JPS6311157Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は溶融合金鉄添加装置、具体的には転炉
製鋼法において出鋼直前または出鋼中に受鋼用の
取鍋内に合金鉄を添加するのに適用される溶融合
金鉄添加装置に関する。

転炉製鋼法は高炉で出銑した溶銑を転炉に入れ
て精錬する製鋼法である。主原料である溶銑、屑
鉄および副原料としての造滓剤、媒溶剤は転炉内
に直接装入されるが、これ以外に鋼の物性を決定
する合金鉄、脱酸剤などの添加物は、鋼の用途に
応じて、固形状態で吹錬終了後の出鋼中へ添加さ
れる。しかし合金鉄の添加方法はむずかしく転炉
操業上種々の問題がある。まず転炉からの出鋼
は、転炉を傾動させ出鋼口の移動に追従して取鍋
を移動させながら該取鍋で受取る。したがつて出
鋼中への合金鉄の添加は、転炉からの出鋼流の変
化および取鍋内の溶鋼レベルに合わせて合金鉄の
添加量を制御し効率よく添加しなければならな
い。通常は旋回シユートを設け、取鍋の移動に対
して円滑に添加できるように操作している。上記
の関連操作は非常に複雑で高度の経験、熟練を要
する。

また添加された固形状の合金鉄は取鍋内で溶鋼
と融解するが、その際に溶鋼の温度降下が生じる
ので、その分出鋼温度は高めにする必要がある。

出鋼温度と転炉の耐火物寿命とは正の相関があ
り、この点からはできるだけ出鋼温度を下げた方
がよい。

本考案は、上述した問題を解決するために合金
鉄を溶融状態で取鍋内へ添加するようにしたもの
であつて、簡単な自動操作で出鋼温度を低下させ
ることなく溶鋼と合金鉄とを混合させることので
きる溶融合金鉄の添加装置を提供することを目的
とする。

以下、本考案を、図面を参照しながら、実施例
について説明する。

第１図は本考案を実施する場合の転炉操業設備
の全体配置関係を示した平面図である。この実施
例は溶融合金鉄の容器を造塊ヤードから転炉マー
ドへのヤード越しに行なう場合である。まず、本
考案の概略を説明すれば、大容量の合金鉄用保持
炉９を造塊ヤードの適当な場所に設置する。保持
炉９には該保持炉からの合金鉄切出し量を制御す
るための公知の傾動装置および秤量機を設けてあ
る。なお、秤量機は後述する台車上に搭載しても
よい。造塊ヤードと転炉ヤードとの間に、各転炉
１，２，３に対応して後述する台車装置のレール
４，５，６が設置してある。溶融合金鉄を収容し
て移動可能な容器即ち移動小鍋７が各レールに対
して用意してあり、保持炉９からの溶融合金鉄を
必要量だけ該小鍋に小分けして転炉近傍の取鍋位
置まで搬送し、該小鍋から直接取鍋内へ溶融合金
鉄を注入するように構成してある。

第２図および第３図は本考案の１実施例を示し
たものであり、特に第３図は第２図の矢視Ａから
見た側面図である。ただしこの図では転炉および
クレーンは省略してある。台車装置４は、造塊ヤ
ードの適当な位置から出鋼待機中の取鍋１０に近
接した位置まで延在したレール１１と、傾動装置
を備えた台車１２とから構成される。台車１２の
片側部には、先端に凹状の軸受部を備えた一対の
支柱１７が垂直に設けられ、また他方の片側部に
は傾動用の一対のシリンダ装置１３がその一端で
揺動可能に枢着されている。シリンダ装置１３の
ピストン棒の先端には前記支柱の先端と同様に凹
状の軸受部が形成されている。台車１２上には自
走用のモータ８が搭載され、レール１１上を往復
移動するようになつている。２５は台車１２の車
輪である。小鍋７は第３図に示すようにその前端
が溶融合金鉄の傾注口７ａとなつており、またそ
の両側部にそれぞれ一対の短軸１４，１５が固着
されている。なお、小鍋７はクレーンで吊上げる
ための適当な吊手が設けられている。

このような構成において、出鋼命令に応じ溶融
合金鉄を保持炉９（第１図）から小鍋７に適量だ
け小分けする。この合金鉄の切出し完了後、小鍋
７の前記吊手の部分を専用クレーン２０（天井ま
たはウオールクレーン）で吊り、造塊ヤードで待
機している台車装置まで運搬し、レール１１上の
台車１２に載せる。この場合、小鍋７の傾注口７
ａ側が台車１２の支柱１７側にくるように該小鍋
の両側部の短軸１４，１５を支柱１７およびシリ
ンダ装置１３のピストン棒先端の凹状軸受部で軸
支して該小鍋を支持する。このようにして小鍋７
を担持した台車１２はレール１１上を出鋼待機中
の取鍋１０に接近した位置まで自力で前進し、転
炉１からの出鋼に合わせ、出鋼直前または出鋼中
に、台車上のシリンダ装置１３を作動させる。シ
リンダ装置１３の作動により小鍋７は台車１２の
支柱先端の軸受部を支点として第３図の破線で示
す状態に傾斜し、これによつて小鍋内の溶融合金
鉄を取鍋内に添加する。添加完了後はシリンダ装
置１３の消勢により小鍋７が元の水平姿勢に戻
り、台車１２がレール１１上を造塊ヤードまで後
退し、再び前記専用クレーン２０で吊つて合金鉄
用保持炉９へ返送する。なお、台車１２の前進、
添加（小鍋傾動）、台車後退の一連の動作は自動
的に行なわれる。

第４図および第５図は本考案の他の実施例を示
したものであり、台車がレール上を走行して取鍋
の上方で小鍋が傾転して溶融合金鉄を添加する基
本動作は第２図および第３図の場合と同じである
が、この実施例では台車１２に小鍋７があらかじ
め連結されているところが異なる。台車１２の下
部に一対の連結アーム２１を介して小鍋７が軸支
され、該アームに保持された傾動用モータ２３に
より例えばウオームおよびウオーム歯車から成る
傾動機構２２を介して小鍋７がその支持軸のまわ
りに回転するようになつている。台車１２の上部
に吊手１８が取付けられ、小鍋７および台車１２
が一体となつて専用クレーン２０に吊上げられ、
前記保持炉から造塊、転炉ヤード間に施設された
レール１１上に運搬される。

本考案によれば、従来のように固体添加でなく
溶融状態の合金鉄を添加するので転炉からの出鋼
温度を下げることができ、転炉の耐火物寿命をの
ばし、また吹錬O₂量を低下させることができる。

１例として合金鉄添加量6.5Kg／ｔで溶融添加
の場合、固体添加にくらべて出鋼温度を約10℃低
下させることができる。さらに従来のような出鋼
中の添加制御が不要となり、添加のための操作も
容易で自動化を図ることができ効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施する場合の転炉操業設備
の全体配置関係を示した平面図、第２図は転炉、
取鍋および台車装置の相互位置関係を示した本考
案の１実施例の概略的な正面図、第３図は第２図
の矢視Ａからみた側面図、第４図は本考案の他の
実施例に係る第２図と類似した正面図、第５図は
第４図の正面図である。 １……転炉、４……台車装置、７……小鍋、９
……合金鉄用保持炉、１０……取鍋、１１……レ
ール、１２……台車、１３……シリンダ装置、１
４，１５……短軸、１７……支柱、１８……吊
手、２２……傾動機構、２５……車輪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶融合金鉄を収容する容器と、前記容器を担持
   して出鋼待機中の取鍋上の位置まで搬送する台車
   装置と、前記台車装置に取付けられかつ前記取鍋
   上で前記容器を傾斜させて該容器内の溶融合金鉄
   を該取鍋内に添加させるための傾動装置とを有す
   ることを特徴とする溶融合金鉄添加装置。