JPS6310873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はイオン交換樹脂と銀イオンを含浸させ
たカーボンを充填したスポイト型殺菌純水器に関
するものである。

従来、純水器としてはイオン交換樹脂を充填し
た容器内に原水を圧入して純水を得ていたが、ポ
ンプなどの圧入装置を必要とするほか、容器を耐
圧性にする必要があるために製品コストが高くな
るなどの欠点があり、さらにイオン交換樹脂は通
常殺菌作用を持たないために原水中に細菌が存在
すると、除去されずに純水中に流出して行くばか
りか、容器内に純水を残留させておくと、細菌が
繁殖して純水として使用できないという不都合も
生じた。

また、簡易純水器として、ポンプなどの圧入装
置を使用せずに、水道の蛇口と純水器とをホース
で接続して水道水の圧力を利用して容器に圧入す
るもの、又は弾力性のある容器に原水を貯水さ
せ、イオン交換樹脂の充填筒と接続させた後、指
などで容器を押圧して充填筒に圧入しているが、
純水中に細菌が流出してくること及び純水器及び
原水容器内において細菌が繁殖することは避けら
れなかつた。

本考案は、以上述べたような、従来のイオン交
換樹脂を使用した純水器の欠点及び不都合を改善
するもので、純水中の細菌を殺菌し、かつ純水器
内に純水を残留させても細菌の繁殖を防止し、さ
らにポンプなどの特別の圧入装置を使用せずに原
水の容器内への流入及び純水の容器外への流出を
行うことを目的とする。

以下、本発明の実施態様の一例を図面に従つて
説明すると、図中１はポリエチレンやポリ塩化ビ
ニールなどの弾力性のある素材で円筒状に作成し
た容器であつて、容器１の側面を指先などで押圧
又は開放してスポイトのように使用するために、
容器１は前述したように、弾力性ある素材で円筒
状に作るとともに円筒の断面の直径として10〜50
mmのものを使用することが望ましい。

容器１内には、あらかじめ再生形にしたカチオ
ン交換樹脂２とアニオン交換樹脂３、すなわちＨ
型のカチオン交換樹脂（以下Ｈ型樹脂という）と
OH型アニオン交換樹脂（以下OH型樹脂という）
と、さらに銀イオンを含浸させたカーボン４（以
下銀付カーボンという）とを加えて、これらを均
一に混合して充填する。

イオン交換樹脂が販売されるときの交換基は、
通常、カチオン交換樹脂はNa型で、アニオン交
換樹脂はC₁型であつて、純水器に充填して使用
するに際しては再生型の交換基、すなわ前者をＨ
型に、後者をOH型にする必要があり、そのため
に前者には塩酸溶液、後者にはか性ソーダ溶液を
通液しているが、これらの薬液を純水を採取する
際に使用することは利用者にとつて危険であるの
で、本考案においては、最初から再生型にしたＨ
型樹脂とOH型樹脂とを選定して使用するもので
ある。

Ｈ型樹脂としては例えばアンバーライト（登録
商標（以下同じ））IR120Bを、OH型樹脂として
は例えばアンバーライトIRA400又は410とを、通
常１：１〜１：３の割合（重量）で使用する。

さらにＨ型樹脂、OH型樹脂とともに混合する
銀付カーボンとしては例えばクラレ(株)製のクラレ
コールPWを使用し、イオン交換樹脂への添加量
は、純水の使用目的に応じて適宜選定するが、一
般的には５〜20％（重量）の範囲であることが望
ましい。

容器１の上端には開口５を設け、この開口５を
覆うように通水口８とストレーナー６を有する蓋
７を、容器１の上端の外側面に設けた凸状螺溝１
０と蓋７の下端の内側面に設けた凹状螺溝１１と
を着脱可能に螺合させる。

なお、第２図に示すように、蓋７の中央部の内
側面に設けた凹状螺溝１１を容器１の上端の外側
面に設けた凸状螺溝１０に着脱可能に螺合すると
ともに、容器１の開口５を蓋７のストレーナー６
に接するようにし、通水口８を省略することによ
つて純水の酸化や通水口８へのイオン交換樹脂及
び活性炭の付着を防止してもよい。

蓋７のストレーナー６は水は通すが、イオン交
換樹脂及びカーボンを通さない素材で作ることを
要し、できれば弾力性のある材質、たとえば発泡
ポリエチレン、スポンジ、海綿などを使用すると
よい。

次に本考案の操作と作用、効果について説明す
ると、容器１の凸状螺溝１０と蓋７の凹状螺溝１
１の螺合を解いて蓋７を取りはずし、Ｈ型樹脂
２、OH型樹脂３及び銀付カーボン４の混合物を
開口５より容器１内に充填した後、容器１の凸状
螺溝１０に蓋７の凹状螺溝１１を螺合して蓋７を
容器１の先端に取り付ける。これらの混合物の充
填量は純水の使用目的によつて異なるが、通常は
容器１の容積の30〜80％の範囲であればよく、50
％前後が望ましい。

純水を得るためには、容器１の側面をスポイト
のように指で押圧しながら、容器１の先端部であ
る蓋７を水道水などの原水中に水没させ、容器１
の側面の押圧状態を開放すると、容器１は弾力に
よつて原状に復帰するために容器１内に負圧が生
じ、蓋７のストレーナー６より原水を容器１内に
吸引する。

容器１内に吸引した原水はＨ型樹脂２、OH型
樹脂３及び銀付カーボン４と接触し、純水となる
とともに銀イオンによつて水中に含まれている細
菌類をも殺菌することができる。Ｈ型樹脂２、
OH型樹脂３及び銀付カーボンと原水の接触効果
を高めるためには、容器１をシエカーのように振
つてもよい。殺菌した純水を得るためには、容器
１の側面をスポイトのように押圧して容積を減少
させ、これをストレーナー６より容器１外に流出
させればよい。

また、殺菌した純水を容器１に保存させ、かつ
所持する必要があるときは、容器１にキヤツプ９
を着脱可能に取り付ければよく、例えば容器１の
外側面の凸状螺溝１０とキヤツプ９の内側面の凹
状螺溝１１とを螺合させ、これによつて蓋７のス
トレーナー６をキヤツプ９の凹状溝１２で押圧し
て純水の漏出を防止する。

なお、純水の漏出をより確実に防止するために
は、容器１の開口５に中蓋（図示せず）をはめ込
んでもよい。

本考案の殺菌純水器は、スポイトのように容器
の側面を指で押圧又は開放するという簡単な操作
で、原水を吸引してＨ型樹脂、OH型樹脂及び銀
付カーボンと接触させて殺菌した純水を容易に得
ることが可能であり、従来の純水器のように純水
中に細菌類が流出して行くことはなく、さらに、
殺菌した純水を容器内に保存し、かつこれを所持
しても、銀付カーボンの銀イオンの存在によつ
て、従来の純水器のように、純水中に細菌類が発
生、繁殖するようなことはなく、常に殺菌した純
水を得ることができるので、コンタクトレンズの
洗浄液、洗眼液などに使用できるほか、化粧パツ
クの溶解液に使用するとパツクが良く延びるとと
もにパツクの肌への乗りがよく、かつ細菌類が含
まれてないので衛生的な利点もある。また、純水
器としてみた場合においても、ポンプなどの圧入
装置を付設することがないので、純水器の構造を
簡略化することができると同時に製品コストを一
段と安価にすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すもので、第１図
は本考案の殺菌純水器の縦断面図、第２図は容器
と蓋との螺合状態の他の実施態様を示す一部縦断
面説明図である。 １……容器、２……Ｈ型樹脂、３……OH型樹
脂、４……銀付カーボン、５……開口、６……ス
トレーナー、７……蓋、８……通水路、９……キ
ヤツプ、１０……凸状螺溝、１１……凹状螺溝、
１２……凹状溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポリエチレンやポリ塩化ビニールなどの弾力性
   のある素材よりなる容器内に、再生型のカチオン
   及びアニオン交換樹脂と銀イオンを含浸させたカ
   ーボンとの混合物を充填し、当該容器の開口に、
   水は通すがイオン交換樹脂及びカーボンは通さな
   いストレーナーを有する蓋を脱着可能に螺合させ
   たスポイト型殺菌純水器。