に説明する。

第１図は、本実施例において使用する内枠を示す。この
内枠１は、Ｈ型の形状をもっており、各腕部２の先端に
は、巻き加工された非晶質合金薄帯（図示せず）を内周
から支持する支持部３が取り付けられている。なお、こ
の支持部３は、腕部２と一体的に成形されたものであっ
ても良い。

また、両側の腕部２を連結する部材は、２分割形成され
た連結部材４ａ、　４ｂとなっており、それぞれの連結
部材４ａ、　４ｂの先端には互いに逆方向のネジ５ａ、
　５ｂが刻設されている。そして、これら連結部材４ａ
、　４ｂの端部にカップリング６が装着されており、こ
のカップリング６内面に刻設されているネジが連結部材
４ａ、　４ｂのネジ５ａ、　５ｂと噛み合う。

そこで、このカップリング６を回転させることにより、
連結部材４ａ、　４ｂを互いに近接或いは離間させるこ
とができる。

なお、連結部材４ａ、　４ｂを近接・離間させる機構と
しては、このような連結手段に限らず、たとえばシリン
ダーとピストンとの組合せ、契状片の機械的圧入等の適
宜の手段を採用することができるのは勿論である。

このような内枠１において、支持部３が連結部材４ａ、
　４ｂの周面から突出する高さｈを、内枠１に巻き取ら
れる非晶質合金薄帯の板厚ｔより大きくすることが好ま
しい。これにより、最内周の非晶質合金薄帯と内枠ｌの
連結部材４ａ＋　４ｂとの間に空間ができ、この空間に
より非晶質合金薄帯に面圧が加わることを防止する。な
お、このような効果をより確実なものとするためには、
ｈ＝２〜２０×ｔであることが望まれる。

また、第２図は、内枠１に関する他の例を示すものであ
る。本例における内枠１は、Ｘ型に組まれた腕部２ａ、
　２ｂをもつ、これら腕部２ａ、　２ｂは、適宜の手段
により伸縮自在となっている。そして、腕部２ａ、　２
ｂの先端には、第１図の場合と同様に、支持部３が設け
られている。

次いで、このような内枠１を使用して、非晶質合金薄帯
を巻き加工する手順を説明する。

−旦コイル状に巻かれた非晶質合金薄帯の内周に、この
内枠１を挿入する。或いは、この内枠１に非晶質合金薄
帯を直接巻き付ける。次いで、第１図の内枠１にあって
は連結部材４ａ、　４ｂを離間させるように動かし、第
２図の内枠１にあっては腕部２ａ、　２ｂを伸張させる
。

第３図は、第１図に示した内枠に非晶質合金薄帯Ａを巻
き付けた状態を示す。この状態で、カップリング６の回
転により連結部材４ａ、　４ｂを互いに離間する方向に
移動させるとき、非晶質合金薄帯Ａは、Ｄ型形状のコー
ナ部が支持部３により支持され、その間にある直線部Ａ
、に矢印で示した張力Ｆが加わる。この張力Ｆは、カッ
プリング６の回転量、すなわち連結部材４ａ、　４ｂの
離間の程度によって自由に調節することができる。また
、直線部Ａ、の両端が支持部３により支持されており、
しかも支持部３が腕部２より一段高くなっていることか
ら、非晶質合金薄帯Ａの隣接する層の間に面圧が生じる
ことがない。

この張力付与によって、非晶質合金薄帯Ａの長手方向、
すなわち鉄心として使用したときの６ｆｆ界の方向に沿
って磁区が整列される。このため、鉄損は、第４図に示
すように低減する。この張力付与による磁区の整列化作
用は、磁界をかけることなく焼鈍することをも可能にす
る。

この張力が０．１ｋｇ／ａｍ”より小さいときには、磁
区を整列させる効果が小さく、鉄損の改善度も少ない。

他方、張力が５　ｋｇ　／　＋ｎ　”を越えると、焼鈍
時に鉄心の焼付きが生じるので、好ましくない。この点
から、付与する張力を０．１〜５ｋｇ／ｍｍ”、好適に
は０．２〜２ｋｇ／ａｍ”の範囲に維持することが好ま
しい。

また、この張力付与は、焼鈍条件を緩和させることにも
効果がある。第５図は、この張力が必要な焼鈍温度に与
える影響を示したグラフである。

この第５図の場合、焼鈍は１５エルステツドの磁界をか
けて行った。すなわち、張力０の焼鈍に比較して、非晶
質合金薄帯に加えた張力が大きくなるほど、鉄損の改善
が図られる温度範囲が広くなっている。たとえば、張力
０で焼鈍を行う場合の焼５Ｉｌｉ温度が３８０±５℃に
設定する必要があったものを、１．５ｋｇ／ｉｓ”の張
力を加えることにより、その焼鈍温度の幅を３８０±３
０℃と広くすることができる。

その分、焼鈍作業の管理が容易となる。特に、従来に比
較して低い温度での焼鈍が可能となるので、焼鈍温度と
結晶化温度（４５０〜６００℃）との開きを大きくとる
ことができる。そのため、非晶質合金薄帯の結晶化を引
き起こすことなく、非晶質特有の優れた性質を維持した
ままで、内部応力を除去し、鉄損の改善を図ることが可
能となった。

また、第６図は、この張力付与によって、焼鈍時に与え
る磁界の強さを少なくすることができることを示したグ
ラフである。すなわち、１．５ｋｇ／龍２の張力を付与
して焼鈍を行う場合には、磁界の強さにさほど影響され
ず、非晶質合金薄帯の鉄損は始めから低くなっている。

これに対し、張力０で非晶質合金薄帯を磁場焼鈍する場
合には、鉄損が磁界の強さに応じて徐々に低減し、磁界
の強さを１０エルステツドと大きくしたときに始めて、
張力を付与しながら焼鈍を行った場合の鉄損と同程度に
低下する。このグラフから判るように、本発明に従って
張力を加えた状態で焼鈍を行うときには、別設磁界をか
ける必要もない。

更に、第１図及び第２図に示した内枠１を使用して張力
を付与するとき、前述したように、非晶質合金薄帯Ａの
直線部Ａ、に面圧が加わることがない。そのため、直線
部Ａ１の長手方向に沿った磁区の配向性が優れたものと
なり、磁束に対して抵抗となるような磁区の成長が抑え
られる。

次の表は、厚さ２５Ｐ１幅１００ｍのＦｅ−３ｉ−Ｂ系
非晶質合金薄帯を、張力２　ｋｇ　／　ｍ　”で第１図
の内枠に巻き取り、３８０℃で磁場焼鈍及び磁場なしで
焼鈍して得られた鉄心の鉄損を示す。なお、表には、張
力を付与しないで焼鈍を行った場合を比較例として掲げ
ている。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明においては、コーナ部に
のみ接触する支持部をもち拡張自在な内枠を使用するこ
とにより、非晶質合金薄帯の直線部に張力を加え、しか
も面圧が加わらない状態で巻き加工することができる。

また、内枠の拡張度合を調整することにより、非晶質合
金薄帯の直線部に加わる張力を制御することが可能とな
る。そして、このように張力を付与した状態で、非晶質
合金薄帯の焼鈍を行うとき、磁化方向に磁区の整列が促
進されるので、鉄損の改良された製品が得られる。また
、焼鈍条件自体も緩和されることから、焼鈍作業の管理
も容易となる。このように、本発明によるとき、優れた
磁気特性を有する非晶質合金薄帯からなる鉄心の製造が
容易となった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例で使用した内枠を示し、第２図は
他の実施例の内枠を示し、第３図は第１図の内枠に非晶
質合金薄帯を巻き加工した状態を示し、第４図は張力付
与が鉄損の改善に与える影響を示し、第５図は焼鈍温度
の幅に与える張力の影響を示し、第６図は焼鈍時の磁界
の強さに与える張力の影響を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、非晶質合金薄帯をＤ型鉄心の巻き枠に直接巻き加工
   するか或いはコイル状に巻かれた状態からＤ型鉄心に成
   形するに際し、前記Ｄ型鉄心のコーナ部のみを支持する
   支持部が伸縮自在な腕部の先端に設けられた内枠をＤ型
   に巻き加工された非晶質合金薄帯の内周に挿入し、次い
   で前記腕部を伸延させることにより前記非晶質合金薄帯
   の直線部に張力を付与することを特徴とする鉄心加工方
   法。 ２、連結部材を介してＨ型に組み合わせるか、或いは直
   接にＸ型に組み合わせた一対の腕部の各先端に、Ｄ型状
   に巻き加工された非晶質合金薄帯のコーナ部に接触する
   支持部を設け、該支持部を腕部の周面より高くし、且つ
   前記腕部又は連結部材を伸縮自在にしたことを特徴とす
   る巻き加工用内枠。